ドミニカ共和国はカリブ最大級リゾート・プンタカナを抱える観光大国。一方で在ドミニカ共和国日本国大使館の「安全の手引き」(2024年12月改訂)は冒頭から「最近は拳銃や刃物などを使用した強盗や殺人事件など非常に多発しています」と書いています。「中南米諸国の中では比較的良いと言われていました」という過去形が、今のDRの治安を象徴している言葉です。
Travel Alert 01
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危険レベル --- 全土レベル1、ハイチ国境は別物
外務省はドミニカ共和国本土をレベル1(十分注意)に設定。全土に渡航中止勧告が出ているわけではありませんが、隣接するハイチがレベル4(退避勧告)で、両国の国境付近では密入国の取締強化と検問が日常化しています。
ハイチはレベル4(退避勧告)が発出されているため、渡航は止めてください。(参考:4月現在、ハイチとの国境(空路、陸路など)は閉鎖されています。)
外務省はこのように明記。「カリブの島はゆっくり巡りたい」と陸路でハイチへ移動するのは現状不可能で、検問で密入国者と疑われ身柄拘束された邦人の事例も2004年にあります。
拳銃強盗が首都圏全域で日常化
DRの治安で最も深刻なのは、サント・ドミンゴ首都圏全域で昼夜問わず拳銃強盗が起きていること。在ドミニカ共和国日本国大使館は犯罪多発地域として首都圏の具体的な地区名を列挙しています。
- サント・ドミンゴ首都圏東部・北部: オサマ川沿い、グアレイ、グアチュピタ、カポティージョ、ロス・グァンドゥーレス・ビジャファナ、クリストレイ、ロスプラドス地区
- 北サント・ドミンゴ市: ビジャメジャ・サバナペルディダ地区
- 西サント・ドミンゴ郊外: ロス・アルカリソス市(拳銃を奪うために警察官を殺害する事件まで発生)
- ボカチカ市: 首都圏から近い観光地。公共交通機関内に拳銃所持の犯人が乗り込んで乗客を強奪
- 第2の都市サンティアゴ: 麻薬抗争で警察との銃撃戦に市民が巻き込まれる
サント・ドミンゴ首都圏全域で昼夜を問わず、特に夜間に拳銃等を使用した強盗事件や路上でのひったくり事件が発生しています
外務省のこの一文は冗談ではありません。犯罪の8割にバイクが使用されており、2人乗りバイクが近づいてきたら警戒すべきというのが現地のルール。中南米全般で抵抗は命取りで、ペルーの拳銃強盗・メキシコの強盗と同じく「絶対に抵抗しない」が大使館の繰り返しの呼びかけです。手口の詳細はサント・ドミンゴのスリ・ひったくり・強盗で。
リゾート地でも強盗・窃盗 --- プンタカナ・プエルトプラタ
「オールインクルーシブのリゾートに籠もるなら安全」というのは半分正解で半分間違い。
近年の治安の悪化は、国内全域に広がっており、プンタカナやプエルトプラタなどの外国人観光客が多く集まるリゾート地域においても強盗事件が発生し、ホテル客室内やビーチなどで窃盗事件が発生しています
実際の被害事例として、リゾートホテル滞在中に部屋の清掃作業終了後に、無施錠のスーツケースから現金を盗まれたケースを大使館は記録しています。客室金庫の使用と、ビーチでも貴重品から目を離さないのが基本対策です。
邦人被害事例 --- 2024年は強盗・置き引き両方発生
大使館「安全の手引き」が記録する直近の邦人被害は次の通り。
- 2024年(強盗): 午後6時頃、日本人旅行客がラス・アメリカス空港付近を徒歩で移動中、バイク2人組の強盗に拳銃を突きつけられ、財布・携帯電話・ノートパソコン等を強奪
- 2024年(置き引き): 首都圏ホテル内レストランで朝食中、見知らぬ女性に話しかけられた隙にテーブル上のルームキーが盗まれ、部屋に戻るとカバン(現金・クレジットカード等)が盗難
- 2023年(窃盗): 昼間、首都圏の横断歩道を渡っていたところ、後方からバイクにカバンをひったくられ転倒・軽傷
- 2023年(窃盗): 夜間、自宅2階の換気用に開けた窓から空き巣侵入、携帯電話と現金が盗難
