ポーランドは「東欧で物価安・人気急上昇」と紹介されることが多くて、実際に治安は2000年代初頭の悪化から大きく改善した国です。ワルシャワから陸路バス・LCCでバルト3国(リトアニア・ラトビア・エストニア)まで繋がっていて、欧州周遊の起点として使う旅行者も増えています。在ポーランド日本国大使館も「現在の治安状況は概ね安定しています」と書いています。それでも犯罪発生率は日本の3.5倍、邦人被害は年間数件発生していて、しかも「偽警察官にクレカの暗証番号を聞かれる」「ナイトクラブで複数回カード決済され総額100万円以上請求された」という、日本人観光客が引っかかりやすい固有手口が大使館の独立PDFで警告されています。「概ね安定」を「安全」と読み替えると痛い目を見る国です。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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危険レベル
外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。スポット情報も「現在、スポット情報は出ておりません」となっています。広域情報としては、欧州共通の「テロ等に関する注意喚起」(2026年2月)、「欧米等でのテロ等に関する注意喚起」(2025年11月)、特殊詐欺・違法薬物・国際ロマンス詐欺の注意喚起が継続発出中。テロ脅威警戒レベルは4段階中の2段階目(BRAVO)を全土で導入しています(後述)。
犯罪の全体像 --- 2025年で79万件・日本の3.5倍
在ポーランド日本国大使館「安全の手引き」(令和8年4月版)が出している2025年の主要犯罪統計はこうなっています。
| 類型 | 2025年認知件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 総犯罪認知件数 | 793,157 | +0.4% |
| 殺人 | 502 | 0.0% |
| 暴行 | 2,527 | -6.4% |
| 強盗 | 3,698 | -12.9% |
| 窃盗 | 82,570 | -10.5% |
| 車両窃盗 | 5,253 | -8.4% |
| 侵入盗 | 53,546 | -6.3% |
| 薬物犯罪 | 70,928 | -0.2% |
主要類型は減少傾向で、長期的にも改善が進んでいる国です。それでも――
2024年のポーランドにおける人口10万人あたりの総犯罪認知件数は2,107件で、日本の3.5倍です。…ポーランドの犯罪発生率は、欧米諸国の中でも特段高いわけではありませんが、日本に比べると高いと言えます。
「日本の3.5倍」は数字としてはそんなに恐ろしくないけれど、日本の感覚で歩くと当たります。年間8万件超の窃盗、5万3千件の侵入盗、5千件超の車両窃盗の中に、邦人が混じっている――というスケール感です。
危険エリア --- ワルシャワに集中、特定の4ポイント
首都ワルシャワ、クラクフ、グダンスク、ヴロツワフ等の主要都市は、その他の都市に比べると犯罪件数が多く、犯罪が比較的多く発生している危険エリアも存在します。特にワルシャワでは、下記の場所で比較的多くの犯罪被害が確認されているので注意してください。
・中央駅を始めとする公共交通機関施設周辺及び公共交通機関の車内 ・飲食店が立ち並ぶ憲法広場や新世界通りの周辺(特に夜間) ・旧市街等の観光地 ・大型スーパーマーケット、ショッピングモール
大使館「安全の手引き」が名指しする4ポイント。ワルシャワでは特にワルシャワ・ショパン空港 〜 ワルシャワ中央駅 〜 旧市街 を結ぶ市バス内でスリ被害が頻発、と外務省も書いています。空港に着いたその瞬間からスリのレーダー圏内に入る、と考えてください。詳しい場所別の手口はワルシャワの治安で整理しています。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
偽警察官詐欺 --- カードの暗証番号を聞かれたら100%偽物
ポーランドで日本人旅行者が引っかかる詐欺の筆頭がこれ。在ポーランド日本国大使館は専用のPDFを出して警告しています。
