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モルディブの治安 減圧症800万円搬送、薬物は即退去【2026】

モルディブの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在モルディブ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.22 KAIGAI-RISK

白砂のビーチ、水上ヴィラ、世界有数のダイビングスポット。モルディブは「ハネムーンと一生に一度のリゾート」のイメージで語られますが、外務省と在モルディブ日本国大使館の注意喚起を並べると、ダイビング中の減圧症で肺に水が入り意識不明、シンガポールまでチャータージェットで緊急搬送されて約800万円という事例が損保ジャパンに記録されています。さらに外国人は支払い保証がないと公立病院でも治療を受けられない違法薬物は所持だけで強制退去+再入国禁止貝殻や砂の採集にも高額罰金といった、観光パンフには出てこない話がいくつもあります。

このページではモルディブ渡航前に押さえておきたい話を、外務省と大使館のデータだけを使ってまとめます。

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危険レベルとモルディブの基本構造

外務省はモルディブに危険レベル指定なし(2026年4月時点)。ただし「安全対策基礎データ」で首都マレ市とリゾート島を分けて注意喚起しています。

モルディブのリゾート島の治安は良好で、日本人を含む外国人が犯罪に巻き込まれることは少ないとされています。しかしながら、警察は、全国的な治安に関する懸念要因として「違法薬物の蔓延」、「犯罪集団(ギャング)の存在」、「暴力的過激主義の流入」を挙げ、各種対策をとっています。

リゾート島は各島がほぼ1つのホテル=1つの管理エリアなので、外部犯罪が入りにくい構造。一方で首都マレ市には違法薬物・ギャング・過激主義という3つの懸念要因が集中している、というのが外務省の整理です。観光で行く場所はほぼリゾート島だけ、という旅程ならリスクの大半はマリンスポーツと医療に集約されます。

ダイビング事故と減圧症(最大の金額リスク)

外務省「安全対策基礎データ」の「水難事故」の節。

マリンスポーツ・スクーバダイビング等での水難事故が発生しています。(中略)特に、シュノーケリング、スクーバダイビングにおいて、旅行者の死亡事案が発生しています。

「死亡事案」という言葉が外務省の基礎データにそのまま載っている、というのが最初に押さえておくべき点。そして減圧症(潜水病)については外務省「世界の医療事情」がこう続けます。

モルディブはレジャーダイビングのメッカです。ダイビングに関わる事故は頻発しており、特に減圧障害(減圧症(潜水病)、動脈ガス塞栓症)には注意が必要です。(中略)治療には、再圧チャンバーを使用した高圧酸素療法が唯一の治療となり、全身管理が必要となります。

再圧チャンバー(高圧酸素治療装置)はマレ島のADK病院と、リゾート5施設、軍病院(日本寄贈だが稼働停止)しかなく、事故発生島から治療可能な島までボート・水上飛行機で移動する時間が発症の明暗を分けます。詳細はマレの減圧症・医療リスクにまとめました。

医療費の実態(日本人の具体事例あり)

損保ジャパン「off!」アジア支払い事例ページに載っているモルディブ事例。

モルディブ/入院6日間/ダイビング中肺に水が入り意識不明に/チャータージェット モルジブ/シンガポール/エスコート医師・看護師等諸費用含む/S$5,321.52・US$50,517.60

シンガポールドル約53万円+米ドル約750万円で合計約800万円規模。この金額の内訳は「チャータージェットによる国外搬送+医師・看護師付きエスコート」です。モルディブ単独で再圧チャンバー治療+シンガポールまでの搬送がセットになると桁が跳ねる、という実例が保険会社データに残っている点は重い。

そして外務省「世界の医療事情」の、外国人にとって一番痛い一文。

国民に対し公立病院の医療費は無料ですが、外国人は治療費の支払いに保証がない限り、公立病院を含めどの医療施設でも治療は受けられないこと、医療費が高額なことからも海外旅行傷害保険の加入が必要です。

