大麻・ドラッグが死刑になる国は?合法国との違いを国別マップで確認
最終更新: 2026-04-17
「タイ、大麻合法化したんでしょ?じゃあ旅行中に試してもいいかな」—— この質問、海外旅行を計画した人なら一度はよぎる発想だと思います。
結論から言うと、ダメです。それも「現地で吸うのがダメ」なのはもちろん、もっとヤバいのは「日本の法律でも後から罪になりうる」ところ。大麻取締法・麻薬取締法・覚醒剤取締法はどれも国外犯処罰規定を持っていて、海外で合法の国で手を出しても、日本に帰ってきた瞬間に射程に入ります。
さらに物質と国の組み合わせで刑罰は死刑から非犯罪化まで 桁違いに変わります。シンガポール・マレーシア・中国・インドネシアは死刑規定あり、カナダ・ドイツは大麻の一部合法化、オランダは「コーヒーショップでは買えるけど実は違法」の変な状態。この温度差を知らずに「どこかの国で合法らしいから」と手を出すと、人生レベルで詰みます。
このページは、外務省の安全対策基礎データと在外公館の注意喚起、e-Gov の条文を一次ソースに、物質(大麻/ハードドラッグ)× 国別にリスクを整理します。各国の詳しい手口や現地の雰囲気は、後半で都市別記事に回収します。薬物以外の「知らずに踏み抜く」法律リスクは 日本人が逮捕されやすい海外の法律10選 側にタイ王室侮辱・中国反スパイ法・UAE飲酒/不貞・シンガポールのガム/電子タバコ等をまとめてあります。観光客でも逮捕までいく「致命的禁忌」だけ抜き出した海外マナー・タブー致命傷マップも同じ系列です。刑事ラインの手前、罰金・空港没収ゾーン(ポイ捨て10,000ドル、加熱式タバコの没収、レシート保持義務など)は 海外の罰金マップ に分けています。
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まずは地図を理解する:物質 × 国で別世界
「大麻ぐらいなら…」は通じません。国ごとに刑罰が全然違うのは物質によっても全然違うからです。だから大麻とハードドラッグ(覚醒剤/ヘロイン/コカイン等)を分けて読む必要があります。
ざっくりの骨組みはこうです:
- 大麻編:死刑規定あり(シンガポール・マレーシア・中国・インドネシア・UAE・ブルネイ) → 厳罰(ベトナム・フィリピン・韓国・インド・カンボジア・スリランカ) → 合法化/限定合法/コーヒーショップ方式(タイ・カナダ・ドイツ・オランダ・米国の一部州・ポルトガル)
- ハードドラッグ編:死刑規定あり国はさらに広がり、タイ・ベトナムも加わる。先進国でも刑事罰は確実
このあと各カテゴリに分けて、ソースに載ってる範囲で具体的な刑罰を貼っていきます。
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大麻編:死刑の国から合法化の国まで
死刑規定あり:シンガポール・マレーシア・中国・インドネシア・UAE
まず覚えておくべきなのは、この地域では「営利目的の密輸・密売」には死刑規定があること。観光客でも外国人でも同じです。
シンガポールは薬物だけでなくガム・電子タバコ・ポイ捨てまで全方位で罰金が飛んでくる国で、観光客が踏みやすい線はシンガポール罰金大国ガイドに分けてあります。外務省の安全対策基礎データ(SG)にこう書かれています:
シンガポールでは、麻薬の所持、密売等につき厳しい取締りが行われています。一定量以上の所持、密売、密輸入等には死刑が科せられることもあり、また、微量の所持、密輸入でも重罪となります。
怖いのは立証の仕組み。
特に麻薬類を所持していた場合、所持人自身が自らの潔白を証明できない限り有罪となります。
日本の「疑わしきは被告人の利益に」とは逆。持ってたら、自分が無実だと自分で証明しないといけない。そして:
従来シンガポール政府は、いったん刑が確定した場合、外国政府や関係者等から減刑要請があっても、これを認めないとの方針を貫いています。
外交ルートでも減刑しない、と外務省が明言してるわけです。
マレーシアは在マレーシア日本国大使館の2025年5月の注意喚起にはっきり書かれてます:
