2024年のドイツの犯罪発生件数は約584万件。人口あたりに直すと日本の約12倍です。窃盗が特に多く、スリだけで10万件を超え、首都ベルリンは10万人あたり14,719件と全16州で突出しています。さらに2024年以降は、マクデブルクのクリスマスマーケット車両突入(約300名重軽傷)、ゾーリンゲンのフェスティバル刃物テロ、2025年5月のハンブルク中央駅刃物事件(18人負傷)とテロ事案が立て続けに発生。2024年10月31日からはクリスマスマーケットや長距離列車への刃物持込みが全面禁止になりました。ビール・サッカー・城めぐりの平和なイメージだけで行くと、想定外の事態にぶつかります。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル
外務省の危険情報はドイツ全土で発出なし(感染症危険情報もなし)。ただし「レベルなし=安全」ではなく、日常リスクとしてはスリ・置き引きとテロが2大柱です。外務省の広域情報としてはスキミング・EU出入国新制度(EES)・クリスマスマーケット警戒などが並んでいます。
年間584万件、スリだけで10.7万件
2024年のドイツの犯罪総件数は5,837,445件(連邦警察統計)。前年比1.7%減とはいえ、高止まりの状態です。外務省はこう書いています。
ドイツ連邦警察の発表によれば、2024年のドイツ国内全体の犯罪発生件数は約584万件であり、人口当たりの犯罪発生件数は日本の約12倍に上ります。
州別で見ると、人口10万人あたりの件数はベルリン州14,719件(全州最多)、ハンブルク州11,775件、NRW州(デュッセルドルフ・ケルン所在)7,689件、連邦平均6,995件。一方で南部のバイエルン州は4,218件と他州の半分以下で、同じ「ドイツ」でも都市と州で数字がまったく違います。
窃盗全体は約195万件、うちスリ107,720件。ベルリン州だけでスリが15,943件、NRW州は39,757件。強盗は全国43,194件で、ベルリン州5,121件、NRW州11,698件。日本人の感覚からすると「駅と観光地は常に盗られる前提」で動くのが現実的です。
犯罪種別は、スリやひったくり等の窃盗、強盗や詐欺などといった財産に関わる犯罪がほとんどですが、傷害や暴行(性犯罪を含む)といった身体の安全に関わる犯罪も発生しています。
世界全体の位置づけはGPI 2025のランキング解説も参考にしてください。
ドイツ特有の手口を押さえておこう
在独大使館の「安全の手引き」は、スリ・置き引きの10パターンを手口の名前付きで列挙しています。全部は覚えられなくても、構造は「1人が気を引く→共犯が抜く」。代表的なものだけ押さえておきます。
寄付金・署名スリ(Spendenlisten Trick) --- 路上で「寄付お願いします」「署名を」と親しげに声をかけてきて、応じている間に別の共犯がファスナーを開けて財布を抜く。
ケチャップスリ(Beschmutzer-Trick) --- 銀行ATMから出てきたところで人がぶつかって服にケチャップやアイスをつけ、謝りながら拭いてくれる間に現金を抜かれる。スペインでも同じ手口が急増中です。
ハグスリ(Begrüßungs- und Umarmungs-Trick) --- 見知らぬ人が親しげに挨拶・ハグ・腕に抱きつき、相手をしている間に腕時計や貴重品を取る。
ホテルスリ(Hotel Trick) --- チェックインカウンター・ロビー・朝食会場で、足元に置いたバッグやテーブルの荷物が消える。
高速道路スリ(Autobahn Trick) --- 走行中に後続車からパッシング/クラクション。「煙が出ている」と言われて路肩で停車し車体を確認している間に、車内のバッグが抜かれる。
ICE(長距離特急)の頭上荷物棚からの置き引きも、特にデュッセルドルフ・ケルン地域で多発しています。荷物は頭上ではなく足元か視界の範囲に。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
ニセ警察官強盗にも気をつけたい
私服の薬物捜査官を称する者や偽の制服を着たニセ警察官が、所持していたバッグや財布の中を調べるふりをして金品やクレジットカードを抜き取る事件が発生しています。
観光名所付近・繁華街から外れた道・閑散とした駐車場・日没後の公園で発生。暗証番号まで聞き出して後からATMで現金を引き出される被害もあります。
