クロアチアは「中・東欧諸国の中では比較的安全」と外務省も書いている国です。ただしこの「比較的」には条件がある。夏の観光シーズンにスリが急増すること、1990年代の紛争で埋設された地雷がいまだに残っている県があること、過去の紛争で出回った銃器を使った強盗事件があること。治安がいい国だと油断して行くと、写真を撮っている間にリュックを開けられています。
Travel Alert 01
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危険レベル
外務省はシサク・モスラヴィナ県、カルロヴァツ県、リカ・セニ県、スプリト・ダルマチア県の一部にレベル1(十分注意してください)を発出しています。理由は紛争時に埋設された地雷の残存。ザグレブ、ドゥブロヴニク、スプリト、プリトヴィツェ国立公園といった一般的な観光地は地雷エリア外ですが、脇道や山野に入ると危険です。舗装された主要道路だけを通ること。
犯罪の全体像 --- 日本人被害のほぼ全部がスリ・置き引き
日本人が被害に遭う主な犯罪は、観光地におけるスリや置引きといった窃盗被害です。観光中、財布だけでなく、旅券やスマートフォンを盗まれる被害も発生しています。
大使館の「安全の手引き」にある一文。日本人が巻き込まれる犯罪は窃盗がほぼ全て。一方で、クロアチア全体としては1990年代の紛争で出回った銃器を使った商店・金融機関への強盗事件が依然として発生しています。観光客が銃器強盗に遭うリスクは低いとはいえ、「ヨーロッパの穴場」と気軽に考えすぎないほうがいい。
名指しでスリ被害が報告されている観光地は、ザグレブ、スプリット、ドゥブロヴニク、プリトヴィツェ国立公園の4か所。手口の詳細は各都市の記事で整理しています。
夏の観光シーズンにスリが急増する構造
外務省は「観光シーズンである夏季を中心に観光客のスリ被害が増加します」と明記しています。クロアチアは夏に観光客が集中する国で、スリグループもそれに合わせて暗躍する。特に写真撮影中やスマホで地図を見ながら歩いている時が狙われるタイミング。団体行動中でも安心できないと外務省がわざわざ書いているレベルです。
Travel Alert 02
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旧ユーゴ紛争の話題はNG --- 国民性とタブー
クロアチア人は親日的と言われています。ただし宗教や民族問題を安易に話題にすること、90年代前半の旧ユーゴ紛争について発言することは外務省が「控えてください」と明記しているタブーです。歴史好きな人がつい踏み込みがちなトピックなので、現地の人との会話では避けておきましょう。
テロ・誘拐 --- 過去5年で誘拐ゼロ、テロは1995年以降なし
テロは1995年にリエカ市の警察本部に対する自動車自爆テロが最後で、それ以降30年間テロ事件は発生していません。誘拐は過去5年間(2020〜2024年)で合計3件のみ、いずれも親権や知人間のトラブル。日本人や外国人を標的にした身代金目的の誘拐は起きていません。
サッカーの試合日は近づかない
サッカーの国際大会や国内リーグのライバル戦では、一部のサポーターが過激化して「けんかや器物損壊等の事件を犯すほか、警戒に従事する警察官に攻撃を加えるなど衝突する」と手引きが書いています。飲酒したサポーターの集団には近づかないのが基本。試合日の夕方以降はスタジアム周辺を避けておこう。
観光マナー違反で罰金 --- 水着で旧市街を歩くだけでアウト
ドゥブロヴニクやスプリトでは観光公害対策として罰金が科される行為があります。
- 水着での街歩き
- 公共の場での飲酒
- 路上への嘔吐や排泄行為
- 路上寝
ビーチからそのまま旧市街に入るのはNG。禁止行為の看板が掲示されていて、違反するとクロアチア当局から罰金を科されます。詳しくはドゥブロヴニクの詐欺・ぼったくりで解説しています。
Travel Alert 03
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医療費の実態 --- 救急車は有料、イタリア事例で1,011万円
クロアチアの医療水準は低くないとされていますが、地方では設備が十分でなく、救急ヘリで大都市の病院に移送されるケースがあります。日本と違い、救急車を呼ぶと料金がかかる点は知っておくべき。
クロアチア独立の保険会社支払い事例はありませんが、アドリア海の対岸・イタリアでの参考事例を見ると医療費の桁が見えてきます。
