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ネパールの治安 タメル地区で強奪・睡眠薬強盗・高山病【2026】

ネパールの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ネパール日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.22 KAIGAI-RISK

ヒマラヤ山脈、エベレスト、ブッダ生誕の地ルンビニ、世界遺産のカトマンズ盆地。ネパールは「安くてゆっくりできる旅先」のイメージで語られますが、外務省と在ネパール日本国大使館の注意喚起を並べると、カトマンズ・タメル地区で深夜に金品を強奪された日本人、バス車内で睡眠薬入りのクッキーを口にして荷物を奪われた日本人、トレッキング中の高山病事故といった事例が繰り返し記録されています。加えて2025年9月には大規模抗議デモで空港が閉鎖、刑務所から1万3千人以上が脱走する事態も発生しました。

このページではネパール渡航前に押さえておきたい話を、外務省と大使館のデータだけを使ってまとめます。

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危険レベルと名指しされたエリア

外務省の危険情報(2024年9月18日発出)はネパールを2段階に分けてます。

レベル1:十分注意してください。(スドゥール・パスチム州、カルナリ州〈フムラ郡・ムグ郡を除く〉、ルンビニ州、ガンダキ州〈ムスタン郡・マナン郡を除く〉、バグマティ州〈ラスワ郡を除く〉、マデシ州、コシ州〈ソルクンブ郡クンブ地区を除く〉)

レベル1エリアに首都カトマンズ(バグマティ州)もポカラ(ガンダキ州)も含まれてる、というのが最初に押さえる点。観光で行く場所はほぼ全部「十分注意」の扱いです。

過去、バンダと呼ばれる大規模なストライキが散発的に実施され、各種交通機関の麻痺及びこれに乗じた暴力行為が発生しました。今後もバンダが実施される可能性は否定できないほか、現在、デモ等の抗議活動が頻発しており、便乗した暴力行為に注意が必要です。

2025年9月の大規模デモ(後述)もまさにこの「便乗した暴力行為」が現実化した事案でした。

犯罪発生状況(ネパールの数字)

在ネパール日本国大使館「安全の手引き」(令和7年2月版)が引くネパール警察統計。

ネパール統計歴殺人(既遂)爆弾強盗・窃盗誘拐
2019.7.17〜2020.7.16555742,451138
2020.7.17〜2021.7.16702262,382174
2021.7.17〜2022.7.16604303,188204
2022.7.17〜2023.7.16511173,619128
2023.7.17〜2024.7.15581183,758145

手引きは注記として「届け出がない事件は含まれず」と書いていて、強盗・窃盗は5年で3,758件と右肩上がり。さらに大使館はこう続けます。

カトマンズ市内では、強盗、窃盗、身代金目的誘拐事件などの一般犯罪が増加傾向にあります。殺人事件や強盗事件にはインドから密輸入された拳銃や手製の拳銃が使用されたりしています。

日本人関連の犯罪は、ほとんどが置き引きやスリ等の窃盗被害で、最近は、深夜にタメル地区周辺で財布などを強奪される事件も発生しています。

「日本人関連の犯罪」という明示的な書き方が大使館から出ている、という点は重く見ておきたい。世界の治安指標での位置づけはGPI 2025の解説も参考に。

オープン・ボーダーと銃器流入

外務省の安全対策基礎データに書かれている構造的リスク。

ネパールとインドの国境では「オープン・ボーダー」(ネパール人およびインド人は旅券がなくても通行が可能)というシステムをとっているため、(中略)その結果、インドからネパールへ拳銃等の武器や爆薬等が流れ込み、銃器を使用した犯罪や爆発物事件が発生しています。

「ククリナイフ(鉈に近い形状の大型ナイフ)で殴られ現金等を強奪された」という被害例が大使館のリストに載ってます。銃だけでなくナイフ強盗も現実の選択肢に入っている、というのは頭の隅に。

