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カトマンズの医療 水道水で胃腸炎と狂犬病年100人【2026】

カトマンズの医療・感染症の手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.22 KAIGAI-RISK

カトマンズで日本人が遭いやすい健康リスクは、「水道水経由の感染性胃腸炎」「狂犬病」「デング熱」「乾季の大気汚染」の4系統。外務省「世界の医療事情」と在ネパール日本国大使館の「安全の手引き」で繰り返し警告されているもので、首都でも水が飲めないというレベル感が前提になります。医療費は損保ジャパンのネパール事例で約130万円が記録されており、保険は実質必須です。

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カトマンズ盆地の医療・衛生レベル

外務省「世界の医療事情 ネパール」の書き出しは厳しい。

ネパールの上下水道は首都のカトマンズでさえ未整備で、浄水場の無い水道も多く、飲用には全く適していません。水道水や市販のペットボトルの水から大腸菌が検出されることも稀ではありません。

大使館「安全の手引き」も同じ温度感。

首都圏のカトマンズ盆地で注意すべきものは、まず第一に感染性胃腸炎(いわゆる下痢症:腸チフス、コレラを含む)です。水道水や井戸水の水質は不衛生なものが多いため、飲用にはペットボトルの水をご利用下さい。ただし、ペットボトルの水からも大腸菌が検出されたという報告があるので、信頼できるメーカーの物を選ぶようにして下さい。

「ペットボトル水でも信頼できるメーカーを選ぶ」のが必要、という水準。観光客は「首都なら大丈夫だろう」と思いがちですが、水だけはガードを下げると即下痢症と考えて動くのが正解です。

覚えておきたい感染症

1. 感染性胃腸炎(腸チフス・コレラ・赤痢)

外務省「世界の医療事情」より。

ネパールでは、地元の人や長期駐在者でも年に数回は罹患することがあり、完全に予防することは困難かもしれません。(中略)当地ではジアルジア(ランブル鞭毛虫)、コレラ、赤痢、腸チフス、赤痢アメーバなどが原因となります。特に雨季には、例年、全国的にコレラなど感染性胃腸炎が流行し、小児を中心に死亡例も報告されています。

「駐在者でも年に数回罹患する」というレベル感。旅行者が短期滞在で免れられる保証はありません。雨期(6〜9月)に渡航する場合は特に要警戒。

対策は基本の徹底。

  • ミネラルウォーター(信頼できるメーカー)のみ飲用
  • 歯磨きもペットボトル水
  • 氷・生野菜・カットフルーツの路上売りは避ける
  • 生水で洗った食器(屋台)を避ける

2. 狂犬病(年間100人・致死率ほぼ100%)

外務省「世界の医療事情」より。

ネパールでは、検査が十分に行われていないことと正式な統計が無いことから、正確には把握されていませんが、年間100人程度の患者が発生していると推測されています。(中略)発症すれば致死率はほぼ100%です。当地での主な感染源は犬ですが、猫や猿、ジャッカルなどの野生動物も要注意です。

大使館手引きも強く警告。

ネパールでは野良犬が多く、毎年狂犬病による死者も数十名以上報告されていることから、狂犬病ワクチンは渡航前に接種しておいた方が安心です。

カトマンズ市内には野良犬が多く、観光地にも普通にいます。ダルバール広場周辺、スワヤンブナート、パシュパティナートはサルも多く、狂犬病の媒介動物として犬・猫・猿・コウモリが該当。噛まれた・引っ掻かれた・舐められた場合は、即座に大病院へ。

TESTIMONY · 旅行者C
パシュパティナートでお参りしてたら、サルに近づかれて、観光客がお菓子あげてるのを見てぼくもバッグ触られて。慌てて振り払ったら引っ掻かれてしまいました。現地の日本人にCIWECに行けと言われて行ったら、狂犬病の暴露後ワクチン接種を勧められて、5回打つプロトコル。費用も保険会社経由でないと高額で、海外旅行保険に入ってて良かったです。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 世界の医療事情「ネパール」

3. デング熱(毎年全国で数万人)

