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ベネズエラの治安 全土レベル3、武装強盗と医療崩壊【2026】

ベネズエラの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ベネズエラ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

ベネズエラは2025年12月、外務省により全土がレベル3(渡航中止勧告)に引き上げられました。カリブ海では米軍が麻薬密輸船舶への爆撃を継続し、外資系航空会社が相次いで運航を停止。経済はドル化が進み、海外送金もほぼ不可能。誘拐・武装強盗・カージャック・医療崩壊が併存する状況です。

このページは「観光で行く国」としてのベネズエラを紹介するものではありません。業務渡航・在留邦人・やむを得ない事情で訪れる人向けに、外務省と在ベネズエラ日本国大使館のデータから渡航前に押さえておくべき情報をまとめています。

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危険レベル --- 2025年12月に全土レベル3に引き上げ

外務省の危険情報(2025-12-04 更新)はベネズエラを以下のように指定しています。

●スリア州のマラカイボ市及び同州東部地域を除く地域、タチラ州、ボリバル州の一部地域(州北東部の「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯)、アプレ州の一部地域(コロンビアとの国境地帯)、アマゾナス州の一部地域(コロンビアとの国境地帯及びブラジルとの国境地帯)、スクレ州の一部地域(パリア半島全域)  レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続) ●上記以外の地域  レベル3: 渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引上げ)

つまり全土レベル3で、国境地帯はもともとレベル3継続、それ以外の都市部・首都カラカスを含む地域も新たにレベル3に引き上げ。理由は2点。

中南米の麻薬密輸組織への地上攻撃の可能性が報道される等、ベネズエラと米国との間の緊張が高まっています。 ベネズエラと外国との間の航空便の運航が不安定な状態にあるところ、ベネズエラ全土の危険レベルをレベル3(渡航中止勧告)とします。

米国との軍事緊張航空便の不安定化が同時並行で進行している、というのが2026年4月時点の状況です。

米国との緊張シリーズ(2025年10月〜2026年1月)

在ベネズエラ日本国大使館は「米国との緊張高まりに伴う注意喚起」を継続発出しています。時系列は以下。

  • 2025年10月28日: 米軍によるカリブ海での船舶爆撃を受け、軍事施設・油田・空港等の重要施設付近への接近回避、SNS発信慎重化を呼びかけ
  • 2025年11月13日: 米軍プレゼンス強化を踏まえ、退避想定の準備(在留届・たびレジ登録、パスポート有効期限確認、現金・常備薬・連絡網準備)
  • 2025年12月1日: 外資系航空会社の運航停止・欠航相次ぎ、フライト確保困難化を警告
  • 2026年1月5日: 直近の緊張継続、米軍関与拡大可能性。在留邦人に対し原則退避方針の準備を要請

四半期レポート(2025年10〜12月期)にはこう書かれています。

11月には、ベネズエラ国内及び周辺地域における安全保障状況の悪化等を理由に、米国の航空当局から航空安全情報(NOTAM)が発出されました。これにより、外資系の航空会社が相次いで欠航・運航停止を表明し、フライト状況に混乱が生じました。

つまり「行きの便はあっても、帰りの便がいつ無くなるか分からない」状況。やむを得ず渡航する場合、出国手段の確保を最優先で考える必要があります。

犯罪統計 --- 暴力死亡10万人あたり26.2人

外務省「安全対策基礎データ」より。

現地NGOベネズエラ暴力監視団によれば、2024年に発生した暴力行為に起因する死者数は、6,884人(10万人あたり26.2人)であり、前年の6,973人(10万人あたり26.8人)から若干減少しているものの依然として中南米でも高い水準となっています。

10万人あたり26.2人は、日本の殺人発生率(約0.2人)の約130倍。さらに気になる指摘がこちら。

経済の崩壊等による国外への人口流出等により、犯罪が減少したと分析されていますが、ベネズエラ経済のドル化が進み、市場にドル現金が流通し始めたことから、海外に脱出していた犯罪者が国内に戻ってきていると言われています。

犯罪減=治安改善ではなく、人口流出による相対減。ドル化で外貨を持ち歩く外国人が狙われやすくなる構造が浮かび上がります。

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バンダ・コレクティーボ --- 警察も入れない支配地区

カラカス首都圏には警察も介入できない武装組織の支配地区があります。

バンダの支配地域のあるカラカス首都区(リベルタドール市)西部のラ・ベガ地区、コタ905地区、セメンテリオ地区、エル・バジェ地区や、東部のペタレ地区等には、不用意に近づかないでください。

