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アゼルバイジャンの治安 国境レベル4と地雷・空港盗難【2026】

アゼルバイジャンの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在アゼルバイジャン日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

アゼルバイジャンはコーカサス3国の中で日本人にはまだ馴染みが薄い国ですが、アルメニアとの国境地帯はいまだレベル4「退避勧告」、ナゴルノ・カラバフ周辺はレベル3「渡航中止勧告」が継続。首都バクーを含む大半はレベル1ですが、空港でのアライバルビザ紙レシートの盗難が大使館から名指しで警告されているなど、固有の落とし穴があります。出発前にここで一通り押さえてください。

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危険レベル --- 4段階すべてが共存する国

外務省の危険情報(2021年12月7日付・継続)は4段階に分かれています。

●アルメニアとの国境地帯(アゼルバイジャン領ナヒチバン自治共和国のアルメニアとの国境地帯を含む。) レベル4:退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)(継続) ●ナゴルノ・カラバフ及びその周辺地域(ケルベジェル、ラチン、グバドル、ゼンギラン及びジェブライルの各県、フュズリ県及びアグダム県の一部) レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告) ●ゴランボイ、バルダ及びアグジャベディの各県、テルテル、アグダム、ホジャヴェンド、フュズリ及びジェブライルの各県の一部の地域 レベル2:不要不急の渡航は止めてください。 ●上記以外の地域(首都バクーを含む。) レベル1:十分注意してください。

レベル4まで含まれる国は世界でも限られています。観光ルートで関わるのは基本的にバクー(レベル1)だけですが、「アゼルバイジャン経由でアルメニアに陸路で抜けたい」という発想は絶対にNG。アルメニアとの陸路国境はそもそも閉鎖されており、近づくこと自体が危険です。

国境地帯は何が起きているのか

停戦合意後も、ナゴルノ・カラバフ及びその周辺地域においては、散発的な停戦違反行為や埋設された地雷による事故が発生し死傷者が出ています。また、同地域では、治安部隊が展開し入域が厳重に管理されています。

軍事衝突の際、多数の砲撃を受けたゴランボイ、バルダ及びアグジャベディの各県、テルテル、アグダム、ホジャヴェンド、フュズリ及びジェブライルの各県の一部の地域については、不発弾の処理状況が確認されていないため、引き続き不要不急の渡航は止めてください。

ポイントは2つ。①国境地帯では現在も両国軍部隊間の交戦が断続的に発生していること、②停戦したエリアでも埋設地雷と不発弾の処理が完了していないこと。観光気分で立ち入れる場所ではありません。

外務省はナヒチバン自治共和国(アゼルバイジャン本土から飛び地のエリア)にも追加で警告しています。

アゼルバイジャン領ナヒチェヴァン自治共和国は、アゼルバイジャンの飛び地であり、アゼルバイジャン側から空路で入ることができますが、アルメニアとの国境周辺地域はNKおよびその周辺地域と同様、トラブルに巻き込まれるおそれがありますので、近付かないようにしてください。

一般犯罪の規模 --- 検挙率87.6%、ただし邦人被害事例あり

外務省の安全対策基礎データはこう書いています。

検事総長発表による2024年の犯罪認知件数は33,379件で、検挙率は約87.6%と高い数値を示しており、国内の治安は比較的平穏が保たれていますが、窃盗や詐欺といった比較的軽微な犯罪はもちろん、殺人、強盗のような重大犯罪も発生していますので、十分な注意が必要です。

数字上は「比較的平穏」ですが、邦人被害も発生しています。

在留邦人ならびに日本人旅行者が比較的少ないこともあり、日本人が犯罪の被害に遭うケースは極めて稀ですが、過去には自転車の盗難、わいせつ行為、ひったくり、同居人による窃盗などの被害が発生しておりますので十分注意してください。

具体的な被害手口はバクーの治安とトラブル別記事で詳しく解説しています。

空港アライバルビザの紙レシート盗難 --- 大使館が名指しで警告

これがアゼルバイジャン固有の落とし穴。在アゼルバイジャン日本国大使館の領事情報ページにこう明記されています。

ご渡航中、最も重要な「パスポート」、「現金」、「クレジットカード」、「空港でのアライバルビザ(レシート紙で亡失しやすいです!!アライバルビザ取得の方のみ)」など、貴重品の紛失盗難事案が相次いでおります。絶対になくさないよう盗難紛失にくれぐれもご注意ください!!

