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リトアニアの治安 外国人被害14%増加、昏睡強盗も【2026】

リトアニアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在リトアニア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

リトアニアは「バルト三国」のひとつで、ヴィリニュスの世界遺産旧市街と十字架の丘が日本人観光客にも知られた国です。フェリーやLCCで往復しやすいラトビアエストニアと合わせて周遊する旅程が定番で、陸路バスで国境を越えるポーランドからの入国もLCC+長距離バスで一般的なルートになっています。2025年の犯罪総件数は4.2万件で前年比-8.8%、見出しの数字だけ見れば確かに「治安改善中」。ただし在ヴィリニュス日本国大使館の「防犯及び安全対策の手引き」を開くと、外国人被害者は1,362人で前年比+14%増、しかも2026年Q1速報では+20.4%まで加速しています。観光客だけが狙われている、というのが実態です。さらに入国時に海外旅行保険が義務化されているという、日本人にあまり知られていないルールもあります。

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危険レベル --- 発出なし、テロ脅威度は「低」

外務省の危険情報・感染症危険情報・スポット情報は2026年4月時点で全土に発出なし。テロ・誘拐情勢では、リトアニア当局自身がテロ脅威度を5段階の下から2番目「低」レベルに維持していて、

リトアニアでは、テロ組織、反政府組織、国際的なテロ組織の関連組織の存在及び活動は確認されておりません。

と外務省も書いています。ただしリトアニアはNATO東方最前線・ベラルーシとの国境を抱える国で、欧米向けのテロ警戒・特殊詐欺など広域情報の対象には常時入っています。EU加盟国としての地政学リスクは意識しておく国です。

犯罪統計 --- 総件数は減って外国人被害は増えている

在ヴィリニュス日本国大使館「防犯及び安全対策の手引き」の2025年データはこうなっています。

犯罪種別2024年2025年前年比
犯罪発生総件数47,126件42,961件-8.8%
殺人92件74件-20%
傷害135件108件-20%
性犯罪161件172件+7%
強盗336件247件-26%
窃盗12,496件9,249件-26%
薬物犯罪4,518件4,747件+5%
外国人被害者数1,194人1,362人+14%

2025年の犯罪発生総件数は42,961件で、前年と比較すると減少(ー4,165件)しております。一方で、外国人被害者数は1,362人で、前年と比較すると増加(+168人)しております。

総件数は減っているのに、観光客が遭う被害だけが増えている。手引きの数字を素直に読むと「日本人を含む外国人がピンポイントで標的になっている」という結論になります。

2026年の四半期速報はもっと露骨で、外国人被害者数は前年同期比+20.4%増、薬物犯罪も+13.9%増

外国人が最も多く被害に遭う罪種は窃盗です。飲食店やショッピングセンター、観光施設(地)、駅など人が多く集まる場所での置き引き被害が発生しております。

総評として、外務省の安全対策基礎データには「人口10万人あたり犯罪発生件数は日本の約3倍、特に殺人・強盗・性犯罪などの凶悪犯罪が日本に比べて非常に多い」とハッキリ書かれています。「バルト三国の中では治安が良い」イメージで来ると、感覚を狂わされる国です。

ヴィリニュス・シャウレイの実例 --- 十字架の丘でグループに囲まれて

手引きの「日本人の被害事例と対応策」セクションは、ヴィリニュス市内とシャウレイ(十字架の丘)での具体的な事例を並べています。

観光地として知られるシャウレイの十字架の丘において、男1人、女2人のグループに声をかけられ、写真を撮る際、所持していた鞄内から現金を抜き取られた。

路線バスに乗車した際、バス前方にある荷物置場にバッグを置いていたところ、バッグ内から現金を抜き取られた。

ビリニュス市内中心部(駅周辺地区)のレストランで、代金支払い後、財布をテーブル上に置き忘れたまま退店し、置き忘れに気付いてレストランに戻ったが、すでに財布はなかった。

写真撮影中・路線バスの荷物置場・レストランのテーブル。日本人観光客が普通にやる動線がそのままスリの現場になっています。さらに住居・自転車も標的で、

ビリニュス市内のマンション居室に何者かが侵入し、屋内から現金等が盗まれた。/ビリニュス市内のマンションのエントランス内に置いていたロードバイクを、鍵を破壊されて盗まれた。

民泊やAirbnbを使う旅行者は、日本のマンションの感覚で施錠を緩めると同じ目に遭います。手引きは「ホテルや民泊アパートにおいて部屋の施錠を忘れて退出した際、室内に置いていた荷物が盗まれる」事例まで明記。詳細とエリア別の警戒ポイントはヴィリニュスの治安にまとめています。

