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ブルネイの治安 シャリーア刑法・飲酒罰則・薬物死刑【2026】

ブルネイの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ブルネイ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.23 KAIGAI-RISK

ブルネイ・ダルサラーム国は、ボルネオ島北部の石油・天然ガスの富で回る絶対王政の小国。国土面積は三重県ほど、人口は約45万人。凶悪犯罪の発生率は低く、東南アジアの中では治安の良い国という位置づけです。ただ「安全な国ランキング」の数字だけで油断すると、ブルネイ特有の落とし穴にハマります。

外務省と在ブルネイ日本国大使館の注意喚起を並べて読むと、ブルネイは法律でトラブルを起こす国だということが見えてきます。2019年から全面施行されたシャリーア刑法、麻薬は種類と量によっては死刑、1962年からずっと続く非常事態宣言下での集会・横断幕規制、アルコールは非イスラム教徒でもホテル室内でしか飲めない、喫煙もホテルを含む公共の場で禁止——日本では違法ですらない行動がここでは罰則の対象になる。

この記事では、ブルネイ渡航前に押さえておきたい話を外務省と在ブルネイ日本国大使館のデータから整理します。

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危険レベル(全土レベル指定なし、ただし広域情報は多数)

外務省の危険情報はブルネイに対して個別指定なし。一方で、デング熱・狂犬病・違法薬物密輸・ロマンス詐欺・特殊詐欺などの広域情報は数多く表示されます。世界全体での位置づけはGPI 2025の解説も参考に。

犯罪発生状況(凶悪は少ない、窃盗と空き巣が主)

外務省「安全対策基礎データ」(2025年7月18日更新)はブルネイの治安の全体像をこう書いてます。

ブルネイは、実質的な絶対王政の下、豊富な資源(石油、天然ガス)による経済基盤を有する安定した政治社会体制が維持されており、国民は、医療、教育、その他の公共サービスでの優遇措置を享受しています。こうしたことから、一般的に凶悪犯罪の発生率は低く、比較的治安が良い国とされています。

ここから流れが変わります。

ブルネイ国内の犯罪の多くは、車上荒らしや家屋侵入(空き巣)といった窃盗犯罪です。特に近年、家屋侵入(及び未遂)事案が相次いで発生しています。2019年には在ブルネイ外交団の公邸、事務所及び外交団住宅(複数)への侵入窃盗が頻発し、同年5月には日本人宅への侵入窃盗や同未遂事件も発生しました。

日本人宅も被害に遭ってるというのがポイント。大使館「安全の手引き」(令和6年1月版)は2023年の犯罪認知件数を5,412件と記録、近年は薬物犯罪が増加しているとも書いてます。

シャリーア刑法(ブルネイ固有の最重要ルール)

ここがブルネイ旅行のいちばんの落とし穴。

2019年4月からシャリア刑法(イスラム法に基づく刑法)が全面施行され、人前での飲酒や、断食月(ラマダン)中の公共の場における日中の飲食、露出度の高い服装など、日本では法律違反とならないようなケースでも、ブルネイのシャリア刑法では罰せられることがあるため、注意する。

日本では法律違反にすらならない行為がブルネイでは刑罰対象になりうる。人前での飲酒、ラマダン中の日中の飲食、露出の高い服装——この3つは観光で普通にやりそうなことばかり。大使館版手引きにも「刑法の他にイスラム教のシャリア刑法が用いられており、日本国内で犯罪とみなされない行為が、シャリア法に触れるということもあり得ます」と書かれてます。

各国の薬物・法律の差は海外の薬物法マップ海外で高額罰金を食らう行為マップも参考に。

アルコールは非イスラム教徒でも「ホテル室内のみ」

ブルネイ国内ではアルコール(酒)類の売買と、レストラン等を含め人前での飲酒が禁止されています。非イスラム教徒に限り、ホテルの自室内等、他者がいない場所のみで飲酒が可能となっています。イスラム教徒にお酒をすすめたり、贈呈したりすることも禁じられていますので十分に注意してください。また、喫煙も公共の場所(ホテルを含む)では禁止されていますので、十分注意してください。

飲酒はホテルの自室限定。レストラン・バー・屋外プールサイドで飲むとアウト。喫煙もホテルを含む公共の場で禁止。「ロビーで1杯」「プールサイドでビール」が成立しない国、というのを頭に入れて行く必要があります。

通関時はウイスキー・ワイン等ボトル2本(最大計2L)、ビール330ml缶12缶までが非イスラム教徒の持込上限。入国時に申告必須で、一旦持ち込んだら次回の持込は48時間経過後。タバコは2010年11月から1本あたり50セントの関税がかかります。

麻薬犯罪は「一定量以上で死刑」

ブルネイの薬物法はマレーシア・シンガポールと同じ厳しさ。

麻薬犯罪は、マレーシア、シンガポール等と同様に厳しく処罰されます。刑罰は、麻薬の種類や量、さらに輸出入、取引、所持、使用などにランク分けして定められています。麻薬の種類によっては、一定量以上の所持で死刑、それ以外の場合であっても刑罰は重く、20~30年の実刑及び鞭打ち刑が科されます。絶対に関わらないでください。

