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アルメニアの治安 国境レベル4と薬物犯罪が急増【2026】

アルメニアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在アルメニア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

アルメニアはコーカサスの「キリスト教を世界で最初に国教にした国」として日本人個人旅行者に人気の出てきた国ですが、外務省の危険情報と在アルメニア日本国大使館の安全の手引きをよく読むと、アゼルバイジャンとの国境地域はいまだレベル4(退避勧告)で発砲事案が散発しています。2025年3月13日の両国和平条約草案合意で情勢は一定改善したものの、国境画定は未了。さらに薬物関連犯罪は前年比123.7%増、人口比6倍の交通死、首都エレバンに犯罪の半数が集中という現実があります。「比較的安全」というネット記事を真に受ける前に、まずここで現実を押さえてから旅程を組んでください。

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危険レベル — レベル4はいまだ継続中

外務省の危険情報(2025年7月4日付)は4段階に分かれています。

  • アゼルバイジャンとの国境周辺地域(ナヒチェバン自治共和国との国境地域を含む)— レベル4:退避してください(退避勧告)
  • シュニク州全域、アララト州・ゲガルクニク州・ヴァヨツ・ゾル州・タヴシュ州のうちレベル4地域と接する地域 — レベル2:不要不急の渡航中止
  • 上記4州のレベル4・レベル2以外の地域 — レベル1:十分注意(2025年7月にレベル2から引下げ)
  • 上記以外(首都エレバンを含む)— レベル1:十分注意

アルメニアとアゼルバイジャンとの間で長年続いていた紛争は、2025年3月13日に両国政府間で和平条約の草案が合意されるなど、紛争解決と和平に向けて一定の成果が見られています。しかしながら、両国間の国境周辺地域では、依然として発砲事案が断続的に発生していますので、目的を問わず、アゼルバイジャンとの国境周辺地域(ナヒチェバン自治共和国との国境周辺地域を含む。)への渡航は止めてください。

「和平合意したから安全」ではない、というのが外務省の現状認識。国境画定が完了していないため、ナゴルノ・カラバフ周辺やシュニク州の南部国境近くは観光ルートでも避けるのが鉄則です。2024年2月にはシュニク州ネルキンハンズ村でアゼルバイジャン側からの銃撃により4人のアルメニア兵士が死亡する事件も起きています。

ナゴルノ・カラバフと10万人の避難民

旅行前に押さえておくべき背景情報。

2023年9月には、ナゴルノ・カラバフに対するアゼルバイジャン軍の軍事行動により、同地域に居住していた10万人を超えるアルメニア系住民がアルメニアに避難しています。

避難民の支援問題は政府への抗議デモにつながっており、エレバン中心部でも反政府活動家による集会・抗議行動が散発しています。2024年5月にはエレバン市内で抗議行動により市民や警察官が負傷する事件が発生し、多数の拘束者も出ています。旅行中にデモを見かけたら、迂回して写真も撮らないのが大使館の指示です。

治安の全体像 — 6年で犯罪倍増、エレバンが半分

数字で見るアルメニアの治安変化。

2023年における犯罪登録件数は40,666件で前年比8.1%増加しています。2017年時には20,284件であり6年間で発生件数が2倍となっています。全犯罪の中ではスリ、置き引き、空き巣、車上荒らし等の窃盗が一番多く、9,600件発生しています。また、首都エレバンにおける2023年の犯罪登録件数は20,231件で国内の発生件数の約半数を占めています。

人口280万人の国で犯罪が6年で倍増している事実は重い。さらにエレバンに犯罪の半分が集中するため、エレバン滞在中は人口比以上の警戒が必要です。具体的な手口とエリア別注意点はエレバンの治安でまとめています。

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薬物 — 前年比123.7%増の急拡大、銃殺事件も発生

これは知らないと人生が終わる話。

違法薬物に関連した犯罪が増加傾向にあります(5,070件/前年度比123.7%)。他人の荷物を預かるなどして、意図せず麻薬関連の犯罪に巻き込まれないよう注意が必要です。

