2024年に在スペイン日本国大使館が把握した邦人の犯罪被害は232件。そのうち約8割がスリと置き引きで、時間帯も年齢も性別も関係なく誰でも狙われている。スペイン全体の犯罪件数は2023年に約245万件、置き引き・スリだけで66万件超。テロ警戒レベルは5段階中2番目に高い「レベル4」を維持している。「ヨーロッパだから大丈夫」という感覚で行くと痛い目に遭う。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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危険レベル
外務省の危険情報は2026年4月時点でスペイン全土に発出なし。ただし「危険情報なし=安全」ではない。スポット情報として欧州でのテロ警戒が継続中で、スペイン政府自身がテロの危険を5段階中「レベル4」と評価している。犯罪発生状況を踏まえて個人レベルの備えが必要です。
年間245万件、置き引き・スリだけで66万件
スペイン内務省統計によると、2023年のスペイン国内の一般犯罪件数は2,459,659件(前年比5.9%増)。性犯罪、強盗、窃盗は増加傾向にあり、全体的に高い水準で推移しています。
主な内訳を見ると、殺人336件、強盗64,785件、傷害27,413件、置き引き・スリ等663,370件、侵入窃盗84,446件、車両窃盗32,820件、薬物犯罪20,875件。窃盗系犯罪だけで全体の4分の1以上を占めている。
在スペイン大使館の安全の手引きによると、2019年までは毎年300~500件の邦人被害が報告されていた。コロナ禍で一時減少したが、渡航再開とともに急増中。
当館で把握する邦人被害は、約80%がスリと置き引きです。これらの被害は公共交通機関の車内や駅構内、観光地、ホテルのロビー、飲食店等で多発しています。時間帯、被害者の年代・性別等による偏りはなく、誰もが常に警戒する必要があります。
2024年の邦人被害の内訳は、置き引き108件、スリ72件、ケチャップスリ15件、ひったくり8件、車上狙い・パンク盗10件、その他19件。世界全体の治安の位置づけはGPI 2025の解説も参考にしてください。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
スペイン特有の手口を知っておこう
スペインの犯罪は観光客を狙った「チームプレー」が多い。単独犯より複数犯のほうが圧倒的に多く、話しかける役・実行役・見張り役に分かれて動く。主な手口を押さえておこう。
ケチャップスリ --- 衣服にケチャップやマスタードを付け、「汚れてるよ」と指摘しながら親切を装って拭こうとする。その間に共犯者が荷物を抜き取る。2025年下半期以降、バルセロナで前年比1.7倍と急増中。オーストリアでも「ケチャップ強盗」として同じ手口が定番化していて、北欧のストックホルム・コペンハーゲンでも同型の「気をそらし系スリ」が報告されている。
偽警官 --- 警察を名乗り、偽の警察手帳を一瞬だけ見せて所持品検査と偽り、財布を提示させて現金を抜く。大使館によると過去の事例は全て偽私服警官で、偽制服の事例はまだない。財布の提示を求めてきたら偽物の可能性が高い。正規の警察官は旅券や身分証の提示は求めても、財布の提示は求めない。フランスやイギリス、ドイツ、北欧のノルウェー・フィンランドでも同じ偽警官の手口がヨーロッパ全域で横行している。
パンク盗 --- レンタカーのタイヤがパンクしていると指摘して車を停めさせ、修理している隙に車内から荷物を盗む。車両ごと持ち去られるケースもある。
首絞め強盗 --- 背後から忍び寄り首を絞めて気絶させ、所持品を盗む。2000年には353件も発生していたが、2024年は0件まで減少。とはいえ完全になくなったわけではない。
手口の詳細と都市別の被害状況はバルセロナとマドリードのページで掘り下げています。
マナー・法律で知っておくべきこと
スペインでは歩行者用信号の青色点滅は横断禁止。日本の感覚で駆け込むと違反になる。運転する場合、後部座席含めシートベルト着用が義務で、運転中の携帯電話・イヤホン・ヘッドホン使用は禁止。三角停止表示板を2個、安全ベスト、車検証、自動車保険証を車内に常備する義務がある。
バルセロナ市内では水着での市街地外出が条例違反で罰金の対象。マヨルカ島やイビザ島にも飲酒に関する条例罰金がある。詳しくは海外の罰金マップを参照。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
テロ警戒レベル「4」、2017年バルセロナ突入テロの記憶
スペインでは2004年にマドリードで同時多発列車爆破テロ、2017年8月にバルセロナのランブラス通りで車両突入テロ(死者16名・負傷者130名超)が発生している。スペイン政府は現在もテロの危険を5段階中2番目に高い「レベル4」と評価しており、今後もテロが発生する可能性は否定できない。
スペインでは、過去にイスラム過激派によるテロが発生しています。2004年にマドリードで同時多発列車爆破テロ事件が、2017年8月にバルセロナ等で車両による通行人襲撃事件が発生しています。
大型イベントや人が集まる場所では周囲に注意を払い、不審な状況があればすぐその場を離れよう。
医療費の実態 --- クルーズ中の意識喪失で1,263万円
スペインの医療水準は欧州標準で、マドリードやバルセロナには国際レベルの病院がある。ただし旅行者は原則自費。救急は112で呼べるけれど、治療費は日本の感覚とは桁が違う。
SBI損保の支払い事例に載っているスペインの高額医療費を見てみよう。
| 内容 | 入院日数 | 金額 |
|---|---|---|
| クルーズ中に意識喪失、ヘリ搬送、冠動脈疾患で手術 | 17日 | 1,263万円 |
| 発熱・嘔吐、敗血症で入院、医師付き添い医療搬送 | 11日 | 647万円 |
| 嘔吐・ふらつき、一過性脳虚血発作、医療搬送 | 19日 | 545万円 |
| 脳梗塞で入院、医師付き添い医療搬送 | 19日 | 545万円 |
| バスのステップで転倒、腰椎骨折で手術 | 8日 | 526万円 |
| 段差で躓き大腿骨頸部骨折、看護師付き添い医療搬送 | 5日 | 455万円 |
最高額の1,263万円は、クルーズ中に意識を失いヘリコプターで搬送されたケース。ヘリ搬送+17日間入院+手術+家族の渡航費で一気に跳ね上がっている。骨折だけでも400万〜500万円台。SBI損保の治療・救援費用1,000万円プランでは足りない事例がすでに存在する。
備えの詳細はヨーロッパの海外旅行保険ガイドにまとめています。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
通信手段の確保
スペイン旅行中もスマホが使えないと地図アプリも翻訳も使えず、緊急連絡もできない。現地SIMかeSIMを出発前に準備しておこう。選び方は海外eSIM比較を参照。
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 緊急全般(警察・消防・救急共通) | 112 |
| 国家警察(Policia Nacional) | 091 |
| 市警察(Policia Municipal) | 092 |
| 治安警察(Guardia Civil) | 062 |
| 消防 | 080 |
| 救急 | 061 |
| 在スペイン日本国大使館 | 91-590-7600 |
スペインには国家警察・治安警察・市警察・自治州警察の4種類がある。カタルーニャ州(バルセロナ)、ナバラ州、バスク州は独自の自治州警察を持っている。どこに連絡すればいいか迷ったら、まず112に電話すれば適切な機関に繋いでもらえる。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
スペインでの高額医療費事例は1,263万円が最高額で、500万円超のケースが複数ある。クレジットカード付帯の保険では治療・救援費用の上限が100万〜300万円程度のことが多く、ヘリ搬送や医療搬送が発生すると確実に不足する。出発前に保険の補償内容を確認しておこう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。