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香港の詐欺 なりすまし5575件とカード情報流出【2026】

香港の詐欺・ぼったくりの手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.15 KAIGAI-RISK

いまの香港で一番大きいリスクは詐欺です。2024年の犯罪統計を見ると総数94,747件のうち詐欺が44,480件、つまり犯罪のほぼ半分。街のスリやひったくりが減ってる一方で、詐欺だけが前年比+11.7%と跳ね上がってます。

外務省「安全対策基礎データ」の記述。

増加している主な犯罪は詐欺事件(44,480件)であり、前年と比較して4,656件(11.7%)増加しています。このうち約62%がインターネット関連の詐欺事件であり、被害総額は約1,800億円に上ります。

年間被害額1,800億円、ネット関連が6割超。これ、在住者だけの話じゃなくて、観光客もターゲットに入ってます。配送業者を装ったメッセージ、偽の投資勧誘SNSアカウント、フィッシングメール──旅先でも発動する手口ばかりなので一つずつ見ていきます。

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2024年の新手口:カスタマーサービスなりすまし

いま外務省と香港警察が名指しで警戒してるのがこれ。

様々な種類の詐欺が発生しており、中でも2024年初めから「カスタマーサービスの職員になりすます」という新しい手口が発生し、2024年中、この手口による詐欺事件が5,575件発生しています。

5,575件というのは1年で5,575人以上の被害者が出たということ。具体的には、配送業者・通販サイト・銀行・政府機関などのカスタマーサービス職員を名乗る人物から、SMS・WhatsApp・電話・メールで接触してくる。「注文した商品に問題があるので確認が必要」「不正アクセスの疑いがあるので口座情報を確認したい」といった切り口で誘導、最後は送金か口座情報の入力を迫る、というのが型です。

旅行中にハマるパターンとしては、Amazonや配送業者を装った偽のSMSが来て追跡リンクをクリック→偽サイトでカード情報入力、がわかりやすい。香港滞在中に現地のSIMで日本の通販を追跡してる、みたいなシチュエーションで引っかかる。

何をすれば防げるか

総領事館「詐欺事案の安全対策」の明記。

電話や電子メール、SNS等を介して口座振込の指示を受けたら、振り込む前にまず第三者(家族・親族等、社内の担当者、当館、香港警察の24時間詐欺相談ホットライン(※)等に相談する。

相手が指定した電話番号、電子メール等へ連絡して確認するのではなく、ご自身が把握している連絡先を基にして、連絡してきた人物本人や担当部署の電子メール等のあて先に連絡し、事実関係を確認する(知らない着信番号に電話しないなど、見ず知らずの連絡先に連絡しないよう注意を払う)。

ポイントは「相手が指定した連絡先で確認しない」。メッセージに書いてあるURLや電話番号は全部相手側が用意したもの。自分の手元にあるカード会社の連絡先、通販サイトのアプリ内メッセージ、から逆に確認する。

香港警察も詐欺識別用の検索エンジン/アプリを公開してます。

怪しい電話番号・URL・メールアドレス・口座番号を入力すると、通報履歴があるかチェックできる仕組み。

クレジットカード情報の詐取(世界3位)

渡航前に知っておきたい数字。

報道によると、ダーク・ウェブ上で不正に売買されているクレジットカード情報のうち、香港で発行されたものは約40万件に上るとされています。これは、被害件数としては米国及び豪州に次ぎ世界で三番目に多いとされるほか、人口との比率で見ると最も高いこととなるため、特に注意が必要です。

人口比で世界最多。香港で発行されたカードだけの話だけど、旅行者のカード情報も同じ手口で抜かれます。

手口2つ

外務省の整理。

フィッシング詐欺:虚偽のインターネットサイトを設けた上、e-mailやSMSを送信し、様々な口実(例:アカウント情報の更新や未払いの支払いがあるなど)を用いてクレジットカード情報を入力させるようにする。

店頭端末(POS端末)システムへのハッキング:店頭端末システムをハッキングし、顧客のクレジットカード情報を詐取する。

POS端末ハッキングは防ぎようがない部分も多い(店側のシステムの問題)ので、「使ったあとどう気付くか」が実務。外務省の予防策より。

クレジットカードの請求書をいつも確認するとともに、怪しい請求についてはカード会社に報告する。

共用パソコンやフリーWi-Fiから、オンラインバンキングにログインしたり、クレジットカード情報を入力したりしない。

カード会社の利用通知をプッシュ通知でONにしておく、旅行中は利用明細をほぼ毎日見る、空港・カフェの公共Wi-Fiで決済しない、あたりが現実的。

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日系企業狙いの電話詐欺(2021〜)

これは在住の日系企業勤務者向けだけど、ワーホリや駐在で香港にいる日本人は知っておいて損はない。総領事館「詐欺事案の安全対策」の手口。

日本本社の社長を名乗る人物より電話あり。日本本社の電話番号が着信番号として表示されていることがある。日本語が流暢であるため、電話をかけてくる人物は日本人と思われる。駐在事務所の経理財務責任者が狙われている。電話の内容は雑談から始まり、「M&A交渉のため指定の弁護士と連絡をとって、必要額を本日中に指定口座に振り込んで欲しい」というもの。極秘事案のため、本社への確認のための電話・メールは一切止めて欲しいという釘刺しあり。

ポイントは3つ。①着信番号が偽装されて本社の代表番号が表示される、②日本語が流暢で日本人が電話してる、③極秘事案だから本社に確認するな、と口止めされる。総領事館に報告された事案例の中には「声が本物の社長とそっくりだった」というケースもあります(AIによる音声合成の可能性)。

