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チリの治安 ケチャップ強盗と銃器犯罪が凶悪化【2026】

チリの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在チリ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

「中南米のなかでは比較的安全」と長く言われてきた国です。実際、外務省の危険レベルは全土レベル1(十分注意)にとどまり、ペルーやメキシコのような渡航中止勧告区域はありません。ただ、在チリ日本国大使館「安全の手引き」(2025年4月版)の冒頭は、いきなりこう書いています。

最近では殺人、強盗、性犯罪等の凶悪犯罪を含め、各種犯罪が増加傾向にあり、治安情勢は悪化しています。(中略)銃器を使用した強盗事件の多発や、ATM 機を爆破して現金を奪う窃盗事件等、犯行手口の凶悪化が目立っています。

「比較的安全」のイメージで来ると痛い目に遭う、というのが2025年版の現実です。

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危険レベル --- 全土レベル1、ただし南部4州は治安維持で軍動員継続

外務省は2026年現在、チリ全土をレベル1(十分注意)に指定。「2019年10月の社会騒擾以降も、国民の不満の火種は依然燻っており、再燃の可能性を残しています」(外務省 危険情報)として注意喚起が続いています。

南部のビオビオ州・アラウカニア州・ロス・ラゴス州・ロス・リオス州では、先住民(マプチェ)系の一部過激派による発砲・放火事件が継続。2022年5月にボリッチ大統領が非常事態宣言を再発令し、軍を動員した治安維持が続いています。暴力事件は2023年775件→2024年419件と減少傾向ですが、根本解決には至っていません。

北部のアタカマ砂漠では、高速道路脇に埋設地雷が残っている区域があり、標識のある場所には絶対に立ち入らないようにとの注意が出ています。

ケチャップ強盗 --- サンタルシアの丘で同じ日に2人連続被害

チリで最も有名な観光客向け手口が「ケチャップ強盗」。ケチャップなどを服にかけ「鳥の糞が付いてるよ」と親切な顔で近づき、拭いてあげるふりで気をそらした隙にバッグを盗む。

2023年11月には、サンタルシアの丘で同じ日に連続して2名の邦人旅行者がケチャップ強盗に遭う被害が発生しています。

サンティアゴの観光名所はそのままケチャップ強盗の現場リスト。アルマス広場、中央市場、サンクリストバルの丘、サンタルシアの丘は要警戒。バッグをカッターで切って中身を抜く手口も同時多発しています。手口の詳細と対策はサンティアゴのスリ・置き引き・ケチャップ強盗で。

銃器強盗・ATM爆破が「凶悪化」

大使館は2025年版でかなり踏み込んだ書き方をしています。

比較的安全といわれていた日本人生活圏内の地域(ラス・コンデス区、プロビデンシア区、ビタクラ区、ロ・バルネチェア区)においても昼夜を問わず発生していますので、常に注意が必要です。

「日本人居住区=安全」という常識が崩れているという宣言。マンションの3〜4階に壁をよじ登って侵入する事件、ATM機を爆破して現金を奪う窃盗、夜間帰宅中の邦人が殺害された事件(2012年)が安全の手引きに記録されています。

強盗に遭っても、相手が武器を持っていることを想定し抵抗しない(外務省 安全対策基礎データ)

これは中南米共通の鉄則。ペルーでは「年少者でも銃を携行している確率が高い」ブラジル・サンパウロでは凶悪事件の9割で拳銃使用、メキシコも同様です。

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違法タクシーと「ポルトナソ」--- 空港から要警戒

サンティアゴ国際空港では、違法タクシー(白タク)の客引きによる料金詐欺と、ATMで現金を強制的に引き出させる強盗が問題。「出迎え者を装って違法タクシーに乗せる」手口も発生しており、身分証で出迎え者を確認しないと危険です。

走行中・停車中の強盗も独特の名前がついています。

  • ポルトナソ(Portonazo): 自宅の門が開くのを待っている車を狙う強盗
  • 車上ねらい・窓割り強盗: 渋滞・信号待ちで窓を割って車内のバッグを奪う
  • タイヤパンク偽装: 走行中にタイヤをパンクさせ、停車したところで親切心を装って近づき、気を引いている隙に車内の荷物を奪う

詳しくはサンティアゴのタクシー・交通トラブルで。

マラソン・観光シーズンが狙い目

2026年4月のサンティアゴ・マラソン2026には約3万4千人がエントリー。在チリ大使館は開催直前に「スリ等の犯罪に注意」の特別注意喚起を出しています。

モネダ宮殿(スタート・ゴール地点)やマラソンコース沿道において大勢の観客が予想され、スリ等の犯罪が発生する可能性がありますので十分留意してください。

夏(12〜3月)の観光シーズンはバルパライソ・ビーニャ・デル・マルを狙う集団スリ・ひったくり・銃器強盗が多発。プラット埠頭、ソトマヨール広場、5月21日広場、ケーブルカー周辺は特に注意。

