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エチオピアの治安 ティグライのレベル3と首絞め強盗【2026】

エチオピアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在エチオピア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

コーヒー発祥の地、ラリベラ岩窟教会、シミエン山地。エチオピアは「アフリカで唯一植民地化されなかった独自文化」を体験できる国ですが、外務省は2025年3月にティグライ州メケレ市・シレ市の危険レベルをレベル3(渡航中止勧告)に引き上げ。エリトリア・ソマリア・スーダン・南スーダンとの国境地帯やオロミア州西部の一部はレベル4(退避勧告)が継続中です。

首都アディスアベバは比較的レベル1(十分注意)に留まっていますが、在エチオピア日本国大使館は2025年8月以降、ボレ国際空港保安検査場での邦人窃盗、市内マラソン中のスリ被害、子供グループによるひったくり、さらに2026年2月のティグライ州フライト全便運休まで、立て続けに注意喚起を出しています。

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危険レベルと地域別の注意

外務省が2025年3月11日付で更新した危険情報を整理するとこうなります。

地域レベル概要
エリトリア・ソマリア・スーダン・南スーダンとの国境地帯、ティグライ州西部、アムハラ州境地帯、オロミア州ウェレガ・グジ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ・メテケルレベル4退避勧告。渡航中止
ティグライ州メケレ市・シレ市レベル3(引き上げ)TPLF派閥対立で自治体庁舎奪取・職員拉致
ティグライ州(上記除く)、アムハラ州、オロミア州イルバボール、ガンベラ州、ケニア国境地帯レベル3渡航中止勧告
アファール州・オロミア州ボレナ・東西ハラルゲ・バレ・シェワ各地区、ガンベラ市、ソマリ州レベル2不要不急の渡航中止
首都アディスアベバを含む上記以外の地域レベル1十分注意

「2023年8月4日、連邦政府は、アムハラ州において、武装勢力と治安部隊の衝突により治安状況が悪化したことを受け、同州全域に非常事態宣言を発出しました」と外務省。アムハラ州は2026年4月時点でも非常事態継続地域です。

ティグライ州 --- 2026年2月もフライト全便運休

2026年2月2日、在エチオピア日本国大使館はこう注意喚起しました。

1月29日以降の報道にて、ティグライ州北西県ツェレムティ郡及び同州南部県アラマタ市周辺において、エチオピア国防軍(ENDF)等とティグライ防衛軍(TDF)との衝突発生が伝えられています。また、ティグライ州中部県エンティチョ地区において、ドローン攻撃により2台のトラックが被害に遭った結果死傷者が発生。

エチオピア航空のティグライ州(メケレ・アクスム・シレ・フメラ)便は1月29日から運休し、2月2日時点でも再開のめどが立っていません。州都メケレ市を含めて滞在者は「現金、燃料、食料品、飲料水等の確保」を含む非常時備えと、安全な地域への移動を求められています。

ラリベラやアクスム等の歴史遺産は本来ティグライ州・アムハラ州にあるため、現状は観光目的での渡航は事実上不可能と認識すべき状況です。

アディスアベバ --- 首絞め強盗とマラソン中のスリ

アディスアベバはレベル1ですが、邦人被害が立て続けに発生しています。在エチオピア日本国大使館「安全の手引き」(令和6年3月改訂)によれば。

繁華街において複数人による路上強盗の発生が見られます。夜間、早朝の暗い時間帯では、邦人を含め、外国人を狙って後ろから近づき首を絞め、自由を奪われている間に所持品を強奪する、「首絞め強盗」の被害が多発しています。

被害者が気を失うまで暴行されるケースもあり、外務省は「重傷を負うことや死亡する例もある」と明記。スリ多発エリアとして名指しされているのはボレ・エアポートロード/カメルーンストリート/マルカート/ピアッサ地区。観光・空港アクセス・最大マーケットなど、外国人が必ず通る場所が並んでいます。隣国のケニア・ナイロビでは同じ手口に拳銃が加わるため、東アフリカ縦断時はどちらでも「徒歩は避ける」が基本です。

