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カザフスタンの治安 白タク強盗・偽警官・銃器未回収【2026】

カザフスタンの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在カザフスタン日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

カザフスタンは中央アジア最大の国で、シルクロードや天山山脈の景観、近年話題のアスタナの近未来建築を目当てに訪れる日本人が増えている国です。治安は概ね安定。それでも2022年1月の燃料価格デモの騒擾で強奪された銃器の多くが未だ回収されていないことが治安上の懸念として外務省が継続して名指ししています。さらに白タクで邦人が強盗被害に遭った事例、所持品検査と称して警察官が財布から現金を抜き取る事案、薬物犯罪の年間8,000件超など、旅行者が直面しうる固有のリスクは少なくありません。出発前に押さえておくべきポイントをまとめます。

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危険レベル --- 全土レベル1「十分注意」

外務省は2026年2月10日付でカザフスタン全土にレベル1(十分注意してください)を発出しています。

カザフスタンの治安は概ね安定していますが、2022年1月に発生した騒擾中に強奪された銃器の多くが未だ発見されておらず、治安上の大きな懸念となっています。

近年テロ事件は発生していないものの、準備・未遂段階での摘発は2024年中も複数件報告されており、アフガニスタン情勢を受けたテロリスト流入の懸念も指摘されています。広域情報としては中東情勢の緊迫化に伴うテロ注意喚起、特殊詐欺、闇バイト、違法薬物の密輸などが対象に入っています。

犯罪の全体像 --- 件数は減少も窃盗3万件・薬物犯罪8千件

カザフスタンの統計当局が公表した直近の数字はこうなっています。

総件数殺人・同未遂窃盗薬物犯罪
2024年132,778件(前年比-5.3%)566件30,593件8,248件
2025年123,990件(前年比-6.6%)490件23,266件8,060件

総件数は減少傾向にあり、これは在カザフスタン日本大使館「カザフスタン滞在・安全の手引き」も明記しています。とはいえ旅行者が直接被害に遭いやすい窃盗だけで年間2万3千件薬物犯罪は8千件規模で高止まりしているのが実態です。

都市部では外国人を狙った置引き、スリ等の窃盗事件が発生しており警戒が必要です。

外務省が観光客向けに名指しているのはまさにこのライン。アスタナ・アルマトイのような大都市が中心です。

旧ソ連圏特有のリスク --- 白タク強盗と「警察官の不当な金銭要求」

カザフスタンを語る上で外せないのが、旧ソ連圏共通の2つの被害類型。どちらも大使館「安全の手引き」が邦人被害事例ありと明記しています。

白タク強盗。所属会社のないタクシー(白タク)の利用について、手引きはこう書いています。

過去には、邦人が白タクを利用し、強盗被害にあった事例が報告されています。

街中で「タクシー、タクシー」と声をかけてくる無印の車に乗らないこと。Yandex Go や inDrive などの配車アプリを使い、ナンバーと運転手の顔を確認してから乗るのが基本。詳しくはアルマトイの白タク強盗・タクシートラブルへ。

警察官等による不当な金銭要求。同じ手引きにこう記載があります。

過去には、所持品検査と称して警察官等が財布から現金を抜き取る事案も報告されています。

外務省も大使館も口を揃えて「カザフスタンの法律は、警察官等が口頭で罰金等を申しつけ、その場で徴収することを認めていません」と明記。職務質問する警察官が違反者から罰金を直接徴収することはなく、すべて銀行振込です。路上で財布や現金を出すよう求められたら、ほぼ偽警官か職権濫用と思っていい。詳しくはアルマトイの偽警官・官憲不当要求へ。

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薬物犯罪は厳罰 --- 持ち込み禁止と取締り強化

持込み禁止物品: 兵器および弾薬、麻薬や向精神薬およびその使用器具、戦争・テロ・暴力・人種差別を拡散することを目的として出版された書物、ポルノグラフィー等があります。特に違法薬物に対する取締りは、厳しく行われています。

外務省「安全対策基礎データ」がはっきり書いている通り、カザフスタンは違法薬物に対する取締りを「厳しく行われています」と名指しで強調している国です。アフガニスタン由来のヘロインの密輸ルート上にあり、麻薬犯罪は治安当局の重点課題。日本で処方された向精神薬を持ち込む場合も、医師の診断書・処方箋(英訳)の携行が必須です。詳しくはアルマトイの薬物トラブルへ。

入国・QazETA電子渡航認証

日本国籍者は30日以内の短期滞在なら査証免除(最初の入国日から180日の間に合計90日まで)。パスポート残存有効期間は出国時に6か月以上必要です。

2026年2月時点で電子渡航認証QazETAが試験運用中。試験期間中は取得は推奨で、必須ではありません。試験運用終了後は本格運用に移行し、段階的に義務化される予定。一度取得したQazETAの有効期間は180日間。本格運用が始まるタイミングを大使館サイトで確認してから出発しましょう。

その他、入出国時に1万米ドル相当額以上の現金を持ち込む・持ち出す場合は税関申告が必要。指紋登録も2024年1月以降義務化(査証申請・居住許可申請時)。

滞在中はパスポート常時携帯

カザフスタンに滞在する外国人は、パスポート等を携帯する義務があります。不法滞在者の取締りが行われているほか、旅券不携帯が判明したり滞在期間及び資格等に疑義が生じた場合、警察署等への同行を求められることがあります。

不携帯で警察署に連れていかれると、滞在期間や資格を疑われる→不法残留扱い→出国査証取得まで出国不能、という連鎖になりかねない。コピーではなく現物を携帯するのが原則です。

