アンコールワットをはじめとする遺跡群、メコン川沿いの素朴な街並み、物価の安さ。カンボジアは東南アジアの中でも独特の魅力がある旅先です。ただ、治安面では「知らなかった」では済まないポイントがいくつかあります。いかさま賭博で数百万円を失った日本人、リバーサイドで拳銃強盗に遭った日本人、遺跡で転倒して医療費1,540万円――どれも実際に起きた話です。
このページでは、カンボジアの治安の全体像から法律・マナー、よくあるトラブル、医療費の実態までを外務省データに基づいてまとめます。
Travel Alert 01
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カンボジアの治安の全体像
危険レベル
外務省の危険情報(2026年2月9日更新)によれば、カンボジアの危険レベルは以下のとおりです。
- タイとの国境付近(タイ国境から50km以内):レベル3(渡航中止勧告)
- 2025年にカンボジア・タイ両国軍の間で発砲・砲撃・空爆を伴う軍事衝突が発生。同年12月27日に停戦合意が成立しましたが、依然としてレベル3が継続しています。
- タイとの国境付近(50kmを越えて80km以内):レベル1
- 上記以外の全土:レベル1(十分注意してください)
プノンペンやシェムリアップなど主要観光地はレベル1ですが、「レベル1=安全」ではありません。
犯罪統計
カンボジア内務省の統計によると、2024年の犯罪総件数は3,121件(前年比11.1%減)。ただし軽犯罪の大半は届け出されておらず、実際の件数はこれよりかなり多いとされています。
2022年の統計では重大犯罪(殺人・強盗・強制性交など)が608件で全体の約20%。2023年1〜3月の3ヶ月間だけでも、殺人42件、強盗31件、強制性交57件、ひったくり69件、窃盗237件が発生しています。
日本人が巻き込まれるのはひったくり・スリ・いかさま賭博詐欺・空き巣が大多数です。世界全体での位置づけはGPI 2025の解説も参考に。
マナー・法律・NG行動
1. 違法薬物(最高刑は終身刑)
カンボジアでは大麻・麻薬などの違法薬物の所持・使用・取引がすべて禁止されており、違反すると終身刑に処されることもあります。プノンペンやシェムリアップの繁華街では、バイクタクシーの運転手が薬物の売買を持ちかけてくることがありますが、絶対に相手にしないでください。
2. 王室・仏教への敬意
カンボジア人の大多数は敬虔な仏教徒で、僧侶や仏教寺院に対しては敬意を払う必要があります。また、国王をはじめとする王族に対する尊敬の念は非常に強く、王室に対する軽率な言動はトラブルのもとです。
3. 人前での叱責はNG
カンボジア人は温厚ですが、人前で非難されたり侮辱されたりすると激しく反発します。極端な例では、怨恨による殺人事件にまで発展したケースもあるので、相手のメンツを潰すような言動は避けてください。
4. 近隣国への言及に注意
歴史的な経緯から、ベトナムやタイに対して嫌悪感を抱くカンボジア人は少なくありません。不用意な比較は避けたほうが無難です。
5. 撮影禁止エリア
軍・治安機関の施設や空港周辺での撮影は禁止されています。プノンペンおよびシェムリアップのアンコールワット敷地内ではドローンの使用も禁止です。
6. その他の法律・規制
- 売買春は禁止。18歳未満に対するわいせつ行為はさらに厳しく処罰されます
- ポルノ写真の撮影は禁止
- 代理出産は禁止
- 1万米ドル相当額以上の現金持込みは申告が必要
- 武器・弾薬、麻薬類、ポルノ製品、無線機、爆発物原料の持込みは禁止
7. 「高収入バイト」の勧誘に注意
「短期間に高収入」「簡単な翻訳作業」などと言葉巧みに誘い出し、カンボジア国内の拠点で特殊詐欺などの犯罪行為に強制的に加担させる事例が多数報告されています。一度加担すると軟禁状態に置かれ、外出も外部との連絡も制限されるため、抜け出すことが極めて困難になります。SNSやメッセージアプリ経由の「うまい話」には絶対に乗らないでください。
Travel Alert 02
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テロ・誘拐情勢