通関も厳しく、外務省は「武器類、違法ドラッグ、わいせつ図画等は持込みが禁止」と書いています。さらに薬物事案とセットで気になる事件として、

徴兵者に貸与された武器の未返還などによる銃器の不法所持が社会問題化しており、2023年には、外国人が自宅マンションの出入り口で銃殺される事件も発生しました。

「他人の荷物を頼まれて運ぶ」は絶対に断る。これは薬物運搬で逮捕される世界共通の手口で、外務省も大使館もそろって警告しています。詳しくはエレバンの薬物トラブル対策へ。

スリ・置き引きは観光地で「肩組み」手口

エレバン観光ですぐ遭遇しうる新手口。

観光地で一緒に写真を撮ろうと声を掛け、肩を組むなどして身体接触を試み、観光客がカメラに集中している間にポケットの中身を抜き取るといった窃盗犯罪も報告されています。

「友好的に話しかけてくる外国人」が罠になるパターン。共和国広場や階段カスケード、ツィツェルナカベルド(ジェノサイド記念館)周辺など人気スポットで、「日本から来たの?写真撮ろうよ」のノリにポケットを抜かれる。身体接触してくる時点で警戒が大使館の指示。詳しくはエレバンのスリ・置き引き対策へ。

過去には2019年に乗り合いバス内で日本人観光客がズボンのポケットを切り裂かれる窃盗未遂被害が発生、ホテル内での置き引きも報告されています。

タクシー過剰請求 — 流しは使わない、配車アプリ二択

短期旅行者がもっとも遭いやすいトラブル。

流しのタクシーを利用した場合に法外な料金を請求されることがありますので、ggやYandex GOなどのタクシー配車アプリを利用することをおすすめします。

外務省は明確に2つのアプリ名を挙げています。gg(ジージー)とYandex GO。両方とも事前に料金が明示され、ドライバー評価が見えるので、観光地でぼったくりに遭うリスクが大幅に減ります。詳しくはエレバンの詐欺・ぼったくり対策へ。

交通事情 — 死者は人口比6倍、夜間運転は危険

道路状況の数字も厳しい。

交通事故死者数は378人(2023年)でおよそ12.8人/10万人と、ここ数年増加傾向にあります(日本:2.14人/10万人、2023年)。

人口10万人あたりの交通事故死者数は日本の約6倍。さらに大使館の手引きはこう書いています。

アルメニアの道路の状態は、大通り以外は道路の至る所に凹凸があったり、穴だらけだったりすることが多く、良好とは言えません。信号機が故障していたり、停電により点灯していないこともしばしばあります。

そして注意すべきが国際免許の不通用

アルメニアでは我が国発行の国際運転免許証(道路交通に関する条約(1949年9月19日)に基づくもの)で車両を運転できないほか、日本の運転免許証からアルメニアの運転免許証への切り替えはできないため、当地で新たに運転免許証を取得する必要があります。

つまり短期旅行者がレンタカーを運転することはできません。地方への移動はタクシーアプリ・現地ツアー・運転手付きチャーターを使ってください。

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テロ・誘拐情勢 — 標的型は確認なし、ただし警戒継続

2024年中、外国人を標的とした誘拐事件は報告されていません。現在のところ、アルメニアにおいて、テロ・誘拐による日本人の被害は確認されていません。

ただし国内では緊迫した事件が散発しています。

2024年3月には手榴弾で武装したグループがエレバン市内の警察署に侵入を試み、内1名が署内に籠城した事件、同年9月にはアルメニア国籍者らがロシアで軍事訓練後にクーデターを企図した事件が発生しました。

過去には独立記念日の式典会場(共和国広場)に爆発物を仕掛けようとした未遂事件(2023年9月)もあるため、祝祭日の大規模イベント会場周辺は警備が厳しいことを覚えておく程度の認識で問題ありません。

医療事情 — 質の高い医療はエレバンに集中、地方は期待薄

エレバンの医療水準は中央アジア・コーカサスの中では比較的整っています。

人口およそ300万人のアルメニアで、110万人が集中する(2020年)首都エレバン市内には質の高い医療機関が存在し、公立の救急車サービス(電話番号103)もありますが、到着までに時間がかかることがあります。一方、地方都市ではエレバンと同様の医療サービスは期待出来ません。