外務省「世界の医療事情」より。

ネパールでは2022年以降、毎年6から11月を中心に通年で、全国的に数万人が感染しています。

大使館も重ねて警告。

カトマンズやポカラなど都市部においても、特に雨季の蚊除け対策は充分行ってください。

日中活動するネッタイシマカ・ヒトスジシマカが媒介。カトマンズ盆地は従来「標高が高いからデングはあまり」と言われてきたが、2022年以降状況が変わったというのが医療事情の書き方。DEETまたはイカリジン入り虫除け、長袖長ズボンが雨期の基本装備です。

4. 結核(日本の24倍)

ネパールの結核罹患率は、日本の24倍です(2022年)。約半数の患者は無症状で、患者の6割は診断治療を受けていません。

長期滞在者向けのリスクですが、約半数が無症状=すれ違う人々の間に相当数の感染者がいるという構造。短期旅行で高リスクとまでは言えないものの、帰国後に持続する咳があれば医療機関へ。

5. 日本脳炎・マラリア(南部タライ平野)

南部のタライ平野地域では、蚊が媒介するマラリア、日本脳炎などにも要注意です。

カトマンズ盆地では該当度が下がりますが、チトワン国立公園・ルンビニ方面への日帰り/宿泊ツアーでは南部タライ平野に入るため対象。防蚊対策は全行程で徹底を。

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乾季の大気汚染(呼吸器疾患)

カトマンズ盆地特有の環境リスク。

乾季のカトマンズ盆地は大気汚染がひどく、長期滞在者は呼吸器疾患等に注意が必要です。

11月〜3月の乾季が特に深刻で、PM2.5の数値は世界最悪クラスに入る日があります。喘息・気管支疾患のある人はN95マスク持参が実用的。観光だけなら短期で済むとはいえ、トレッキング帰りの咳が止まらないといった相談が実際に多いエリアです。

高山病(カトマンズ滞在中は低リスク・山岳入りで急変)

大使館手引きの冒頭。

ネパールには世界最高峰のエベレストをはじめ標高の高い山々が多く点在しており、登山やトレッキング等を目的に訪れる方が少なくありません。トレッキングといえども、当地のトレッキング・コースは3千メートルを超す高所が大半であり、また山の天気は急激に変化することもあり、高山病や滑落、遭難などの事故で亡くなられる方もおられます。

カトマンズ自体は標高1,400mで高山病発症リスクは低いですが、カトマンズからバス/飛行機で山岳エリアに入った瞬間に3,000m超という急激な高度上昇が起きます。トレッキング開始前にCIWECで相談しておくのも安全側の選択。詳細はポカラの高山病・医療リスクで扱います。

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カトマンズの主要医療機関

大使館「安全の手引き」の病院リストから。

病院区分電話
CIWEC Hospital Travel Medicine Center私立(外国人向け)4524111 / 4524242
Grande International Hospital私立5159266 / 5159267
Norvic International Hospital私立5970032
Kathmandu Medical College Teaching Hospital私立4512303 / 4512808
Bir Hospital国立4221119 / 4221988
Nepal Mediciti Hospital(ラリトプール)私立4217766

外国人旅行者の第一候補は CIWEC Hospital。トラベルメディシン(渡航医学)専門で、高山病・感染症・動物咬傷などの対応に慣れています。重症時には Grande や Norvic の私立大型病院が選択肢。

医療費の実態:ネパール事例130万円

損保ジャパン off! のアジア支払い事例より。

ネパール/入院13日間/急性幻覚妄想/定期便移送費用(エコノミー・エスコートドクター〈航空券&エスコート費用含む〉)/S$3,731.14/US$8,587.49

US$8,587(約130万円)で13日入院+エスコートドクター付き移送。これはネパールで発症した病気で、医師付き添いでの日本への帰国移送まで含めた実費です。同じ南アジアのコロンボの感染症・医療でもデング熱・狂犬病の構造は共通しています。

南アジア地域の参考:重症時は国外搬送

ネパール単独での登山事故・高山病の支払い事例は各社データベースに見当たりませんでしたが、南アジア地域の参考として、インドでは数百万円クラスの入院搬送事例がジェイアイ・損保各社で記録されています。ネパールの場合は山岳地帯からのヘリ搬送費用が加算されるため、総額はインド事例より上振れしやすい方向。重症時の選択肢としてタイのバンコクへの搬送も現実的で、その場合は国外移送費がさらに加算されます。

