アルゼンチンの治安は、ブエノスアイレス市の犯罪発生率を東京と比較すると強盗で約1,000倍、傷害で約12倍、窃盗で約5倍、殺人で約4倍(2024年・治安省統計、人口10万人あたり)。「中南米の中でも比較的安全」と昔は言われていた国ですが、近年の経済悪化で凶悪犯罪が日常化しました。タンゴとアサードの国に行くなら、この数字を頭に入れてから出発しよう。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル --- 全土レベル0、ただし数字を見ると油断できない
外務省はアルゼンチンに危険情報を出していません(レベル0)。観光ビザも不要で、日本人にとって入りやすい国です。ただし、危険情報がないこと=安全、ではない。外務省は安全対策基礎データで次のように書いています。
アルゼンチンでは銃器類が大量に出回っているため、銃器を使用した強盗や殺人、誘拐などの凶悪犯罪も日常的に発生しており、十分な注意が必要です
国内に正規登録の銃が約200万丁、違法流通の銃も約200万丁以上。日常的という言葉は誇張ではなく、「銃を持った相手と路上で出くわす可能性がある国」と読み替えてください。
多発する犯罪14類型 --- バイク強盗・ケチャップ・短時間誘拐
外務省のリストに並ぶアルゼンチンの代表的な手口は次の通り。
- モトチョロス: バイクで低速接近し、ひったくる。2人乗りが多い
- ケチャップ強盗: 衣服に液体をかけ、拭くふりで近づき荷物を奪う
- ピラニア強盗: 集団で囲んで金品を強奪する路上強盗
- 路上強盗: 銀行で現金を引き出した直後を狙う
- 侵入強盗: 武装した複数犯が住居に押し入る
- 車両強盗: 走行中の車を強引に止めて襲う
- 短時間誘拐: 数時間拘束しATMで現金を引き出させる
- バーチャル誘拐: 誘拐を装って家族に電話、身代金を騙し取る
- 強姦: 夜間・早朝の時間帯
- 薬物大量密輸・不法所持
ほぼすべての類型で「犯人は拳銃などの武器を所持」と外務省が明記しています。手口の詳細はブエノスアイレスのスリ・ひったくり・強盗、ケチャップ強盗・両替詐欺、短時間誘拐・銃器強盗で。
モトチョロス --- バイクで近づくのは「危険信号」
アルゼンチンを語るなら避けて通れないのがモトチョロス(Motochorros)。バイクに2人乗りで現れ、歩行者やタクシーの開いた窓から、スマホやバッグをひったくって走り去ります。在アルゼンチン大使館の「安全の手引き」は、
タクシー等乗車時に窓を開放していると、モトチョロスが通りすがりに車内に手を伸ばして、スマホや貴重品をひったくられることから、車両の窓は閉めてください
とハッキリ書いてる。低速で近づいてくる二人乗りバイクを見たら、店に逃げ込むか人混みに紛れる。これがブエノスアイレスでの基本動作です。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
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短時間誘拐 --- 数時間でATMから引き出させて解放
「誘拐」と聞くと数日間の拘束をイメージしますが、アルゼンチンの主流は短時間誘拐。銃器で脅して被害者をATMに連れ回し、限度額まで現金を引き出させて数時間で解放するパターン。被害金額は少額でも誰でもターゲットになります。
いわゆる短時間誘拐(数時間拘束し、比較的少額の身代金を入手した後に解放する)が、特にブエノスアイレス市南部から西部にかけた周辺都市で発生しています
2023年の誘拐事件は18件で、ほとんどがブエノスアイレス州内(外務省・検察局統計)。日本人が直接ターゲットにされる傾向はないものの、流しタクシーに乗ったら貧困地区に連れ込まれた、というパターンは中南米共通のリスクです。ペルーでも流しタクシーで8時間監禁の事例があり、抵抗厳禁ルールも同じ。
ケチャップ強盗・ヤミ両替 --- 観光地特有の詐欺
服にケチャップや汚物を模した液体をかけられ、「汚れてますよ」と親切そうな人(高齢女性であることも)が拭く手伝いに来る。その間に荷物が消える。これがケチャップ強盗。フロリダ通り、レコレータ墓地周辺、サンテルモ広場のフェリアで多発。
両替は「カンビオ・カンビオ」と声をかけてくるヤミ両替屋を絶対に使わないこと。偽札・人目のない場所への誘導・高額紙幣すり替えなど被害パターンが豊富で、しかも違法行為。銀行・空港の両替所か信頼できる両替所のみ使ってください。
エリア別 --- レティーロ駅・ボカ・フロリダ通りは要注意
ブエノスアイレス市内で大使館・外務省が名指しで警告しているエリア。
- レティーロ駅周辺: 駅北側にスラム街があり、置き引き・スリ・ケチャップ強盗が日常的。過去に外国人観光客の殺人事件も
- ボカ地区: タンゴ発祥のカミニートで有名な観光地。ただし大通り以外は日中でも危険
- フロリダ通り: 観光客で賑わう歩行者天国。スリ・ひったくりが頻発
