ポルトガルは「ヨーロッパの中では犯罪発生率の低い国の一つ」と外務省が書く国。実際2024年の凶悪犯罪は全体の3.9%しかありません。それでも在ポルトガル日本国大使館は「外国人を狙った盗難事件が多発しており、その中でも『お金持ち』のイメージのある日本人観光客がすりや置き引きの被害に遭われるなど、その件数は増加しています」と明記。2025年10〜12月の3か月だけで大使館に届け出があった邦人被害は9件、ほぼ全部リスボン市内のスリ・車上ねらいです。「治安が良い国」という前提で行くと、コメルシオ広場やサン・ジョルジュ城、ベレン地区で財布を抜かれます。
Travel Alert 01
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危険レベル
外務省の危険情報は2026年4月時点でポルトガル本土に発出なし。感染症危険情報もスポット情報もありません。広域情報としては中東情勢に関する注意喚起、特殊詐欺の加害者にならないための注意喚起、デング熱・MERS等の感染症情報が継続して出ています。
犯罪の全体像 --- 35万件中の凶悪は3.9%だが窃盗が日常的
外務省と大使館の手引きが出している2024年の数字。
| 指標 | 件数 | 備考 |
|---|---|---|
| 一般犯罪認知件数(2024年) | 354,878件 | 前年比4.6%減、コロナ前2019年比5.7%増 |
| 凶悪重大犯罪(2024年) | 14,385件 | 全体の3.9%、前年比2.6%増。最多は路上強盗・ひったくり |
| 故意的殺人(2025年暫定) | 少なくとも108件 | 家族・恋人など顔見知り間が多く、刃物多用 |
| APAV支援件数(2025年) | 18,549人 | 家庭内暴力2.6万、未成年への性的虐待1,076件 |
| テロ脅威度 | レベル3(5段階・1=高) | 2023年10月以降「やや高い」を維持 |
ポルトガルは、ヨーロッパの中では犯罪発生率の低い国の一つと言われおり、凶悪事件の発生は少ないものの、日本と比較すると、すり、ひったくり、車上狙い等の窃盗犯罪が日常的に発生しています。また、外国人観光客の増加に伴い、外国人を狙った盗難事件が多発しており、その中でも「お金持ち」のイメージのある日本人観光客がすりや置き引きの被害に遭われるなど、その件数は増加しています。
大使館「安全対策」ページの一文。「凶悪犯罪は少ない」「でも窃盗は日常的」「日本人がターゲット」の3点セットが、ポルトガル治安の実像です。
2025年Q4の邦人被害 --- 3か月で9件、ほぼ全部スリ
2025年10月から12月の間、大使館に届出があった邦人の犯罪被害件数は9件(すり、車上ねらい被害)でした。
大使館の四半期レポートが出している実数。
| 月 | スリ | 車上ねらい |
|---|---|---|
| 2025年10月 | 4件 | 0 |
| 2025年11月 | 2件 | 1件(2名) |
| 2025年12月 | 2件 | 0 |
注意していただきたいエリアとしては、リスボン市内のコメルシオ広場、サン・ジョルジュ城、バイホ・アルト地区、ベレン地区及びポルト市など人通りの多い観光地です。バックパックやショルダーバッグのファスナーを開けられ貴重品を抜き取られたり、カフェのカウンターに置いた鞄を盗まれたりしています。
大使館がエリアを名指ししているのが特徴。コメルシオ広場・サン・ジョルジュ城・バイホアルト地区・ベレン地区・ポルト市の5エリアが現在のホットスポットです。
邦人被害の集中地 --- 路面電車28番・15番が定番
日本人の犯罪被害は、リスボンに集中しています。路面電車(特に28番と15番)や地下鉄等の公共交通機関の車内や駅・停留所、空港やホテルのロビーのほか、ベレンの塔やサン・ジョルジェ城等の外国人観光客が多く集まる場所(特にバイシャ地区、アルファマ地区、バイロ・アルト地区など市の中心部)でスリや置き引きが多発しています。