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ナイトクラブの睡眠薬入り飲み物 --- 昏睡強盗と性犯罪

リトアニアで特に警戒すべきなのが、ナイトクラブやバーでの昏睡強盗。手引きは明確に書いています。

深夜のバー等で親しげに近づき、飲み物に睡眠薬を入れて意識を失わせて金品を奪う昏睡強盗や強姦も発生しています。バーやナイトクラブ等で近づいてくる人物には注意してください。

さらに薬物の入り口にもなっていて、

ナイトクラブなどの夜の飲食店で、薬物(覚醒剤、麻薬、違法ドラッグ)の取引が行われています。

ヴィリニュス旧市街のナイトクラブやパブで、知らない相手に奢られた飲み物には絶対手を出さない。これは出発前に決めておく行動の1つです。性犯罪の認知件数も2025年に+7%増加していて、女性の単独行動はリスクが高いと考えるのが妥当。

銀行員なりすまし詐欺 --- カード社会だからこその罠

リトアニアは現金よりカード支払いが圧倒的に普及している国。だからこそ、カード情報を狙った詐欺が活発です。

銀行職員や政府関係者になりすました者からの詐欺被害が発生しています(カードの暗証番号を聞き出す)。

電話やメールで「不正利用が検出されました、暗証番号を教えてください」と聞いてくるパターン。本物の銀行も警察も、電話で暗証番号を聞き出すことはない――これを覚えておけば被害は防げます。手引きはあわせて「路上における支払いの際は、周囲に不審人物がいないかどうか確認することや、財布を手に持ったままにしない」と、スキミング・置き引き対策まで言及しています。

タクシーも同様に、

悪質な個人タクシーもいますので、タクシーは街路で拾うのではなく、タクシーアプリ(Bolt、Uber等が便利です)やタクシー会社に電話して呼ぶ方が確実で料金も適正です。

街路で拾わない・Bolt/Uberを使う、これも基本動作です。

電子タバコリキッド型の違法薬物 --- 「もらった」が逮捕の入口

リトアニアの薬物事情は2025年以降急速に変化しています。手引きと四半期報告が同じ警鐘を鳴らしているのが、電子タバコリキッドに混ぜた違法ドラッグの流通。

薬物事案については、大麻、覚醒剤、向精神薬、違法ドラッグ等の薬物は、ナイトクラブなどの夜の飲食店や路上等で取引が行われる傾向にあります。その他、オンライン上での取引も盛んに行われており、薬物を希釈し電子たばこ用のリキッドとして密売する手口や食品に偽装した薬物の流通が目立っております。

クラブで「これ吸ってみて」と渡された電子タバコ、ホテルで知らない人にもらった食品――それが違法薬物だった場合、所持しているだけで逮捕です。リトアニアの法律は明確で、

麻薬の製造、使用、取得、所持、携行、運送および普及は禁止されており、違反者は厳罰に処せられます。

「知らなかった」は通用しません。見知らぬ相手から渡されるものは絶対受け取らない。これだけで自分を守れます。

ダニ媒介性脳炎・ライム病 --- 国土の大部分で感染

リトアニアの風土病として旅行者が知っておくべきなのが、マダニが媒介する感染症2種。

ダニ媒介性脳炎はウイルス性脳炎で、主に中央ヨーロッパから北欧、旧ソ連地域に広がる風土病です。首都ビリニュス市を含め国土の大部分で、感染が報告されています。

ヴィリニュス市内でも感染報告がある、というのがポイント。治療薬がなく予防が大切で、ワクチンは3回接種(初回免疫)した後、3年後に追加、以降5年ごとの追加接種が必要。短期旅行で全コースを打つのは現実的ではないので、対策は「マダニに咬まれないこと」が中心になります。森林や草むらでは肌の露出を避けて、長袖長ズボンと虫よけスプレー。

ライム病もマダニ媒介で、

典型的にはマダニに咬まれた部位を中心に同心円状の紅斑がみられ、筋肉痛や関節痛、発熱症状が現れます。予防のためのワクチンはありませんが、抗生物質で治療は可能です。

赤い同心円が皮膚に出たら受診のサイン。冬は別のリスクがあって、

気温の変動が激しく、特に冬場はマイナス20度以下になることもあります。

マイナス20度以下と凍結路面の転倒事故も、保険の事故事例で頻出する原因です。

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医療費の実態 --- 国公立は古い、精密検査は西欧か日本へ