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日本人が遭ってる主なトラブル

外務省安全対策基礎データの「日本人の被害例」をそのまま並べます。

○ 深夜タメル地区を歩いていたところ、ネパール人から暴行を受け、金品を強奪された。 ○ ホテルにおいて、外出中や就寝中に室内の貴重品を盗まれた。 ○ ホテルで従業員を装った人物や観光地でガイドを装った人物に話しかけられ、対応中に当該人物の仲間に貴重品を盗まれた。 ○ レストランで食事中、座席(の上または下)に置いていたバッグ等を盗まれた。 ○ バス車内や乗り場、路上で、バッグ等に入れていた貴重品をすり取られた。 ○ 観光地でひと気のない場所に連れて行かれ、パスポートや現金等を強奪された。 ○ 夜間、オートバイに乗った2人組に荷物を強奪されたり、身体を触られたりした。 ○ サドゥー(ヒンドゥー教の修行僧)が額につける赤い印(ティカ)をつけてやると話を持ちかけてきた人物に応対している間に、その人物の仲間に財布等を盗まれた。

カトマンズ・タメル地区は日本人旅行者が集中するエリアですが、その集中が犯罪者にとっての狩場になっている構造。詳細はカトマンズのスリ・ひったくりカトマンズの詐欺・ぼったくりに。

睡眠薬入り飲食物の提供

もう1つの定番手口。

バス車内等で他人から勧められた飲食物(クッキーやジュース)を安易に口にしたところ、睡眠薬が仕込まれていたことから意識を失い、荷物を奪われるという事件も過去に発生しています。

「見ず知らずの人物が勧める飲食物(クッキーやジュース等)を安易に口にしない」、というのが大使館の手引きにそのまま書かれてます。詳細はカトマンズの睡眠薬強盗に。

ダサイン・ティハール期は犯罪増加

ダサインやティハール等のお祭りで長期休暇となる時期や雨音で周囲の音が消される雨期は、犯罪が多発する傾向にある。

10月のダサイン、10〜11月のティハール(ヒンドゥー教の祭典)、6〜9月の雨期。この期間に渡航するなら警戒レベルを一段上げるのが正解です。

法律・マナーで注意すべきこと

違法薬物(日本人の逮捕例あり)

外務省・大使館の両方が強く警告してます。

ネパールでは違法薬物に対する取締りが厳しく、空港での荷物検査も例外ではありません。外国人であっても違反した場合には禁固刑および罰金刑に処せられます。

大麻の所持・吸引は違法であり、過去に逮捕された日本人や刑務所に服役した日本人もいる。違法薬物の売人が声を掛けてきたとしても、絶対にかかわらない。

ネパールと言えば大麻のイメージで渡航する人がいるかもしれませんが、日本人が実際に刑務所に入った事例があると大使館が明記しています。各国の薬物法の温度差は海外の薬物法マップ日本人が海外で逮捕されるトップ10も参照。運び屋依頼にも注意。

「日本にいる友人に荷物を届けてほしい」と頼んでくるネパール人がいますが、知らないうちに違法薬物の運び屋として利用されることがありますので、そうした依頼は決して引き受けないでください。

改宗を持ちかける行為も犯罪

2018年の刑法改正後に厳しくなったポイント。

ネパールでは、2018年8月に刑法規定の「宗教に関する犯罪」部分が改正されたことにより、宗教活動(布教活動のみならず、改宗を持ちかけたと疑われるような行為を含む)に対する取り締まりが厳しくなっています。実際に、外国人の逮捕例もあるので、十分注意してください。なお、この法律に違反した場合は、5年以下の懲役および5万ネパール・ルピー以下の罰金が科せられます。