マレーシアでは、麻薬等薬物の規制は非常に厳しく、外国人も例外ではありません。危険薬物法(Dangerous Drugs Act 1952)によれば、麻薬等の危険薬物の違法売買は死刑であり、所持は最高で無期懲役の重刑が科せられます。
密売=死刑、所持=最高無期懲役。大麻もこの「危険薬物」に入っています。
中国の記述はもっと具体的です。在中国日本国大使館の注意喚起:
中国では、麻薬の密輸、販売、運搬、製造、所持、譲渡に対しては厳罰が科せられます。これまで日本人も多数検挙されており、うち8人に対して死刑が執行されています。荷物の中身を知らなかったと弁明しても、裁判で受け入れられる可能性は極めて低いです。
日本人8人が死刑執行済、というのは実データです。運び屋案件も多数。
インドネシアは外務省安全対策基礎データ:
覚せい剤(合成麻薬(MDMA)、ヘロイン、大麻、コカインなどの違法薬物)の所持・売買・使用等は法律で禁じられており、裁判所は外国人に対しても禁固刑や死刑罰を科す等、薬物事犯に対して非常に厳しい姿勢で臨んでいます。
ジャカルタでは、マッチングアプリ経由で女性と会ったら「女性が残した所持品から麻薬が発見」されて示談金を要求される手口も外務省が記録しています。詳しくは ジャカルタの薬物トラブル 側で。
UAEは短いですが重い:
麻薬や覚せい剤等の所持、販売および使用は違法行為であり、違反者に対しては、死刑が科せられる場合もあります。また、個人の常備薬でさえも、規制対象品であれば没収されることもあります
ドバイ乗り継ぎで処方薬やCBD製品を持ち込む人は特に注意すべきゾーンです(日本の薬箱にある成分で引っかかる範囲は処方薬・市販薬の持ち込みマップに整理しています)。CBDだけでなく公衆飲酒・不貞・PDAまで日本の感覚で踏み抜く話はUAEの飲酒・PDA・CBDルールで個別に掘っています。
厳罰(数年〜十数年の懲役):ベトナム・フィリピン・韓国・インド・カンボジア・スリランカ
死刑は「可能性がある」どまりだけど、懲役が確実に飛んでくる国群です。
ベトナムは外務省:
麻薬等違法薬物の所持、使用は厳しく取り締まられており、違反した場合、外国人であっても厳罰に処せられます。過去に外国人がヘロイン密輸で検挙され、死刑判決を受けた事例があります。
大麻についての明示的な量刑記述は MOFA ソースにないので、ここでは「外国人も厳罰」「ヘロイン密輸で死刑判決例あり」の literal を尊重します。電子タバコ規制や賭博・国家批判まで含めたベトナム固有のNG動作はベトナムのマナーと法律にまとめてあります。ベトナムは ハノイ / ホーチミン / ダナン の3都市で個別に掘ってます。
フィリピンは外務省:
現在フィリピンでは、国を挙げて覚醒剤などの違法薬物対策に取り組んでおり、これまで以上に薬物犯罪の取り締まりが強化されています。外国人も例外ではありません。
警察によるおとり捜査も実施されており、興味を示した観光客等が、密売人と思しき人物から何らかの薬物を見せられ、これを手にした時点で現行犯逮捕されることもあります。『興味本位で実物を見てみたかっただけ』等の言い訳は通用しないので留意してください。
「見せられた物を触った時点で現行犯」。おとり捜査は法的に有効。
韓国はMOFAが量刑を数字で書いてくれてる珍しい国:
製造者はもちろん、密売、密輸等の常習者に対する最高刑は死刑で、少量でも麻薬や覚醒剤を所持していれば、使用しなくても10年以下の懲役または1億ウォン(約1,000万円)以下の罰金が科せられます
少量所持で10年以下/1億ウォン。韓国内の検挙数も跳ね上がっていて「韓国内の違法薬物での検挙者数は、2022年は18,395名」と外務省が書いています。仁川・金浦空港での乗り継ぎ時に大麻入り荷物を運ばされて逮捕される日本人も報告されています。
インドは量刑の具体値がMOFAに出てきます:
インドの法律では、麻薬(ガンジャー、チャラス等)を所持しているだけで逮捕され、有罪になれば2〜20年の懲役や10(万ルピー以上の罰金など)