- サンテルモ地区: 週末のフェリアで観光客集中、スリ被害多数
- 三大ターミナル(コンスティトゥシオン/レティーロ/オンセ): スリと駅周辺の強盗
- モンセラート/サンニコラス: 銀行街、ATM後の強盗が発生
エリア別の詳細はブエノスアイレスの治安で。
銃器を持った相手に「絶対に抵抗しない」
これはアルゼンチンで命を守る一行です。
身体・生命の安全を最優先にし、決して抵抗しないことが鉄則です。例え強盗犯に銃を突き付けられ金品を要求されたとしても、出し渋ったり、抵抗することは大変危険です
慌ててポケットから財布を取り出すのも危険。「銃を抜こうとしている」と犯人に勘違いされて撃たれるケースがあります。両手を上げて、金品の場所をゆっくり指し示し、相手に取らせるのが正解。年少者でも銃を持っている確率が高いので、年齢で油断しない。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
デモ・ストライキ --- 五月広場とオベリスコ周辺
労働組合のデモは日常風景。五月広場、オベリスコ、労働省前で頻発します。タイヤを燃やし、爆竹を爆発させ、道路封鎖。多くは平和裏ですが、過激化すると投石・火炎瓶。警察の催涙弾・ゴム弾射撃で巻き込まれる可能性もあります。鉄道・バスの予告なしストも多いので、移動日の交通情報は朝にチェック。
サッカー観戦 --- ボカとリーベルのユニフォームを避ける
ボカ・ジュニアーズとリーベル・プレートのスタジアム周辺は試合日に治安が悪化。サポーター抗争で死傷者が出ることもあります。観戦に行くなら対戦相手チームのユニフォームや同系統の配色の衣服は着ないこと。これは大使館も外務省も繰り返し書いてます。
医療費の実態 --- 私立病院は全額自費・桁が違う
ブエノスアイレスの私立病院(ドイツ病院、イタリア病院、トリニダ病院など)は欧米水準の医療が受けられますが、保険外は全額自費。インフレで料金は値上げが続いてます。
アルゼンチン単独の高額事例データはありませんが、南米地域の参考事例として、ペルーで脳梗塞の医療搬送が1,144万円、メキシコで博物館転倒・膝蓋骨骨折で309万円、コスタリカでクルーズ中の脳内出血で442万円(いずれもジェイアイ「海外旅行保険 事故データ」中南米事例)。北米寄りの近隣ハワイでは海水浴中の溺水ICU入院で現地治療費約3,000万円(損保ジャパン off!)。
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません
外務省のこの一文は、保険なしの旅行者には現実の数字として降りかかります。日系のニッカイ共済会(Centro Medico Mutual Nikkai)は日本語対応職員あり・ブエノスアイレス市内(Av. San Juan 2496)。詳しくはブエノスアイレスの医療・健康トラブルで。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
薬物 --- 首都で2024年検挙115%増
外務省の安全対策基礎データには「マリファナ、コカイン等の大量密輸および不法所持」が多発犯罪14類型に挙がっています。2024年のアルゼンチン治安省統計では、国内全体で薬物関連検挙が22%増、ブエノスアイレスでは115%増。
親切心から見ず知らずの人の荷物を預かる等すると、思わぬ犯罪に巻き込まれる可能性もあります
クラブ・繁華街での薬物流通もあるとされており、興味本位で手を出すと逮捕・拘禁の対象に。
通信手段
抗議活動でWi-Fiやモバイル通信が混雑することもあるので、出発前にeSIMを準備しておくと安心です。海外eSIM比較で旅行先に合ったプランを確認できます。
緊急連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・救急・消防(ブエノスアイレス市・州、サンタフェ州、サンルイス州) | 911 |
| 警察(その他州) | 101 |
| 救急車 | 107 |
| 消防 | 100 |
| 観光警察(ブエノスアイレス市・24時間) | 11-5050-3293 / 11-5050-9260 |
| 在アルゼンチン日本国大使館 | (011) 4318-8200 |
| 大使館領事班直通(平日) | (011) 4318-8220 |
911通報のコツは「最初に場所を伝える」こと。GPSで警察官の位置を把握しているため、到着が早まります。スペイン語が不安なら ¡Ayúdeme!(助けて)/Ladrón(泥棒)/Policía(警察) を覚えておこう。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ブエノスアイレスの私立病院は全額自費、しかもインフレで値上がり続き。中南米では強盗時の負傷リスクも常にあります。中南米の海外旅行保険で補償内容を確認しておこう。