詳細はアディスアベバの治安で解説しています。

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ボレ国際空港 --- 保安検査員関与の窃盗事件

2025年8月29日、在エチオピア日本国大使館が異例の注意喚起を発出しました。

ボレ国際空港の保安検査場において、邦人被害の窃盗事件が発生。被害者が、乗り継ぎに際しX線検査機器による手荷物検査を受けるため、トレーに貴重品の入った鞄を入れたところ、保安検査員から「荷物は流すから早く通過しろ」と促され、同一レーンのゲート式金属探知機を通過。その後、受け取った鞄の中から、携帯電話機やクレジットカード等の貴重品が紛失していることが判明。

保安検査員の関与が疑われるレベルの内部犯行です。「保安検査員に対し防犯カメラの確認を依頼し確認を行うも、被害状況の詳細は不明である旨報告を受けた」と大使館。さらに国内線でも預け入れ荷物内の貴重品が抜き取られる事案が発生しており、預け入れ荷物の施錠徹底が必須です。

アディスアベバマラソンと子供グループによるひったくり

2025年11月23日のグレートエチオピアンランで、邦人ランナー2名が走行中にスリ被害に遭いました(うち1件は未遂)。第二事案では「左側から近寄ってきた男性に話しかけられ、左肩を掴まれ身体を執拗に押された。その間、別の男性が被害者の右側から、ズボンの右前側ポケットのファスナーを開け、ポケット内の携帯電話を窃取しようとした」と、複数犯による典型的な分業手口でした。

2026年1月16日にはボレ地区で別の手口も。

左後方から接近してきたエチオピア人風の子供にネックストラップで携行していた携帯電話を引っ張られた。被害者が同子供に抵抗しながら歩行していた時、右後方から別の人物が近づき、肩にかけていたバッグを奪って逃走した。

子供を表に立てて、後方から大人がバッグを奪う複数犯の手口です。「アディスアベバ市内では、昼夜を問わず歩行中の窃盗(スリ・ひったくり)及び強盗被害が多発しています。エチオピア人同様、外国人もいつでも標的になり得ます」と大使館。

詳細はアディスアベバのスリ・ひったくりへ。

カテゴリ別のトラブル

カテゴリ主な手口詳細
スリ・ひったくりマラソン中スリ・ボレ空港保安検査場・子供グループ・首絞め強盗アディスアベバのスリ・ひったくり
詐欺・ぼったくりコーヒーセレモニー詐欺・JICA騙り・車両故障詐欺アディスアベバの詐欺
健康・医療標高2,400m高山病・近隣国搬送337〜1,116万円・腸チフス・マラリアアディスアベバの医療事情
タクシー・交通ミニバス事故・人身事故時の集団暴行・牛羊衝突示談トラブルアディスアベバのタクシー・交通

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コーヒーセレモニー詐欺と仲介役の罠

エチオピアならではの詐欺手口があります。安全の手引きによれば、片言の日本語や英語で「エチオピア独特のコーヒーセレモニーを見せる」「安いエチオピア料理の店がある」と近づき、民家やレストランに連れ込んで法外な料金を請求するのが典型。

さらに巧妙なのが「仲介役を含む組織型」。ぼったくりトラブルが起きたところに仲介役が現れ、相場より低い金額で丸く収めてくれる。感謝していると「もっといい店がある」と誘われ、今度は仲介役グルの店で再びぼったくられる。「正義の人」を装ってもう一回連れ回す二段構え。日本人によくある「親切にされた負い目」を利用する設計です。詳細はアディスアベバの詐欺へ。

高山病と医療搬送 --- 近隣国まで337〜1,116万円

首都アディスアベバの標高は2,400m。富士山6合目と同じ高さで、到着直後から高山病の症状(頭痛・不眠・息切れ・食欲不振)が出ることがあります。外務省は「体力とは無関係」「高地順応には平均、数日から1週間程度かかる」と指摘。少量のアルコールでも酔いやすくなるので、到着初日は無理しないこと。

致命傷・重病の場合はもっと深刻。外務省「世界の医療事情」はこう書いています。

日本と同様の高度医療を、十分な規模で提供できる病院はまだこの国にはありません。脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や重度外傷などで緊急に救命処置を要する状況では、この国最高の医療資源を使っても助からない可能性が高く、海外旅行者保険に付帯する緊急移送サービスなどを利用して近隣の医療先進国に搬送されることが、唯一の命綱となり得る場合があります。

エチオピア単独の保険会社事例は公開されていませんが、アフリカ近隣国の参考事例(SBI損保)として、タンザニアで高山病337万円・ジンバブエから南ア搬送505万円・エジプトで脳内出血895万円・ギニアでマラリア後チャーター機パリ搬送1,116万円が記録されています。エチオピアでも同水準の費用がかかると覚悟すべき。治療救援費用は無制限で入っておこう。

