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セルビアの治安 祝砲の落下弾とコソボ国境の緊張【2026】

セルビアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在セルビア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

セルビアは外務省の危険レベル発出なし、ヨーロッパの中では比較的治安の良い国に分類されます。ただし「比較的良い」は安全のお墨付きではない。在セルビア日本国大使館の手引きは、人口10万人あたりの犯罪認知件数は日本より多く、特に殺人・放火等の凶悪犯罪は日本より多い傾向、と書いています。観光客の主戦場ベオグラードでは、スリ・置き引き・タクシーぼったくりが定番。さらに結婚式や正月の祝砲(空に向けた発砲)の落下弾で負傷するというセルビアならではのリスクもあります。

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危険レベル

外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。感染症危険情報も同様にレベルなし。ただし隣国コソボの北部のみレベル2「不要不急の渡航中止」で、セルビア側からコソボ国境に近づく場合はこの広域情勢を意識する必要があります。テロ・誘拐情勢では、マフィアやフーリガン同士の抗争による銃撃事件が年に複数回発生していると報告されています。

犯罪の全体像 --- 観光客が遭うのはほぼベオグラード市内

在セルビア日本大使館の安全の手引きは、日本人を狙った犯罪は多くないものの、近年は置き引きやスリの被害が発生していると明記。被害の中心はベオグラード旧市街です。

在留邦人並びに日本人旅行者が比較的少ないこともあり、日本人を狙った犯罪は多くはありませんが、近年では置き引きやスリなどの犯罪被害が発生しています。

外務省の安全対策基礎データに登場する手口を並べると、こうなります。

  • バッグを開けられて財布・旅券を抜き取られる(クネズミハイロ通り、カレメグダン公園、大型ショッピングモール)
  • バスに乗車時、複数人に密着されて揺れに乗じてバッグを開けられる
  • 公共交通機関で移動中・観光地で写真撮影中に荷物から目を離した隙の置き引き
  • 外国人風の男にネックレスをひったくられる
  • 夜間に飲食店からの帰宅途中、5人組の男たちに暴行され金品を脅し取られる

詳しい手口と対策はベオグラードのスリ・置き引き対策ベオグラードの詐欺・ぼったくり対策へ。

ニコラ・テスラ空港〜中心部のタクシーは定額制チケット

セルビアで観光客がほぼ確実に遭遇するのがタクシーぼったくり。大使館の手引きはこう書いています。

ベオグラード市内の観光客の多い場所を中心に、不当に高額な料金を請求するタクシーが日常的に見られるため、主要なタクシー会社(概ね英語が通じる)の電話やホテルのフロント、レストラン等を通じて手配するのが賢明です。また、乗車する前にナンバープレートの末尾が「TX」(タクシー登録されている車の意味)であることを確認し、乗車後、車内に料金メーターが見つからない場合などは、利用しないことを強くお勧めします。

ニコラ・テスラ空港から市内へのタクシーは定額制です。空港のタクシー乗り場に直行せず、空港建物内(預け入れ荷物回収後の出口付近)のチケット交付窓口で係員からチケットを受け取り、乗車時に運転手に提示する必要があります。これを知らずに普通のタクシーを拾うと、定額の数倍を請求されることがある。詳しくはベオグラードのタクシー・交通トラブル対策へ。

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祝事の祝砲 --- 空に撃った弾が落ちて当たる

セルビアならではのリスクが祝砲です。外務省の風俗・習慣の項にこう書かれています。

祝事(結婚式、正月)などの際に、一般市民が祝意を込めて銃を発砲することがあります。空に向け発砲し、落ちてきた弾丸で負傷することがあるので、発砲する光景、または銃声を認知した場合は、屋根のある安全な場所に避難してください。

結婚式シーズンや年末年始に、市街地を歩いていて銃声が聞こえたら冗談ではなく屋根のある場所に避難するのが正解です。流れ弾ではなく落下弾。観光客が遭うとは限らないけれど、銃声を聞いた瞬間の判断ができるかどうかでケガを避けられます。

デモ・抗議活動 --- 週末夕方18時頃の議会前・サバ川橋付近

近年セルビアは反汚職運動など政治的なデモが頻発しており、大使館は2025年9月にも「セルビア国内のデモの長期化について」とスポット情報を出しています。

近年、セルビア国内では政治的なデモが頻発しており、主に週末の夕方(18時頃)に実施され、ベオグラード市内であれば、旧市街、特に議会付近又はサバ川にかかる橋付近で行われ、地方都市であれば、その街の中心部の大通り又は市政府庁舎付近が開催場所となります。

平和裏に終わることが多いものの、2023年12月にはデモ参加者が数十名逮捕され警察官が複数負傷した事件もありました。興味本位で近づかないことが大使館の指示です。

マフィア・フーリガン抗争による銃撃事件

セルビアの治安で見落とせないのが組織犯罪同士の銃撃。外務省はテロ・誘拐情勢で「マフィアやフーリガン同士の抗争による銃撃事件が年に複数回発生」と書いています。事件発生場所には邦人や日本人旅行者が利用する街中のレストランや道路も含まれる。