外務省の安全対策基礎データの一文。28番と15番の路面電車は世界中の旅行者がガイドブックで「乗っておきたい」と書かれるルートで、スリのチームがそれを把握しています。詳しくはリスボンの治安で多発エリアを整理しました。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
「種まき手法」窃盗 --- GNRが警告、スペインから流入
ポルトガル固有のキーワードがこの「種まき手法(mão amiga / chave caída 型)」。
共和国警備庁(GNR)は、「種まき手法」と呼ばれる窃盗の手口について注意を呼びかけています。ショッピングセンターの駐車場やガソリンスタンド、ATM周辺などで小銭や鍵などをわざと落とし、注意を引きつけている間に車内などから金品を盗む手口で、犯人グループは事前に単独で行動している人物を中心に標的を選び、複数名で役割分担をしながら犯行に及び、車などで逃走します。この手口は、スペインのマドリッドなどでも発生しています。
GNR(共和国警備庁)が出しているこの警告は重要です。小銭や鍵を「落とした」フリで気を引く=そこに反応した瞬間に車内や手元の荷物が消える。この手口はスペインのマドリードから流入していることが明示されていて、イベリア半島共通の手口だと考えてください。
2025年Q4の報道事件 --- 刃物・バイクひったくり・地下鉄券売機詐欺
大使館の四半期レポートが拾った報道事件は、観光地ど真ん中で起きています。
- 2025年11月12日4時40分:リスボン市マルティン・モニス広場で男性が3人組に刃物で腕を切り付けられ、金のネックレスを奪われた
- 2025年11月16日午後:リスボン市エドワルド7世公園で男性がバイク2人組に襲われ高級腕時計を盗まれた
- 2025年12月11日:リスボン市ベレン地区の路上で女性2名が2人組に羽交い絞めにされ所持品を奪われた(16歳・19歳の少年逮捕)
- 2025年12月17日:オエイラス市アルジェス地区で通行人のネックレスがひったくられた
- 2025年10月23日:リスボン市サンタ・マリア・マイオール地区の地下鉄駅で2人組の女が券売機の使い方を説明しながらクレジットカード暗証番号を盗み取り、車両内で財布を盗み約1,300ユーロを利用、逮捕
- 2025年12月4日:シントラ市ムーアの城跡で60代男性観光客が22歳と26歳の2人組に財布を盗まれた(通行人が現行犯確保)
- 2025年12月23日:リスボン市内で交通事故を装い修理代をだまし取っていた42歳の男逮捕、少なくとも12名の被害判明
「観光名所+ベレン地区+公園+地下鉄券売機」と、典型的な観光ルート上で起きていることがわかります。詳しい手口別の対策はリスボンのスリ・置き引き対策、リスボンの詐欺・ぼったくり対策で。
強盗・カージャック・短時間誘拐
凶悪犯罪は少ないとはいえ、ゼロではありません。大使館手引きと外務省が挙げているパターンはこんな並び。
- 両替所・ATMで親切を装われナイフ/けん銃を突きつけられる
- 夜道で背後から首を絞められて現金強奪
- バイクに乗った男にショルダーバッグをひったくられる
- ショルダーをたすき掛けにしていてもカッターで肩紐を切られる
- カージャックされて短時間誘拐:「一時的に運転手を監禁し、暗証番号を聞き出し、キャッシュカード等を使用し現金を引き出した上で運転手を解放する強盗事件」(手引き)
ポルトガルにおいて発生している誘拐事件等の特徴として、特に薬物の密輸や密売に関する組織犯罪に付随して発生する事案が多いほか、営利目的の短時間誘拐や知人間における略取、わいせつ目的誘拐が挙げられます。
外務省・テロ誘拐情勢ページの一文。2023年司法警察庁集計で「略取誘拐・逮捕監禁・人質」事件は305件で前年比22%増。観光客が遭うリスクは高くないものの、レンタカーで地方へ行く人は念頭に置いておきたいリスクです。
交通事情 --- 2023年141,697件、死者479人