ラス・アメリカス空港周辺を「徒歩で移動」しているケースが拳銃強盗に直結している点に注意。空港から市内への移動はホテル送迎または配車アプリが鉄則です。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
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公共交通の落とし穴 --- 乗合タクシー・乗合バス・バイクタクシー
DRの公共交通は、料金は安くても犯罪リスクが高い。大使館は名指しで利用を避けるよう書いています。
- カロプブリコ(乗合タクシー)/ グアグア(乗合バス): 急停車・脇見運転による接触事故が多発、混雑車内ではスリ被害、利用は避ける
- バイクタクシー: 事故・犯罪のリスクが非常に高い、利用は避ける
- 地下鉄・ロープウェイ: 警察等で一定の安全確保。ただしバリオ(低所得者居住区)にも駅があるため利用区間に注意
- ホテルのハイヤー: 料金メーターなし、乗車前に行き先料金の確認必須
- 比較的安全: 電話で呼ぶ無線タクシー、Uberなどのライドシェア
カロプブリコやグアグアの車内に拳銃を持った犯人が乗り込んで乗客を強奪する事件もボカチカ等で発生しています。料金100ペソ程度を惜しんで、ライドシェアより圧倒的に高いリスクを背負うのは割に合いません。
カード犯罪・ATMスキミング
ドミニカ共和国はクレジットカード・キャッシュカードのスキミング被害が継続発生中。
クレジットカードの使用は主要ホテルなど信頼できる場所以外ではなるべく控えるとともに、レシート(領収書)は確実に保管し、定期的に利用状況を確認するようにしてください
外務省はこう書いています。露店や小規模商店でのカード提示は避け、ATMはホテル内・大型銀行支店内のものを使うのが安全側。詳しい手口はサント・ドミンゴの詐欺・ぼったくりで。
昏睡強盗(チラシ手口) --- DR独自の警戒ポイント
大使館「安全の手引き」がDR固有の手口として警告するのが、特殊な薬品を染みこませたチラシを使った犯行。
特殊な薬品を染みこませたチラシを通行人に渡し、気を失わせ、金品を奪う他、性犯罪に巻き込む等の事件が発生しているので注意する
コロンビアのエスコポラミーナやペルー・ミラフローレスのバーでの昏睡強盗と同様、薬物を使った無抵抗化が中南米共通の手口。路上で渡されるチラシを素手で受け取らない、受け取っても顔の近くに持っていかないのが防御策です。詳しくはサント・ドミンゴの睡眠薬強盗で。
麻薬犯罪 --- DRは中継地、持ち込みは厳罰
ドミニカ共和国は南米から米国・欧州への麻薬密輸ルートの一大中継地。法定刑が極めて重く、軽い気持ちは命取りです。
- 営利目的所持: 禁固30年および罰金100万ペソ
- 単純所持: 禁固2年および罰金2,500ペソ
- 空港税関では風邪薬等の医薬品でも多量に持ち込むと違法薬物の疑い
持病の薬を持参する場合は箱入りのまま、英文または日本語の処方箋を携帯するのが推奨。「他人の荷物を預からない」「見知らぬ人から渡された包みを運ばない」も中南米共通のルールです。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
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交通事故 --- 10万人あたり65人で2023年世界1位
DRで最も命に関わるリスクは、強盗より実は交通事故。
ドミニカ共和国は、10万人あたりの交通事故死亡者数が多い国(10万人あたり65人、2023年度世界第1位)
大使館はこう書いています。信号無視・逆走・無理な割り込みが日常で、首都圏でも横断歩道がほとんど機能していません。2023年にはサント・ドミンゴ市内で横断歩道を渡っていた邦人がバスと接触する事故も発生。歩行者優先の概念がない国だと割り切って、自分の目で車両走行を確認するのが安全側です。
医療事情 --- 首都とサンティアゴ以外は限定的
