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フィンランドの治安 窃盗急増とニセ警官の手口【2026】

フィンランドの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在フィンランド日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

フィンランドは外務省の危険情報・感染症危険情報・スポット情報がすべて「発出なし」の国。世界幸福度ランキングの常連で、オーロラとサウナとムーミンの国。ヘルシンキからフェリー2時間でエストニア・タリンへ日帰りできるため、両国セットで動く旅程も多いです。それでも2025年(速報値)の刑法犯総数は54万7,720件で増加傾向、窃盗は14万7,943件で前年の13.1万件から大幅増です。レストランで足元にカバンを置いたら消える、夜のヘルシンキ中央駅で薬物使用者に絡まれる、冬の凍結路面で転倒して骨折する――こういう被害が淡々と起きている国でもあります。

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危険レベル --- 発出なし、でも「ノーガード」が一番危ない

外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。感染症危険情報もスポット情報もありません。広域情報として中東情勢関連やテロ・薬剤耐性菌・デング熱などの汎用注意喚起が出ているだけです。

ただし「発出なし=完全に安全」ではない。フィンランド治安警察はテロ脅威を5段階の下から3番目「高まっている(elevated)」と評価しています。2023年7月には極右過激派4名が3Dプリンタで銃器(FGC-9)を作成しテロを企図した容疑で摘発され、同年10月に拘禁刑判決が出ました。日本人が標的になった事例は確認されていませんが、ゼロリスクの国ではないことは押さえておきたいところです。

犯罪の全体像 --- 統計が示す「観光客が遭うやつ」の増加

C2-handbook(在フィンランド大使館「安全の手引き」2026年3月版)が引くフィンランド統計局のデータでは、2025年速報値はこうなっています。

犯罪種別件数
刑法犯総数547,720件
窃盗147,943件
強盗2,444件
暴行44,550件
飲酒運転14,906件
薬物犯罪26,258件
過失致死・殺人84件

刑法犯は2021年の49.2万件から右肩上がり。窃盗は2024年の13.1万件から2025年速報で14.7万件と一気に増えています。

2024年のフィンランド国内全体の刑法犯認知件数は約52万件であり、人口10万人当たりの刑法犯認知件数は日本(約74万件(2024年度))の約16倍に上る。顕著な治安悪化は見られないものの、若者による犯罪の増加や薬物問題が取りざたされています。また、ヘルシンキの一部地域では空き巣や万引き、人気観光地でのスリ被害も増加しており、警察は監視を強化しています。

人口556万人で年52万件、人口比で日本の16倍。これがフィンランドの素の数字です。隣のスウェーデンは殺人率が日本の約5倍ノルウェーは人口比で窃盗が日本の約5倍で、北欧3国はそろって「先進国だから安全」のイメージから外れた数字を出しています。

ヘルシンキの「定番の盗まれ方」

外務省の安全対策基礎データはこう書いています。

夏季や冬季の観光シーズンには、ヘルシンキなどの都市部において窃盗(置き引き・スリ)事案が多数発生しています。

大使館「安全の手引き」が挙げる日本人被害事例も具体的です。

レストランにおいて、座席にカバンを置いたまま、料理を取りに行った。座席に戻ったとき、カバンが窃取(置き引き)されていることに気付いた。置き引きは、毎年、旅行者の被害として一番多い事例です。

マーケット広場において、リュックサックを背負いながら買い物していた。ホテルに戻ってリュックサックを開けたとき、中身(財布、カメラ等)が盗まれていることに気付いた。

レストラン置き引きと、リュックを背負ったまま歩くスリ。これがフィンランドの2大定番です。空港、駅、公共交通機関、繁華街、マーケット広場、ホテルロビー、レストラン――要するに旅行者がいる場所すべてで発生しています。

TESTIMONY · 旅行者A
マーケット広場でリュックを背負ったままお土産を選んでいたら、ホテルに戻ってから財布とカメラがなくなっていることに気づきました。背中だと開けられても全然分からないんですね。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ヘルシンキ大使館「安全の手引き」2026年3月版 日本人被害事例を基に構成

ヘルシンキ市内の詳しい多発エリア(中央駅・ソルナイネン駅・マーケット広場)と手口はヘルシンキの治安と多発エリアで詳しく扱っています。

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ニセ警察官と特殊詐欺 --- 「IDカードはサイトで確認できる」

フィンランドで覚えておきたいのがニセ警察官の手口。外務省はこう注意喚起しています。

私服の薬物捜査官と称する人物や偽の制服を着たニセ警察官が、観光中の日本人を呼び止め、所持するバッグや財布の中を調べるふりをして、金品やクレジットカードを抜き取る事件も発生しています。本来、警察官が路上等で財布の中身(所持金)を調べたりすることはありません。