ポルトガルでは、ウィンカーなしでの車線変更、無理な追い越しなども多く、交通事故が大変多い国でもあります。その他、リスボンを始めとした市街地では、道幅が狭く、路上駐車も多いため非常に運転が困難な状況となっています。
大使館の安全対策ハブの一文。2023年の交通事故は141,697件で前年比8.9%増、死者479人。日本の運転免許証は2022年8月1日からポルトガル国内で運転可能(60歳未満限定、運転免許更新後15年以内)になりました。拳銃所持が許可制で認められていてダッシュボードに保管している人もいる――手引きが書く独特のリスクで、運転トラブル時に挑発するのは絶対NGです。リスボン市・ポルト市は路面電車軌道敷上の運転があり、雨でスリップしやすいのも要注意。レンタカーやUber/Boltの選び方はリスボンの交通トラブル対策で詳しく。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
医療費の実態 --- 心筋梗塞370万円・深部静脈血栓症339万円
ポルトガルは保険会社がスペインと同じページに事例を掲載している国。ソニー損保とSBI損保の事例から、ポルトガル単独事例を抜き出すとこうです。
| 内容 | 入院日数 | 金額 |
|---|---|---|
| サービスエリア内のトイレで嘔吐し救急搬送、心筋梗塞、医師付添医療搬送 | 7日 | 370万円 |
| 現地到着後に膝が痛み歩行困難で受診、深部静脈血栓症、医師付添医療搬送 | 7日 | 339万円 |
7日間入院+医師付添の医療搬送だけで300万円台。さらに同じページにはスペイン(イベリア半島共通の医療搬送実態)として、クルーズ中のヘリ搬送と冠動脈疾患17日入院で1,263万円、上気道感染による敗血症11日入院で647万円、バスのステップで足を滑らせ腰椎骨折8日入院で526万円といった事例も掲載されています。クレジットカード付帯保険の治療救援費上限(300万〜500万円)では足りません。
医療水準はヨーロッパ諸国の中では低い方です。ポルトガルの社会保険(SNS)に入っている場合、公立病院では低額または無料で受診できますが、そのため非常に混雑しており、入院病棟も病床が常に不足しています。私立病院は、設備面ではほぼ問題がありませんが、社会保険は適用されず一般的な診察だけで100ユーロ程度、入院すると1日約200ユーロ程度の高額の費用が必要となります。
外務省の基礎データが書く一文。観光客は基本的に私立病院(CUF・Hospital da Luz・Lusíadas等)を使うことになり、その場合の費用は1日200ユーロ=約3万円が起点。詳しくはリスボンの健康・医療トラブル対策で病院リストと医療搬送事例を整理しています。
マデイラ諸島のデング熱
大西洋上のマデイラ諸島は海洋亜熱帯性の気候で蚊が多くいため、デング熱等、蚊を媒体とする伝染病に注意する必要があります。マデイラ諸島では、デングウイルスを保有する蚊が確認されており、同諸島へ行かれる際は、肌の露出を控える、虫除けスプレーを準備するなど、虫さされへの対策が必要です。
ポルトガル本土には特異な風土病はありませんが、マデイラ諸島だけは別枠。長袖・虫除けスプレーは必携です。
法令・薬物・滞在ルール
- 違法薬物(コカイン・クラック・マリファナ・ヘロイン・LSD・覚せい剤)の栽培・製造・輸入・譲渡・所持は違法。最長禁固15年
- 不法賭博は最長禁固2年・罰金(合法カジノ以外)
- 3か月以内ビザ免除(シェンゲン90/180日ルール)。査証なしで3か月超滞在は罰金刑+5年以上の入国制限の可能性
- 旅券残存有効期間:滞在期間+3か月
- 身分証明書(旅券コピー可)の常時携帯義務
- 軍関係施設・空港施設は写真撮影制限
- 子連れ片親旅行でもう一方の親権者の委任状なしは「未成年者連れ去り」として2年以下禁固または240日罰金の対象になる場合あり
- EES(出入域システム):2025年10月12日より段階導入、2026年4月10日以降全面運用。生体情報登録、拒否時は入国不可
テロ情勢 --- 脅威度3を維持
