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ミャンマーの治安 クーデター後の戒厳令と特殊詐欺拠点【2026】

ミャンマーの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ミャンマー日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.23 KAIGAI-RISK

ミャンマーはかつて「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、バガン・インレー湖・マンダレーを目当てに日本人も大勢訪れていた国です。ただ2021年2月1日の軍事クーデター以降、状況は一変しました。外務省は国全土を最低でもレベル2「不要不急の渡航中止」、一部地域はレベル3〜4(退避勧告)に指定し、戒厳令は2025年10月末時点で全国330地区のうち63地区に発令中。ヤンゴン中心部でも爆弾事件が続き、カレン州ミャワディでは日本人を含む外国人が監禁され特殊詐欺に加担させられる事案まで起きています。

このページでは「それでも行く必要がある人」向けに、ミャンマー渡航前に押さえておきたい話を外務省と在ミャンマー日本国大使館のデータからまとめます。

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危険レベルと名指しされたエリア

外務省の危険情報(2025年10月31日付、90日間延長)はミャンマーを4段階に分けてます。

2021年2月1日のクーデター以降、各地で国軍と国軍に反対する民主派勢力との衝突が断続的に発生しています。

  • レベル4(退避勧告): ラカイン州マウンドー県(マウンドー地区・ブーディータウン地区)
  • レベル3(渡航中止勧告): ラカイン州シットウェ県・ミャウウー県、チン州パレワ地区、シャン州コーカン自治地帯、カチン州ライザー周辺、カレン州ミャワディ地区、および戒厳令発令63地区
  • レベル2(不要不急の渡航中止): 上記以外の全土(ヤンゴン市・ネピドー・マンダレー中心部を含む

戒厳令地区の内訳は、カチン州5地区・チン州7地区・ザガイン地域9地区・マグウェ地域5地区・マンダレー地域3地区・カヤー州3地区・カレン州2地区・ラカイン州14地区・シャン州15地区。外務省はこう書いてます。

国境地帯の治安情勢は非常に不安定であるため、陸路でのミャンマーへの入国は危険です。

つまり陸路は全面NG、航空便でヤンゴン入りするのが唯一の現実的なルートです。なお、ヤンゴン市内で2024年3月に戒厳令が発令されていた6地区(新ダゴン北/南、ダゴン・セイッカン、北オッカラパ、フラインターヤー、シュエピーター)は2025年7月31日に解除済み。ただし大使館は「衝突事案は散発しており、国軍による取締りが継続されるなど治安状況は引き続き非常に不安定」と注意喚起を続けてます。

犯罪発生状況(数字で見るミャンマー)

在ミャンマー日本国大使館「安全の手引き」(令和5年3月版)からミャンマー警察の公開統計。

  • 殺人: 2017年1,397件(2013年1,305件)
  • 強盗: 2017年239件(2013年12件→約20倍
  • 強制性交等: 2017年1,405件(2013年734件→約1.9倍)
  • 窃盗: 2017年6,247件(2013年4,224件)
  • 薬物犯罪: 2017年9,525件(2013年734件→約13倍

大使館はこう指摘してます。

ここ数年、犯罪情勢は悪化傾向にあると見られます。(中略)対人口比で犯罪認知率を比較してみると、殺人は3.6倍ほどミャンマーで多く認知されており、強制性交等は若干ミャンマーの方が多い程度です。しかしながら、ミャンマー治安当局が認知した犯罪は氷山の一角にすぎないと言われており、表沙汰になっていないだけで身近には危険な出来事が起き得ると認識すべきでしょう。

警察統計は氷山の一角、という但し書きが付くのがミャンマー。邦人旅行者の被害としては次のような事例が手引きに記録されてます。

邦人旅行者の被害例としては、インレー湖やバガン等からヤンゴンへの夜間長距離バスやヤンゴン市内の路面バス、ヤンゴン市内のレストランや人気のない路上等でカバンなどから現金等を盗み取られる被害が複数報告されています。

特殊詐欺拠点(ミャワディ・タチレク)— 監禁・強制労働

ミャンマーでいま一番センセーショナルなリスクがこれ。外務省の危険情報から。

タイ国境に位置するカレン州ミヤワディ地区は、国軍と少数民族武装組織の衝突が断続的に発生しており、治安が不安定となっています。この様な状況の中で、同地区に点在する大規模な特殊詐欺拠点において、日本人を含む外国人が特殊詐欺に加担させられる事案が発生しています。過去には複数の日本人が監禁された上に、暴行を受ける事例も発生しています。