「布教活動のみならず、改宗を持ちかけたと疑われるような行為を含む」という書き方が広い。宗教の話題は現地で不用意に持ち出さないのが安全。

カトマンズ市内の路上喫煙禁止

カトマンズ市内では、路上喫煙が禁止されています。違反した場合は、100〜100,000ネパール・ルピーの罰金が科せられます。

罰金額にレンジがあるのが怖いところ。100ルピー(約110円)で済むとは限らないので、屋外で吸わないのが無難です。各国の罰金相場は罰金マップで整理してます。

クワガタ密輸出で日本人検挙

外務省「日本人の被害例」にこんな事例も。

○ クワガタムシ271匹を密輸出しようとした日本人2名が検挙された。 ○ クワガタムシ214匹を密輸出しようとした日本人が検挙された。

動植物・昆虫は森林保全省の許可が必要。「観光の合間のつもり」で手を出すと検挙対象です。

外貨持込と空港ビザ不正請求

入国時に5,000米ドル相当額を超える外貨を持ち込む場合は、申告が必要です。ネパール・ルピーの国外持出しは禁止されていますので、使い残したネパール・ルピーは出国時に空港内の銀行等で、外貨に交換してください。

そしてトリブバン空港のアライバルビザ窓口での不正請求事例。

ネパール入国時、トリブバン空港アライバルビザ代金支払窓口(金融機関)において、ビザ代金を支払おうとした際、「日本人は、日本円でしか受け付けていない。」と窓口職員に言われ、正規の代金より多く請求された。

「日本人は円しか受け付けない」は嘘。申請料はUSDで決まっていて(15日30USD/30日50USD/90日125USD)、そのとおり払えばOKです。

テロ・政情不安

外務省「テロ・誘拐情勢」(2025年2月7日更新)から。

近年は、マオイスト・チャンド派等、これら反政府組織が関与したとされる爆破、放火、恐喝事件等各種犯罪が散発的に発生しましたが、イスラム過激派(単独犯を含む)等による国際テロ事件は、当地ではこれまで発生していません。

ネパール警察によれば、2024年(ネパール犯罪統計2023-2024)の誘拐事件の発生件数は145件(2023年128件)でしたが、ほとんどが一般犯罪としての犯罪グループによる犯行で、多くが身代金目的です。

国際テロの標的ではないものの、身代金目的の一般誘拐が年140件前後。大使館は「比較的裕福であると思われている日本人が被害に遭う可能性はある」と明言してます。

2025年9月の大規模抗議デモ(直近の重大事案)

令和7年9月15日付の大使館注意喚起。

9月12日夜、暫定首相が就任しました。(中略)カトマンズのトリブバン国際空港は、9月10日午後3時30分に国際線、国内線の空港閉鎖が解除されました。

治安情勢は改善しつつありますが、引き続き注意は必要です。また、刑務所を襲撃する事案などが発生し、報道などによれば、ネパール全体で1万3千人以上(うちカトマンズ盆地内で3千人以上)が刑務所から脱走したとのことです。

1万3千人以上の脱獄という規模感は日本人の感覚では異次元。2025年9月以降ネパール渡航時は、脱獄犯の市中潜伏リスクが背景にあると理解しておく必要があります。旅行時期の直前にも在ネパール日本国大使館サイトで最新の注意喚起を確認しましょう。

Travel Alert 03

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医療費の実態(保険は実質必須)

外務省「世界の医療事情 ネパール」はこう書き出します。

ネパールの上下水道は首都のカトマンズでさえ未整備で、浄水場の無い水道も多く、飲用には全く適していません。水道水や市販のペットボトルの水から大腸菌が検出されることも稀ではありません。

カトマンズですら水道水を飲めない、という水準。

損保ジャパン off! のネパール事例2件

損保ジャパン「off!」のアジア支払い事例ページにネパールが2件載ってます。

  • 盗難41万円:タクシーのトランクに入れておいたカバンが盗まれた
  • 入院13日間US$8,587.49(約130万円):急性幻覚妄想/定期便移送費用(エコノミー/エスコートドクター/航空券+エスコート費用含む)

「急性幻覚妄想で13日入院+エスコートドクター付き移送」は、睡眠薬強盗被害と地続きになり得る金額感です。ネパール単独で130万円クラスの事例が記録されている、という点が重要。

南アジア地域の参考事例(トレッキング医療)

高山病・登山事故の損保会社支払事例はネパール単独では見つかりませんでしたが、南アジア地域の参考として、損保ジャパンoff!のアジア支払い事例一覧に以下の金額感が記録されています。

パキスタン/入院/肺炎/207万円(入院費用・移送費用・その他費用)