ガンジャー=マリファナ、チャラス=ハシシ。所持だけで2〜20年です。さらに:
インドには密告による報奨金制度があり、麻薬の売手が買手を警察に通報する場合もあります。
売人→買手を通報で報奨金。つまり買った瞬間に通報されて捕まる構造。ゴアのビーチパーティーは特にヤバいと書かれていて、ここは ゴアの薬物トラブル に詳しい手口があります。ムンバイ と コルカタ も同じインド麻薬取締法下です。
カンボジアは「昏睡強盗に薬物が使われる加害側」の文脈が中心で、純粋な所持罰則のliteralは短め。手口は プノンペン と シェムリアップ 側で解説しています。
スリランカは外務省:
ヘロイン、大麻、アヘン、モルヒネ、コカイン等麻薬の持込み、麻薬の所持・売買には厳罰(最高刑は死刑)が科せられます。過去には日本人が逮捕・勾留され、罰金および国外退去処分を受けたケースもあります。
路上手口も具体的です:
街中で親しくなったスリランカ人からタバコと称して大麻を受け取り、大麻と気づかず一緒に喫煙していたところ、スリランカ人とともに警察に現行犯逮捕された。
タバコに見せて大麻、からの共犯扱い。詳細は コロンボの薬物トラブル で掘っています。
合法化・限定合法・コーヒーショップ方式:タイ・カナダ・ドイツ・オランダ・米国・ポルトガル
「合法化」という言葉が一番危ない国群です。合法の定義がそれぞれ微妙に違うので、一つずつ見ます。
タイの2022年合法化は誤解されすぎ。外務省は正確にこう書いてます:
タイでは、大麻に関する規制緩和が進められており、大麻を含む飲食物や化粧品等が広く流通しているほか、2022年6月には、大麻が規制薬物のリストから除外され、家庭栽培が解禁されるなどしております。しかし、タイにおいて、解禁されたのは旧来より承認されている医療等を目的とする使用のほか、含有成分に厳しい制限を設けて製品化された食品や化粧品等に限られます。引き続き娯楽目的での使用は認められておらず、公共の場で大麻を吸引することなども禁止されています。
つまり「医療目的と、成分制限クリアした食品・化粧品」だけ。娯楽目的の吸引は引き続きNG。2024年以降タイ政府は再規制の方向で動いています(バンコクの観光地に並ぶ大麻ショップは過渡期の景色です)。
しかも外務省は日本法との二重リスクを明記:
日本では大麻取締法に基づき大麻の所持等が禁止されており、日本に大麻を持ち込もうとした場合等には同法による処罰の対象となります。また、国外における大麻の栽培、所持、譲受け、譲渡し等に対する罰則規定があり、罪に問われる場合があります。
ハードドラッグはさらに重く、「販売目的の所持、密輸であった場合は死刑、終身刑が科される場合があります」と明記されています。タイの大麻事情の詳しい手口と現地感は バンコク と プーケット の記事に分けて書いています。
カナダは2018年に嗜好用大麻を合法化した代表国。外務省:
カナダでは、2018年10月17日から、18歳以上の成人による大麻(マリファナ)の所持・使用の一部が合法化されています。
でも続けて、
ただし、日本の大麻取締法は、国外において大麻をみだりに、栽培したり、(…)譲り受けたり、譲り渡したりした場合などに罰する規定があり、カナダ国内で合法な行為だったとしても、日本国内で罪に問われる場合があります。大麻が合法化されている国でも、大麻には決して手を出さないようにしてください。
日本政府が「カナダで合法でも日本の罪になります」と明言。これは後述する国外犯処罰規定の効果です。カナダの大麻合法化と日本人リスクの詳細はトロントの薬物トラブルで掘っています。
ドイツは2024年4月に大麻を合法化したばかり:
ドイツでは、2024年4月1日から大麻(マリファナ)の所持、消費が合法化されていますが、所持量、使用場所等の制限があり、法令に違反する場合には起訴される可能性があります。
「合法化」と言っても無制限ではなく、所持量・場所の制限がある。ハードドラッグは相変わらず違法で、「コカイン、ヘロイン、覚醒剤等の麻薬類」は「刑法および麻薬法」で「拘禁刑および罰金刑」が待っています。