手口はSNS経由。

近年、SNS 等で高額な報酬等の好条件を外国人に対して提示してタイへ渡航させた後、タイと国境を接するシャン州タチレク市やカレン州ミャワディ市に所在する中国人犯罪組織が運営する詐欺拠点において、違法に労働を強要させ、被害に遭う事案が発生しています。

日本のSNSで「タイで高額報酬」と誘われて渡航し、タイ側から陸路で国境を越えさせられてミャンマー側の詐欺拠点に監禁される、という構造。拠点はミャンマー現政権の統治が及ばない地域で、入ったら最後、自力脱出は困難。万が一関わってしまった場合は一人で抱え込まず、家族・大使館に相談してくださいと外務省は繰り返し呼びかけてます。

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爆弾事件・テロ(都市部で現実に起きてる)

大使館「安全の手引き」から。

2021年2月の国軍によるクーデターの発生以降は、治安当局とその弾圧に対抗する勢力との間で、武器や爆弾を用いた特定の対象を狙った事案が、ヤンゴン市内を含むミャンマー全土で発生しています。最近の事例では、2022年6月、ヤンゴン中心部のバス停で爆弾が爆発し、1名が死亡、9名が負傷しました。

過去の大型事案では、2010年4月の水掛祭(ティンジャン)でカンドージー湖南側に手榴弾3個が投げ込まれ10人死亡・168人負傷。ショッピングセンター・映画館・バス停・市場での爆弾事件も過去に発生しています。大使館の行動指針。

標的となる可能性のあるパゴダ、モスク等宗教施設、イスラム諸国大使館、イスラム教徒居住地域、国連関連施設、政府機関、軍・警察関連施設には可能な限り近づかないでください。

仮に周辺で爆弾事件が発生した場合は、速やかに現場から離れてください(第2の爆発があり得ます。)。

第二波を想定して離れる、という危機対応ルールが入ってるのがミャンマーのテロ対策の特徴。観光地でも例外ではありません。

麻薬・薬物 — 所持だけで死刑あり

大使館「安全の手引き」の法規章から。

麻薬に対する取締りは、ミャンマーにおいても厳しい罰則規定があります。麻薬を外国から持ち込んだ場合や所持していた場合など、重大・悪質と判断されるときには死刑を宣告されることもあります。

怖いのは処方薬まで違法になる可能性があること。

日本で合法的に処方された薬であっても、薬に含まれる成分、含有量などにより所持しているだけで、ミャンマーの法令上、違法と判断され、重罪に問われる場合があります。処方薬を持ち込む際は事前に厚生労働省のホームページや在京ミャンマー大使館に確認することをお勧めします。

制限薬リスト(2018年12月時点)にはアルプラゾラム、ブロマゼパム、クロナゼパム、ジアゼパム、ケタミン、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、フェノバルビタール、ゾルピデムなど、日本で普通に処方される睡眠薬・抗不安薬が並んでます。持ち込む前に在京ミャンマー大使館に成分確認が原則。

加えて「運び屋」リスクも。

近年、アジア地域では、見ず知らずの人物から第三国への運搬を依頼された荷物の中に麻薬が隠されていたために、出入国時に身柄を拘束され、死刑の判決を受けたというようなケースも発生しています。不用意に他人から荷物等を預かったりしないよう注意する必要があります。

空港で「ちょっとこのカバン持ってて」系の話は、最悪死刑と覚えておく話です。

観光ビザで支援活動は「即出国警告」

2025年3月のマンダレー地震後に大使館が出した注意喚起。

先般、国際NGOに所属する邦人が観光ビザでミャンマーに入国し、医療活動などの被災者支援活動を行っていたところ、当局から直ちにミャンマーから出国するよう警告を受けるという事案が発生しました。

ミャンマーにおいて滞在資格以外の活動を行った場合には、上記1のようなリスクがあることから、厳に控えてください。

さらに手引きには出国禁止措置の条項。

ミャンマー国内で法を犯した場合や法を犯した可能性があるとして捜査対象となった場合には、当該人に対して『出国禁止措置』がとられ、相当期間ミャンマーから出国できないことがあります。

