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マラウイの治安 偽制服の侵入強盗、湖で住血吸虫も【2026】

マラウイの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在マラウイ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

「アフリカの温かい心」と呼ばれる素朴な国マラウイ。治安は近隣諸国より落ち着いていて、観光地マラウイ湖は世界遺産。ただし在マラウイ日本国大使館の「安全の手引き」(2025年7月改訂)を開くと、想定よりずっとハードな現実が並んでいます。2024年の住居侵入は9,219件、強盗2,072件、殺人851件。首都リロングウェと南部商業都市ブランタイヤでは、偽電力会社員や偽警備員が手引きする組織的な侵入強盗が主流。マラウイ湖は手足を浸すだけで住血吸虫に感染するリスクがあります。

外務省は全土をレベル1(十分注意)に指定。「外国人の存在は非常に目立つため、滞在時は十分注意が必要」と明記しており、2025年9月の総選挙前後の政治集会・暴動への巻き込まれにも警戒が必要です。

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危険レベルと総選挙リスク

外務省「危険・スポット・広域情報」(マラウイ)の【危険度】と【ポイント】はこう書かれています。

全土 レベル1:十分注意してください。(継続)日本人被害の大半は首都リロングウェや南部商業都市ブランタイヤで発生しています。被害内容はスリ、ひったくり、強盗、建造物侵入、空き巣等です。

そして2025年9月に大統領選を含む総選挙が予定されているため、外務省は集会や暴動への巻き込みリスクも警告しています。「公式な選挙キャンペーンは2024年9月から開始するため、当該期間には多人数の集会に端を発した暴動事案等の発生が予想されます」。デモ隊が暴徒化して警察と衝突する事例が報告されており、「人が集まる場所を避けて行動する」のが基本です。

2024年の犯罪統計

大使館「安全の手引き」が公開している2024年1月〜12月の主要犯罪認知件数はこちら(前年比はカッコ内)。

罪種2024年認知件数前年比
殺人851件-63
強盗2,072件-84
住居侵入9,219件-837
強姦(14歳以上)150件-58
強姦(13歳以下)1,435件-256
車両盗難53件-10
窃盗12,194件-62
交通事故5,553件-3,863

数字は減少傾向ですが、住居侵入が年9,000件超で最大。日本の感覚では信じがたいスケールです。大使館は「マラウイは比較的安全な国と認識されていますが、盗難、空き巣の被害に多くの在留邦人が遭遇しています」「日本人は多額の現金を所持している、人を簡単に信用する、防犯に対する意識が低いと現地では認識されています」と釘を刺しています。なお、2024年の邦人被害は4件(盗難4・強盗1・強盗未遂1)と少ないですが、外国人を狙った犯罪は増加傾向です。

偽電力会社員・偽警官・警備員手引きの侵入強盗

マラウイ犯罪のいちばん怖いところは、犯罪者が制服を装って堂々と入ってくる点です。手引き2025年7月版から。

当地は、警察官の制服や警備員の制服・偽造身分証は一般に出回っており、警察官や警備員の応援を装って侵入を働く犯罪者がいます。また電力会社社員や水道の検針員を装う犯罪者もいることから、客来訪時は小窓で人物確認および訪問目的等の確認を行わせ、家人の許可をとった後に開門させる。

外務省も「電力会社社員や警察官を装う、警備員が犯罪者を手引きする、等のケースが報告されています」と同じ指摘。リロングウェの一般的な外国人住居は2m以上の外壁+バーグラーバー(鉄格子)+警報装置という要塞仕様が前提で、それでも侵入されます。短期滞在者がAirbnbや個人宅に泊まる場合は、ホストの警備体制(24時間警備員、外壁、夜間照明)を必ず確認しよう。

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街灯のない夜間と「置き石」襲撃

慢性的な電力不足のため街灯は消灯していることが多く、夜間の道路は真っ暗です。外務省は「道路に置き石をして停車させ、車両を襲撃するといった事件も発生する」と注意喚起。日中も道路はあちこち陥没していて、リロングウェの幹線道路でさえ走行中に深い穴に落ちる危険があります。レンタカーで自走するなら運転手付き手配が無難です。