① 地図を広げた外国人旅行者らしき人物(A)が話しかけてくる。 ② これに応じていると、警察官と称する二人組(私服)が現れ、(偽造の)警察IDを素早く見せた上で、同人物(A)が尋問を受ける。… ③ 次に、偽警察官は被害者の邦人に対しても、ID及び所持しているすべての現金及びクレジットカードの提示を求め、さらにクレジットカードの暗証番号を聞いてくる。正確な番号を言わないと警察署へ連れて行くと高圧的になる。 ④ 偽警察官は、無線機やカードリーダーで確認をした後、現金及びカード類を返却するが、このうちの現金の一部(被害は一万円札が多い)、クレジットカード1~2枚を気づかれないように抜き取り、立ち去る。 ⑤ 数十分以内の間にその持ち去られたカードが不正使用される。
最初に話しかけてくる「外国人旅行者A」と「警察官二人組」がグル。返却されたカードのうち1〜2枚が抜き取られていて、数十分以内に不正使用される――というところまでがセットです。核心はこちら。
③ 警察官が、個別にクレジットカードの提示を求め、カードの暗証番号を聞くことは絶対にありません。
本物の私服警察官もポーランドにはいるので、職務質問自体は否定できません。でも本物は パスポートの提示を求めるだけ で、カードと暗証番号は絶対に聞きません。「本物か偽物か分からない」と感じたら、「他の警察官にも立ち会ってもらう」「日本大使館に連絡したい」と毅然と主張する、それでも拗れたら112(英語可)か大使館(+48-22-696-5000)に通報する、というのが大使館推奨の対応です。詳しい手口はワルシャワの詐欺・ぼったくりへ。
ナイトクラブ詐欺 --- 邦人が「総額100万円以上」請求された事例
もう一つの固有手口がナイトクラブのドリンク・カード詐欺。
国内主要都市のバーやナイトクラブで詐欺被害が確認されており、邦人の被害も発生しています。…睡眠薬等を混ぜた飲料を提供し、意識がもうろうとした客からクレジットカード決済で高額の代金を巻き上げるといった悪質な手口も確認されており、過去、邦人旅行者が複数回のカード決済で総額100万円以上を請求された事案も確認されています。
ワルシャワやクラクフのナイトクラブでは邦人の被害が発生しているので、特に注意する。
大使館「安全の手引き」がワルシャワとクラクフを名指し。手口の典型は、ストリップ・ショーやシャンパンで法外請求/泥酔状態にしてカード決済/「決済が通らなかった」と言って何度もカードを切る、です。100万円は「ぼったくり」のスケールを超えていて、もはや「カード決済を悪用した強盗」と言ったほうが正確。「ワルシャワの新世界通りの強引な客引き」も大使館警告に明記されているので、声をかけられても立ち止まらないのが鉄則です。
ぼったくりタクシー --- 警察は「民事不介入」
空港の到着ロビーや観光地近辺の駅といった観光客の集まる場所で、客に直接声を掛けて法外な料金を請求する個人営業のタクシー運転手(無許可営業を含む)が確認されています。
外務省の基礎データの一文。ここで重要なのは、ぼったくられても警察は基本動かないという点。
当地警察も、タクシー料金に関するトラブルに関しては、原則、民事不介入としています。
日本のように「警察呼ぼう」が通用しません。正規タクシー(電話・ホテル・空港カウンター手配)を使うか、ライドシェア(配車アプリ)を使う――これが大使館・外務省共通の推奨です。
ポーランドでは配車アプリを利用した乗り合いサービス、いわゆるライドシェアが広く利用されています。これらサービスでは、配車予約時に料金が分かるほか、アプリ内で決済を行うため、ぼったくり防止の点で有効な配車手段とされています。
具体的な配車手段はワルシャワのタクシー・交通トラブルで整理しています。
テロ情勢 --- 全土でレベル「BRAVO」、鉄道は「CHARLIE」
ポーランドでは現在、イスラム過激派組織や反政府武装組織の活動は確認されていません。それでも――
ポーランド政府は、2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵略以降、特に東部からのテロリスト侵入を警戒しており、…2022年4月16日以降から現在に至るまではポーランド全域に対してテロ脅威警戒レベル「BRAVO」(レベル2)を導入し、テロの警戒に当たっています。
2025年第3・第4四半期にはさらに事態が動きました。
