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スウェーデンの治安 銃撃・爆発が続くギャング抗争【2026】

スウェーデンの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在スウェーデン日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

スウェーデンと聞くと「IKEAとH&Mと福祉国家、つまり安全」というイメージで行く人が多いと思います。実際に外務省の危険情報も全土で出ていません。ただ、在ストックホルム日本国大使館の「安全の手引き」(2025年2月版)は冒頭でこう書いている国です。「近年はギャング等の反社会的集団同士による抗争等に伴う発砲事件や爆発事件が増加傾向にあります」――2024年だけで発砲298件・爆発317件(予備・未遂含む)、2025年2月にはエレブルー市の学校で自動小銃の乱射により10名が死亡しました。観光客が直接狙われる犯罪ではないけれど、駅・公園・大通り・店舗・アパート入口といった「普通の場所」で起きるのが現代スウェーデンの特徴です。

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危険レベル --- 全土で危険情報なし、でも油断は禁物

外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。感染症危険情報もスポット情報もスウェーデン固有のものはありません。広域情報としては欧米等でのテロ等に関する注意喚起、違法薬物(大麻等)の密輸に関する注意喚起、特殊詐欺・闇バイト、感染症(麻しん・MERS・エムポックス・チクングニア・ジカ・デング・ポリオ等)が継続発出されています。

こうしたことから、一般に「治安が良い」と認識されているスウェーデンですが、犯罪に対しては油断することなく、十分に警戒することが必要です。

外務省・安全対策基礎データの一文。日本人がイメージする「北欧=安全」の感覚は更新が必要です。

犯罪統計の全体像 --- 殺人率は日本の約5倍

スウェーデンの2023年の警察等への通報件数は約151万件、人口10万人あたり約1.4万件。同年の犯罪統計を在ストックホルム大使館の手引きから抜き出すとこうなります。

形態 / 年202120222023
窃盗・強盗388,198392,744381,041
暴行・傷害等82,39184,01186,466
性犯罪27,63924,65624,278
殺人等(うち銃器)113(45)116(63)121(53)
殺人未遂9931,0161,329
爆発175196392
合計1,480,5581,477,4701,511,882

国連薬物犯罪事務所(UNODC)の統計によれば、故意の殺人の人口10万人当たりの被害者数は、2021年の数値で日本が0.23人、スウェーデンが1.11人にのぼります。

ざっくり日本の約5倍。性犯罪と殺人未遂は2023年に急増していて、爆発に至っては前年比2倍です。

スウェーデン固有の主柱 --- ギャング抗争の銃撃と爆発

ここがスウェーデンを語る上で外せない部分です。違法薬物取引を巡るギャング間の抗争が、ストックホルム県・ヴェストラ・ヨータランド県(ヨーテボリ所在)・スコーネ県(マルメ所在)の都市部近郊で激化しています。

一般市民を直接の標的としたものではありませんが、誤って銃撃されたり、標的の近隣住民が爆発に巻き込まれたり等、実際に被害が及んでいる事例がありますので、併せご留意ください。

外務省・安全対策基礎データの警告。「直接狙われない」けれど巻き添えのリスクは現実です。在ストックホルム大使館の手引きが挙げている2024年の一般市民巻き込み事例だけでもこれだけあります。

  • 2024年4月10日:ストックホルム市内の歩行者用地下道で、12歳の子供と歩いていた39歳の父親が銃撃を受け死亡。被疑者の18歳少年は被害者と面識なし
  • 2024年7月22日:セーデルテリエ市の食料品店に手榴弾が投げ込まれ、55歳の女性客が重傷
  • 2024年9月21日:イェーブレボリ県サンドヴィケン市のパブで男性2人が銃撃されて死亡。敵対するギャングを狙った犯行
  • 2025年2月:エレブルー県エレブルー市の成人教育及び移民向け語学学校で、自動小銃を所持した男が銃乱射、10名が死亡、6名が負傷

発砲・爆発の件数推移はこうなります。

発砲(うち死亡)爆発(予備・未遂含む)
2023年368件(54件)351件
2024年298件(44件)317件

同じギャング絡みの銃撃事案は隣のデンマーク・コペンハーゲンのノアブロ/クリスチャニア地区でも報告されていて、北欧3国の都市部に共通する構造です。スウェーデン警察は犯罪の影響を受ける地域を3段階に区分しています。軽い順に「犯罪の影響を受ける地域(Utsatt område)」「リスク地域(Riskområde)」「特に犯罪の影響を受ける地域(Särskilt utsatt område)」。これらの地域では凶悪犯罪の発生率が他より高く、観光客が用もなく入る場所ではありません。安宿の所在地は地区名で確認してから予約するのが無難です。