オランダのコーヒーショップ方式は一番誤解される:
オランダでは、ヘロインやコカイン等のいわゆる『ハード・ドラッグ』の所持・売買等は違法とされ、違反者に対する取締りも厳しく実施されています。
また、大麻等の『ソフト・ドラッグ』と呼ばれる薬物についても、いわゆる『コーヒーショップ』と称される店舗において購入できるとはされていますが、これらの薬物の所持・売買等については本来違法であり、犯罪行為にあたります。
驚きですが、外務省の表記は「本来違法であり、犯罪行為にあたります」。行政上の容認(取り締まらない方針)であって合法ではない、というのがオランダの建前です。しかも日本人が「興味本位でソフト・ドラッグ使って意識不明で搬送」された事例もあり、「法定検査期間2週間の入院検査を受け、この経費の支払いを求められます」と。合法と思って吸ったら2週間強制入院+医療費請求、というオチ。
米国は州によってバラバラ:
米国ではヘロイン、LSD、大麻等の麻薬・覚醒剤は禁止されています。一方、医療用または嗜好用の大麻の使用等を合法化する州は近年増加傾向にあり、嗜好用大麻については、現在、24の州およびワシントンD.C.において成人による使用等が認められています
連邦法では違法、州法で合法の州あり。州境越えたら突然違法、という状態。そして外務省は同じページで、
日本の大麻取締法は、大麻をみだりに栽培、所持、譲受、譲渡した場合などに罰する規定があり、これらの行為は日本国外で行われても罪に問われる場合があります。
と釘を刺しています。
ポルトガルは2001年に個人使用量の非犯罪化(刑事罰を行政処分に切り替え)で有名ですが、外務省の安全対策基礎データにはこう書かれています:
コカイン、クラック、マリファナ、ヘロイン、LSD、覚せい剤等の禁止薬物の栽培、製造、輸入、譲り渡しまたは譲り受け、所持は違法行為です。法令上、最長禁固15年の処罰規定があります。
「禁固15年」は栽培・製造・輸入・譲渡・所持まで射程。個人使用の非犯罪化と、本体の違法性は別の話、という整理です。
ハードドラッグ編:ここは例外なく厳罰
ヘロイン・コカイン・覚醒剤(メタンフェタミン)・MDMA等のハードドラッグになると、先ほどの「合法化」勢も含めて全世界で刑事罰が待っています。
死刑規定あり:シンガポール・マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナム・中国
大麻編で挙げた国々に、タイとベトナムが加わります。
タイは先述の通り「ハードドラッグの販売目的所持・密輸は死刑・終身刑」(外務省タイ安全対策基礎データ)。
ベトナムは「過去に外国人がヘロイン密輸で検挙され、死刑判決を受けた事例があります」(外務省ベトナム)。
厳罰:UAE・フィリピン・韓国・インド・カンボジア
韓国の「少量所持で10年以下/1億ウォン」はハードドラッグだろうが大麻だろうが等しく適用される規定です。
フィリピンは麻薬戦争で有名ですが、外務省記述は一貫して「外国人も例外ではない」「興味を示した観光客がおとり捜査で現行犯逮捕」。
モンゴルも外務省A2-safetyが「麻薬等違法薬物犯罪に関する取り締まりが強化されています。罰則等も非常に厳しく、外国人にも重刑が科されます」と明記。観光イメージで油断しやすい国です。
先進国でも刑事罰は確実:カナダ・ドイツ・オランダ・ポルトガル・米国
カナダ:「違法薬物を所持していた場合、官憲に身柄を拘束される上、不正売買を行っていれば、平均7年以上の懲役刑に処せられます。不正売買の事実が証明されない場合でも、6か月以上の懲役(初犯の場合)、または罰金刑、またはその併科の処罰となります。」
ドイツ:「コカイン、ヘロイン、覚醒剤等の麻薬類に関する規制は、刑法および麻薬法に基づき行われており」「拘禁刑および罰金刑」
オランダ:「ヘロインやコカイン等のいわゆる『ハード・ドラッグ』の所持・売買等は違法とされ、違反者に対する取締りも厳しく実施されています。」
ポルトガル:先述の通り「禁固15年」がハードドラッグにも適用。
