「パナマ運河」「タックスヘイブン」「USドル経済」のイメージで知られるパナマ。中米の中では他国より安全と紹介されることが多い国です。ところが、在パナマ日本国大使館「安全の手引き」(令和7年11月改訂)の冒頭はこう書きます。
一般的に他の中米諸国よりも安全であると言われています。しかし国民の体感治安は決して良いとは言えません。
そして決定打。
パナマの治安を日本と比較した場合、殺人事件の発生は人口比で約15.4倍、強盗事件の発生は約114.2倍に達します(2024年統計)。
「他の中米よりは安全」と「日本基準では危険」を両立する国がパナマです。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル --- 大半は問題なし、ただしダリエン地峡はレベル3
外務省はパナマ全土の大半を「指定なし」としていますが、ダリエン地峡(コロンビア国境地帯の密林地帯)はレベル3(渡航中止勧告)。理由は明確です。
コロンビアとの国境地域には、治安当局の監視が十分行き届かない密林地帯があり、武装グループが麻薬の密輸等により出入国を繰り返しているため、陸路で移動する場合、同グループに誘拐・殺害されるなどの危険性があります。
ダリエン地峡はコロンビアから米国に向かう不法移民の通過地としても知られ、年間数十万人が通過する危険地帯。観光客が間違って踏み込むことはまずありませんが、「コロンビアからパナマへ陸路で抜ける」というバックパッカー的ルートは絶対NGです。
コロンビアとの往来には、安全確保の観点から空路を強く推奨します。
2024年殺人537件 --- 銃器使用が約8割
大使館のデータ。
2024年中に認知した殺人は537件に及び、過去最多の2009年(818件)以降は減少傾向にあるものの、依然として高い数値であることは間違いありません。
人口約420万人で年間537件。そして特徴的なのは銃器使用率です。
殺人事件の場合、銃器使用の割合が約8割を占めます。
銃の入手しやすさの背景を大使館はこう書きます。
パナマはその地理的特性から麻薬密売の中継拠点と言われ、近隣諸国の麻薬組織が国内に浸透し、麻薬取引をめぐる組織間の抗争が在留邦人集住地区でも発生しています。そして、麻薬組織とつながりのあるパンディージャス(青少年凶悪犯罪集団)の存在が違法銃器の国内需要を助長する結果を招き
「パンディージャス」(青少年ギャング集団)は後述するように、日本人観光客にも実害が出ている主犯です。
特別注意エリア --- 旧市街周辺の4地区
外務省「安全対策基礎データ」が地名を挙げて警告。
一般犯罪の大半は、パナマ県内に集中しており、中でも特に注意を要する地域は、パナマ市の旧市街周辺(エル・チョリージョ地区、サンタ・アナ地区、カリドニア地区、クルンドゥ地区)とパナマ市に隣接するサン・ミゲリート市およびコロン県の全域です。これらの地域では、殺人事件等の凶悪事件が頻発していますので、昼夜を問わず単独行動を避けてください。
「昼夜を問わず単独行動を避けてください」と書かれている地区は、観光客は基本的に近づかないこと。サン・ミゲリート市はパナマ市の北東に隣接する大都市、コロン県は大西洋側の州全域。コロン市は治安最悪レベルで、運河観光のクルーズ船発着地としても警戒対象です。
パンディージャス --- 少年グループ集団強盗
パナマで日本人観光客が遭う最悪パターンが少年グループによる集団強盗。安全の手引きの被害例。
パナマ市カリドニア地区(特別注意エリア)の路地裏を1人で歩行中、少年6人組に取り囲まれ、殴打されたうえ、リュックを強奪された。(腕、足首等を負傷) パナマ市エル・チョリージョ地区(特別注意エリア)を1人で歩行中、少年8人組に取り囲まれ、貴重品を強奪された。(顔に全治2週間の怪我) パナマ市トクメン地区を1人で歩行中、人通りの少ない公園で4人組に取り囲まれ、顔面を殴打された後、鞄を強奪された。(鼻を骨折し全治3週間の怪我) 夜間にコロン市を1人で歩行中、少年6人組に取り囲まれた後、羽交い締めにされ臀部を刃物で刺されたうえ、財布を強奪された。