ただし注意点として「医務官駐在公館ではなく、在ロシア日本国大使館医務官が担当」となっています。専門的な医療相談は時差越しになるため、症状が深刻なら判断は早めに。

特有のリスクとしては、

  • 標高約1,000mのエレバン、海抜1,900mのセバン湖など高地環境による紫外線・空気の薄さ
  • 多剤耐性結核(MDR)問題(人口10万人あたり12.6/2020年、日本の約1.5倍)
  • 加熱処理していない乳製品からのブルセラ症
  • 全土どこでもリスクのある狂犬病(エレバン市内の野犬注意)
  • 数種類の毒蛇(地方の屋外活動時、咬まれたらホットライン8003

詳しくはエレバンの医療・健康リスクへ。

医療費の実態 — 100%自己負担、近隣国の桁感で備える

アルメニア独立の保険支払事例公開はないものの、ヨーロッパ近隣の事例で桁感を掴めます。

事例(参考:欧州近隣国)支払額
イギリス:ホテルで体調不良で倒れ救急搬送、硬膜下血腫32日入院・手術(SBI損保)1,242万円
スイス:バスルーム転倒、腰椎破裂骨折12日入院・付添搬送(SBI損保)1,269万円
イギリス:肘の蜂巣炎13日入院(SBI損保)942万円
スイス:心筋梗塞8日入院・付添搬送(SBI損保)463万円
イタリア:交通事故で意識不明、骨折・内臓破裂35日入院(損保ジャパンoff!)296万円

これらはコーカサス/ヨーロッパ地域の桁感として参考にできる事例です。エレバンの主要病院(Nairi Medical Center / Erebouni Medical Center / ASTGHIK MEDICAL CENTER)はクレジットカード対応・英語可ですが、入院や日本搬送になれば数百万〜1,000万円超の請求は珍しくありません。1,000万円〜無制限の補償を選んでください。クレジットカード付帯保険だけで足りるかどうかはヨーロッパの海外旅行保険ガイドで補償額を確認してください。

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抗議行動 — エレバン中心部で散発

首都周辺及びその他の地域については、本年5月に反政府活動家らの抗議行動により、市民や警察官が負傷する事件が発生し、多数の拘束者も出ています。以降においても、エレバン中心部の他、アルメニア全土で反政府抗議行動が散発しており、過激化する可能性は排除できません。

集会・デモを見かけたら速やかにその場を離れるのが鉄則。観光客が興味本位で撮影に近づいて拘束された日本人事例はないものの、警察隊との衝突に巻き込まれるリスクは現実です。

自然災害 — 過去に死者2.5万人の大地震

アルメニアは過去に大地震(1988年、死者約25,000名)を経験しています。

旅行中に地震に遭う確率は高くありませんが、長期滞在者向けに大使館は「食料は最低10日分、飲料水は1日1人3リットル」の備蓄を推奨しています。短期旅行でも、ホテルの非常口・避難経路はチェックインのときに確認しておくと安心です。

冬季(12月〜2月)はマイナス10〜20度まで冷え込み、路面の凍結による事故・転倒も増えます。冬旅行は防寒装備とスパイク付きの靴底を準備してください。

通信・移動

エレバン市内のフリーWi-Fiは観光地でも安定しないことが多く、地方移動・配車アプリ利用・緊急通報のために現地SIMかeSIMが必須です。選び方は海外eSIM比較を参照。

陸路の移動については、2024年4月19日のタブシュ州での国境線一部確定合意があるものの、アゼルバイジャンとの陸路国境は閉鎖中。ジョージアとは陸路通行可能、トルコとも一定条件で行き来できます。なおアゼルバイジャン側の治安も同じく国境地帯はレベル4で、コーカサス周遊を考えるなら両方目を通しておくのが安全です。

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緊急時の連絡先

機関電話番号
警察102
消防101
救急103
ガス104
緊急対応サービス911
蛇咬傷ホットライン8003
在アルメニア日本国大使館+374-11-52-30-10
在アルメニア日本国大使館(夜間・休日)+374-41-43-41-45
Nairi Medical Center+374-10-32-22-11
Erebouni Medical Center+374-10-47-11-00

緊急アルメニア語/ロシア語

  • 助けてください: オクネツェック / パマギーチェ
  • 警察を呼んでください: ミリツィヤ カンチェック / パザヴィーチェ パリーツィユ
  • 救急車: シタップ オクヌチューン / スコーラヤ ポーマシ

主要都市の治安情報

出典