米国:連邦法で違法。州によって細かい量刑は違うが、ヘロイン・コカイン所持で懲役は確実。
Travel Alert 03
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日本法:海外で吸っても帰国後に逮捕される
ここが一番知らない人が多い論点です。大麻・麻薬(ヘロイン/コカイン/MDMA等)・覚醒剤の3法はすべて国外犯処罰規定を持っています。
大麻取締法(正確には「大麻草の栽培の規制に関する法律」)
第24条で大麻の輸入・輸出・製造・所持・譲渡等を処罰し、第24条の5でこう書いてあります(e-Gov 法令検索より):
第24条の5 第24条及び前二条の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第二条の例に従う。
「刑法第2条の例」というのは、「日本国外において罪を犯したすべての者に適用する」というルールの準用です(刑法第2条)。つまり外国人でも日本国外の行為でも、日本の大麻取締法で処罰されるという設計。
麻薬及び向精神薬取締法
第69条の6:
第六十四条、第六十四条の二、第六十五条、第六十六条、第六十六条の三から第六十八条の二まで、第六十九条の二、第六十九条の四及び前条の罪は、刑法第二条の例に従う。
ヘロイン・コカイン・MDMAを含む麻薬・向精神薬の主要な違反行為は、同じ国外犯処罰の射程に入ります。
覚醒剤取締法
第41条の11:
第四十一条、第四十一条の二、第四十一条の六、第四十一条の九及び前条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
覚醒剤の輸入・輸出・製造・所持・譲渡もすべて国外犯処罰あり。
つまりどういうこと?
3本柱まとめると、海外旅行中に大麻・ヘロイン・コカイン・MDMA・覚醒剤に手を出した日本人は、現地の法律と日本の法律の2重の処罰リスクを抱えます。
- カナダで合法の大麻を吸った→日本の大麻取締法違反の構成要件該当
- ドイツで合法化された範囲で吸った→同上
- タイで娯楽目的に吸った→タイ法違反+日本法違反
- オランダのコーヒーショップで買った→オランダ的には「本来違法だが容認」+日本法違反
現地で合法でも、帰国時に SNS の写真や税関での言動から逮捕されるリスクは残り続けます。厚労省は2025年3月1日施行の改正大麻取締法・麻薬及び向精神薬取締法で規制をさらに強化しており、CBD 製品からもΔ9-THCが検出される事案が出ている(厚労省 薬物乱用防止)。「CBDだから大丈夫」も安全ではないのが現状です。
運び屋注意喚起:一番ヤバい落とし穴
「自分は使わないから関係ない」と思う人にこそ読んでほしいのがこれ。外務省は2025年4月30日に広域情報2025C016を発出していて、観光客が知らないうちに運び屋にされる事例を2件挙げています。
ケース1:SNSで高額アルバイト募集に応募したら、「タイから英国へ荷物を運ぶ仕事」を紹介された。航空券・ホテル代は先方負担。現地到着後、ホテルで見知らぬ人からスーツケースを受け取って英国へ。到着時の荷物検査で大量の違法薬物(大麻等)が発見、現地当局に拘束。
ケース2:バンコクの空港で困ってる外国人を助けてあげたら、お礼に食事に誘われた。そこでヨーロッパ旅行の話をしたら「自分は行けなくなったから、代わりにベルギーの親戚にお土産を届けてほしい。航空券とホテルは出す」と頼まれた。親切心で引き受けてベルギーへ。到着時の検査で大量の違法薬物発見、拘束。
外務省の断定的な文面:
犯罪組織の関与が伺えますので、このような求人に安易に応募しないでください。また、このようなアルバイトの応募者は使い捨て要員ですので、現地当局に拘束されても、犯罪組織は助けてくれません。たとえ『知らなかった』、『聞いていた内容とは違っていた』といった事情があったとしても、全く考慮されることなく逮捕されます。
在中国日本国大使館も同じ文面を転載したうえで、中国に限って次の一行を足しています:
中国では、麻薬の密輸、販売、運搬、製造、所持、譲渡に対しては厳罰が科せられます。これまで日本人も多数検挙されており、うち8人に対して死刑が執行されています。
8人。これは知っておくべき数字です。
在マレーシア日本国大使館の注意喚起も外国人狙いのパターンに言及:
警察が摘発のための捜査を行う場合は、とりあえず現場にいる人を一網打尽にするので、路地裏等麻薬取引が行われている可能性が高い場所には行かない、近寄らないことです。
自動車に薬物を積んでいる場合もあるので、事情を知らずに同乗し、一緒に検挙されることのないように、むやみにヒッチ・ハイク等はしないことなど、自分の身の回りには十分注意を払いましょう。
他人の荷物を預からない、ヒッチハイクしない、路地裏に近づかない—— この3つは地味に効きます。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
まとめ:国別リスク早見
一次ソースで確認できた範囲で、国ごとの最大刑を一覧にします(「可能性あり」の表現を含む、最大値ベース)。
| 国 | 大麻の最大刑 | ハードドラッグの最大刑 | 主な根拠 |
|---|---|---|---|
| シンガポール | 死刑の可能性 | 死刑の可能性 | 外務省 安全対策基礎データ |
| マレーシア | 所持最高無期懲役/売買死刑 | 同左 | 在マレーシア日本国大使館 |
| 中国 | 厳罰(死刑執行例あり) | 厳罰(死刑執行例あり) | 在中国日本国大使館 |
| インドネシア | 死刑または禁固 | 死刑または禁固 | 外務省 |
| タイ | 娯楽目的は違法(再規制進行中) | 死刑・終身刑の可能性 | 外務省 |
| ベトナム | 厳罰 | 死刑判決例あり | 外務省 |
| フィリピン | 厳罰 | 厳罰 | 外務省 |
| 韓国 | 所持10年以下/1億ウォン以下 | 最高刑は死刑 | 外務省 |
| インド | ガンジャー・チャラス所持で2〜20年 | 厳罰 | 外務省 |
| スリランカ | 厳罰(最高刑は死刑) | 厳罰(最高刑は死刑) | 外務省 |
| UAE | 死刑の可能性 | 死刑の可能性 | 外務省 |
| カナダ | 成人による一部合法(18歳以上) | 平均7年以上の懲役 | 外務省 |
| ドイツ | 2024年4月一部合法化(制限あり) | 拘禁刑+罰金 | 外務省 |
| オランダ | コーヒーショップ容認/本来違法 | 厳しい取締り | 外務省 |
| ポルトガル | 栽培・譲渡等で最長禁固15年 | 同左 | 外務省 |
| 米国 | 24州+DCで嗜好用合法/連邦法では違法 | 連邦法で違法 | 外務省 |
| 日本(国外犯) | 大麻取締法 第24条の5で国外犯処罰 | 麻薬取締法 第69条の6/覚醒剤取締法 第41条の11で国外犯処罰 | e-Gov |
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
結論
3つだけ持ち帰ってください。
- 「合法」の国でも娯楽目的はほぼ不可。タイ・ドイツ・米国・カナダ・ポルトガル・オランダ、どれも「限定的な合法」「容認」「非犯罪化」であって「何でもOK」ではない。
- 死刑規定あり国は本当に執行される。中国で日本人8人死刑執行、シンガポールは外交ルートでも減刑されない。
- 日本の大麻取締法・麻薬取締法・覚醒剤取締法は全部国外犯処罰あり。海外で合法でも日本で罪になる。
旅行中に一番ヤバいのは「運び屋」。SNSの高額アルバイト、空港で知り合った人の荷物、路地裏、ヒッチハイク—— このあたりに近づかないだけで大半のリスクは回避できます。
都市別の具体的な手口や現地の雰囲気はそれぞれの記事に集約しています:
- バンコクの薬物トラブル / プーケット
- シンガポールの薬物トラブル
- ジャカルタ
- ハノイ / ホーチミン / ダナン
- プノンペン / シェムリアップ
- ゴア / ムンバイ / コルカタ
- コロンボ
- トロント(カナダ)
よくある質問
タイは2022年に大麻が合法化されたから、旅行中に吸っても大丈夫?