イタリアスペインで多発する偽警官と同じ構造で、ヨーロッパ共通の手口です。本物の警察官のIDカードはフィンランド警察ホームページ(poliisi.fi/en/badge-and-uniform)でデザインを確認できるので、怪しいと思ったらその場でスマホで照合する、または「警察署で対応します」と言って距離を取るのが正解。

特殊詐欺もじわじわ増えていて、外務省はこう書いています。

街中で声をかけてきた人物と親しくなり、金銭を貸してほしいと頼まれたので連絡先を交換したものの、その後は音信不通になるという事例があります。

近年は、フリマアプリで出品者から商品のみをだまし取ったり、郵便局や銀行を名乗って銀行口座の暗証番号を盗み取る特殊詐欺が増加し、フィンランド警察は注意を呼びかけています。

「優しそうな人だから貸した」が一番危ない。初対面の相手にお金を渡すシチュエーションそのものを断るのが鉄則です。

夜間の繁華街・ヘルシンキ中央駅周辺は避ける

外務省と大使館がはっきり名指ししているのが夜間の中央駅エリア。

駅や繁華街等では夜間にギャンググループ、薬物使用者、酩酊者等が出没し、刃物や銃器による事件が発生しています。

夜間は繁華街や公共交通機関等で酔っ払い、薬物使用者に声をかけられ、トラブルに巻き込まれることがあるため、挙動がおかしい人物には近づかず、一人で出歩かないこと。特に夜間のヘルシンキ中央駅、ソルナイネン駅周辺は避けてください

冬季(12月〜3月)は南部首都圏でも午後3時頃から翌午前9時頃まで夜間状態。「夕方」の感覚で歩いていても、実態は深夜の人通りという日が3ヶ月続きます。夜の単独行動はホテルからの近距離に限定。中央駅は便利な拠点ですが、20時以降は周辺の薄暗い通りに用がないなら早めに宿へ戻りましょう。

医療費は全額自己負担 --- 緊急電話「116117」を覚えておく

旅行者にとってフィンランドの医療は基本的に高額です。

外国人旅行者や短期滞在者が病院を受診する場合は、基本的に全額私費診療となります。概して医療費は高額で、受診に際してかなり高額の医療費を覚悟しなければなりませんので、渡航前に海外旅行傷害保険への加入を強くお勧めします。

国民皆保険(Kelaカード)の対象は1年以上居住者だけ。観光客は私立・公立どちらでも全額自費です。緊急時は緊急電話112(警察・救急・消防共通、英語可)か、MEDICAL HELPLINE 116117(24時間体制、英語対応)に電話する。詳しい医療機関リストや症例別の費用感はヘルシンキの医療事情と高額医療費にまとめています。

参考までに、近隣のヨーロッパ諸国(スイス・オーストリア)で日本人が遭遇した保険会社の支払い事例を見ると、骨折・医療搬送でSBI損保の事例が683万円、ソニー損保の事例が993万円、最高額は地下鉄エスカレーターでの転倒・医療搬送で1,582万円(いずれもスイス・オーストリアの参考事例)。フィンランドも医療費水準・公的医療と私立の二層構造が類似しているため、同じ規模の請求を覚悟しておくべきです。

冬季リスク --- マイナス20℃で公共交通が止まり、転倒骨折が増える

C2-handbookの自然災害セクションはこう書いています。

フィンランドは台風、ハリケーン、地震等の目立った自然災害はありません。しかし、冬季は寒さが非常に厳しくなるため、マイナス20℃を下回ると公共交通機関に影響を与え、遅延や運休が発生することがあります。また、路面が凍結することによって、転倒による骨折等の事故が増加します。

冬が明けてくると、北部の山岳地方では雪崩が発生しやすくなります。バックカントリー・スキーや登山する場合には注意が必要です。また、海や湖の氷が薄くなり、水中への転落事故が発生しやすくなります。

外気がマイナス25℃まで下がる日もあり、外務省「世界の医療事情」も「冬季は外気がマイナス25℃程度まで下がることから歩道が凍結し、転倒による骨折・怪我が多くなります」と明記。室内は空気が極端に乾燥するため呼吸器系疾患も増えます。日照時間が短くなることでビタミンD不足による骨粗鬆症リスクも上がる。