- 2025年9月:オルシュティン地方で19歳の青年計4人を爆発物製造・所持で起訴
- 2025年11月15-16日:ワルシャワ-ルブリン間の鉄道線路で2件の破壊工作。爆発物による線路破壊と、475人乗車の列車急停車。実行犯はロシア特務機関と協力していたとトゥスク首相が下院で発言。鉄道テロ警戒レベルを「CHARLIE」(レベル3)に引き上げ
- 2025年12月:クリスマスマーケット爆破計画でルブリン・カトリック大学生(19歳)を拘束
ワルシャワからウクライナ方面に向かう鉄道路線がテロの標的になっている、というのが今のポーランドのリアルです。なお、ウクライナ国内からの邦人退避は2022年に在ポーランド大使館・ジェシュフ臨時連絡事務所が窓口となり、現在も在ウクライナ大使館の領事窓口業務を在ポーランド日本国大使館(ワルシャワ)が代行しています。クラクフ・ワルシャワなど主要都市の中心部での観光は問題ないけれど、国際列車・観光イベント・大型ショッピングモール・宗教関連施設は標的になりうる場所として大使館が警戒を呼びかけています。隣接するドイツの鉄道路線でも警戒レベルが上がっていて、欧州全体の連動した状況です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
違法薬物 --- 嗜好用大麻も覚せい剤と同じ「違法」
ポーランドでは大麻・覚せい剤・デザイナードラッグなどすべて違法です。
ポーランドでは、嗜好用大麻、覚せい剤、デザイナー・ドラッグ等が違法薬物とされており、治安機関はこれら違法薬物に関して厳しい取締りを実施しています。興味本位で関わると厳しい罰則を受けるおそれがあります
外務省は2025年4月にも「違法薬物(大麻等)の密輸に関する注意喚起」を出しています。ナイトクラブで提供された飲み物に睡眠薬が混ぜられていた事例も大使館が警告する手口の一つで、自分が使う気がなくても巻き込まれるルートがあります。空港やホテルで「荷物を預かって」「これを持っていって」も絶対に断る、というのは欧州共通の鉄則です。
医療費の実態 --- 隣国フランス・ドイツ事例で最高1,746万円
ポーランドは保険会社の独立した支払事例ページを持っていません。同じシェンゲン圏で医療費水準の参考になるフランス・ドイツの事例を見ると、医療費が桁外れに膨らむパターンがよくわかります。
| 内容 | 入院日数 | 金額 |
|---|---|---|
| フランス:バス段差で転倒・大腿骨頚部骨折、医師看護師付添医療搬送 | 17日 | 1,746万円 |
| フランス:腹膜炎・敗血症性ショック、医師付添医療搬送 | 32日 | 1,610万円 |
| フランス:急性心筋梗塞、医師看護師付添医療搬送 | 22日 | 854万円 |
| フランス:ホテルでふらつき脳内出血、看護師付添医療搬送 | 14日 | 804万円 |
| フランス:脳内出血(呼びかけに応じず)、救急搬送 | 13日 | 717万円 |
| フランス:美術館で転倒・大腿骨転子部骨折 | 20日 | 707万円 |
| ドイツ:ホテル浴室で橈骨神経・橈骨動脈断裂 | 10日 | 639万円 |
| ドイツ:発熱・腹痛で受診、憩室炎 | 17日 | 540万円 |
ポーランドの大使館「医療事情」も同じことを書いています。
医療費は他のヨーロッパ諸国と同様に日本に比べて高額となることが少なくありません。 長期の治療やリハビリテーションが必要な場合は、西ヨーロッパや日本へ移送を要することも考えられます。移送には高額な費用が必要となる可能性があるため、十分な補償額の海外旅行保険への加入をお勧めします。
「バスの段差で転倒しただけ」で1,746万円。クレジットカード付帯保険の治療救援費用上限(300万円〜500万円)では全く足りません。
EES(出入国システム)が運用開始
ポーランドはシェンゲン圏なので、2025年10月12日からEES(顔写真と指紋の電子登録)が段階的に導入されています。2026年からはETIAS(事前渡航認証)も導入予定。空港の入国審査に時間がかかる可能性があるので、乗り継ぎ時間には余裕を持っておきましょう。