種類によっては一定量以上の所持で死刑」「それ以外でも20〜30年の実刑+鞭打ち」。これは現地の取締対象であって、日本人だから例外というものではない。詳細はブルネイ(BSB)の薬物トラブルに切り出してます。

持込禁止品目も合わせて大使館が書いてます。

(持込禁止品目)主な持込禁止品目は、火器・銃器類、麻薬、ポルノ雑誌などですが、一般の雑誌、ビデオ、DVDでも水着姿等、性的刺激の強いものや政治的要素の強いものは検閲の結果没収されることがあります。また、銃火器、麻薬の所持者には極刑が科されることがあります。

水着姿のグラビア雑誌も没収対象になりうる、というレベルの厳しさです。

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非常事態宣言(1962年からずっと)

1962年に発出された非常事態宣言は、現在も有効であり、事前に当局の許可を得ずに多数で集会(パーティ)等を催したり、横断幕を掲げたりすると、場合によっては懲役5~7年及び7,000ブルネイ・ドル(約5,000米ドル)以上の罰金が科せられます。また、不法に銃火器等を所持している者は死刑となることもあります。

大使館の手引きも「1962年以来『非常事態宣言』が継続して発出されていることもあり、国内は全般的に平和が保たれています」と書いていて、平和と規制はセットになってる。無許可でホテル内で大人数パーティ・バナー掲示・抗議活動、どれも懲役刑相当。ブルネイ滞在中は目立つ集団行動を避けるのが無難。

空き巣・窃盗の狙われ方

大使館の手引きから、窃盗の具体的なパターン

外国人が多く住む地区の独立家屋や、人通りが少なく、空き地に隣接している家屋は、比較的家屋侵入(空き巣)の標的となりやすいため、長期滞在の場合は入居家屋の選定に留意する必要があります。また、銀行やATM周辺、ホテル、ショッピング・モール、レストラン等では、スリ、ひったくり、置引きなどに注意する必要があります。

時期の偏りも明確。

当国の特徴として、「中国旧正月(Chinese New Year)」と断食(ラマダン)明けの「大祭(ハリラヤ)」の時期に、盗難や家屋侵入事件が多発しています。この時期には一層の用心が必要です。

中国旧正月とハリラヤ(ラマダン明け)が集中シーズン。この時期の渡航は戸締まり・貴重品管理を一段上げる必要があります。詳しい場所と対策はBSBのスリ・置き引き・空き巣に。

女性を狙う犯罪・子供の誘拐未遂

件数は少ないですが、ソースに明記されてます。

件数自体は少ないものの、女性を狙った強姦・殺人・傷害事件が過去に発生していることから、特に女性は、人目につきにくい場所(トレッキング・コース、森林公園、映画館のトイレ等)での単独行動や肌を著しく露出する服装は避けてください。

なお、通学・帰宅途上の児童を狙った誘拐未遂事件も時折発生しており、保護者による送迎が必須となっています。

ブルネイは自然が残った国で、トレッキングコースや熱帯雨林公園が観光資源。ただ人目のない場所での単独行動は女性リスクと直結します。シャリーア刑法の「露出の高い服装」規制と合わせて、服装は控えめが現実的。

テロ・誘拐情勢

外務省「テロ・誘拐情勢」(2025年12月31日更新)はこう書いてます。

ブルネイでは、テロに関する当局の未然防止策が一定程度実効性をもって実施されているとみられ、テロ攻撃など死傷者を伴うテロ事案は発生していません。一方、2017年2月に「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)と関係を有するインドネシア人4名が拘束され強制送還されたほか、2018年5月には、ISILに感化され過激化したとされるブルネイ人教師が治安当局に拘束されるなど、テロ組織に関連した事案が確認されています。

死傷者を伴うテロは発生していないものの、ISIL関連の拘束事案は出ている、というのが正確な現状。

誘拐事件は例年数件発生しています。主として周辺国からの貧困労働者が営利目的で実施したものであり、邦人が特別に標的とされるものではありませんが、日本人は比較的富裕層に見られることから注意が必要です。

誘拐は周辺国労働者間のものが中心で、日本人がピンポイントで狙われる情勢ではない、というのが公式認識です。

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交通事情(ラウンドアバウト・王族車列・飲酒運転は初犯で禁固2年)

日本と同じく右ハンドル・左側通行ですが、3つクセがあります。

ア 日本ではまれなラウンド・アバウト(環状交差点)での右側からの車優先、イ 直進信号が青でも右折用の信号が青になるまで右折は禁止といった交通ルール等がありますので、慣れるまでは注意が必要です。