大使館の手引きは2023年5月の事件を最近の重大事案として記録しています。

ア 2023年5月 ベオグラード市内の小学校で少年が銃を乱射し、10名を殺害した。 イ 2023年5月 ムラデノバツとスメデレボで青年が銃を乱射し、9名を殺害した。 ウ 2024年6月 当地イスラエル大使館を襲撃する事件が発生し、犯人1名が射殺された。

サッカー(パルチザン×レッドスター)など試合前後にサポーターがトラブルを起こすこともあるため、試合終了後は速やかに退場する、騒いでいる集団に近づかないが基本です。

コソボ国境・爆破予告

セルビア南部のコソボ国境付近は、セルビア系住民とアルバニア系住民の対立が依然として残るエリア。2023年9月にはコソボ北部でセルビア系武装組織がコソボ警察を襲撃し死傷者が出ています。コソボ側の北部は外務省レベル2、潜在的な緊張地帯です。

加えて2022年3月のロシアによるウクライナ侵攻以降、ベオグラード市を中心に爆破予告が頻発しています。実際の爆発事例は現時点でないものの、出先で遭遇した際は避難第一で行動を。

国境周辺の特殊事情として、第三国からコソボに入国してそこから陸路でセルビアに入ろうとすると、セルビアは自国領への不法入国扱いで入国を拒否します。コソボ訪問を予定する場合はルート設計を要注意。

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マナーとタブー --- コソボ・民族・宗教には触れない

外務省と大使館の両方が強く釘を刺している話題があります。

民族、宗教関係については、政治的、歴史的に複雑な事情があるので、特定の民族や宗教を賞賛・中傷することは慎んでください。また、コソボ独立の問題や旧ユーゴスラビア紛争など、セルビア人を刺激しかねない民族問題や政治問題について、不用意に発言することは慎んでください。

エ コソボや民族に関連する問題に安易に言及しない。

旅行者がうっかり踏むと相手の表情が変わる地雷。コソボ独立・旧ユーゴ紛争・民族・宗教はこちらから話題にしないを徹底すると安全です。

法律 --- 薬物は最大15年・売買春禁止・現金1万ユーロ申告

セルビアで旅行者が引っかかる法律はこのあたりです。

  • 違法薬物: 使用・販売・運搬で最高15年以下の禁固刑。大麻も非合法
  • 売買春: 法律で禁止
  • 現金申告: 合計1万ユーロ相当額以上を持ち込む場合は入国時に税関で申告が必要。証明書をなくすと出国時に持ち出せず、所持金没収の事例あり

申告制度を知らずに入国し出国時に没収された日本人旅行者の事例が報告されています。多めの現金を持ち込む場合は税関で必ず申告書をもらい、大切に保管してください。

健康リスク --- 西ナイル熱・ダニ媒介性脳炎

セルビアで気をつけたい感染症は2つ。

西ナイル熱は蚊に刺されることで発症するウイルス性感染症。2022年には246例が登録、うち25例が死亡。ベオグラードを含めドナウ川・サバ川流域は注意エリアです。

ダニ媒介性脳炎は春先から秋にかけてウイルスを保有するダニに咬まれて発症。麻痺等の後遺症や死亡例があり、罹患すると治療法がない。森林地帯に入る予定があるなら長袖・長ズボン・DEET忌避剤と、可能ならワクチン接種が大使館の推奨です。

詳しくはベオグラードの医療・健康リスクへ。

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医療費の実態 --- 全額自己負担、私立病院推奨

一部の私立病院を除き、セルビアの医療レベルは、一般的に欧米先進国に比べて高くはありません。

病院受診時は全額自己負担となります。支払いは原則現地通貨(セルビアディナール)払いですが、一部の私立病院ではユーロやクレジットカードでの支払いが可能なところもあります。

セルビア政府自身が渡航者には2万ユーロ以上の医療費をカバーする健康保険への加入を推奨しています。これは旅行ビザの暗黙の前提と言ってよいレベル。

セルビア独立の保険支払い事例は無いものの、ヨーロッパ近隣国の桁感はかなり大きいです。フランスで脳内出血の入院手術+家族駆けつけで717万円ドイツで憩室炎の入院手術+医療搬送で540万円オーストリアやスイスの山岳事故・急病で数百万円規模。セルビアでも西ナイル熱やダニ脳炎で長期入院+医療搬送になれば同等の費用が発生し得ます。

通信手段の確保

ベオグラード市内でも、スマホが使えないと地図も翻訳も緊急通報もできません。現地SIMかeSIMを出発前に準備しておくのが安心。選び方は海外eSIM比較を参照してください。

緊急時の連絡先

機関電話番号
警察192
救急194
消防193
EU共通緊急番号112
在セルビア日本国大使館+381-11-301-2800

大使館はベオグラードに単館体制で、総領事館はありません。

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海外旅行保険の備え

ヨーロッパの医療費は高額で、近隣国の事例では数百万円〜1,000万円超の保険金支払いが珍しくありません。セルビア政府も2万ユーロ以上の保険加入を渡航者に推奨。クレジットカード付帯保険では上限が足りない可能性が高いので、出発前に補償内容を確認しておきましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。

近隣のクロアチアハンガリールーマニアブルガリアモンテネグロボスニアを組み合わせるバルカン周遊なら、共通でスリ・ぼったくり・ダニ脳炎の備えが必要です。

主要都市の治安情報

出典