なお、入国時には所持金要件があって、5日未満は300ズロチ相当・5日以上は1日75ズロチ相当の現金所持が必要、帰国便を持っていない場合はEU圏外からは2,500ズロチ相当が必要です(クレジットカード利用限度額証明書でも代替可)。実務的には引っかかることはほぼないけれど、90日超の長期滞在では3万ユーロ以上の医療費補償の海外旅行保険加入が義務になっています。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと
- 「警察」を名乗る人物にカードの暗証番号は絶対に教えない。本物の警察は路上で聞かない。怪しければ112か大使館(+48-22-696-5000)
- ワルシャワ・クラクフのナイトクラブには深入りしない。「シャンパン」「ストリップ・ショー」を提示された時点で離脱、カード決済が複数回走ったら即停止
- 空港〜中央駅〜旧市街のバス内ではバッグを前に。網棚・座席に貴重品を置かない
- タクシーは正規(ホテル・空港カウンター手配)かライドシェア。流しは使わない
- 両替は街中のKANTORで。空港・ホテルのKANTORはレートが悪い
- 海外旅行保険は治療救援費1,000万円以上。フランス・ドイツの事例で1,746万円のケース、クレカ付帯では足りない
- 3か月以上滞在は在留届、3か月未満はたびレジを出発前に登録
通信手段の確保
ワルシャワでもクラクフでも、スマホが使えないと地図も翻訳も配車アプリも緊急通報もできません。ライドシェアが事実上のタクシー標準なので、着いた瞬間からネット接続必須の国です。出発前のeSIM準備が一番楽。選び方は海外eSIM比較を参照。
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察(Policja) | 997 |
| 救急(Pogotowie Ratunkowe) | 999 |
| 消防(Straż Pożarna) | 998 |
| 欧州共通緊急 | 112 |
| 在ポーランド日本国大使館 代表 | +48-22-696-5000 |
| 大使館領事部 | +48-22-696-5005 |
大使館領事部の所在地は ul. Szwoleżerów 8, 00-464 Warszawa。窓口は平日9:00〜12:30、13:30〜17:00(土日祝休み)。閉館時に大使館代表(+48-22-696-5000)にかけると緊急連絡担当者へ自動転送されます。
緊急時に使える最低限のポーランド語:
| 日本語 | ポーランド語 | 読み |
|---|---|---|
| 助けて! | Pomocy! | ポモツィ |
| 警察を呼んでください | Proszę policję | プロシェン ポリツィエン |
| 救急車を呼んでください | Proszę pogotowie | プロシェン ポゴトヴィエ |
| 病院 | szpital | シュピタル |
| パスポート | paszport | パシュポルト |
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ポーランドは保険会社の独立した支払事例こそないものの、隣国フランスではバスの段差で転倒するだけで1,746万円、ドイツでも橈骨動脈断裂で639万円という事例が複数あります。クレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限(300万円〜500万円)では全く足りません。出発前に必ず補償内容を確認しましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
主要都市の治安情報
出典
- 外務省 海外安全ホームページ「ポーランド 危険・スポット・広域情報」
- 外務省 安全対策基礎データ(ポーランド)
- 外務省 テロ・誘拐情勢(ポーランド)
- 外務省 世界の医療事情「ポーランド」
- 在ポーランド日本国大使館「安全の手引き」令和8年4月版
- 在ポーランド日本国大使館「警察官を装った詐欺にご注意」PDF
- 在ポーランド日本国大使館「ポーランド治安関連統計(2025年第3・第4四半期)」
- 在ポーランド日本国大使館「ポーランド治安関連統計(2025年第2四半期)」
- SBI損保 海外旅行保険 高額医療費事例(フランス・ドイツ、同地域参考)
- ソニー損保 海外旅行保険 事故事例(フランス・ドイツ、同地域参考)