加えて王族車列への対応。

王族関係の車列が一般道路を走行する場合は、先導の警護オートバイがかなりのスピードで走行しつつ、前方の車に対し道を空けるよう要求します。また、まれに対向車線へ進入してくることもあります。走行中にそのような車列に出会った場合は、必ず先導の指示に従って、道路際に車を寄せ、一時停止した上で道を譲ってください。指示に従わない場合や、王族関係車両の走行を妨げた場合は、処罰の対象になる可能性があります。

王族車列を妨げただけで処罰対象。すぐ道路脇に寄せて一時停止が鉄則。

飲酒運転は超厳罰。

飲酒運転は道路法規上禁止されており、飲酒運転の初犯は1万ドルの罰金及び2年間の禁固刑が課せられます。

初犯で罰金1万ブルネイドル+禁固2年。ホテル自室で飲めるとはいえ、そこからレンタカー運転は絶対NGです。

医療費の実態(難病は国外搬送前提)

外務省「世界の医療事情 ブルネイ」(令和6年10月1日)から。

インフラや道路の整備は先進国同等に行き届いていますが、総合病院は全土で国立4病院と私立1病院に限られます。…医師総数と専門性の高い医師の数が限られていることから、医療先進国並みの医療は難しい場合があるようです。重大な病状と思われる場合には、可能な限り帰国や近隣医療先進国に移動することを検討してください。

大使館も同じ認識。

24時間体制・完全看護の総合病院もありますが、近隣諸国からの出稼ぎの医師が多く、日本と同レベルの医療水準は期待できません。難しい手術や精密検査を要する場合は、ブルネイ人でもシンガポール等、海外の病院に行くケースが多いので、事情の許す限りシンガポールや日本等での受診を推奨します。

ブルネイ人ですらシンガポール・バンコクに搬送するレベル。重症時は国外搬送が前提という国。

保険会社の具体事例(近隣マレーシアの参考)

ブルネイ単独の高額治療事例は、各保険会社の公開データ上(2026年4月時点)で確認できませんでした。ただ同地域の参考として、隣国マレーシアでのソニー損保の支払い事例はこうなってます。

  • 硬膜下血腫で23日間入院・手術、医師看護師付添搬送 → 352万円
  • 胆のう炎で27日間入院・手術、家族駆けつけ → 335万円
  • 車両同乗中の衝突事故で十二指腸完全破裂等、44日間入院・手術 → 851万円
  • 急性心不全で17日間入院、医師看護師付添搬送 → 490万円

出典:ソニー損保「海外旅行保険 トラブル事例」(マレーシアの事例)

ブルネイの場合、最初からシンガポール・バンコク搬送が選択肢になる国なので、国外緊急移送費+治療費1億円クラスの補償は現実的な前提です。

感染症リスク

大使館と外務省が特記しているのはデング熱(2026年2月13日更新の広域情報あり)。熱帯雨林気候で蚊が多く、街中でも感染リスクがあります。虫よけ(DEET)と長袖長ズボンは雨季の基本装備。狂犬病も全東南アジアに共通する広域情報が出てます。

ビザ・入国条件

日本とブルネイの間は査証免除取極が締結されており、日本国旅券所持者は30日以内の滞在であれば、ブルネイ入国に際して査証が免除されます。

ビザなしで30日滞在OK。ただし入国条件が明確に決まってて、漏れると搭乗拒否や入国拒否になりえます。

E-Arrival Cardsが比較的新しい手続きなので、出発前に登録を忘れないこと。また入国時に15,000ブルネイドル相当以上の外貨を持ち込む場合は税関申告必須。ブルネイドルはシンガポールドルと等価交換協定があり、シンガポールドルもそのまま使えます。

海外旅行保険(外務省が明文で推奨)

海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療で多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。先述のとおり高度医療を受けるためには、国外への移送が必要になる場合は、特に高額な費用となります。旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをぜひご検討ください。

外務省が明確に「加入をぜひ検討」と書く数少ない国の1つ。国外搬送が前提になる国である以上、これは仕様です。

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通信

ブルネイは主要都市でLTEカバーあり。短期旅行者はeSIMで十分カバーできます。比較は海外eSIM比較にまとめてます。

緊急時の連絡先

  • 警察:993(日本の110番相当)
  • 救急車:991
  • 消防署:995
  • ブルネイ警察本部(代表):2423901(大使館版)/245-9500(外務省版)
  • 在ブルネイ日本国大使館(平日 8:30-17:00 代表):222-9265
  • 夜間・休館日(領事担当):8735195 または 8740241

大使館の住所はHouse No. 33, Simpang 122, Kampong Kiulap, Bandar Seri Begawan BE1518。首都BSBの中心にあります。

ブルネイの都市別情報

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海外旅行保険の備え

ブルネイは凶悪犯罪は少ない国ですが、重症なら国外搬送が前提というのが医療事情の現実。クレカ付帯の疾病治療費だけでは搬送費で溶ける可能性があります。渡航前に東南アジアの海外旅行保険比較で補償内容をチェックしておくのがおすすめです。

主要都市の治安情報

出典