「支払い保証がないと公立病院でも治療を受けられない」という書き方は珍しく、クレジットカードのキャッシングや現金で即払いできない限り、海外旅行保険のキャッシュレス診療以外に選択肢がないということになります。

加えて、

マレの医療水準は一般的な疾患には対処できますが、国内の専門医数は非常に限られているため、いつでも緊急の処置に対処可能とは限りません。特に、循環器救急、脳外科救急、胸部心臓外科、脊椎外科、重症外傷には十分に対応できません。このためバンコク、シンガポールや日本への緊急移送が必要になる場合に備え、十分な補償額の海外旅行保険への加入が必要です。

「重症外傷は対応不可→バンコク・シンガポールへ緊急移送」が外務省の公式見解。前述の損保ジャパン事例800万円はこのシナリオがそのまま現実化したもの、と読めます。地域別の保険相場は南アジアの海外旅行保険ガイドに。

リゾート島と地方環礁の医療格差

ほとんどの医療従事者・医療資源がマレに集中しているため、地方の環礁の医療レベルは大きく低下します。

外務省が「大きく低下します」と書いている点に注目。リゾート島内のクリニックは軽症・応急処置向けで、重症化した場合はマレ(またはシンガポール等)への搬送が前提、という構造です。

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マレ市内の犯罪とリゾート島の盗難

外務省「安全対策基礎データ」の防犯対策節。

マレ市では、窃盗事件、特に、ひったくりが散発しています。歩行中は車道側にハンドバッグ等を持たないようにする、狙われやすいスマートフォンの管理を徹底するなどの注意が必要です。

リゾート島では外国人が被害者となる犯罪例は少ないですが、遊泳中の置き引きやホテル室内への侵入には十分に注意する必要があります。

リゾート島でも「置き引き」と「ホテル室内への侵入」の2つは名指しされている、というのが盲点。セーフティボックス・ドア施錠はリゾートだから油断、ではなく外務省が明示的に指示している対策です。詳細はマレのひったくり・置き引きに。

違法薬物は「所持だけで強制退去+再入国禁止」

モルディブで最も制裁が重い分野。外務省「安全対策基礎データ」から。

外国人が麻薬等(覚醒剤、ヘロイン、コカイン、マリファナ、LSDなど)の売買および使用等に関して逮捕された場合、禁固刑に加え相当の罰金刑が科されます。単なる所持(量、理由を問わない)でも、逮捕・勾留後、強制退去となり、再入国が禁止されます。

「量、理由を問わない」という書き方が徹底していて、少量でも、医療用だと主張しても、強制退去+再入国禁止。観光ビザで気軽に入った先が一生再訪禁止になる構造です。さらに大使館「安全の手引き」は運び屋の形で巻き込まれる事例も警告しています。

マレ市内で違法薬物の売人とお茶をしていただけで、売人とともに(逮捕された邦人事例)

お茶に付き合っただけで逮捕という事例が大使館の手引きに残っている、というのは抑えておきたい。各国の薬物法の温度差は海外の薬物法マップ、日本人が海外で逮捕される類型は日本人が海外で逮捕されるトップ10も参照。詳細はマレの薬物トラブルに。

外務省はさらに荷物の預かりも警告しています。

禁止薬物が隠されている荷物や小包を預かり、知らないうちに共犯者にされることもありますので、絶対に他人から荷物を預からないでください。

イスラム教国としてのマナー・法律

モルディブは国教がイスラム教。

外国人といえども、反イスラム的および反政府的な言動・発言等を行わないよう十分に注意する必要があります。

撮影禁止(罰金対象)

大統領府、国防省、国軍施設および警察施設の外観の写真撮影とモスク内部の写真撮影は禁止されています。また、他人を撮影する場合は事前の許可を得てから行うようにし、不用意にカメラを向けないように注意してください。政治集会、デモ隊、警備にあたる治安部隊の撮影も避けてください。