「少年6人組」「少年8人組」が日常で起こる。抵抗すれば殴打・骨折・刺傷、抵抗しなくても顔面殴打という現実です。中米の集団強盗はペルー・ブラジル・メキシコと同じ前提で、遭ったら抵抗せず金品を渡すが鉄則。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
凶器使用強盗 --- バスターミナル・流しタクシー・夜のレストラン
安全の手引きから日本人被害例。
パナマ市のアルブルック・バスターミナルからバスに乗車し、人通りの少ないところで下車したところ、一緒に下車した男に刃物で脅され鞄を強奪された。 パナマ市のアルブルック・バスターミナルから1人で流しのタクシーに乗車したところ、目的地とは異なる場所に連れて行かれ、運転手に刃物で脅されたうえ、所持品を全て強奪された。 午後10時過ぎ、パナマ市のレストランに侵入してきた5人組にけん銃で脅され、店の売上金や客約20人(日本人を含む)の所持金を強奪された。 観光スポットのカスコビエホに徒歩で行く最中、背後から3人組に襲われ、抵抗したことで引きずられ、所持品を強奪された。
観光スポットのカスコビエホ(旧市街、世界遺産)に徒歩で行く途中で襲われるのが典型。世界遺産だから安全、と思って歩くのは命取りで、配車アプリで建物の前まで送ってもらうべき場所です。
在留邦人集住地区でも安全ではない
「在留邦人が住む新市街なら安全」も誤解。
パナマ市首都圏の犯罪件数については、一部スラム化した旧市街だけでなく、在留邦人集住地区であるサン・フランシスコ地区やベジャビスタ地区といった新市街でも多くなっています。
被害例も新市街で起こっています。
パナマ市サン・フランシスコ地区(日本人集住地域)の大通りを夜間に一人で歩行中、前方から来た2人組に呼び止められ、鞄を奪い取られそうになり抵抗したところ、殴打された。 夜間にパナマ市マルベージャ地区(日本人学校付近)を徒歩で携帯電話を見ながら帰宅中、けん銃を持った男と刃物を持った男に挟まれ、携帯電話を強奪された。
マルベージャ地区(日本人学校付近)でも夜間徒歩中に銃強盗。日本人居住区でも夜間の単独徒歩は厳禁です。
ATM強盗・短時間誘拐
USドル経済のパナマでは現金の存在感が大きく、ATM絡みの事件が多い。
早朝、パナマ市エル・ドラド地区のショッピングモールに車で訪れ、ATMで現金を引き出した後、犯人に脅され車ごと奪われたうえ、銃で背中を撃たれた。 ショッピングモールの駐車場などで不特定多数の者を狙って身柄を拘束し、ATMなどで現金を引き出させた後、解放するといった、短時間誘拐も発生している。
ATMで現金を引き出した直後を狙う、短時間誘拐でATMを連れ回す、いずれも中南米共通の手口がパナマでも報告されています。詳細はパナマシティの詐欺・ATM強盗・ぼったくりで。
タクシー --- 流しは絶対NG、配車アプリ前提
流しのタクシーでは、強盗や強姦事件、高額な料金を請求されるなどのトラブルが絶えないので絶対に利用しないでください。タクシーを利用する場合は、料金が予め設定されており、比較的安全とされている配車アプリ(Uber等)を利用するようにしてください。
「絶対に利用しないでください」とまで書かれる流しタクシー。実際の被害例もアルブルック・バスターミナルから流しに乗って拉致+強奪されたケースが報告されています。Uber一択で動くのが現実解。詳細はパナマシティのタクシー・交通トラブルで。
Travel Alert 03
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レストラン強盗・繁華街発砲
銃器を使用して金品を強奪するレストラン強盗が発生することがあるので、警備員が配置され、周辺に人通りがあり、かつ外部から見通しが良いレストランを利用するよう心掛けてください。最近では、レストラン内で銃撃戦が勃発し、抗争に無関係の子供が流れ弾に当たり亡くなるという事件も発生しています。
レストラン内銃撃戦・流れ弾は、麻薬抗争の巻き添えリスクが現実化したパターン。
新市街にあるウルグアイ通り、アルゼンチン通り(繁華街)周辺は、深夜に素行不良者が立ち回り、けん銃発砲事案等が発生する場所であるため、夜間外出時の単独行動は避けるなど、特に注意が必要です。
新市街の繁華街でも夜間は危険、という前提で動くべきです。