スリ・置き引き --- 日本人の被害は「ほぼこれ」

ギャング絡みの凶悪事件は巻き込まれリスク。一方、観光客が実際に毎日遭うのはスリと置き引きです。在ストックホルム大使館の手引きが具体名で挙げている被害多発場所はこんな並びです。

  • 空港、ストックホルム中央駅、地下鉄駅構内、列車、フェリー
  • 旧市街(ガムラスタン)、ヴァーサ号博物館などの観光スポット
  • ホテルのロビー、レストラン、デパート
  • バー・クラブなど酒類提供の繁華街

外務省が紹介している実際の日本人被害例:

ホテルでビュッフェ形式の朝食の最中、友人が同じテーブルに座っていたため安心してバッグをイスに残したまま食事を取りに行き、座席に戻ったときにはバッグがなくなっていた。

旧市街(ガムラスタン)の混雑する店内でお土産を選んでいたところ、会計時、閉まっていたはずのリュックサックのチャックが開いており、中に入っていた財布がなくなっていた。

市街地を散策中、男とすれちがいざまに鞄をひったくられた。男は路上に待機していた仲間の車両に乗り込み逃走した。

「ホテル朝食ビュッフェ」「ガムラスタンのお土産屋」「すれ違いざまのひったくり+逃走車」――どれも一瞬の油断で起きます。

TESTIMONY · 旅行者A
ホテルの朝食で、友人が同じテーブルにいたから安心して料理を取りに行ったんです。戻ったらバッグごと消えていました。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(スウェーデン)

ストックホルム中央駅ではエレベーター内で3人組に挟まれて鞄から財布を抜き取られる手口、ホットドッグのケチャップを服に付けて拭くフリで気をそらす手口、ガムラスタンではニセ警官が「麻薬を財布に隠していないか確認したい」と財布を渡させて持ち逃げする手口など、ヨーロッパ共通の「気をそらす系」がそのまま現役で動いています。

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テロ脅威 --- コーラン焼却で一時最高水準、現在は3段階目

スウェーデンのテロ脅威レベルは5段階中の3段階目(増大した脅威)。2025年5月23日に4段階目(高い脅威)から引き下げられたばかりです。

これは、2023年に国内で相次いで開催されたコーラン焼却集会などへの反発として高まっていたスウェーデンを標的とするテロ攻撃の脅威が沈静化したことによるものです。

外務省・テロ・誘拐情勢から。実際に過去にはこんな事例があります。

  • 2017年4月:ストックホルム市中心部でトラックがデパートに突入、5名死亡・多数負傷。実行犯はISIL思想の影響
  • 2023年10月:ベルギー・ブリュッセルでサッカー観戦中のスウェーデン人サポーターを標的にしたテロで2名死亡・1名負傷
  • 2024年1月・5月・10月:イスラエル大使館やイスラエル関連企業に対する手榴弾投げ込み・銃撃が連続発生
  • 2024年:4人の男がISISからユダヤ人を主標的に「できるだけ多くの異教徒を殺すよう」指示を受けたとして、テロ犯罪準備容疑で逮捕・起訴

シリア・イラクからの帰還戦闘員、ローンウルフ型テロのリスクが指摘されています。観光地・駅・空港・宗教施設は標的になりうる場所です。

違法薬物 --- 軽い気持ちで10年の拘禁刑

スウェーデンは薬物に厳しい国です。

法律により、麻薬類は使用、所持、譲渡、輸出入等が禁止されており、違反者に対しては厳罰が科されます(日本人旅行者が麻薬を持ち込み、10年の拘禁刑の判決を受けた例もあります)。麻薬の種類により刑罰の重さが異なることはありません。軽い気持ちで誘いに乗ることが重大な結果を招くことになりますので、絶対に関わらないでください。

外務省・安全対策基礎データの警告。マリファナでも10年拘禁刑、薬物の種類で刑罰は変わりません。隣のオランダのリベラル運用とは正反対です。空港やホテルで「荷物を預かって」と頼まれたら絶対に断る――これは外務省が継続発出している広域情報「違法薬物(大麻等)の密輸に関する注意喚起」の主柱でもあります。