詳細はアディスアベバの医療事情アフリカ旅行の保険ガイドへ。

OLF-sheneとアル・シャバーブ --- 誘拐と越境テロ

外務省のテロ・誘拐情勢はエチオピアを「アル・シャバーブ越境リスク」「OLF-shene誘拐」「アムハラ民兵Fano」の三層リスクと位置づけています。

  • アル・シャバーブ(AS): ソマリアと国境を接しており、2019年・2022年・2023年と毎年のようにアディスアベバや国内各地でテロ計画摘発。2018年6月にはマスカル広場の政治集会で爆発、2人死亡。
  • オロモ解放軍(OLF-shene): オロミア州西部ウェレガ・南部グジ・ボレナ地域で活動。2022年インド人6名拉致、2023年中国人9名拉致のうち1名殺害、2024年7月には大学生100人以上をバス3台ごと誘拐。
  • アムハラ民兵 Fano: 2024年4月にはアディスアベバ市内ボレ地区で治安部隊と銃撃戦が発生し、民間人を含む3人が死亡。

観光地そのものでも事件は起きています。アファール州のダナキル低地(活火山エルタ・アレで知られる観光ルート)では2017年12月、エリトリア国境に近い場所で外国人観光客が襲撃され死亡。誘拐目的だったとの指摘もあり、外務省は「エリトリアとの国境付近では極めて強い警戒が必要」と書いています。

日本人の関与した事件としては、2008年9月のソマリ州オガデン地区での日本人NGO職員2名誘拐、2019年3月のオロミア州西ウェレガでの日本人を含む外国人等5名殺害事件があります。「日本人も標的となり得る」と外務省は明記しています。

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エチオピア独自の禁止事項

「エチオピアを含む一部の国を除いて、違法あるいは危険薬物に指定」されているチャット(カート)と呼ばれる嗜好品植物は、現地では合法ですが日本に持ち帰れば麻薬犯。「祭事などで人が集まったときに嗜好品のように使用を薦められることがあります」と外務省が警戒しています。

写真撮影規制も厳格。「警察署等の政府施設、軍事施設、橋の写真を無断で撮影することは法律で禁じられており、発見された場合、エチオピア警察により逮捕されます」(外務省)。空港や鉄道駅もうっかり撮影しないこと。

外貨持出規制は世界でも厳しい部類で、「外貨の持出しについても厳しい規制があり、違反した場合には、全額没収された上で逮捕される事案も発生しています」。3,000ブル以上の現地通貨は持ち出せません。出国時には両替時の領収書やレシートを提示するよう求められる場合があるので保管必須。

双眼鏡の倍率規制(12x50以上は持込・使用禁止)もあります。サファリで使う場合は事前に許可を取得するか、低倍率機を選ぶこと。コーヒー豆の持ち出しは一人2kgまで(焙煎済・粉のみ)、生豆の国外持ち出しは禁止。コーヒー発祥の地で大量買いしたくなるけど、規制は厳格です。

薬物規制の厳しさはアフリカ・中東に共通。エジプトは死刑サウジは最高刑死刑モロッコは170トン押収の重刑も併読を。

通信手段

エチオピアでは外資SIM販売が制限されており、現地SIM購入には居住者ID等が必要なケースがあります。到着直後から使えるeSIMが現実的。盗難時の大使館連絡、Uber代替アプリ(Ride・FerasやFeresなどの配車アプリ)、緊急FM放送(99.0MHz)の確認など、通信手段は安全装備そのもの。出発前にeSIM比較ガイドを確認しよう。

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緊急時の連絡先

機関電話番号
在エチオピア日本国大使館(代表)011-667-1166
24時間警備領事班+251-911-200-721 / +251-911-216-773
アディスアベバ警察991, 011-111-0111
アディスアベバ交通警察011-662-8086
救急907, 011-551-5744
消防939, 011-155-5300
Nordic Medical Centre 救急直通8901
MCM病院(コリアン ホスピタル)011-629-2963

3か月未満の短期渡航者は「たびレジ」、3か月以上は「在留届」の登録を。エチオピア大使館からは緊急時にFM放送(99.0MHz)でも連絡が入ります。

主要都市の治安情報

出典