| 内容 | 入院日数 | 金額 |
|---|---|---|
| イタリア:心筋梗塞、16日間入院・手術、医師看護師付添い医療搬送 | 16日 | 1,011万円 |
| バチカン:サンピエトロ大聖堂の階段で転倒、大腿骨頸部骨折、14日間入院、医療搬送 | 14日 | 951万円 |
| イタリア:卵巣嚢腫、6日間入院・手術 | 6日 | 638万円 |
| イタリア:ホテルバスルームで転倒、脛骨・腓骨骨折、11日間入院 | 11日 | 578万円 |
いずれもソニー損保(ジェイアイデータ)のイタリア・バチカン事例。階段で転倒しただけで951万円、バスルームで滑っただけで578万円。クレジットカード付帯保険の治療救援費上限(300万〜500万円)では全く足りません。
ダニ媒介性脳炎 --- 治療法なし、予防接種が唯一の手段
内陸部はダニ媒介性脳炎汚染地帯で、春先から秋にかけてダニに咬まれることによって脳炎を起こすことがあり、死亡例や後遺症が報告されています。
外務省の医療事情ページにある一文。ダニ媒介性脳炎は治療法がなく、予防接種が唯一の予防策。ザグレブなど内陸部の公園にもダニは生息しているので、裸足で芝生を歩いたり、素手で樹木に触れたりしないこと。長期滞在者だけでなく、プリトヴィツェ国立公園のような森林地帯を歩く予定がある人はワクチンを検討してください。日本国内のトラベルクリニックで接種可能です。同じ中欧のオーストリア・ハンガリー・チェコ・国境を接するスロベニアもダニ脳炎の流行地で、地続きの郊外を歩くなら共通の備えが必要。
卵料理やマヨネーズを使った料理でのサルモネラ菌食中毒にも注意。夏期は紫外線が強いので日焼け対策も忘れずに。
交通事情 --- 信号がいきなり赤に変わる
クロアチアの横断歩道の信号は、日本と違って「横断」から「停止」に変わる際に点滅しない。いきなり赤になります。また、ウィンカーを出さずに曲がったり急停車するドライバーが散見されるとの注意も。レンタカーでの速度違反は帰国後にレンタカー会社経由で請求書が届くので、速度制限(市街地50km/h・高速130km/h)は厳守。冬季(11月1日〜3月31日)は日中でも前照灯の点灯が義務です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
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シェンゲン90日ルールとEES
クロアチアは2023年1月からシェンゲン協定に加盟。日本国籍者は90日以内の観光は査証不要ですが、180日の期間内で最大90日間のルールが他のシェンゲン国と合算される点に注意。2025年10月12日からはEES(出入域システム)が段階的に導入されていて、空港で顔写真と指紋の電子登録が必要です。
通信手段の確保
ザグレブでもドゥブロヴニクでも、スマホが使えないと地図も翻訳も緊急通報もできません。出発前にeSIMを準備しておくのが楽。選び方は海外eSIM比較を参照。
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察 | 192 または 112 |
| 消防 | 193 または 112 |
| 救急 | 194 または 112 |
| 在クロアチア日本国大使館 | (01) 4870-650 |
| 国外から | +385-1-4870-650 |
112はEU共通の緊急通報番号。大使館は閉館時でも代表番号から緊急電話に転送されます。所在地はBoskoviceva 2, 10000 Zagreb。
緊急時のクロアチア語:「助けて!」= U pomoc!(ウ ポモチ)、「泥棒!」= Lopov!(ロポヴ)、「警察を呼んで!」= Zovite policiju!(ゾヴィテ ポリツィユ)。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
クロアチアは救急車が有料、地方では救急ヘリ移送の可能性あり。隣国イタリアの事例では階段の転倒だけで951万円。「比較的安全」でも医療費は日本の感覚と全く違います。出発前に保険の補償内容を確認しておきましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
近隣のモンテネグロ・ボスニア・セルビアを組み合わせるバルカン周遊なら、共通でスリ・ぼったくり・ダニ脳炎の備えが必要です。