ダメです。外務省によるとタイで解禁されたのは医療目的や成分制限のある食品・化粧品のみで「引き続き娯楽目的での使用は認められておらず、公共の場で大麻を吸引することなども禁止」。さらに日本の大麻取締法は国外犯処罰規定があり、タイで吸った日本人は帰国後に日本で罪に問われる可能性があります。観光地で売られているバッズや大麻ジョイントに手を出した時点で、タイのルールにも日本のルールにも引っかかるリスクが生まれます。
「知らなかった」で見逃してもらえる国はありますか?
ありません。在マレーシア日本国大使館の注意喚起は「たとえ『知らなかった』、『聞いていた内容とは違っていた』といった事情があったとしても、全く考慮されることなく逮捕されます」と明記。在中国日本国大使館も「荷物の中身を知らなかったと弁明しても、裁判で受け入れられる可能性は極めて低い」と書いています。特に運び屋事案は「情を知らなかった」抗弁がほぼ通りません。
カナダやドイツで合法の大麻を日本に持ち帰ったら?
大麻取締法の国外犯処罰規定で日本の罪になります。外務省カナダ安全対策基礎データは「日本の大麻取締法は、国外において大麻をみだりに、栽培したり、(...)譲り受けたり、譲り渡したりした場合などに罰する規定があり、カナダ国内で合法な行為だったとしても、日本国内で罪に問われる場合があります」と明示。持ち帰りは税関で検出されれば即現行犯、持ち帰らなくても「国外で譲り受けた/所持した」行為自体が処罰の射程に入ります。
死刑って本当に執行されてるんですか?
執行されています。在中国日本国大使館は「これまで日本人も多数検挙されており、うち8人に対して死刑が執行されています」と公表。シンガポールも外務省が「従来シンガポール政府は、いったん刑が確定した場合、外国政府や関係者等から減刑要請があっても、これを認めないとの方針を貫いています」と書く通り、外交ルートでも減刑されません。ベトナムもヘロイン密輸で外国人に死刑判決が出た事例が外務省資料に記録されています。
空港で見知らぬ人に荷物を頼まれたら?
絶対に断ってください。外務省の広域情報(2025C016)は、SNSの高額アルバイトやバンコク空港で親切にした外国人のお礼として「ベルギーに荷物を届けて」と頼まれ、英国・ベルギー到着時に大量の大麻が発見されて拘束された実例を記録。「このようなアルバイトの応募者は使い捨て要員」「現地当局に拘束されても、犯罪組織は助けてくれません」と外務省が警告しています。知人経由でも同じです。
出典・参考
- 外務省 広域情報「違法薬物(大麻等)の密輸に関する注意喚起」(2025年4月30日、2025C016)
- 在中国日本国大使館「違法薬物(大麻等)の密輸に関する注意喚起」
- 在マレーシア日本国大使館「大麻など違法薬物の密輸や所持に関する注意喚起」(令和7年5月7日)
- 外務省 安全対策基礎データ(シンガポール)
- 外務省 安全対策基礎データ(タイ)
- 外務省 安全対策基礎データ(インドネシア)
- 外務省 安全対策基礎データ(ベトナム)
- 外務省 安全対策基礎データ(フィリピン)
- 外務省 安全対策基礎データ(韓国)
- 外務省 安全対策基礎データ(中国)
- 外務省 安全対策基礎データ(インド)
- 外務省 安全対策基礎データ(スリランカ)
- 外務省 安全対策基礎データ(UAE)
- 外務省 安全対策基礎データ(カナダ)
- 外務省 安全対策基礎データ(ドイツ)
- 外務省 安全対策基礎データ(オランダ)
- 外務省 安全対策基礎データ(ポルトガル)
- 外務省 安全対策基礎データ(米国)
- 刑法(e-Gov 法令検索、第2条「すべての者の国外犯」)
- 大麻草の栽培の規制に関する法律(e-Gov、第24条の5「刑法第2条の例」)
- 麻薬及び向精神薬取締法(e-Gov、第69条の6「刑法第2条の例」)
- 覚醒剤取締法(e-Gov、第41条の11「刑法第2条の例」)
- 厚生労働省 薬物乱用防止に関する情報