ヘイダル・アリエフ国際空港で取得できるアライバルビザ(無料・有効期限30日)は紙のレシートで発行されます。これが「亡失しやすい」と大使館が二重に警告している点に注意。出国時に提示が必要なため、紛失すると面倒なことになります。

ビザ取得方法は外務省データに整理があります。

日本国旅券所持者は、ヘイダル・アリエフ国際空港において、査証(一次有効、有効期限30日)を申請・取得することができます(顔写真不要、無料)。

旅券の有効期限が120日未満の方は、空港では査証を取得できませんので、(中略)電子査証を取得するか、アゼルバイジャン共和国大使館に申請してください。

事前にE-VISA(電子査証)を取得しておくのが紛失リスク回避には確実です。陸路や海路では空港アライバルビザは取れないので、ジョージアやイランから陸路入国を予定しているならE-VISA一択。

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アルメニア入国後にアゼルバイジャンに来ると審査が厳しい

アゼルバイジャンは隣国アルメニアとの間で紛争を抱えているため、アルメニアを訪れた後にアゼルバイジャンへ入国する場合には、入国審査時に通常より厳しい審査が実施される傾向があります。

コーカサス3国(ジョージア・アルメニア・アゼルバイジャン)を周遊する旅程を組む場合、アルメニア → アゼルバイジャンの順番は避け、アゼルバイジャンを最初か単独にするのが現実的。ジョージア経由で行き来するのが定番ルートですが、ジョージア経由でも入国審査時に滞在国の質問は受け得るので、誠実に答えてください。アルメニア側の治安ジョージアの治安も先に目を通しておくと判断材料になります。

警察職務質問とパスポート常時携行義務

警察官に求められた場合に、直ちに提示できるように、パスポートまたはその写し、あるいはアゼルバイジャンのID等の身分証明書を常時携行してください。身分を証明できず、警察署に連行された事例もあります。

ホテルにパスポートを預けたまま出かけて、街中で職務質問されて連行された事例が大使館手引きにあります。パスポートは常に携行するか、最低でもコピー(写真ページ)を持ち歩くこと。

不当な扱いを受けたときの一文も大使館手引きに明記されています。

外出中、警察官により不当逮捕・連行されるという状況が起きた場合には、警察官に対し、「自分には直ちに日本大使館へ通報する権利がある」と告げ、日本大使館に連絡して下さい。

写真撮影のNG地点

国境付近、軍関連施設の写真撮影は禁止されています。政府機関の建物や地下鉄駅構内ついても、写真撮影が可能か否か念のため確認することをおすすめします。

地下鉄構内も「念のため確認」と書かれているのは、国境紛争を抱える国ならではの厳しさ。さらにジェンダー面の注意もあります。

人物を撮影する場合には、事前に承諾を得ることをおすすめします。特に女性にカメラを向ける場合には、あらかじめ承諾を得ないとトラブルに巻き込まれる可能性があります。

麻しん(はしか)流行 --- 人口比で日本の7倍

医療事情の中で要注意なのが感染症リスク。

世界で最も麻しんが流行している国の一つで、2023年の人口10万人あたりの患者数は約137人と、日本の約7倍も確認されました。

麻しんにかかったことがない方、麻しんの予防接種を受けたことがない方、ワクチンを1回しか接種していない方または予防接種を受けたかどうかがわからない等、麻しんの免疫が不十分な方は予防接種をお勧めします。

ワクチン接種歴を確認してから渡航するのが理想。出発前に内科でMRワクチンの追加接種を検討してください。

狂犬病 --- バクー市内に野犬・郊外に大型野犬

アゼルバイジャンでは、狂犬病が発生しています。野犬だけでなく飼い犬も予防接種を十分に受けていません。…仮に、犬にかまれてしまった場合には、直ちに病院で狂犬病の曝露後ワクチン接種を受けてください。

バクー市内は多数の野良猫がおり、郊外には大型の野犬も徘徊しています。犬、猫等の動物には不用意に触らないようにしましょう。

地方部では番犬付きの羊の群れに不用意に近づくと攻撃されるおそれがあると医療事情に明記されています。動物に触らないを徹底してください。

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違法薬物 --- 治療目的でも処罰対象

違法薬物の入手、保管、製造、加工、所持、輸送または販売は刑法により罰せられます。また、治療目的であっても、服用量を超える向精神剤を入手・所持する行為は刑法による処罰の対象となります。

「治療目的でも」が明記されているのが特徴。日本で処方されている向精神薬や睡眠薬を持参する場合は、処方箋・診断書の英訳を必ず携行してください。詳しくはバクーの薬物トラブル対策へ。

交通事情 --- 信号機が壊れていることがある

道路の整備状態は悪く、陥没している箇所も多く見られます。また停止線がはっきりしておらず、信号機も故障していたり、見づらくなったりしていることも多くあります。

自動車の運転マナーは良好とはいえず、急な追い越し(センターラインをオーバーする)、割り込み、方向指示器の不使用、急発進急停車が頻繁に見られるほか、歩行者も信号無視や横断歩道のない場所での横断を日常的に行っていますので注意が必要です。

医療事情によると人口10万人あたりの交通事故死者数は6.56人と日本の約2.5倍。「青信号でも車は来る」つもりで横断してください。

タクシー --- メーターなしの車は事前交渉が鉄則

一部のタクシーには料金メーターが導入されています。料金メーターのないタクシーを利用する際は、降車時の料金を巡るトラブルを避けるため、乗車前に運転手と交渉しておくことをおすすめします。