インド/盗難/オールドデリー駅前にてトランクを盗まれる/70万円

南アジア隣国のパキスタンで肺炎入院の保険金が207万円、という数字が同じ事例表に載っている、というのが押さえどころ。ネパールの山岳部で同等の呼吸器症状(高所肺水腫・肺炎)が出た場合、山岳地帯からのヘリ搬送費用が加算されるので、総額はパキスタンの207万円事例よりさらに上振れする可能性が高いと見ておきたい。地域別の保険相場は南アジアの海外旅行保険ガイドに。

感染症(デング熱・狂犬病・結核)

外務省「世界の医療事情」より。

ネパールでは2022年以降、毎年6から11月を中心に通年で、全国的に数万人が感染しています。(デング熱)

ネパールでは、検査が十分に行われていないことと正式な統計が無いことから、正確には把握されていませんが、年間100人程度の患者が発生していると推測されています。(狂犬病)

ネパールの結核罹患率は、日本の24倍です(2022年)。約半数の患者は無症状で、患者の6割は診断治療を受けていません。

狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%、結核は日本の24倍の罹患率。大使館は渡航前の狂犬病ワクチン接種を強く勧めてます。

高山病・トレッキング事故

大使館「安全の手引き」の冒頭。

ネパールには世界最高峰のエベレストをはじめ標高の高い山々が多く点在しており、登山やトレッキング等を目的に訪れる方が少なくありません。トレッキングといえども、当地のトレッキング・コースは3千メートルを超す高所が大半であり、また山の天気は急激に変化することもあり、高山病や滑落、遭難などの事故で亡くなられる方もおられます。

「トレッキング」と言ってもほぼ全コースが3,000m超。2023年4月以降は外国人登山者にガイド雇用が義務化されてTIMSカード(2,000ルピー)の取得が必要になりました。詳細はポカラの高山病・医療リスクカトマンズの感染症・医療で扱います。

通信(トレッキングは SIM 契約推奨)

外務省が名指しで書いているネパール特有の事情。

ネパール警察では、トレッキング中の遭難など不測の事態が発生した場合に、携帯電話会社と連携して、携帯電話・スマートフォンのGPSを活用した捜索活動を行っています。他方で、携帯電話会社のSIMカードを契約していなかったために、GPSを活用した捜索活動が出来ず、未だに発見に至っていない行方不明者もいるとされています。

SIM未契約=遭難時にGPS捜索されない、というのは他の国にはあまりない強い理由。ネパール警察は「特にトレッキングなど山岳地帯を旅行される方に対して、可能な限り携帯電話会社のSIMカードの契約」を推奨してます。選び方は海外eSIM比較にまとめてます。

Travel Alert 04

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緊急時の連絡先

  • 警察(一般):100
  • ツーリスト・ポリス本部:1144 / 5347041
  • ツーリスト・ポリス(ポカラ):061-462761
  • 消防(カトマンズ):101
  • カトマンズ警察署:4290800
  • 在ネパール日本国大使館 代表:01-4426680
  • 領事班メール:consular-emb@km.mofa.go.jp
  • 住所:Embassy of Japan, 1253, Narayan Gopal Sadak Panipokhari, Ward No.3 Kathmandu

非常事態発生時に電話・メール・SMSが不通となった場合、大使館はFM放送(周波数89.00MHz)で在留邦人向けの情報を流します(正午と18時)。2015年のネパール大地震のような大規模災害時は、この手段も頭に入れておきたい。

ネパールの都市別情報

同じ南アジアでは、ダッカ空港からの強盗・粗製爆弾・緊急搬送3000万円という重い現実を抱えるバングラデシュの治安の構造も一度見ておきたい話です。

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ネパールは首都カトマンズでも水道水が飲めず、トレッキングは3,000m超が標準、医療事情は南アジア低位、重傷時は国外搬送が現実的という国。クレカ付帯の疾病治療費だけでは上限不足になりやすいので、渡航前に南アジアの海外旅行保険ガイドで治療救援3,000万円以上のプランを確認しておきたい。

主要都市の治安情報

出典