「善意のボランティア」のつもりでもビザ区分と活動内容が合っていなければアウト。支援目的で入る人は、必ずビジネスビザ・NGOビザ等を事前取得してください。

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税関・撮影禁止

10,000米ドル以上の外貨持ち込みは入国時に税関申告書提出が義務。400本超のタバコ、50本超の葉巻、150ml超の香水、2L超の酒類、宝石・貴金属、カメラ、PC、32インチ以上のTV、ゴルフセット2セット以上なども申告対象。

撮影については大使館がハッキリ書いてます。

ミャンマーでは、軍及び警察関係施設、港湾や橋梁等は原則として写真撮影禁止とされています。

クーデター後の現在、軍・警察施設を写り込みで撮影してもトラブルになるという現場感があります。スマホで街並みを撮る時も周囲の施設に注意。

医療事情 — 重症はタイへ搬送が前提

大使館「安全の手引き」から。

公立病院に入院される場合には、医療設備が極めて旧式、脆弱であることに加え、基本的に患者の食事や身の回りの世話や薬の購入等は、全て患者側が行うこととされており多大な負担がかかります。

外務省「世界の医療事情」も、ヤンゴン・マンダレーの民間病院でも設備・医療水準に限界があり、重症時はタイ(バンコクやチェンマイ)への医療搬送が前提だと書いてます。デング熱・マラリア・日本脳炎・狂犬病などの感染症リスクも高く、旅行前のワクチン接種と蚊対策は必須級。

参考金額(東南アジア域内の借用)

ミャンマーを名指しした保険金支払事例は損保ジャパン off!/ジェイアイ/ソニー損保/SBI損保のいずれにも2026年4月時点で確認できませんでした。日本人渡航そのものが減少している影響が大きいです。ただ同地域の参考として、損保ジャパン off!の公開事例には以下があります。

  • タイ: パラセイリング着地失敗で顎骨折・肺損傷、入院13日間で治療費US$17,321+移送費US$8,260(合計約390万円規模)
  • タイ: パタヤで階段踏み外し大腿骨骨折、入院15日間でエスコートドクター&ナース付き定期便移送、合計US$12,400規模
  • インドネシア: バリ島ダイビング送迎車が横転で骨折、プライベートジェット緊急移送で689万円
  • ベトナム: 交通事故(気脳症・肋骨骨折)でホーチミン→シンガポールのチャータージェット搬送

ミャンマー国内で同等の治療を受ける場合、現地完結は難しくバンコクやシンガポールへの搬送費が上乗せされます。国外緊急移送費を含む医療補償1億円クラスの保険は、ここでは「余裕で入る」ではなく「入らないと破産する」水準で考える必要があります。出典は損保ジャパン off! アジア支払事例

ミャンマーの都市別情報

ミャンマーで現在、観光・商業・邦人滞在の中心となっているのはヤンゴンのみ。マンダレー・バガン・インレー湖は危険レベルの上昇と観光需要の縮小で、通常の旅行ルートから外れつつあります。

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緊急時の連絡先

  • 警察:199
  • 消防:191
  • 救急:192(繋がらないことが多い)
  • Yangon Rescue Organization(YRO):09-421166787
  • Myanmar Ambulance Network:09-5401677
  • 在ミャンマー日本国大使館(ヤンゴン市バハン地区 No.100 Natmauk Road):01-549644〜549648

公的救急(192)は繋がらないことが多いため、民間救急(YRO、Myanmar Ambulance Network)の番号をスマホに入れておくのが現実的です。

通信

ミャンマーのSIM事情はクーデター後の規制強化で不安定。ホテルWi-Fiも切断される時間帯があるため、到着直後から使える海外eSIMの併用が現実解です。選び方は海外eSIM比較にまとめています。

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ミャンマーは医療水準がタイ依存で、重症時は国外搬送が実質必須の国です。クーデター後は治安悪化・爆弾事件・戒厳令地区拡大が続いていて、クレカ付帯の補償では足りないケースが現実的。渡航前に東南アジア旅行の保険ガイドで国外搬送費と治療費の補償額をチェックしておくことをおすすめします。

主要都市の治安情報

出典