短時間誘拐 --- ATMで現金引き出し

中南米共通の「短時間誘拐」がチリでも警戒対象に入っています。被害者を一時的に拘束し、ATMで現金を引き出させた後に解放するパターン。邦人被害は今のところ報告ゼロですが、2021年以降チリ国内で誘拐発生が約800件と急増しているため、大使館は予防策を強く呼びかけています。

「目立たない」「用心を怠らない」「行動を予知されない」の3原則は、ペルー大使館と同じ表現です。

交通事故 --- 2024年死者1,635人

チリの交通事故は2023年に78,238件発生・死者1,635人(在チリ大使館「安全の手引き」)。サンティアゴ郊外の国道5号線・68号線・78号線はスピード超過の車両が多く、事故が重大化しやすい区間。

チリ人運転者及び歩行者の交通マナーは、私達日本人からすれば極めて悪いと言わざるを得ません。

大使館がここまで断言するのは珍しい。横断歩道以外で渡って事故に遭うと歩行者の責任となり、運転者保護で重傷を負っても損害賠償が請求される構造です。

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高山病 --- アコンカグア・アタカマ・パタゴニアで要警戒

チリは北部アタカマ砂漠から南部パタゴニアまで、アンデス山脈を含む高所トレッキングが盛ん。サンペドロ・デ・アタカマ(標高2,400m)、アコンカグア登山口(4,000m超)、トーレス・デル・パイネ国立公園などで高山病・凍死事故が発生しています。

トレッキング旅行では高山病で倒れたり、装備不十分のために凍死する危険もありますので、綿密な事前計画が必要です。

チリの保険会社支払事例は独立データがないため、同じアンデス圏のペルー事例を参考として参照するのが現実的。ジェイアイ傷害火災のデータには、クスコの高山病から敗血症性ショック・髄膜炎に重症化し25日入院で1,654万円、SBI損保には脳梗塞医療搬送で1,144万円の事例があります。チリのアンデス側でも同程度の重症化リスクは想定すべき。

詳しくはサンティアゴの感染症・高山病・大気汚染で。

大気汚染 --- 冬季のサンティアゴはマスク必須

サンティアゴ市は四方を山に囲まれた盆地のため、冬季(5〜8月)の大気汚染が深刻。外務省「世界の医療事情」は、気道感染予防のため帰宅後のうがいを推奨しています。喘息・呼吸器疾患のある人は冬期渡航前に主治医と要相談。

地震・津波 --- 日本と同じ環太平洋造山帯

チリは日本と同じく地震多発国。マグニチュード8超の巨大地震がたびたび発生し、津波警報も出ます。海岸沿いのホテルに泊まる場合、避難経路と高台までの距離を到着時に確認しておくこと。

詐欺・ぼったくり

タクシーのカード払いで一桁多く決済される、紙幣を素早くすり替えて不足分を要求する、偽札と交換するなどの手口が報告されています。両替所は混雑時にひったくりの標的になることも。詳しくはサンティアゴの詐欺・ぼったくり・ATM爆破で。

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麻薬 --- 最高15年の懲役

チリは麻薬密輸の中継国・消費国に変遷しています。1995年の薬物取締法改正以降、WHO指定麻薬の所持に正当な理由がない場合、最高15年の懲役刑。見知らぬ人から「運搬すれば高額の謝礼」と荷物を預けられた場合、絶対に断ること。運び屋にされる事例が大使館の警告にあります。

テロ・誘拐情勢

チリ国内のテロ組織(FPMR、MIR、MJR等)は1990年代以降に解散済み、というのが警察当局の立場。ただしアナーキスト・エコテロリストによる小規模爆弾事件が散発的に発生しており、2014年9月の地下鉄1号線エスクエラ・ミリタール駅爆弾事件で14人負傷という事例もあります。2025年5月にもプロビデンシア区で爆発事件が発生。駅・バス停・公共施設で不審な鞄や封筒は触らずすぐ離れるのが鉄則です。

毎年9月11日(1973年軍事クーデター発生日)前後はデモが大規模化しやすく、暴動に発展することも。10月18日(2019年社会騒擾発生日)も同様の警戒日です。

都市別の治安情報

  • サンティアゴの治安 --- 邦人居住区でも銃器強盗、ケチャップ強盗、ATM爆破、ポルトナソ、地下鉄スリ

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旅行保険・eSIM

チリは「強盗で現金・カメラを失う」「アンデスで高山病が重症化する」「アタカマ・パタゴニアで医療搬送になる」の3つが現実に存在。クレカ付帯だけだとペルー型の重症事例(1,144万円・1,654万円)には全く足りません。中南米全体の保険ガイドは中南米旅行の保険ガイドに。

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