麻薬 --- 運搬10〜15年・所持1〜3年の禁固刑
麻薬を購入(使用)した場合、厳罰に処せられます(麻薬の運搬10〜15年、使用目的所持1〜3年の禁固刑)。麻薬関連の罪で日本人が逮捕される事案は、特に中南米地域で多く見られ、例えば、見知らぬ人から荷物を預けられ、麻薬の運び屋にされ、空港等で逮捕される事案もありますので十分注意してください。
「見知らぬ人から荷物を預けられて運び屋にされる」は中南米全域で報告されている古典手口。空港・バックパッカー宿で荷物を預けるよう頼まれたら絶対に断る。受けた瞬間に運搬10〜15年の禁固刑コースです。詳細はパナマシティの薬物トラブルで。
USドル経済の特殊事情
パナマは独自通貨(バルボア)と並行してUSドルが法定通貨として流通します。観光客にとってのメリットは「両替不要」。デメリットは現金を狙う犯罪が他の中南米国より目立つことです。多額の現金を持ち歩かない、ATMは銀行内・モール内のものを使う、引き出し直後はすぐ配車アプリで移動、が基本。
交通事情 --- 国際運転免許証は使えない
パナマは「道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)」に未加盟のため、国際運転免許証による運転は不可。 入国してから90日間は、持参した日本の運転免許証で運転をすることができます。但し、免許証の記載が日本語であることから当地警察官の検問等におけるトラブル防止のため、当館発行の運転免許証抜粋証明取得の上、免許証とともに携帯して運転することをお勧めします。
国際運転免許証は使えない点に要注意。日本の免許証は90日まで有効ですが、警察検問対策で大使館の翻訳証明を取得するのが推奨されています。
当地の交通事情は日本と異なり、道路には窪みが多く、大雨が降ると冠水しやすく、信号機や標識の数が少ないため、運転のしづらい道路環境と言えます。運転マナー(特にタクシー、バス)は極めて悪く、パナマ市首都圏では慢性的な渋滞が問題となっているなど、交通事情は決して良好とは言えません。
レンタカー利用は防衛運転前提で、十分な補償の自動車保険必須。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
デモ・抗議活動
労働組合や学生組織が時宜を得た社会問題等を取り上げ、投石、道路封鎖等の抗議活動を散発的に行っており、在留邦人の生活に影響を及ぼす不安要素は少なくありません。
近年もパナマ運河の水不足、銅鉱山開発に絡む大規模デモが発生。道路封鎖で空港アクセスが断たれる事例もあるため、滞在中は大使館の海外安全情報を毎朝チェックすると安全側です。
テロ・誘拐情勢
外務省「テロ・誘拐情勢」によると、パナマを直接標的としたテロ事件は確認されていません。ただしダリエン地峡の武装グループ・パンディージャスの集団強盗・短時間誘拐が別カテゴリで発生しています。
都市別の治安情報
- パナマシティの治安 --- 特別注意エリア4地区、新市街でも夜間銃強盗、カスコビエホ徒歩中の襲撃、ATM強盗
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
旅行保険・eSIM --- 「強盗が日本の114倍」「USドル経済の高額医療」
パナマの怖さは2つの組み合わせです。犯罪レート(強盗114.2倍)と USドル経済(医療費は米国式)。パナマシティの私立病院(Hospital Punta Pacífica、Hospital Nacional等)は中南米上位水準で、米国系列病院もあります。が、その分保険なしの自費診療は数百万円単位で、米国(マイアミ)への医療搬送が必要なケースでは1,000万円超もあり得ます。
パナマ単独の保険会社支払事例は公開されていませんが、中南米地域の参考額として、SBI損保のアフリカ・中南米事例にはペルー脳梗塞医療搬送1,144万円、ジェイアイ傷害火災にはペルーで高山病から重症化し1,654万円の事例があります。パナマでも交通事故・銃撃巻き添え・デング出血熱・心筋梗塞→マイアミ搬送いずれも1,000万円超は十分起こり得ます。
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