メーターがないタクシーが多く、降車時のトラブルを避けるためには乗車前に金額を確定させること。配車アプリ(Bolt等)の利用が現実的です。

風俗・服装の注意

シーア派多数派国家ならではの規範があります。

都市部、地方部を問わず、半ズボンでの外出は、男性であっても、周囲から奇異な目で見られる可能性があります。女性は歩きながらタバコを吸っていると路上売春と見なされる可能性があるので注意が必要です。また、夜間の女性の一人歩きは危険ですので避けるようにしてください。

地方においては、イスラムの教えを守る傾向が強くありますので、男女ともに肌の露出の少ない服装を着用する、男性が女性に握手を求めない等の一定の配慮が必要です。また、イスラム寺院に入る際には、都市部の寺院であっても、男女ともに肌の露出のない服装をするとともに、女性は髪を隠してください。

バクー市内は比較的リベラルな雰囲気ですが、シェキ・ガバラなど地方都市や宗教施設訪問時は服装を整えてください。

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テロ・誘拐情勢

アゼルバイジャン国内の治安は比較的平穏で、2024年中も含め、ここ数年、国内でテロ事件は発生していません。

当地では毎年のように治安機関によってテロ計画が未然に摘発されたり、アフガニスタンやシリア等で国際テロ組織や武装グループに参加していたアゼルバイジャン国籍者が逮捕されるなどしており、テロ情勢には注意を要します。

イランと隣接していることから、大使館手引きはイラン情勢の影響にも触れています。

イランと隣接する当国においては、イラン人の流入も多く、イラン情勢次第で、米国やイスラエル権益への抗議やテロ行為等が発生する可能性も排除できません。また、イスラム過激派の潜在的な活動も報告されており、注意が必要です。

ショッピングモール・観光施設・宗教施設・公共交通機関は世界共通でテロの標的になりやすいエリア。出発前にたびレジに登録しておくと、緊急情報が届きます。

医療費の実態 --- バクー私立病院は欧米水準、ただし高額

バクー市内の外国人向けの私立病院の設備の質は低くはありませんが、各診療科の連携が不十分で、日本ほどは適切な治療が行われない例もあり、プライバシー等に関する習慣の違いや言葉の問題等もあることから、詳しい検査・手術・入院等が必要な場合は、先進国の医療機関を受診することをお勧めします。

重病、重傷の場合には、先進国への緊急移送が必要となる可能性もありますので、十分な補償内容の海外旅行保険への加入をおすすめします。

外国人がよく使うのはBona Dea International Hospital(クレジットカード使用可・24時間救急・海外への転院搬送対応)、International SOS Clinic Baku(会員制・小児救急のみ非会員可)、Caspian International Hospital(日本での研修経験のある日本語堪能な小児科医が勤務)など。

アゼルバイジャン独立の保険支払事例公開は無いため、ヨーロッパの近隣事例で桁感を掴むしかありません。医療費そのものについては、SBI損保のヨーロッパ事例ではフランスで大腿骨頚部骨折・17日入院で1,746万円、ドイツで橈骨神経断裂・10日入院で639万円の支払例があります。これに加えて損保ジャパンoff!のフランス事例ではホテルのバスタブをあふれさせた損害賠償だけで1,243万円というケースもあり、ヨーロッパ滞在は医療費と賠償の両方で桁が大きくなりがちです。アゼルバイジャンも1,000万円〜無制限の補償を選ぶのが現実的です。出発前の保険検討はヨーロッパの海外旅行保険ガイドで。

自然災害 --- カスピ海沿いは地震帯

アゼルバイジャンはコーカサス山脈とカスピ海に挟まれた地震多発エリア。建物倒壊リスクの記載が大使館手引きにあります。

首都バクーでは高層ビルが多数ありますが、2007年には建設中の16階建高層ビルが倒壊し多数の死傷者が出る事案が発生しました。住居の選定にあっては、建物自体の構造にも注意する必要があります。

短期旅行で気にする話ではないものの、長期滞在者にとっては住居選びの参考になります。

通信

公立救急車の電話番号は「103」です。ただし、英語があまり通じず現場到着まで時間がかかることもあり、救急隊員の医療レベルは日本にやや劣ります。

英語が通じない場面が多く、緊急時にはアゼルバイジャン語かロシア語の対応が必要になることがあります。現地SIMかeSIMで通訳アプリを動かせる状態にしておくと安心。選び方は海外eSIM比較を参照してください。

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緊急時の連絡先

機関電話番号
消防署101
警察署102
救急車103
ガス104
在アゼルバイジャン日本国大使館(バクー)(+994 12) 490-7818 / 7819
大使館 閉館時間帯 緊急連絡先(+994 50) 222-8063
SOSメディカルセンター 救急車012-489-5471(1を押す)

緊急アゼルバイジャン語

  • 助けて: キョメキエディン
  • 警察: ポリス
  • 警察を呼んで: ポリス チャグルン
  • 救急車: テージリ ヤルドゥム
  • 泥棒: オグル

ロシア語も通じます。

主要都市の治安情報

出典