モスク内部と政府・軍・警察施設は撮影NG。SNSにアップする前提で写真を撮る旅行者ほど注意が必要です。

珊瑚・貝殻・砂の採集は罰金

リゾート島および周辺の海での珊瑚や魚等の生物採集はもとより、貝殻、砂等一切の自然物の採集は厳しく禁じられています。違反した場合には、相当の罰金が科せられます。

「貝殻、砂等一切の自然物」と書いてある点が特殊。ビーチの砂を少し瓶詰めしてお土産に、というのが罰金対象になる法体系です。海外の罰金ルールは罰金マップに国別でまとめてあります。

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テロ・政情(リゾート島は影響薄、マレは履歴あり)

外務省「テロ・誘拐情勢」と大使館「安全の手引き」を合わせると、モルディブは2007年以降イスラム過激派の影響を受けた小規模事件が断続的に発生しています。大使館が具体的に挙げているのは次の3件。

2020年には、フルマレ島で外国人3名が襲撃されるテロ事件や、アリフダー(中略)マレ市内で元大統領を狙った爆破暗殺未遂事件が発生しました。また、2022年には、マレ市内で行われたイベントにおいて襲撃事件が発生し、多くの逮捕者がでました。

2020年フルマレ島で外国人3名襲撃、2021年元大統領爆破暗殺未遂、2022年マレでのイベント襲撃。観光リゾート島で外国人を狙った事案はこれ以降ほぼ報告されていませんが、マレ・フルマレ滞在時は政治集会・デモに近づかないのが基本対応です。

交通事情(国際免許でも運転不可)

外務省「安全対策基礎データ」から。

マレ島は道路が狭く、歩道が整備されていないところがあります。バイクや車は、整備が不十分なことがあります。バイクや車は、横断歩道でも一時停止しません。

日本の運転免許では運転できません。また、モルディブは、ジュネーブ条約に加盟していませんので、日本の国際運転免許証によりモルディブ国内で運転することはできません。

国際免許を持っていても運転できない、というのがモルディブ特有の落とし穴。無免許運転は事故時に保険が効かないので、移動はタクシー・リゾート送迎・水上飛行機に徹するのが正解です。

島間移動は小型船中心

島々の間の移動手段は、主に船・スピードボートが利用され、定期航路(フェリー)が運航している区間もあります。船のほとんどは小型船舶であり、ドーニーと呼ばれる発動機付の木造船(20〜30人乗)とスピードボートがあります。リゾート島へは水上飛行機での移動も可能ですが、使用する際には予約が必要です。

ドーニーは20〜30人乗の木造船、スピードボートも小型。天候悪化時の欠航・遅延はリゾート送迎の一部として前提になります。水上飛行機は予約制で、当日変更が効きにくい点も押さえておきたい。

通信

マレ島・リゾート島ともに携帯通信はOoredoo Maldives/Dhiraaguの2社が主。リゾート島はWi-Fi提供が基本ですが、水上ヴィラで通信が不安定になるケースが多いため、緊急連絡用にeSIMを1枚入れておくと事故時の保険会社連絡が早い。選び方は海外eSIM比較に。

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緊急時の連絡先

  • 警察:119
  • 救急車:102
  • 消防:118
  • マレ国際空港フライト・インフォメーション:332-2211
  • 在モルディブ日本国大使館(マレ):大使館は日本人が利用可能な唯一の在外公館(モルディブに総領事館はなし)

リゾート島でのトラブル時はリゾートのゲスト・リレーション経由で警察・大使館に連絡するのが基本動線になります。

モルディブの都市別情報

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海外旅行保険の備え

モルディブは外国人が支払い保証なしでは治療を受けられず、重症は国外搬送前提、ダイビング事故でチャータージェット搬送800万円の事例が実際に発生している国。クレカ付帯の治療費だけでは確実に足りないので、渡航前に南アジアの海外旅行保険ガイドで治療救援3,000万円以上+ダイビング特約の有無を必ず確認しておきたい。

主要都市の治安情報

出典