治療救援費用3,000万円以上の海外旅行保険が現実的な目安。クレジットカード付帯保険の上限(多くは100〜200万円)では不足するケースがある、という点は押さえておきたい。地域別の保険ガイドは南アジアの海外旅行保険ガイドに。

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感染症・事故の早見表

リスク現場・時期予防策医療機関
感染性胃腸炎(腸チフス等)雨期の水・食事信頼メーカーのペットボトル/氷・生水避けCIWEC・Grande
狂犬病野良犬・猿・コウモリ渡航前ワクチン/動物に近づかないCIWEC(暴露後ワクチン)
デング熱雨期の蚊・都市部含む全国DEET虫除け/長袖長ズボンCIWEC・Grande
結核混雑・長期滞在長期滞在者は帰国後検診国立病院・Grande
大気汚染(呼吸器)11〜3月乾季N95マスク/屋外活動控えるGrande・Norvic
高山病山岳エリア入り直後CIWECで事前相談/段階的高度順応CIWEC

予防策まとめ

  1. 水道水は飲まない・歯磨きにも使わない、信頼メーカーのペットボトル徹底
  2. 氷・生野菜・カットフルーツの路上売り避ける
  3. 渡航前に狂犬病ワクチン接種を検討(3回接種)
  4. 野良犬・猿・コウモリに近づかない、餌をあげない
  5. 雨期の防蚊対策(DEET虫除け・長袖長ズボン・蚊取り)
  6. 乾季はN95マスクを検討(喘息持ちは必須)
  7. 高山病対策はCIWECで事前相談、ダイアモックス等の予防薬も視野
  8. 海外旅行保険は治療救援費用3,000万円以上が現実的な目安
  9. 動物に噛まれた・引っ掻かれた場合は即CIWECへ

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被害・発症時の対応

  1. 症状が出たら自己判断で待たない、早めに CIWEC または大病院へ
  2. 保険会社のアシスタンスデスク(24時間)に即連絡、キャッシュレス対応病院の紹介を受ける
  3. 動物に噛まれた場合は即時に暴露後ワクチン接種(CIWEC が対応)
  4. 重症時はタイ・バンコクやインド・デリーへの国外搬送を保険会社と相談
  5. 症状・時系列・服薬履歴をメモしておく(診察時に正確に伝える)
  6. 帰国後も症状が続く場合は渡航歴を伝えて医療機関受診(デング・マラリアは帰国後発症あり)

カトマンズの他の手口はスリ・ひったくり詐欺・ぼったくり睡眠薬強盗に。高山病・トレッキングはポカラの高山病・医療リスクで詳しく扱います。ネパール全体の治安はネパールの治安トップ、南アジアの保険は南アジアの海外旅行保険ガイドへ。

よくある質問

カトマンズで水道水は飲める?

飲めません。外務省「世界の医療事情」は「ネパールの上下水道は首都のカトマンズでさえ未整備で、浄水場の無い水道も多く、飲用には全く適していません。水道水や市販のペットボトルの水から大腸菌が検出されることも稀ではありません」と明記しています。信頼できるメーカーのペットボトル水を使い、歯磨きも含めて水道水を口にしないのが基本です。

カトマンズで一番気をつける感染症は?

感染性胃腸炎(腸チフス・コレラを含む下痢症)と狂犬病、デング熱です。大使館手引きは感染性胃腸炎を「まず第一に注意すべきもの」とし、狂犬病は年間100人程度の発症・致死率ほぼ100%、デング熱は2022年以降毎年全国で数万人規模の流行と外務省が記録しています。

カトマンズで受診するならどこ?

外国人旅行者向けに CIWEC Hospital Travel Medicine Center(4524111 / 4524242)が有名で、高山病・感染症の対応に慣れています。大きな病院では Grande International Hospital(5159266)、Norvic International Hospital(5970032)、Kathmandu Medical College Teaching Hospital(4512303)、国立では Bir Hospital(4221119)が主要です。

医療費はどのくらい?保険は必要?

損保ジャパン off! のネパール事例では「急性幻覚妄想で入院13日間・定期便移送・エスコートドクター付きで US$8,587.49(約130万円)」が記録されています。重傷時はタイやインドへの国外搬送も現実的な選択肢で、総額はさらに上振れします。治療救援費用3,000万円以上の海外旅行保険が現実的な目安です。

出典

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