宿泊施設や個人宅に泊まる場合、受入れ側は到着後3業務日以内に外国人の滞在を当局に通知する義務(移民局・eコナクなど)。これを怠ると滞在者本人に罰金が科されることもあるので、ホテル選びはこの登録を確実にしてくれるところを。

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テロ情勢 --- 2016年以降は新規発生なしも準備段階で摘発継続

カザフスタンでは、2016年6月にアクトベで発生したテロ事件以降、新たなテロ事件の発生は確認されていません。しかし、準備・未遂段階での検挙、爆発物等の押収は2024年中も複数件発生しており、予断を許さない状況は続いています。

大使館「安全の手引き」が標的になりやすい場所として挙げているのは、軍・警察・政府関係施設、宗教施設、商業施設、宿泊施設、繁華街、観光施設、公共交通機関、イベント会場。時期はナウルーズ(春分の祝祭)、ラマダン、年末年始など人が集まるタイミング。観光客が普通に行く場所ばかりなので、「非常口と退避ルートを訪問先で先に確認しておく」を習慣化しておこう。

写真撮影禁止区域に注意

中央アジア共通の注意点として、軍や治安機関などの政府関連施設、国境地帯での撮影はトラブルのもと。市場や商店でも撮影を認めていない場所があります。SNS投稿目的でカメラを向けると拘束→端末確認→帰国便を逃すケースが旧ソ連圏では珍しくない。建物の外観でも軍・警察関連は撮らないのが安全です。

医療事情 --- 医療水準は日本・欧米より低く、費用は全額自己負担

外務省「世界の医療事情」(令和6年10月版)はカザフスタンの医療水準についてこう書いています。

カザフスタンの医療水準は、日本や欧米と比べて低いといえます。医師、看護師、スタッフなど大半の医療関係者はロシア語、カザフ語を話し、都市部の病院でも英語を話す医師は少ないため、ロシア語ができない方の受診は困難です。

公的病院でも外国人は医療費を全額自己負担。重症の場合は欧州や日本への医療搬送が必要になるケースもあり、移送費だけで数百万円から数千万円かかると外務省が明記しています。アスタナ・アルマトイには英語対応の民間クリニック(American Medical Centersなど)もありますが、料金はローカル病院より高額です。

カザフスタン単独の保険会社支払事例は公表データが見当たらず、同じ中欧・東欧地域の参考として、隣接するヨーロッパ圏ではオーストリア地下鉄エスカレーターでの転倒・骨盤骨折・チャーター機医療搬送で1,582万円(ソニー損保)、肺炎入院で623万円などの事例が報告されています。カザフスタンは医療水準が欧州主要国より低いため、重症化すればより遠方への医療搬送が必要になり、桁が変わる可能性が高い。クレジットカード付帯保険の上限ではまず足りません。

注意したい感染症は次のとおり。

  • 狂犬病: アルマトイ・アスタナでも野犬を見かけ、年間数例の発症・死亡が報告されている。発症すれば致死率ほぼ100%
  • ダニ媒介脳炎: 山や草原に行くなら渡航前にワクチン
  • B型肝炎・HIV: 不衛生な医療機器・輸血感染リスクが残る
  • 食中毒: 春夏は細菌性、冬はノロ。バザールの冷蔵されていない肉は避ける
  • ブルセラ症: 未検疫の乳製品(牧場・バザール購入の生牛乳など)を避ける

水道水は飲用不可。市販のミネラルウォーターを使い、歯磨きでもフィルター付きが推奨されています。

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通信手段 --- IMEI登録制度に注意

2025年3月24日以降、カザフスタンに初めて持ち込んだ携帯電話端末でカザフのSIMを使う場合は、30日以内にIMEI登録が必要になりました。旅行者は登録に必要な書類を取得できないため、カザフのSIMを買って端末に挿す運用は実質不可。日本のSIMでローミング、または現地で購入した端末を使う、もしくはeSIMでローミング扱いにするのが現実的です。eSIMなら端末本体のIMEIは登録対象外(ローミング扱い)なので問題なし。選び方は海外eSIM比較を参照。

カザフスタンでは治安上の理由でインターネット自体が使えなくなる・速度が落ちることがある、と大使館も注意喚起しています。連絡手段は複数確保しておこう。

緊急時の連絡先

機関番号
警察102
救急103
消防101
交通警察(事故時)102
在カザフスタン日本国大使館(アスタナ)+7(7172)97-78-43(代表)
領事受付+7(7172)97-78-72

大使館の所在地は 5th floor, Kosmonavtov street 62, Chubary, Astana。開館時間は9:00-13:00/14:00-17:45(平日)。

海外旅行保険の備え

カザフスタンは医療水準が日本・欧米より低く、重症化すると医療搬送で数百万円〜数千万円コース。任意の対人・対物保険が一般的ではないため、交通事故被害でも自分の保険でカバーする必要があります。クレジットカード付帯だけで臨むのはまず無謀。詳しくは中央アジアの海外旅行保険ガイドへ。

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主要都市

  • アスタナ --- 首都・大使館所在地。極寒の冬と現代建築の街
  • アルマトイ --- 最大都市・経済中心。スリ・白タク・偽警官の主舞台

中央アジア・東欧周辺の治安傾向はキルギスウズベキスタンタジキスタントルコとも一部共通。テロ警戒の考え方はフランスドイツの解説も参考になります。

主要都市の治安情報

出典