具体地区名を整理:

  • ラ・ベガ地区(西部)
  • コタ905地区(西部)
  • セメンテリオ地区(西部)
  • エル・バジェ地区(西部)
  • ペタレ地区(東部)

バンダが支配する地域では、歩哨所を設けて警察官や軍人が立ち入らないようにしており、しばしば銃撃戦が起こり、流れ弾で死傷者がでています。2021年7月、カラカス首都区(リベルタドール市)の南西部において、3日間に及ぶ治安当局とバンダとの間で銃撃戦が発生し、多数の死傷者が出ました。

「都市の中に警察が入れない場所がある」という事実が、ベネズエラ治安の特殊性を示しています。詳しくはカラカスの治安ページで。

誘拐情勢 --- 警察官関与・身代金支払いは違法

治安当局によれば、2025年の国内における身代金目的誘拐事件の発生件数は5件であり、昨年の半分以下に減少しましたが、当国では、犯人に身代金を支払うことが違法であることや、現役の警察官が誘拐に関与している場合があることから、治安当局に届け出がなされない件数が相当数あると見られます。

ベネズエラの誘拐の特殊性は2点。

  1. 身代金支払いは違法(家族・知人が支払うこと自体が罪に問われる)
  2. 現役警察官の関与例がある(被害届を出しても解決しない構造)

被害者層は拡大しています。

以前は、誘拐犯罪の被害者の多くは、コロンビアとの国境付近で牧場・農場を経営する経営者とその家族、また、カラカス首都圏周辺の実業家及びその家族、外国からの移住者等、裕福な階層でした。しかし、ここ数年、都心部の商人、学生、専門職職員、公務員等あらゆる層に拡大し、また、外国人も被害に遭っており、十分な注意が必要です。

「外国人も被害に遭っている」と外務省が明記している国です。

コロンビアゲリラ・米軍関与の余波

「コロンビア革命軍(FARC)」が、2017年にコロンビア政府と和平合意したことにより、その勢力が縮小傾向にありましたが、2019年8月にFARC元幹部が同合意を破棄し、政府に対する武装闘争の再開を宣言し、ベネズエラ側国境地帯での活動も確認されています。

2025年10月、カリブ海に駐留していた米軍が、ELN関連の船舶を「麻薬を密輸していた」として爆撃しました。その後も複数回に亘って麻薬を運んでいたとして小型船舶が爆撃されました。同年12月、マルコ・ルビオ米国国務長官が「マドゥーロ政権がELNとFARCに公然と協力している」と非難しました。2026年1月、マドゥーロ大統領が米国に拘束され連行されたことで、今後、米国の動きに不満を持つELN等がより過激な行動を取る可能性もあり、国境付近の動向には注意が必要です。

国境地帯(コロンビア・ブラジル)はゲリラ活動エリアで、観光・業務問わず近づかない判断が必要です。

外貨・ドル決済 --- 持ち歩きそのものがリスク

ベネズエラ経済はドル化が進んでいます。

外貨による支払いは、2025年2月現在、米ドルであれば、市内のホテル、商店等でほぼ使用できますが、おつりがない場合があります。…ドル現金による支払いの場合、IVA(付加価値税)に加えてIGTF(大口金融取引税)3%が課税されます。また、外貨は犯罪者から狙われやすいため、人目につく場所で使用する場合は、周囲に気を配るようにしてください。

ベネズエラ国外で発行されたクレジットカード、デビットカード等による支払いも可能ですが、スキミング被害の報告もありますので、支払いの際は面前で処理させるよう心がけてください。

加えて致命的なのが送金不可。

米国の経済制裁の影響もあり、ベネズエラへの金融機関や外貨送金サービスを通じての送金は困難です。万が一、ベネズエラで所持金の盗難に遭っても、本邦の家族・友人からの送金が期待できないことに留意してください。

「盗まれたら家族から送金」が成立しない国。現金は分散保管が必須、メインの資金は別ホテル金庫やキャッシュレス決済で代替する設計が必要です。

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滞在ルール --- 政治発言・写真撮影・身分証携帯

政治発言での拘束リスク

公の場所等で不用意に国内の政治問題に関する批判等をすると国家反逆の罪やテロリストとみなされ、治安当局に拘束される可能性もありますので、滞在中の言動には注意してください。