ポイントは1つ。本物のドイツ警察は路上で財布の中身をチェックすることはない。職務質問する場合でも、制服・私服問わず最初に身分証明書(ベルリンなら熊マーク付き)を提示します。怪しいと思ったらその場で110番に電話して本物かどうか確認しましょう。
大麻合法化の境界線 --- 「闇バイト密輸」で邦人逮捕
ドイツでは2024年4月1日から大麻の所持・消費が合法化されましたが、旅行者が気軽に楽しめる話ではありません。
ドイツでは2024年4月1日から大麻(マリファナ)の所持、消費が合法化されていますが、所持量、使用場所等の制限があり、法令に違反する場合には起訴される可能性があります。
境界線は厳しい。公共の場所での消費制限・18歳未満への譲渡はむしろ厳罰化されています。そして最大の落とし穴は日本への持ち帰り。日本の大麻取締法で処罰されます。
2025年には、ドイツ国内に大麻を密輸しようとしたとして、邦人が逮捕された事件が複数件発生しています。いずれも他人から依頼されて犯行に至ったということであり、いわゆる闇バイトには絶対に応募、加担しないようにしてください。
「ドイツでもらったお土産を運んでほしい」「荷物を預かってくれたら◯万円」。こういう話は100%アウトです。ドイツで合法でも日本の空港で止まった瞬間に人生が終わります。世界の薬物関連法制度は薬物取締り地図でもまとめています。
2024-25年、テロ事案が立て続けに発生
2023年10月のイスラエル・パレスチナ情勢以降、ドイツを含む欧州全体でテロ脅威が高まっています。外務省のテロ・誘拐情勢(2025年6月更新)によれば、ドイツでは以下が続発しました。
- 2024年8月 ゾーリンゲン市のフェスティバル会場で刃物テロ(3人死亡、8人負傷)
- 2024年9月 ミュンヘンのナチス文書センターで銃撃事件
- 2024年12月 マクデブルクのクリスマスマーケットに車両突入(6人死亡、約300人重軽傷)
- 2025年2月 ベルリンのユダヤ人犠牲者記念碑付近で観光客が刃物襲撃
- 2025年2月 ミュンヘンでデモ行進に車両突入
- 2025年5月 ハンブルク中央駅のホームで無差別刃物事件(18人負傷)
テロ等の脅威は現実のものとなっています。(中略)観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
現時点でテロ・誘拐による日本人被害は確認されていませんが、クリスマスマーケットや大規模イベント、中央駅は標的になりうる場所として覚えておきましょう。イベント会場に入ったら非常口と退避ルートを頭の中でシミュレーションするのが大使館推奨の習慣です。テロ脅威はフランスやイギリスでも引き続き高く、隣国オーストリアでも2020年にウィーン銃撃テロが、ベルギーでも2016年のブリュッセル連続テロが発生、隣国ポーランドでは2025年11月にワルシャワ-ルブリン間鉄道で破壊工作が起きて鉄道テロ警戒レベルが3段階目(CHARLIE)に引き上げられている。北欧も例外ではなく、デンマークでは2024年10月にコペンハーゲンのイスラエル大使館付近で手榴弾爆破事案、スウェーデンでは2025年2月のエレブルー学校乱射で10名が死亡している。シェンゲン圏を周遊するなら同じ心構えで動きたい。
2024年10月31日からは武器法の改正で刃物持込み規制が強化されました。大規模スポーツイベント・クリスマスマーケットその他公共イベント・長距離公共交通機関への刃物の持込みは全面禁止です。キャンプ用ナイフや果物ナイフをうっかり鞄に入れたまま長距離列車やマーケットに入ると違反になります。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
その他マナー・法律で引っかかりやすいポイント
放置荷物は爆発物処理班が出動 --- 駅・空港・公園などにスーツケースや段ボールを一時的にでも放置すると不審物扱い。列車や航空機の遅延に発展すると損害賠償+罰金を請求されます。「ちょっとトイレに行く間だけ」はNG。
パスポート携帯 --- 常時携帯義務はないが、官憲から原本の提示を求められた際は指示された場所・時間に提示する義務があります。提示できなければ法令違反。
飲酒運転 --- 血中アルコール0.5‰以上で罰金+免許停止、1.1‰以上は罰金または拘禁+免許取消。自転車も同様で、自転車の飲酒運転でも自動車免許が停止処分になることがあります。
静粛規則 --- 日曜・祝日は終日、平日も午後1〜3時と夜10時〜朝7時は騒音禁止。ホテルや民泊で深夜に騒ぐのは通報対象です。