対策は単純で、本社側に折り返し。口止めされても必ず自分の手元の連絡先から確認する。一度振り込んだら戻らないので、ここだけは絶対に省略しない。

SNS投資詐欺・ロマンス詐欺

総領事館が近年の変化として名指ししてるのがこれ。

近時はSNSを使用した投資詐欺やロマンス詐欺(恋愛感情や親近感を抱かせた上で金銭等をだまし取る詐欺)が発生するなど、旧来行われてきた日系企業向けの電話での詐欺に留まらず、その手法が多様化している現状にあります。

旅行者でもInstagramやマッチングアプリ経由で知り合った相手から投資話を持ちかけられる、は十分あり得ます。典型的な型は「少額の投資で利益が出たように見せる→追加投資させる→出金しようとすると手数料が必要と言われる→最終的に連絡が取れなくなる」というもの。SNSで知り合った相手からの投資勧誘・送金依頼は、例外なく詐欺と考えて切り捨てるのが安全圏。

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手口早見表

手口接触経路典型的な誘導防ぎ方
カスタマーサービスなりすましSMS・WhatsApp・電話注文トラブル/不正アクセス確認を口実に情報入力公式アプリ/手元の連絡先で逆確認
クレカ情報詐取(フィッシング)メール・SMSアカウント更新/未払い通知で偽サイトへ誘導メール内リンクは踏まない、ブックマーク経由
クレカ情報詐取(POS)実店舗の端末店側端末のハッキング(利用者側は気付けない)明細を毎日確認、通知ON
日系企業狙い電話詐欺電話(番号偽装)「本社からの極秘送金依頼」本社側に必ず折り返し
SNS投資詐欺Instagram/マッチングアプリ少額利益→追加投資→出金手数料要求SNSきっかけの投資話は全切り
ロマンス詐欺SNS/マッチングアプリ恋愛感情→金銭要求オンラインのみの相手に送金しない

被害に遭ったら:最初の1時間が勝負

総領事館「詐欺事案の安全対策」の明記。

万が一、電話等による詐欺被害に遭った可能性がある場合には、速やかに警察に相談の上、被害届を提出するとともに、送金元及び送金先の銀行に対し、警察へ被害届を提出した旨連絡する。具体的には、送金先口座が香港にある場合、初動において当該口座を直ちに凍結してもらえるかが重要になるため、速やかに証拠を揃えて警察に被害届を提出し、その場で警察による調書(ポリス・レポート)の発行を受ける。その後、発行を受けた同調書を持参の上、速やかに当該口座がある銀行に行って口座凍結を依頼する。

流れはこう:

  1. 香港警察の詐欺相談ホットライン 18222(24時間、英語・広東語・普通語)に連絡
  2. 警察で被害届を提出、ポリス・レポートを発行してもらう
  3. そのレポートを持って送金先銀行へ行き、口座凍結を依頼
  4. 自分の送金元銀行にも連絡、被害届を出した旨を伝える
  5. カード情報が関係する場合は、カード会社に即停止連絡

緊急時は999(警察・消防・救急車共通)。在香港日本国総領事館は(852) 2522-1184(24時間対応)で相談できます。

詐欺と並んで狙われやすいのが機内・空港チェックイン時の荷物盗難。対策は香港のスリ・置き引き・機内荷物盗難にまとめています。マカオへ渡る予定ならマカオの詐欺・ぼったくりも合わせてどうぞ。

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予防チェックリスト

  • 口座振込の指示は、相手が指定した番号ではなく自分の連絡先から逆確認
  • Scameter/Scameter+ アプリで怪しい番号・URLを事前にチェック
  • カード会社のプッシュ通知をON、明細は毎日確認
  • 公共Wi-Fiでオンラインバンキング・決済をしない
  • SNS経由の投資話・ロマンス関係からの送金依頼は全切り
  • 「極秘」「本社に確認するな」と言われたら100%詐欺
  • 被害に遭ったら1時間以内に警察→送金先銀行凍結の流れ

緊急連絡先

  • 香港警察 詐欺相談ホットライン(ADCC):18222(24時間、英語・広東語・普通語)
  • 緊急時:999
  • 在香港日本国総領事館:(852) 2522-1184(24時間)
  • Scameter:cyberdefender.hk/en-us/scameter/

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よくある質問

香港でいま一番多い詐欺の手口は?

2024年初めから急増している「カスタマーサービス職員なりすまし詐欺」です。配送業者や通販サイトの職員を装ってSNS・電話・メッセージで接触してくる手口で、2024年中に5,575件発生しています。

香港で詐欺にあったらどこに連絡すればいい?

香港警察の24時間詐欺相談ホットライン「18222」(英語・広東語・普通語対応)。緊急の場合は999。合わせて在香港日本国総領事館(+852-2522-1184)にも相談できます。被害金の口座を凍結するには警察で調書(ポリス・レポート)を取って送金先銀行に持ち込む流れ。

香港はクレジットカード詐欺が多いって本当?

外務省によると、ダークウェブで不正売買されている香港発行クレジットカードの情報は約40万件で、被害件数は米国・豪州に次ぐ世界3位、人口比では世界最多とされています。POS端末ハッキングやフィッシングでカード情報が抜かれるリスクが高いエリア。

SNSで知り合った相手の投資話は信用できる?

総領事館「詐欺事案の安全対策」にもSNSを使った投資詐欺やロマンス詐欺の増加が明記されてます。オンラインで親しくなった相手からの投資勧誘は基本詐欺と考えて切り捨てるのが安全。少額で利益が出たように見せてから追加投資させる型が典型。

出典

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