Numbeoとは?安全指数の読み方・信頼性・使ってはいけない場面
最終更新: 2026-04-17
「Numbeoで調べたらこの国の治安スコアやばかったんだけど」——海外旅行の話題でちょくちょく出てくる Numbeo(ナンベオ)。世界中の都市・国の治安を数字で出してくれる便利サイトで、海外メディアにもよく引用されます。
ただ、このサイトでは Numbeo を国選びの最終判断には使っていません。理由は「データの作り方」にあります。この記事では Numbeo の仕組み・主要国のスコア・そして”限界”をまとめます。
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結論:便利だけど旅行判断の主軸には使えない
- 仕組み:ユーザー投稿アンケート。学術調査ではない
- 強み:都市単位・網羅的・毎年更新(2009年〜)
- 弱み:サンプル数のばらつき・主観バイアス・先進国の一部で実態と乖離
フランスが Crime Index 55.8 でアメリカ(49.2)より”危険”と出る。この違和感を理解できれば、Numbeoを正しく読めるようになります。
Numbeoってそもそも何?
Numbeo はセルビア・ベオグラード拠点のクラウドソーシング統計サイト。2009年から運営されていて、生活費・不動産・医療・治安・大気汚染などの指数を世界中の都市・国ごとに公開しています。
治安分野の代表指標が Crime Index by Country と Safety Index by Country。2012年から年1〜2回(年間版+中間版)ペースで更新されていて、2026年版が最新です。
データ源はぜんぶユーザー投稿
ここが一番大事なポイント。Numbeoのスコアはその国に住んでいるユーザーが答えたアンケートを集計したもの。
質問は「過去3年で治安は悪化したと思うか」「夜道を一人で歩くのが怖いか」「スリ/ひったくりが多いと思うか」など、主観的な感覚を問うもの。統計局や警察の実データではなく、住民の体感です。
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あなたは知っていますか?
Crime Index と Safety Index の関係
ややこしく見えますが、同じものを反対側から見ているだけ。両者を足すとおおむね100になります。
| 指標 | 意味 | 読み方 |
|---|---|---|
| Crime Index | 犯罪の体感の高さ | 低いほど安全(0〜100) |
| Safety Index | 安全の体感の高さ | 高いほど安全(0〜100) |
以降この記事では Crime Index に統一します(低いほど安全)。
Numbeo 2026 日本・アジア主要国
| 国 | Crime Index | Safety Index |
|---|---|---|
| 🇦🇪 UAE | 14.0 | 86.0 |
| 🇦🇩 アンドラ | 15.2 | 84.8 |
| 🇶🇦 カタール | 15.2 | 84.8 |
| 🇹🇼 台湾 | 17.0 | 83.0 |
| 🇲🇴 マカオ | 18.2 | 81.8 |
| 🇭🇰 香港 | 21.4 | 78.6 |
| 🇸🇬 シンガポール | 22.5 | 77.5 |
| 🇯🇵 日本 | 22.8 | 77.2 |
| 🇨🇳 中国 | 23.1 | 76.9 |
| 🇰🇷 韓国 | 29.0 | 71.0 |
| 🇹🇭 タイ | 36.6 | 63.4 |
日本は22.8、Safety Index 77.2。世界トップクラスですが、台湾(17.0)・マカオ(18.2)・香港(21.4)にアジア勢で抜かれています。観光客目線でも概ね体感と合う順位感。
Numbeo 2026 欧米・中南米の意外な順位
ここから Numbeo 特有の「?」が出ます。
| 国 | Crime Index |
|---|---|
| 🇫🇷 フランス | 55.8 |
| 🇬🇧 イギリス | 48.3 |
| 🇺🇸 アメリカ | 49.2 |
| 🇮🇪 アイルランド | 49.0 |
| 🇳🇿 ニュージーランド | 48.8 |
| 🇸🇪 スウェーデン | 47.9 |
| 🇦🇺 オーストラリア | 47.5 |
| 🇩🇪 ドイツ | 38.4 |
| 🇷🇺 ロシア | 38.3 |
| 🇨🇳 中国 | 23.1 |
フランスがアメリカより”危険”、スウェーデンがロシアより”危険”。GPI や外務省の評価とは明らかに食い違います。
なぜこうなるか。Numbeoのユーザーが「パリの地下鉄でスリに何回か遭った」「マルセイユが怖い」と投稿しまくると、スコアは一気に悪化する。投稿数が多い国ほど、最近のニュースや局所的な体感が全体平均を押し上げやすい構造です。
中国の23.1も「体感が良い」というより、投稿数が少なく、かつ当局規制で治安の悪い話が上がりにくい影響が指摘されています。
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Numbeo を使うメリット
とはいえ使い道はちゃんとあります。
1. 都市単位で出せる
GPI は国単位の指標だけ。Numbeo は都市別の Crime Index も公開しています。「バンコク vs プーケット」「デリー vs ムンバイ」のような同じ国の中での比較は Numbeo の得意分野。
2. 指標の内訳が見える
総合スコアだけでなく、「麻薬問題」「昼夜の体感安全」「汚職」「器物破損」など項目別スコアも取れます。特定の懸念(例: スリが多いか)だけピンポイントで見たい時に便利。
3. 毎年更新、履歴も追える
2012年〜現在まで年1〜2回のスナップショットが残っているので、時系列で悪化/改善のトレンドが見えます。GPIより粒度が細かい。
Numbeo の3つの限界
限界1:サンプル数のばらつき
一番致命的な問題。Numbeo は投稿数の少ない国・都市ではスコアが極端に荒れます。