EU現金申告 --- 1万ユーロ相当以上の現金・金・有価証券を持ち込む/持ち出すときは税関申告が必要。
EES導入(2025年10月12日〜) --- シェンゲン圏の入域時に顔写真と指紋の生体登録が必要になりました。海外の罰金・規制は罰金マップと薬物取締り地図にもまとめています。
医療費の実態 --- 転倒で639万円、心筋梗塞で374万円
ドイツの医療水準は高いですが、旅行者は原則自費で、金額は日本の感覚とは桁違い。保険会社の支払い事例を見てみましょう。
| 内容 | 入院日数 | 金額 |
|---|---|---|
| ホテル浴室で転倒、橈骨神経・橈骨動脈断裂、家族駆けつけ・看護師付添医療搬送 | 10日 | 639万円 |
| 発熱・腹痛→憩室炎、手術、家族駆けつけ・看護師付添医療搬送 | 17日 | 540万円 |
| 体調不良→脳腫瘍、家族駆けつけ・医師看護師付添医療搬送 | 13日 | 388万円 |
| 朝食後の胸痛→心筋梗塞、手術、家族駆けつけ・医師付添医療搬送 | 5日 | 374万円 |
| ホテルのバスルームで転倒、腰椎圧迫骨折、手術、家族駆けつけ | 15日 | 351万円 |
| 自転車を起こそうとして膝蓋骨脱臼、手術 | 3日 | 424万円 |
最高額の639万円は、ホテルの浴室で転んだだけ。転倒→手術→医療搬送で一気に跳ね上がります。クレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限(100〜300万円)ではまったく足りない事例が複数ある水準です。
デュッセルドルフやミュンヘンには日本人通訳のいる開業医・病院もあるので、出発前に情報を得ておくと安心です。詳しい備えはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
通信手段の確保
ドイツ旅行中もスマホが使えないと地図も翻訳も、警察の110番アプリ(Nora)も使えません。現地SIMかeSIMを出発前に準備しておこう。選び方は海外eSIM比較を参照。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察 | 110 |
| 救急・消防 | 112 |
| 緊急医 | 116-117 |
| クレジットカード緊急停止(カード会社共通) | 116116 |
| ADAC車両事故救援 | 089-20204000 |
| 在ドイツ日本国大使館(ベルリン) | 030-210940 |
| 在デュッセルドルフ総領事館 | 0211-164820 |
| 在ハンブルク総領事館 | 040-3330170 |
| 在フランクフルト総領事館 | 069-2385730 |
| 在ミュンヘン総領事館 | 089-4176040 |
110番に通報するとドイツ語で「何が起こったか/場所/通報者の名前」を聞かれます。ドイツ語が不安な場合は簡単な英語でも対応可能。通話できない状況では緊急通報アプリNora(nora-notruf.de)で通報できます。
パスポート再発給や保険請求には、警察の被害届受理証明書(Bescheinigung über die Erstattung einer Strafanzeige)が必要です。オンラインでの届出窓口(portal.onlinewache.polizei.de)もあります。
主要都市のページ
- ベルリン --- 首都、10万人あたり犯罪14,719件で全州最多。U7/U8と中央駅周辺、ユダヤ記念碑の観光客刃物事件
- ミュンヘン --- オクトーバーフェスト、マリエン広場、ナイトクラブ周辺の酔客暴行
- フランクフルト --- 欧州最大級空港、中央駅北東の「凶器携帯規制地区」
- デュッセルドルフ --- NRW州最多犯罪、「日本のファン」声かけ手口、ホテル侵入
- ハンブルク --- レーパーバーン、2025年5月中央駅刃物事件
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ドイツで最高額の医療費事例は639万円。500万円超のケースが複数あり、ヘリや医療搬送が発生すると1000万円台に届きうる距離です。クレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限では不足する可能性が高いので、出発前に必ず補償内容を確認しましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。