2024年中、ポルトガルにおいて、テロ組織、反政府組織や国際的なテロ組織の関連組織の活動は確認されていない。
外務省・テロ誘拐情勢の一文。ただしポルトガル国内治安機構が定めるテロ脅威度は5段階中の3(やや高い)で、2023年10月のハマス・イスラエル衝突以降に4→3へ引き上げられたまま継続しています。観光客が直接巻き込まれるリスクは低いものの、駅・空港・観光地での警戒は必要です。同水準の脅威度にはフランス・スペイン・ベルギーなど西欧の主要国も並びます。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
安全対策まとめ --- リスボンに行くならこれだけは
- リスボン路面電車28番・15番:観光名所路線だがスリ多発。乗るなら貴重品は前ポケットで手で押さえる
- コメルシオ広場・サン・ジョルジュ城・バイホアルト・ベレン:大使館が四半期レポートで名指ししているホットスポット
- 「小銭や鍵が落ちた」と声をかけられたら無視:GNR警告の「種まき手法」、車両やバッグから目を離すと全部消える
- 地下鉄券売機で「使い方を教える」と寄ってくる人を信じない:暗証番号を盗み見られて1,300ユーロ被害の実例
- 両替所・ATMでは背後を確認:ナイフ/拳銃を突きつけられての強奪事例あり
- 夜のBairro Alto・Cais do Sodré・Docas:酒に酔った若者の喧嘩・暴行傷害が多い
- 海外旅行保険は治療救援費1,000万円以上:心筋梗塞370万円・深部静脈血栓症339万円の事例、クレカ付帯では足りない
通信手段の確保
リスボンの石畳の路地は地図がないと迷い、緊急時は112に電話できる手段が必須。MEO・NOS・Vodafoneの現地SIMもありますが、出発前にeSIMを用意しておくのが楽です。選び方は海外eSIM比較を参照。
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| SOS緊急通報(警察・消防・救急共通) | 112 |
| 医療ホットライン SNS24(24時間) | 808 242 424 |
| 在ポルトガル日本国大使館(リスボン) | +351-21-311-0560 |
| PSP リスボン・クルーズターミナル観光警察署(旅行者用) | 21 880 4030 |
| PSP カスカイス観光警察署 | 21 481 7067 |
| PSP ポルト観光警察署 | 22 209 2006 |
ポルトガル語の緊急表現も覚えておくと安心です。
| 日本語 | ポルトガル語 |
|---|---|
| 警察を呼んで! | Chame a polícia!(シャーメ・ア・ポリーシア) |
| 助けて! | Socorro!(ソコーホ) |
| 私はポルトガル語ができません | Eu não falo português(エウ・ナン・ファーロ・ポルトゥゲース) |
| 日本大使館 | Embaixada do Japão(エンバイシャーダ・ド・ジャポン) |
大使館の所在地は Rua Ramalho Ortigão 51, 1070-229 Lisboa。盗難時は ① クレカ会社へ停止連絡 → ② 観光警察署で「盗難・紛失届証明書」発行 → ③ 旅券紛失は大使館へ → ④ 緊急資金は WU送金/カード会社キャッシング、の順で対応します。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ポルトガル単独事例だけでも、医療搬送が絡むと300万円台が起点。さらに同地域のスペイン事例ではクルーズ中ヘリ搬送と冠動脈疾患17日入院で1,263万円、敗血症11日入院で647万円という事例があります。クレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限(300〜500万円)では全く足りません。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。