外務省によれば、カンボジアではイスラム過激派等の国際テロ組織の活動は確認されていません。テロや誘拐のリスクは現時点では高くないとされていますが、2024年には国内で誘拐事件が25件発生しています。いつ・どこで発生するか予測困難であるため、混雑した場所や観光施設周辺では基本的な警戒を怠らないようにしてください。
主な犯罪・トラブル
カンボジアで日本人が巻き込まれやすいトラブルをまとめます。詳しい手口と対策は各都市・トラブル別ページにまとめています。
- ひったくり・スリ — バイク2人乗りによるひったくりが最多。スマホを路上で操作中に奪われるパターンが頻発。抵抗して転倒・骨折、さらには射殺された事例も
- いかさま賭博詐欺 — 観光地で声をかけられ自宅に招かれ、カードゲームで数百万円をだまし取られる手口。プノンペンを中心に多発
- 昏睡強盗 — バーやレストランで知り合った人に薬物を盛られ、意識を失っている間に金品を奪われる。婦女暴行に及ぶケースも
- 強盗 — リバーサイド周辺での夜間の一人歩きで、ナイフや拳銃を使った強盗が発生。複数名による集団暴行事例も
- 交通トラブル — 流しのトゥクトゥク運転手がひったくり犯と共謀する手口。バイクタクシーの事故リスクも高い
都市別の詳しい情報はこちら:
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
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医療費の実態
カンボジアの衛生事情は日本と比べて劣悪で、重症の場合はバンコクやシンガポールへの医療搬送が必要になります。私立病院では支払い保証の確認が行われ、支払い能力がないと判断された場合、搬送を含めた治療を受けられないこともあります。
実際の保険金支払い事例として、こんなケースがあります。
海外で実際に支払われた医療費の事例
出典:ジェイアイ傷害火災保険 海外旅行保険事故データ
- 1,540万円
シェムリアップ遺跡観光中に転倒
足関節開放性脱臼骨折・大腿骨転子部骨折/23日間入院・手術/家族駆けつけ・医療搬送(看護師付添)
観光中の転倒という「ありがちな事故」でも、搬送費用を含めると1,500万円を超える金額になり得ます。海外旅行保険に入っていなかったために病院で治療を受けられなかった日本人の事例も報告されています。
主な感染症リスク
- 急性胃腸炎 — 汚染された食べ物による細菌・ウイルス感染
- デング熱 — 日中に活動する蚊が媒介。雨季に患者が増加
- 狂犬病 — 発症すると致死率100%
- マラリア — 森林地帯・国境周辺が多発地域(プノンペン・シェムリアップでの感染リスクは低い)
推奨予防接種は破傷風・A型肝炎・B型肝炎(強く推奨)、日本脳炎・腸チフス(できれば)です。
通信手段の確保
緊急時に大使館や家族に連絡が取れるよう、現地で使える通信手段を出発前に用意しておいてください。SIMカードの差し替えよりも、スマホ上で開通できるeSIMのほうが手間が少なく、到着直後から使えます。
各社eSIMの料金・対応国・速度の比較は海外eSIM比較ガイドにまとめています。
ホテルやカフェの無料Wi-Fiを使う場面では、通信を覗かれるリスクがあるのでVPNを挟んでおくと安心です。選び方は海外VPN比較にまとめています。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
緊急時の連絡先
- 警察(全国共通):117
- プノンペン都警察 外国人ホットライン:012-835-666
- シェムリアップ州警察 ツーリストポリス:012-402-424
- 消防:666
- 救急車:119(搬送先は国営病院に限定)
- 在カンボジア日本国大使館:023-217-161〜164
- 在シェムリアップ日本国領事事務所:063-963-801〜803
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
カンボジアでは遺跡での転倒1件で1,540万円の医療費が発生した事例があります。治療費+救援者費用+携行品損害の3点をカバーする保険は最低限必要です。
クレジットカード付帯保険の合算やネット保険との組み合わせで備えるのが一般的です。具体的な補償額の比較は東南アジア旅行の保険ガイドにまとめています。