ミニバスとひったくり

リロングウェ・ブランタイヤの庶民の足はミニバス(ワゴン乗合)。これが最大のひったくりホットスポットです。

ミニバス(ワゴン車)での移動中には、開いている窓から貴重品をひったくられる被害や、居眠り中の窃盗被害および預けた荷物の盗難被害が発生しています。

加えて事故も多発。「過度な定員オーバーや整備不良、乱暴な運転等によりミニバスの交通事故が頻発しています。夜間の利用を極力避ける」「遠距離移動にはミニバスを利用せず、遠距離専用大型バス(AXA、SOSOSO)を利用することをおすすめします」と外務省。スマホ操作中の路上強奪も多く、首都リロングウェのスリ・ひったくり対策はリロングウェのスリ・ひったくりで詳しく解説しています。

偽タクシー・空港のぼったくり

リロングウェのタクシーには「サインやメーターはありません」(在マラウイ大使館)。しかも乗車前に交渉して値段を決めないと、後から法外な額を請求される事例が頻発します。空港〜市内主要ホテルの相場は約MK17,000(約20米ドル)。正規タクシーは白地に赤文字のナンバープレートですが、それでも「信頼性に欠ける場合もあり、十分に注意して乗車して下さい」と大使館が明記。

加えて、クレジットカードの第三国不正利用も問題化。「使用したクレジットカードの番号が第三国の通信販売等の決済に使用されていたケースがあり、あまりお勧め出来ません」と大使館。決済できる場所が限られているうえに不正利用リスクもあるため、現金中心で必要最小限のカード利用にとどめるのが安全です。詳しくはリロングウェのタクシー・詐欺へ。

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マラウイ湖の住血吸虫とマラリア

マラウイ最大の観光地はマラウイ湖(湖畔のケープマクリアやマンゴチ周辺)。透明な水と熱帯魚で「アフリカのカリブ海」と呼ばれますが、外務省「世界の医療事情」は明確に警告しています。

河川や湖には、ビルハルツ住血吸虫が生息しており、手足を浸すことにより、幼虫が皮膚から侵入して感染します。急性期には皮膚炎や膀胱炎などの症状がおこり、感染を繰り返すと膀胱癌の原因になります。観光地のマラウイ湖も安全ではありません。湖畔のホテルではシャワーなどに湖水をそのまま使用している施設もあるので、注意してください。

シャワーでも感染するというのが特に危険。湖畔ロッジに泊まる場合は給水源を確認し、水道水の場合のみ使うようにしよう。

マラリアも全土通年リスク。「マラウイ国内で毎年600万人以上の患者が発生すると推定」「治療が遅れると重症化して死亡する熱帯熱マラリアも蔓延しており、マラウイ全土で一年を通して発生」。雨季(1〜3月)に特に多く、夜行性のハマダラカが媒介します。7日以上の滞在では予防内服を医師と検討するレベル。詳細はリロングウェの医療・感染症へ。

テロ・誘拐情勢 --- 2024年に身代金目的の誘拐事件

外務省は「マラウイにおいては、テロ組織、反政府組織や国際的なテロ組織の活動は確認されていません」と整理しています。ただし、誘拐事件は身代金目的のものが発生。

2024年7月24日夕方、リロングウェ市内でインド系イギリス国籍の男性(26歳)がモスクから自家用車で帰宅途中、何者かに道を阻まれ、被害者が確認のため車外に出たところ、用意されていた別の車で連れ去られたという事案が発生しました。被害者は3日後の深夜に解放されましたが、容疑者は未だ特定されていません。

「現在、マラウイにおいてテロ・誘拐による日本人の被害は確認されていません」と外務省。とはいえ、外国人の経済力が目立つマラウイでは身代金狙いの可能性は排除されません。「行動を予知されない」「同じルートを繰り返さない」「貴重品を見せびらかさない」の三原則は基本です。