冬に外出する際は上着にリフレクター(反射板)を着けることが推奨されています。事故の場合、リフレクター未着用は不利になることがあると大使館が明記しているほどです。

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自然リスク --- ダニ脳炎・毒ヘビ・トナカイ衝突

森・草むら・湖畔で気をつけたいのがマダニ(プンキ)。

森の中や草むらに入る時は、マダニ(プンキ)や蚊に刺されないように長袖シャツ・長ズボンを着用するなどの工夫が必要です。マダニにかまれた場合、ダニ媒介性脳炎を発症したり、野兎病(ツラレミア)に罹患したりする危険性があります。

ダニ脳炎ワクチンは医療機関と移動ワゴン(Rokote bussi)で接種可能。ベリー摘み・きのこ狩りの際は毒ヘビ被害もあるので長靴推奨。

ロヴァニエミなどラップランド地方を運転する場合はトナカイ・鹿との衝突が現実的なリスクです。

鹿などの大型動物との接触による邦人死亡事故が発生していますので、注意標識がある場所での運転はご注意ください。

詳しくはロヴァニエミ・ラップランド地方の自然リスクで扱います。

法令・禁止事項 --- ロシア国境・軍事施設・喫煙

A2-safetyが明記する禁止事項は3つ。

  • 軍事施設や刑務所などへの立ち入り、これら施設での写真撮影は禁止
  • ロシアとの国境地帯(陸上3km、水上4km)は立入禁止
  • 公共交通機関や飲食店を含む施設の中は原則禁煙

ロシア国境の3kmラインは陸上で歩く範囲だと「気がつかずに越える」距離ではないものの、ハイキングや写真撮影で意図せず近づかないよう注意。

シェンゲン協定加盟国なので、180日内最大90日ルールが適用されます。日本-フィンランド間は二国間査証免除取極があり、観光・親族訪問は90日以内無査証。2025年10月12日からEUの「出入域システム(EES)」が段階的に導入され、2026年4月10日以降は導入国の全国境検問所で運用開始。空港・国境通過の所要時間に余裕を持っておきましょう。

EES全面運用が2026年4月に始まった

シェンゲン圏入国時に顔写真と指紋の電子登録が義務化されました。フィンランドはシェンゲン加盟国なので、ヘルシンキ・ヴァンター空港の入国審査でも対象。乗り継ぎがある場合は時間に余裕を持って予約しよう。

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安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと

  1. 荷物は体から離さない。レストランでは膝の上、リュックは前掛け、椅子の背もたれは×
  2. ニセ警察官に財布を渡さない。本物のIDはpoliisi.fi/en/badge-and-uniformで確認可
  3. 夜のヘルシンキ中央駅・ソルナイネン駅周辺は避ける。20時以降は宿の近距離に
  4. 冬季は反射板必須。マイナス20℃で交通機関は止まり、路面は凍結する前提で動く
  5. ダニ脳炎の予防接種。森・公園を歩く予定があれば渡航前に
  6. 海外旅行保険に加入。医療費は全額自費、骨折・搬送で数百万〜千万円規模を覚悟

通信手段の確保

ヘルシンキ市内なら4G/5Gが安定して入りますが、ラップランドや湖水地方では電波が弱いエリアがあります。スマホが使えないと地図も翻訳も112通報もできない。eSIMの選び方は海外eSIM比較で。

緊急時の連絡先

機関電話番号
警察・救急・消防(共通)112
医療相談ヘルプライン(24時間・英語可)116117
毒物情報センター(24時間)0800-147-111
在フィンランド日本国大使館(ヘルシンキ)+358-9-686-0200
Nollalinja(DV被害者向け無料電話)080-005-005
よりそいホットライン国際電話相談(日本語対応・C1-archive-00182参照)

在フィンランド日本国大使館はUnioninkatu 20-22, 00130 Helsinki。領事窓口は月-金 9:00-12:00 / 13:30-16:30、緊急時は24時間対応。大使館でできること・できないことの整理は外務省・大使館が公開しているので渡航前に一読を。日本語・フィンランド語/英語の通訳・翻訳者リスト、日本語対応医師リスト、救急医療機関リストはいずれも大使館サイトにまとまっています。

「112 SUOMI」アプリを入れておくと、当局発信の危険情報をスマホで受信できます。

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海外旅行保険の備え

ヨーロッパ近隣(スイス・オーストリア)の保険会社支払い事例では、転倒・骨折・医療搬送で683万〜993万円、最高額1,582万円。フィンランドも医療費構造が類似で、全額自費+医療搬送=数百万円〜千万円規模を覚悟する必要があります。クレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限では足りない可能性が高い。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。

主要都市の治安情報

出典