タクシー --- 料金がメーター会社で違う、流しは避ける

スウェーデンのタクシーは料金が会社ごとに異なります。

料金メーターの設定がタクシー会社によって異なるため、同じ区間を乗車しても料金に差が生じることがあります。ただし、アーランダ空港、ストックホルム市内は単一料金としている場合もあります。

タクシーは、黄色のナンバープレートで、屋根に会社のマークがついているので、必ず確認してください。営業許可を得ていない、いわゆる「白タク」では、法外な料金を請求されたり、強盗・暴行などのトラブルが発生する可能性が高いので、利用しないようにしてください。

正解はホテルやレストランから呼んでもらうか、乗車前に料金確定のできる配車アプリを使うこと。流しを拾わない。深夜の地下鉄や郊外電車もできる限り避けるのが大使館推奨です。

医療事情 --- 住民登録がないと全額自己負担

スウェーデンの医療水準は高いけれど、旅行者にとっての落とし穴があります。

当地の医療施設や医療技術の水準は一般的に高い一方で、緊急の場合を除き予約受診が必要であり、直ちに診察予約するのは容易ではありません。救急外来診療においても緊急度を考慮の上で公平に優先順位づけされるため、重症者以外は診察まで3から5時間待たされる場合も多くあります。

医療費は、多くの場合、内科診察費2,000から5,500クローナ程度(救急外来は高額)、歯科検診・治療で2,000から4,000クローナ程度の経費がかかります。住民登録のある方の医療費は高額になりませんが、旅行者、出張者、留学生等の1年未満の短期滞在者を含む、住民登録のない方は全額自己負担となります。

外務省「世界の医療事情(スウェーデン)」より。1年未満の滞在者は公的医療の恩恵ゼロ、全額自己負担です。1クローナ ≈ 14円換算で、内科の診察だけで2.8万〜7.7万円。救急外来や入院が絡むと一気に跳ね上がります。

医療相談は1177(24時間体制の公的サービス、英語可)。緊急時は112。ストックホルムの主要救急病院は Karolinska sjukhus(ソルナ/3次救急)、Karolinska Huddinge、Danderyds、S:t Görans、Söder sjukhuset、小児は Astrid Lindgrens Barnsjukhus です。

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高額医療費の参考事例 --- 同地域のスイス・オーストリア借用

スウェーデンには保険会社の独立した支払事例ページがありません。同じ高物価ヨーロッパ枠として、スイス・オーストリアの事例を参考に挙げます。

内容入院日数金額
オーストリア:地下鉄エスカレーターで転倒、頭部外傷・骨盤骨折・チャーター機医療搬送24日1,582万円
スイス:バスルームで転倒、腰椎破裂骨折・看護師付添医療搬送12日1,269万円
スイス:歩行中転倒・橈骨遠位端骨折・大腿骨頚部骨折18日1,183万円
オーストリア:ホテルで頭蓋骨骨折・脳内出血16日993万円
オーストリア:コンサート中に貧血嘔吐から肺炎11日840万円
スイス:大葉性肺炎・中耳炎、医師付添搬送18日701万円
スイス:スキー場リフト3m落下、大腿骨骨折10日700万円
スイス:ハイキング中転倒、脛骨腓骨骨折・ヘリ搬送13日688万円

スウェーデンは住民登録なしの旅行者は全額自己負担で、医療水準・物価ともにスイス・オーストリアと同等以上。地下鉄エスカレーターで転んで1,582万円――特別なアクシデントではなく、誰にでも起きうる事故です。クレジットカード付帯保険の治療救援費上限(300万〜500万円)では足りません。

入国条件 --- シェンゲン圏、450クローナ/日の資力証明

スウェーデンはシェンゲン協定国。短期滞在は90日以内ならビザ免除ですが、入国時に揃えておくべき条件があります。

①シェンゲン圏を出る時において少なくともパスポートの残存期間が3か月あること、 ②90日以内に帰国するために有効なチケットを所持していること、 ③スウェーデンでの滞在先となる家族又は友人からの書面による招待があること若しくは滞在先の予約確認書を所持していること、 ④滞在中及び帰国のために必要な生活費を所持していること(原則としてスウェーデンでの滞在1日当たり450スウェーデン・クローナ。入国審査時に審査官から求められたら銀行口座の預金残高を見せる等、資力があることを証明する必要があります。)