医療費の実態 --- 重症は南アフリカ搬送で数百万円

外務省「世界の医療事情」のマラウイは、率直に厳しい記述です。

医療施設には国立病院と私立病院があります。国立病院は、医薬品や医療機器の絶対的な不足もあり、日本と同等の医療は期待できません。医療従事者の不足も深刻で、人口10万人あたりの医師数は約4人しかいません(日本は人口10万人あたり約270人)。

そして決定打。「マラウイ国内では心臓カテーテル検査やペースメーカー手術、脳神経外科手術はできません」「全身麻酔を要するような手術や複雑な処置、輸血などが必要な場合は、可能なかぎり南アフリカ共和国に移動して治療を受けることを勧めます」。

つまり、重症化したら南アまで医療搬送する前提です。SBI損保「アフリカ・中南米旅行での高額医療費事例」(出典: ジェイアイ傷害火災保険海外旅行保険事故データ2015〜2023年度)には、マラウイ単独事例はありませんが、アフリカ地域の参考事例として近隣国の数字が並びます。

ジンバブエ|観光中に鉄橋で滑って転倒。大腿骨骨幹部骨折と診断され現地病院からチャーター機で南アフリカまで医療搬送し15日間入院・手術。家族が駆けつける。505万円

ギニア|頭痛と高熱を訴え受診。マラリアと診断され5日間入院。その後溶血性貧血と診断され、チャーター機でパリに医療搬送し10日間入院。家族が駆けつける。1,116万円

ジンバブエ→南ア搬送が505万円、ギニアのマラリア重症化+パリ搬送が1,116万円。マラウイで同等の事案が起きれば桁感は同じになります。さらに大使館は「緊急移送には高額の費用が必要になるため、海外旅行保険等による支払い保証がない場合には、移送を拒否される可能性があります」と警告。クレカ付帯保険だけだと支払い保証が出ない場合があるので、出発前に保険体制を確認しよう。

詳細はアフリカ旅行の保険ガイドへ。

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写真撮影と薬物 --- 「うっかり」が拘束に直結

外務省「滞在時の留意事項」より。「軍事施設、大統領官邸、空港内立入制限区域、警察、マラウイ政府関係および外交使節等の建物に対する写真・動画の撮影は禁止されています。一般人に対しても許可を得ず撮影した場合、感情的になる人もいるので注意が必要です」。

薬物は「麻薬は所持しているだけで処罰されます」と外務省。アフリカ縦断や南部アフリカ周遊で行き来する人は、隣のタンザニアでも厳罰ザンビアも罰金or懲役南アフリカもエジプトは死刑と覚えておこう。

通信手段

マラウイは固定電話がつながらないことが多く、医療機関も電話番号が頻繁に変わります。SIMフリー端末+現地SIMかeSIMでのモバイル通信が実用的。「当地では比較的モバイル通信が速いため、携帯電話会社が販売しているSIMカードを購入し、プリペイド方式のバンドル購入が利用に便利です」と大使館。短期滞在ならeSIMが安全で楽です。出発前にeSIM比較ガイドで対応キャリアを確認しておこう。

緊急時の連絡先

機関電話番号
在マラウイ日本国大使館(代表)+265 885 302 222
在マラウイ日本国大使館(緊急)+265 999 985 360
警察(共通)990
消防+265 111 757 999 / +265 112 751 444
MASM救急搬送(リロングウェ)0888-189-070
ZMK Medical Centre(24時間・国外搬送経験豊富)0999-455-786

警察は「110番、119番等の全国共通番号ではなく、警察署ごとに個別の番号となっています」(外務省)。お住まい・滞在予定地域の警察署番号を事前にメモしておこう。3か月未満の短期渡航者は「たびレジ」へ登録しておくと、現地大使館からの注意喚起がメールで届きます。

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都市別ガイド

主要都市の治安情報

出典