首都サント・ドミンゴでは、医療施設の整っている病院(私立病院)もありますが、地方ではサンティアゴ市を除き、それ程整備されていません。病気、怪我の程度によっては首都で治療を受ける必要があります
外務省はこう明記。プンタカナのリゾート地は私立クリニック中心で、重症は首都への搬送が前提です。私立病院は前払いが基本で、海外旅行保険のキャッシュレスサービスがないとそのまま治療を受けられないリスクもあります。
DR独自の保険会社支払事例は公表されていませんが、同地域の参考額として、ペルーで高山病から敗血症で25日入院・1,654万円(ジェイアイ傷害火災)、脳梗塞で医療搬送1,144万円(SBI損保)という事例があります。中南米の私立病院での重症対応は同水準と想定して備えるのが安全側です。
感染症 --- デング熱・マラリア・チクングニア・ジカ
外務省は次の感染症を警告。
- デング熱: 1年を通して感染、皮下出血や臓器障害で重症化し死亡することもある
- マラリア: 発生数に変化なし、流行地域では予防対策必須
- チクングニア熱・ジカ熱: 流行は沈静化しているが警戒継続
- コレラ・腸チフス・A型肝炎: 衛生面の配慮で予防
- アメーバ赤痢・鉤虫感染症・ジアルジア症: 寄生虫症も発生
水道水は飲料不適、ボトル入りのみ。生・半生の食品は避け、屋外では昆虫忌避剤(DEET・ピカリジン配合)を使用するのが基本です。
ハリケーン・地震
DRはハリケーン・シーズン(6月〜11月)に直撃を受けるリスクがあります。外務省は2025年5月30日付で「ハリケーン・シーズンに伴う注意喚起」を発出。気象情報の確認とホテルの避難計画把握が渡航中の習慣として必要です。
地震については、隣国ハイチで2010年・2021年に大規模地震が発生しており、DR本土も影響圏。建物の耐震強度は日本ほどではないため、揺れを感じたら直ちに屋外の落下物を避けられる場所への移動が大使館の指針です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
ハイチからの不法移民問題
近年のハイチ情勢悪化で、DR治安当局は数千人規模の軍隊を投入し国境警備を強化中。アビナデル大統領は2024年10月に週1万人の不法入国者の強制送還を発表しましたが、それでも不法入国は後を絶ちません。2022年にはDRからハイチへ向かうバスの乗客17名(外国人6名含む)が誘拐される事件も発生しています。
国境地帯への単独旅行は避け、ハイチとの陸路移動は現状不可能と理解しておくこと。
通信手段
ホテル・空港のWi-Fiはあるものの、移動中の連絡手段としてeSIMは必須。Uberの呼び出しや大使館への緊急連絡で「ネットがない」状況は致命的になり得ます。出発前に海外eSIM比較で旅行先に合ったプランを準備しておこう。
緊急連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・消防・救急(主要都市部) | 911 |
| 国家警察本部 | (+1-809) 682-2151 |
| 私立救急車(SOS Ambulancia 首都圏) | (+1-809) 530-4646 |
| 在ドミニカ共和国日本国大使館 | (+1-809) 567-3365 |
| 外務省 領事局 海外邦人安全課(日本) | +81-3-5501-8160 |
緊急通報「911」は主要都市部のみで地方の県では未導入。サント・ドミンゴやサンティアゴ以外では国家警察本部または直接病院の救急に電話することになります。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ドミニカ共和国は「カリブのリゾート」と「中南米の犯罪多発国」の二面が同居する国。プンタカナでも盗難・強盗、サント・ドミンゴでは拳銃強盗、地方では医療不足。私立病院は前払い前提でキャッシュレス対応病院は限定的、重症化時は首都への搬送費が積み上がります。中南米の海外旅行保険で補償内容を確認しておこう。