2023年、イングランドとウェールズだけで警察に報告された犯罪は約549万件。日本の刑法犯総数の7.8倍です。「紳士の国」のイメージは、犯罪統計の前ではかなり薄い。在英国日本国大使館が把握した窃盗被害は2025年4-6月期だけで44件、うち旅券盗難が30件。つまりほぼ毎週、日本人がスリや置き引きに遭っている計算になります。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル
外務省の危険情報は2026年4月時点で英国全土に発出なし。ただし「危険情報なし=安全」ではありません。テロ脅威度は5段階中3番目の「Substantial(テロ攻撃が発生する可能性が高い)」が継続中で、2017年以降もウェストミンスター橋やロンドン橋、マンチェスターのコンサートアリーナで多数の死傷者を出すテロが発生しています。
犯罪件数549万件、日本の7.8倍
外務省の安全対策基礎データによると、イングランドとウェールズの2023年の犯罪件数は約549万件。スコットランドも約28.9万件。合わせると約578万件で、人口比で見ても日本より犯罪遭遇率がはるかに高い国です。
日本人は「多額の現金を携行している」と見られているため標的にされやすいという指摘もあります。英国居住者は通常少額の現金しか持ち歩かないのに対し、日本人旅行者は財布にまとまった現金を入れている。それだけでスリにとっては「おいしいターゲット」です。
大使館の四半期レポートを見ると、被害件数の推移はこうなっています。
| 期間 | 窃盗件数 | うち旅券盗難 | 詐欺 |
|---|---|---|---|
| 2025年4-6月 | 44件 | 30件 | 7件 |
| 2025年7-9月 | 46件 | 39件 | 12件 |
| 2025年10-12月 | 22件 | 12件 | 9件 |
| 2026年1-3月 | 32件 | 24件 | 6件 |
夏場(7-9月)が窃盗のピークで、旅券盗難が全体の6-8割を占めているのが特徴的です。パスポートの管理が甘いと、盗まれた後の再発行手続きで旅行日程が大幅に崩れます。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
2026年2月からETA(電子渡航認証)が必須
英国渡航で最も注意すべき変更点がETA。2026年2月25日から、ETAを取得していない旅行者は航空会社が搭乗を拒否する厳格な措置が始まっています。
英国政府は、2026年2月25日からETAの取得を英国渡航の必須条件とし、航空会社はETAを取得していない旅行者を搭乗させない厳格な措置を講じる旨発表しています
申請料は20ポンド、審査は英国3営業日以内、有効期間2年間。必ず公式サイトから申請すること。高額な手数料を要求する偽サイトやフィッシング詐欺サイトが確認されています。
テロ脅威度「Substantial」が継続中
英国のテロ脅威度は5段階の上から3番目「Substantial」。これは「テロ攻撃が発生する可能性が高い」を意味します。北アイルランドも同レベルで、隣のアイルランド本土でもダブリンのギャング抗争で銃撃事件が発生しています。
2017年以降、ウェストミンスター橋、ロンドン橋、マンチェスターのコンサートアリーナなど、日本人も利用する公共の場で車両やナイフを使った大規模テロが複数発生しています。2024年8月にはサウスポートで殺傷事件が起き、それをきっかけにSNS上の偽情報から各地で暴動に発展。2025年10月にはマンチェスターのシナゴーグ付近でも事件がありました。
観光地・駅・スタジアムなど人が集まる場所では、常に周囲の状況を意識しておくことが大事です。
都市別のリスク傾向
ロンドン — 窃盗被害の大部分が集中する最大のリスクエリア。地下鉄車内、観光地、レストランでのスリ・置き引きが日常的に発生。偽警察官詐欺、現金融通詐欺、未成年を使った手口など多彩な詐欺も。夜間のスマホひったくり(バイクで追い越しざまに奪う)も増えています。
エディンバラ — ロンドンに比べると治安は安定しているが、スリ・置き引き・スキミングは発生。在エディンバラ総領事館が独自に9手口を網羅したパンフレットを出しており、スコットランド特有のSMS詐欺なども注意が必要です。
手口の詳細はロンドンのトラブル別記事をチェックしてください。スリ・置き引き、詐欺・ぼったくり、医療トラブル、薬物トラブル。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
スコットランドを「イングランドの一部」と言わない
英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4地域から構成されています。スコットランドやウェールズは歴史的に強い独自性を持っているので、これらをイングランドの一部と見なすような発言は避けましょう。北アイルランドについては宗教対立や分離を巡る対立が今も残っています。
「イギリス」と呼ぶこと自体は問題ないけれど、エディンバラの人に「イングランドの街ですよね?」と聞いたら確実に嫌な顔をされます。
キャッシュレス化が進んでいる
英国ではコンタクトレスのカード決済が一般的。現金しか使えないレジが少数になっている店も多く、列車のチケットや航空券の購入で現金が使えなかったケースも報告されています。クレジットカードかデビットカードの携行は必須です。
一方、1万ポンド相当額以上の現金を持ち込む・持ち出す場合は申告義務があり、怠ると最高5,000ポンドの罰金と全額没収の可能性があります。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
医療費の実態 — 虫垂炎14日入院で1,549万円
英国の医療制度は NHS(国民保健サービス)が中心ですが、旅行者は NHS を基本的に利用できません。まず GP(かかりつけ医)の予約が必要で、英国に住所がないと受け付けてもらえないケースが大半。結果として私立病院を受診することになり、医療費は高額になります。
ソニー損保とSBI損保のイギリス事故事例を見ると、金額の桁が違います。
海外で実際に支払われた医療費の事例
出典:ソニー損保・SBI損保のイギリス事故・高額医療費事例
- 1,549万円
急性虫垂炎
14日間入院・手術
- 1,242万円
硬膜下血腫
32日間入院・手術/医療搬送
- 958万円
気胸
25日間入院・手術/医療搬送
- 942万円
蜂巣炎
13日間入院
- 741万円
急性虫垂炎
13日間入院・手術
- 696万円
脳梗塞
17日間入院/医療搬送
- 560万円
E型肝炎
43日間入院・手術
虫垂炎(いわゆる盲腸)で1,549万円。日本なら数十万円で済む手術です。入院が長引けば1,000万円超えは珍しくないことが分かります。海外旅行保険なしで渡航するのは危険です。ヨーロッパの海外旅行保険についても確認しておきましょう。
通信手段
現地での地図確認やUber手配にスマホは必須。Wi-Fiだけに頼ると、地下鉄の車内や路上で通信できず困ることがあります。出発前にeSIMを用意しておくと安心です。海外eSIM比較で主要サービスを比較しています。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
緊急連絡先
| 連絡先 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・救急車・消防 | 999(公衆電話からもコイン不要) |
| 在英国日本国大使館(ロンドン) | 020-7465-6500(領事班: 020-7465-6565) |
| 在エディンバラ日本国総領事館 | 0131-225-4777 |
999に電話すると交換手が出るので、“Police, Please”(警察)、“Ambulance, Please”(救急車)、“Fire Service, Please”(消防)と伝えてください。