- 日本・アメリカ・欧州主要国:投稿数が数千〜数万規模で安定
- アフリカ・中央アジア・太平洋諸国:投稿数が数十件以下の国も
投稿が少ない国は「書き込んだ数人の体感」が全体スコアを決めてしまうので、下位国ほど数字を真に受けないのが原則。
限界2:主観バイアス
「夜道が怖いか」の主観回答ベースなので、自分の国のニュースを追っている人ほど悲観的に答えがち。フランスが55.8になるのは、暴動・地下鉄スリ・テロ警戒などの報道をフランス在住者が肌で感じている結果とも読めます。
逆に中国(23.1)のように情報統制が強い国では、悲観的な投稿自体が減るのでスコアが実態より良く出る傾向があります。
限界3:学術検証がない
GPI は IEP(Institute for Economics and Peace)という学術シンクタンクが23指標で計測し、メソッドが公開・査読可能な形で発表されています。一方Numbeoは民間クラウドソーシング。方法論の説明ページはありますが、学術論文として検証されたものではありません。
GPI vs Numbeo 早見表
GPI(Global Peace Index)と並べるとキャラの違いがはっきりします。
| GPI | Numbeo | |
|---|---|---|
| 運営 | IEP(シンクタンク、豪州) | Numbeo(民間、セルビア) |
| データ源 | 23指標・実データ中心 | ユーザー投稿アンケート |
| 粒度 | 国単位 | 都市・国両方 |
| 更新 | 年1回(6月) | 年1〜2回 |
| 主観/客観 | 客観寄り | 主観寄り |
| 学術性 | 高い(査読相当) | 低い |
| 旅行判断 | 国際比較に有効 | 雰囲気掴みに有効 |
どちらが優れているかではなく、役割が違うと考えるのが正解。
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じゃあ結局、何を見ればいいのか
このサイトの推奨ルートは3点セットです。
- GPI — 国際比較の土台。年1回の客観スコア
- 外務省 危険情報 — 今この国に行って大丈夫かの公的判断
- Numbeo(補助) — 都市の雰囲気・エリア別の体感
この順で見ると、例えば「タイはGPI 86位 / 外務省レベル0 / Numbeo 36.6」のように、客観・公的・体感の3層で国の解像度が上がります。どれか1つだけで判断すると、フランスを避けてアメリカに行くみたいな変な結論になりかねません。
Numbeoは使いこなせば強力な補助ツール。でも、ユーザー投稿型の”体感データ”だということは絶対に忘れないでください。
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出典
本記事のスコア・順位はすべて Numbeo Crime Index by Country 2026 から2026年4月時点で取得。Numbeoの仕組み説明は About Numbeo’s Indices と公式サイトの運営情報(2009年〜)に基づきます。
よくある質問
Numbeoの数字は信用できる?
「使い方を間違えなければ」参考になる、というのが答えです。Numbeo Crime Index 2026ではフランス55.8、アメリカ49.2、スウェーデン47.9と先進国が真ん中付近に並びますが、これは実際の犯罪発生率ではなく、居住者が投稿した「夜道が怖いか」「スリ/ひったくりが多いか」などの主観回答を集計したもの。サンプル数が少ない国や、地元ニュースの影響を受けた時期は数字が荒れます。国同士を大まかに比べる目安には使えますが、順位そのものを鵜呑みにするのは危険です。
Numbeoと外務省危険情報はどちらを見るべき?
旅行の判断には外務省が優先。Numbeoは「観光客と居住者の日常感覚」ベース、外務省は「日本人渡航者への公的な安全警告」で目的が違います。例えばフランスはNumbeoではCrime 55.8(アメリカより高い)ですが、外務省は基本レベル0。これはパリの治安悪化をフランス在住者が体感として投稿している影響が大きい。行く/行かないの判断は外務省、行き先の雰囲気を掴むのはNumbeo、と使い分けてください。
Crime IndexとSafety Indexの違いは?
実質同じものを反対側から見ているだけです。Crime Index + Safety Index = 100 になる構造で、例えば日本はCrime 22.8 / Safety 77.2、シンガポールはCrime 22.5 / Safety 77.5、台湾はCrime 17.0 / Safety 83.0。どちらか片方だけ見れば十分で、「Safety Indexが高い=安全」「Crime Indexが低い=安全」と読みます。当サイトでは混乱を避けるためCrime Indexを基準にしています。
Numbeoは誰が運営している?
セルビア・ベオグラード発のクラウドソーシング統計サイトで、2009年に元Google社員のMladen Adamovicが立ち上げました。Crime Index以外にも生活費(Cost of Living)・不動産・医療・大気汚染など多数の指数を提供していて、BBCやEconomistなどの海外メディアにもよく引用されます。ただし学術機関ではなく、査読も経ていないデータなので、使う側がリテラシーを持って扱う必要があります。
じゃあ治安ランキングは何を見ればいい?
「国際比較」なら学術ベースの[GPI(Global Peace Index)](/guides/gpi-japan-ranking/)、「渡航判断」なら外務省の危険情報、「都市・エリアの雰囲気」ならNumbeoと使い分けるのが実務的です。当サイトではGPI+外務省を軸に各国ページを作っていて、Numbeoは補助情報として参照する程度。3つを重ねて見ると、1つの指標だけでは見えない死角が見えてきます。