イギリスには NHS(国民保健サービス)という世界的に有名な医療制度がありますが、旅行者にとっては使えない医療制度です。NHSを受診するにはまずGP(かかりつけ医)の予約が必要で、英国に住所がないと受け付けてもらえない。結果として私立病院を使うことになり、虫垂炎の手術で1,549万円。日本なら数十万円の手術が、英国では桁が1つ違います。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
旅行者はNHSを使えない
英国の医療制度を理解しないまま渡航すると、いざという時に困ります。
旅行者などの短期滞在者は、英国に住所がないためGPにおいて受診を受け付けてもらえないケースがありますので、有料で公立病院、ウォークインのクリニックや私立病院での受診が一般的となります
NHSは加入者なら自己負担なく医療を受けられる制度ですが、まずGPの診察を受けて、必要に応じて専門病院に紹介されるという段階を踏む仕組みです。旅行者はこの最初のGPの段階でつまずきます。
外務省の「世界の医療事情」はさらに厳しい現実を伝えています。多くのGP診療所が恒常的に混雑しており、迅速な予約は取りにくい。GPが専門医に紹介しても、緊急性が低いと判断されると数か月の待機が必要。英国在住者でさえこの状況なので、旅行者がNHSに期待するのは現実的ではありません。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
私立病院は「比較的早い」が「高い」
旅行者の現実的な選択肢は私立病院です。NHSに比べて早く専門医に診てもらえるメリットはありますが、費用は全額自己負担。保険会社の支払い事例を見れば、その「高い」がどれだけの桁なのかが分かります。
海外で実際に支払われた医療費の事例
出典:ソニー損保/SBI損保のイギリス事例より
- 1,549万円
急性虫垂炎で手術
14日間入院・手術
- 1,242万円
硬膜下血腫で手術
32日間入院・手術/医療搬送
- 958万円
気胸で手術
25日間入院・手術/医療搬送
- 942万円
蜂巣炎で入院
13日間入院
- 741万円
急性虫垂炎で手術
13日間入院・手術
- 696万円
脳梗塞で入院
17日間入院/医療搬送
- 560万円
E型肝炎で手術
43日間入院・手術
- 451万円
卵巣嚢腫茎捻転で手術
4日間入院・手術
- 333万円
腎臓結石・尿管結石で手術
6日間入院・手術
- 307万円
頸椎椎間板ヘルニア
入院日数の記載なし
- 305万円
急性虫垂炎で手術
4日間入院・手術
虫垂炎(盲腸)だけで3件あり、305万円・741万円・1,549万円。入院日数の違いで金額が大きく変わりますが、最短の4日間でも305万円。「家族が駆けつける」「医師・看護師付き添いで医療搬送」が加わるとさらに跳ね上がります。
ホテルで突然倒れて救急車で運ばれました。硬膜下血腫で32日間の入院と手術。家族が日本から駆けつけて、最終的に医師と看護師が付き添って日本に医療搬送。保険金の請求額は1,242万円でした。保険に入っていなかったら人生終わってました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:ソニー損保 イギリスでの事故と保険金支払い事例)
留学生も安心できない
留学中の体調不良は珍しくありません。ホストファミリーと散歩中に胸の痛みを訴えて気胸と診断され25日間入院・手術・医療搬送で958万円。留学中に激しい腹痛で卵巣嚢腫茎捻転と診断され4日間入院・手術で451万円。長時間勉強していたら肩甲骨の痛みと腕の痙攣が起き、頸椎椎間板ヘルニアと診断されて307万円。
保険会社の事例を見ると、留学生の被害もかなり目立ちます。6か月以上のビザ取得者は IHS(Immigration Health Surcharge)を支払えばNHSに登録可能ですが、GPの予約の取りにくさは変わりません。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
英国で注意したい病気
外務省の「世界の医療事情」によると、英国滞在中に注意が必要な病気があります。
花粉症(Hay fever): 3-9月に発症。日本のスギ花粉と違い、芝花粉(Grass pollen)が原因。日本で花粉症でなくても英国で発症することがあります。
細菌性髄膜炎(Meningitis): 乳児から若年層に多く、保育園や学生寮でクラスター発生の可能性あり。20歳以下の長期滞在者は予防接種が推奨されています。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
海外旅行保険は必須
虫垂炎で300万-1,549万円、脳梗塞で696万円。クレジットカード付帯の海外旅行保険は治療費の上限が200-300万円程度のものが多く、イギリスの医療費にはまったく足りません。
治療費の補償上限が無制限または1,000万円以上のプランを選びましょう。ヨーロッパの海外旅行保険についてで詳しく比較しています。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭ったら(体調を崩したら)
- ホテルのフロントに相談し、私立病院またはウォークインクリニックの紹介を依頼
- 海外旅行保険に加入していれば、保険会社のアシスタンスサービスに電話して提携病院を案内してもらう(キャッシュレス対応が可能な場合あり)
- 緊急の場合は999で救急車を呼ぶ(交換手に”Ambulance, Please”)
- 在英国日本国大使館(領事班: 020-7465-6565)でも医療機関の情報を案内してもらえる
よくある質問
イギリスのNHS(国民保健サービス)は旅行者でも使える?
救急の場合を除いて困難です。NHSの受診にはまずGP(かかりつけ医)の予約が必要ですが、英国に住所がないと受け付けてもらえないケースが大半。旅行者は私立病院かウォークインクリニックを利用することになり、費用は全額自己負担です。
イギリスで医療費が最も高額になった事例は?
保険会社の支払い事例では、急性虫垂炎で14日間入院・手術して1,549万円が最高額。硬膜下血腫で32日間入院・手術・医療搬送で1,242万円、気胸で25日間入院・医療搬送で958万円と続きます。日本なら数十万円の手術でも英国の私立病院では桁が変わります。
留学中に体調を崩した場合はどうすればいい?
6か月以上のビザ取得者はIHS(Immigration Health Surcharge)を支払っていればNHSに登録可能です。ただしGPの予約が混雑しており迅速な受診は難しく、専門医への紹介後も数か月待ちが一般的。急を要する場合は私立病院の利用を検討してください。
イギリス旅行に海外旅行保険は本当に必要?
必須と考えてください。虫垂炎の入院・手術だけで300万-1,549万円の保険金支払い事例があり、クレジットカード付帯の補償額(多くは200-300万円)では到底足りません。治療費の上限が無制限または1,000万円以上のプランを選ぶのが安全です。