シェンゲン領域内を対象地域とする最低30,000ユーロを補償する海外旅行保険に加入することが推奨されています。

ホテル予約画面のスクリーンショットを携帯にとっておけば③はクリア。保険3万ユーロ補償は推奨ですが、付帯保険でこの条件を満たす場合もあるので出発前に確認しておきましょう。シェンゲン圏内の移動でも、スウェーデン・ドイツ・オーストリア・ノルウェー・デンマークは国内安全対策強化のため域内国境管理を再導入しているので、パスポートの携行は必須です。

キャッシュレス文化 --- 現金が使えない店も多い

スウェーデンは世界有数のキャッシュレス先進国。

当地は日本以上にキャッシュレス化が進んでおり、店舗によっては現金による支払いを受け付けていない場合もあります。当地を訪問する際はICチップ付クレジットカード/デビットカードを準備しておくと、こうしたキャッシュレス決済時に便利です。

両替してクローナ現金を持って行ってもそもそも使えない店があるレベル。出発前にICチップ付きのクレカを用意して、紛失時の連絡先(カード会社番号)もメモしておきましょう。逆にカードリーダーの表示額をよく確認せずタッチ決済→後から多額請求という詐欺もあるので、決済時は金額を必ず確認すること。

衛生・健康 --- ダニ脳炎、毒きのこ、冬の日照不足

意外なリスクとして自然系があります。

  • ダニ脳炎:マダニに咬まれて発症する感染症。市内観光ではリスク低だが、湖畔・森でのキャンプや郊外散策ではワクチン接種推奨
  • 毒きのこ:秋のきのこ狩りは要注意。誤食したらスウェーデン毒物情報センター(010-456-6700)または112へ
  • 日照不足:例年10月中旬〜2月は曇天が続き、日照時間不足で精神的な健康障害が報告される。冬旅行は短期間でも気分の落ち込みを覚悟

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危機備え --- シェルターと「危機や戦争が到来したら」パンフ

スウェーデン政府は民間緊急事態庁(MSB)を通じて住民に災害・危機への備えを呼びかけています。在ストックホルム大使館も「危機や戦争が到来したら」と題するMSBパンフレットを紹介していて、シェルターの位置確認を推奨しています。

戦時にはシェルターに避難する必要も生じますので、近辺のシェルターの位置を確認しておいてください。また、空襲警報が発報している場合には、速やかに最寄りのシェルター又は代替の避難先として地下トンネル、地下鉄駅等に逃げ込む必要があります。

旅行者がシェルター位置まで暗記する必要はないけれど、滞在ホテル周辺の地下鉄駅は避難先として使えることは覚えておいて損はありません。

安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと

  1. 海外旅行保険は治療救援費1,000万円以上。同地域事例で1,582万円のケース、住民登録なしは全額自己負担
  2. ICチップ付クレカを必ず持参。スウェーデンは現金が使えない店が多い
  3. パスポートのコピー+カード会社の連絡先を別管理。紛失・盗難時の停止が即実行できる体制
  4. 「コートにケチャップが付いた」「写真を撮って」は無視。気をそらすスリの定番
  5. 流しのタクシーを拾わない。配車アプリかホテル経由
  6. 薬物の誘いは絶対に乗らない、荷物を預からない。10年拘禁刑のリスク
  7. ストックホルム周辺・ヨーテボリ周辺・マルメ周辺の郊外は地区名を確認してから宿を決める

緊急時の連絡先

機関電話番号
警察・消防・救急(EU共通)112
緊急事態情報113 13
緊急時以外の警察114 14(国外:+46-77-114-14-00)
健康相談(24時間・英語可)1177
毒物情報センター010-456-6700
在スウェーデン日本国大使館08-5793-5300(国外:+46-8-5793-5300)

スウェーデン語・英語が両方通じるため、緊急時の言語のハードルは低めです。

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海外旅行保険の備え

スウェーデンは住民登録のない旅行者は医療費全額自己負担。同地域のスイス・オーストリア事例では転倒1件で1,582万円・1,269万円と4桁万円の請求が複数出ています。クレカ付帯保険の上限300万〜500万円では足りません。シェンゲン圏入国推奨の3万ユーロ補償(≈480万円)を満たすかどうかも出発前に必ず確認を。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。

主要都市の治安情報

出典