リトアニアの医療事情には注意点があります。手引きと外務省「世界の医療事情」がそろって警告しているのが、国公立病院の状況。

リトアニアの主な医療施設は国公立であり、概ね医療機器や施設が古く未整備な事も多く、また多くの医師は英語が通じますが、それ以外の職員については英語を理解しないことが多く、リトアニア語あるいはロシア語が堪能でない場合は受診することが困難です。

精密検査や高度な治療が必要な場合は、西ヨーロッパや日本への移動・移送を要するため、海外旅行者保険への加入が強く勧められます。

つまり重症ケースは医療搬送前提の国です。プライベートクリニック(Hila、Baltic-American Clinic、Meliva、Northway、Tavo klinikaなど)は英語対応で水準も悪くないものの、24時間救急やICU・専門手術となると西欧や日本への移送になります。

リトアニア独立の保険会社支払事例は公開されていないので、ヨーロッパ地域の参考事例として、SBI損保のフランス・ドイツ事例、ジェイアイの海外トラブルデータ、損保ジャパン off! のヨーロッパ事例から桁感を見ておきます。

事例(同地域参考)入院日数金額
バスに乗る際に転倒・大腿骨頚部骨折・医療搬送(フランス・SBI)17日1,746万円
腹膜炎・敗血症性ショック・医療搬送(フランス・SBI)32日1,610万円
急性心筋梗塞・医療搬送(フランス・SBI)22日854万円
ホテルバスルームで転倒・大腿骨骨折(フランス・SBI)9日860万円
ホテル浴室で転倒・橈骨神経断裂(ドイツ・SBI)10日639万円
憩室炎・医療搬送(ドイツ・SBI)17日540万円

転倒で骨折→西欧搬送だけで500万〜1,700万円。リトアニアの冬は凍結路面が日常で、これは他人事じゃないコース。クレジットカード付帯保険の上限では到底足りない場面が出てきます。

海外旅行保険の入国時義務化 --- 加入証券の携帯が必要

ここはリトアニア固有のルールで、見落としがちなポイント。

リトアニアへ入国、滞在する日本人は、海外旅行保険への加入が義務付けられています。入国時には、加入証券原本を携行し、入国係官の求めがあった場合は、直ちに提示できるように準備してください。

海外旅行保険の加入が「推奨」ではなく「義務」。入国係官に提示を求められたら、即座にその場で出せる準備が必要です。出発前にプリントアウト1枚+スマホ画面の保存、両方やっておきましょう。

通信手段の確保

ヴィリニュス旧市街でも空港でも、スマホが使えないと地図も翻訳も112への通報もできません。現地SIMかeSIMを出発前に準備しておこう。選び方は海外eSIM比較を参照。

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安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと

  1. 海外旅行保険に加入+証券原本を携行:リトアニアは入国時義務、係官に見せられる状態で
  2. ナイトクラブで知らない相手の飲み物・電子タバコを受け取らない:睡眠薬入り飲み物と違法薬物リキッドが横行
  3. タクシーは街路で拾わずBolt/Uberで呼ぶ:白タク・ぼったくりリスク回避
  4. 電話で暗証番号を聞かれたら即切る:本物の銀行も警察も電話で暗証番号は聞かない
  5. 十字架の丘・路線バス・レストランで荷物から目を離さない:実例で被害が多発しているスポット
  6. マダニ対策(長袖長ズボン・虫よけ):ヴィリニュス市内でもダニ媒介性脳炎の報告あり

マナー・法律で気をつけたいこと

リトアニアはシェンゲン圏内で、180日のうち最大90日まで査証なし滞在が可能。それ以外で気をつけたいのは、

  • 旅券常時携帯が義務: 外出時は必ず携帯
  • 国境・軍事施設・治安機関施設の写真撮影禁止
  • 1万ユーロ以上の現金持込・持出は税関申告
  • 自家製酒の持込・持出禁止、肉製品・乳製品の持込制限
  • ヴィリニュス旧市街「夜明けの門」付近で物乞いに金銭を与える行為は違法
  • 子の連れ去りはハーグ条約締約国として処罰対象

緊急時の連絡先

機関電話番号
警察・救急・消防(24時間・英語可)112
在リトアニア日本国大使館(ヴィリニュス)+370-5-231-0462

LT72(リトアニア内務省の緊急事態対応モバイルアプリ)も大使館が紹介しています。英語・リトアニア語対応で、自然災害や緊急事態時に通知を受け取れる仕組み。出発前にダウンロードしておくと安心です。

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海外旅行保険の備え

リトアニアは入国時に保険加入が義務で、しかも重症ケースは西欧や日本への医療搬送が前提。フランス事例で骨折+医療搬送が1,746万円という桁を考えると、クレジットカード付帯保険の200万〜300万円上限では明らかに不足します。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。

主要都市の治安情報

出典