外国人法で政治的中立義務が定められています。SNS投稿でも該当する可能性があるので、ベネズエラの政治・米軍関与に関する発信は避けるのが無難。

写真撮影制限

大統領府、大統領官邸、軍施設、油田地域、刑務所、銀行およびアマゾンの原住民居住地区等は写真撮影が制限されています。

加えて、米軍緊張下でコレクティーボがスマホ検閲を強化しているとの情報も。

市内ではコレクティーボが米国の協力者を発見するために、検問で通信機器の検閲を強化しているとの情報がSNS上で拡散されました。

スマホの中身を見られて拘束される可能性を想定し、政治・軍事関連の画像・チャットは事前に整理しておく方が安全。

身分証常時携帯

外国人は、旅券または身分証明書の常時携帯が義務づけられています。…仮にそのような場面に遭遇した場合は、毅然とした態度で、「身分証明書の提示を求める」、「警察署に出向く」、「日本国大使館への連絡を求める」と答える等、被害に遭わないよう注意してください。

不携帯を理由に賄賂を要求される事例があるため、常時携帯は絶対。

薬物 --- 少量所持で10〜20年禁固

薬物(アヘン、モルヒネ、コカの葉、コカインおよびマリファナ等)犯罪が蔓延しており、空港での薬物の摘発が頻繁に行われています。安易に他人の荷物を預かると、その中に薬物が隠されているなど、薬物犯罪に巻き込まれる可能性がありますので、十分注意してください。

薬物に関連する犯罪の罰則は、日本や諸外国のそれと比べて極めて厳しく、少量を所持していた場合でも、10年以上20年以下の禁固刑に処せられます。絶対に関わらないでください。

空港で「ちょっとカバンを預かって」と頼まれても受けない、を徹底。

医療事情 --- 緊急時はマイアミへ搬送

カラカス市内には、海外で研修を受けた医師が勤務する私立総合病院がいくつかありますが、外貨不足により、医薬品が不足しているほか、設備・機材の老朽化、優秀な医師の国外転出が著しく、緊急性のない外科手術などは避けることをおすすめします。重篤な疾病や大怪我の場合、医療先進国への緊急医療搬送が必要となる可能性があります。

外務省「世界の医療事情(ベネズエラ)」も、医薬品不足・医師の国外流出・献血在庫不足を指摘し、重症時は米国(マイアミ)への医療搬送が現実的選択肢としています。デング熱・ジカ熱・チクングニア・マラリアの流行も継続中。

参考金額(中南米地域の借用)

ベネズエラを名指しした保険金支払事例は損保ジャパン off!/ジェイアイ/SBI損保のいずれにも2026年4月時点で確認できません。日本人渡航そのものが激減しているためです。同地域の参考として、近隣国の事例を引用します。

  • ペルー: 高山病・髄膜炎等で25日間入院、1,654万円(ジェイアイ傷害火災)
  • ペルー: 脳梗塞で1,144万円(SBI損保)
  • メキシコ: 高額医療事例(ジェイアイ傷害火災)

ベネズエラから国外搬送する場合、空路がそもそも限られている状況下ではチャータージェット手配が必要になり、上記より上振れする可能性があります。海外旅行保険の医療補償・救援者費用は最大限のプランを推奨。

空港 --- 4時間前チェックイン・賄賂要求

空港における搭乗時のセキュリティーチェックに長時間を要するため、ベネズエラ系の航空会社を中心に、出発時刻の4時間前のチェックインを求められることがあります。事前に航空会社にチェックイン時刻を確認することをお勧めします。

空港を警備する国家警備軍や国家警察官に目をつけられ、賄賂を要求されたといった事例も報告されています。 出国時には、国家警備軍が安全対策のための荷物検査を行っていますが、たかりや賄賂の要求が行われたとの報告もあります。

出発の4時間前空港着、賄賂は払わず毅然と対応、領収書のない金銭要求は拒否を原則として行動。

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緊急連絡先

機関電話番号
警察・救急・消防911
在ベネズエラ日本国大使館(212) 262-3435

たびレジ登録・在留届の提出は必須レベル。米国との緊張が高まる現状では、退避指示が突然出る可能性があります。

都市別情報

通信

ベネズエラ国内のSIM事情は不安定で、コレクティーボの検問で通信機器をチェックされるケースも報告されています。出国便確保のためのフライト情報チェック、たびレジ・大使館連絡網の維持には海外eSIMの併用が現実解です。

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海外旅行保険の備え

ベネズエラは全土レベル3の渡航中止勧告下です。一部の海外旅行保険は渡航中止勧告レベル以上の地域は免責になるケースがあります。やむを得ず渡航する場合は、契約時に免責条項を必ず確認してください。詳しくは中南米旅行の保険ガイドで。

主要都市の治安情報

出典