日本の風邪薬・処方薬が海外で違法になる国|成分別・国別 持ち込みマップ
最終更新: 2026-04-18
出発前に薬局で買ったいつものパブロンを、行き先の空港で別室に呼ばれて没収される。話を聞くと、最悪のケースでは罰金や勾留まで進むことがあるそうです。
ニュースになるのは大麻や覚醒剤ですが、実際に日本人が引っかかりやすいのは、日本の薬箱に普通に入っている市販の風邪薬や、心療内科でよく出されるデパスのような薬だったりします。日本では当たり前でも、行き先の国では成分そのものが規制対象、というギャップが理由です。
このページでは、成分別・国別に「税関で引っかかりやすい薬」を一次ソースから整理しています。出発前にざっと目を通しておけば、空港でのトラブルはかなり避けられます。
関連する別マップはこちらです。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
日本側のルール — 海外に持ち出す / 日本に戻るときの厚労省ライン
海外に薬を持っていく前に、実はまず日本側で引っかかることがあります。処方薬の中には麻薬・向精神薬に分類されるものがあって、これを国外に持ち出したり、海外で処方されたものを日本に持ち込んだりするには、地方厚生局長の許可(携帯輸出入許可)が要ります。麻薬取締部のサイトがこの窓口で、デパス・ハルシオン・リタリン系などが該当します。
「米国で合法に処方されてるから日本にも持ち込める」は通じません。在日米国大使館の案内はかなりハッキリ書いています。
どの医薬品・処方薬を日本に持ち込めるかの判断は、日本政府が単独で行い、薬機法の規制対象となる。米国で一般的な薬や市販薬の多くは日本では違法。日本で違法な薬については、米国の有効な処方箋を持っていても関係なく、持ち込めば日本当局による逮捕・勾留のリスクがある。
在日米国大使館 “Bringing Over-the-Counter Medicine and Prescriptions into Japan”
「有効な米国の処方箋を持っていても、日本で違法な薬なら逮捕・勾留のリスク」とド直球。特に名指しされてるのがAdderall(アンフェタミン系のADHD薬)とCBD(THC量によっては違法)で、米国務省のJapanレポートも「米国で日常的に処方される薬(Adderall を含む)は日本では違法。CBD も THC 含有量によっては違法になりうる」と書いています。
許可を取るルートは2通り。在日米国大使館によると、
厚労省が承認する数量を超える医薬品・医療機器を持ち込む旅行者は、出発前に「輸入確認書(Yunyu Kakunin-sho)」を取得し、入国時に処方箋とともに税関職員へ提示すること。日本政府による確認書の承認には数週間かかる場合があり、薬や医療機器を持ち込む前に受領しておくべき。
在日米国大使館 “Bringing Over-the-Counter Medicine and Prescriptions into Japan”
輸入確認書(Yunyu Kakunin-sho)を事前に取って、税関で提示するのが正規ルート。処理に数週間かかるので、旅程が決まったらすぐ動く必要があります。照会先は yakkan@mhlw.go.jp(厚労省)で、メールには 1) 薬の有効成分(active ingredients)、2) 薬の名前、3) 用量と数量、4) 連絡先メールアドレス を書く、と米大使館が指定しています。
日本から持ち出すときも同じ。海外で「日本から持ってきた薬」を使い切らず持ち帰るとき、それが麻薬・向精神薬に該当すれば携帯輸出入許可が要ります。短期旅行でデパスを5錠だけ、くらいの話でも、厳密にはここに入ります。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
成分別「踏み抜きやすい」リスト
国別に飛ぶ前に、どの成分が地雷かを先に押さえたほうが早いです。日本の薬箱を覗いて、この成分が入ってたら行き先別にチェック必須、くらいのレベル感で見てください。
プソイドエフェドリン・エフェドリン(多くの総合感冒薬・鼻炎薬)
パブロンゴールドA、ベンザブロックIP、ルルアタックEXなど総合感冒薬・鼻炎薬の定番成分。覚醒剤(メタンフェタミン)の原料になるため、多くの国で量に上限があります。シンガポールHSAの承認が必要になるラインは、
エフェドリン、またはプソイドエフェドリンの総含有量が 21.6g を超える医薬品。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
総量21.6g超で承認必要。個人旅行の常備薬程度なら届かないことが多いですが、長期滞在で箱買いする人、家族分をまとめて持っていく人は要注意です。
コデイン・デキストロメトルファン(一部の咳止めシロップ、総合感冒薬)
麻薬性の咳止め成分で、日本では一部がOTCで買えるものの、海外では向精神扱いの国が多い。シンガポールHSAは錠剤・液剤それぞれに明確な線を引いています。
錠剤・カプセル:20 錠超、または 1 錠あたりのコデイン・デキストロメトルファン含有量が 30mg 超。経口液剤:240ml 超、または 5ml あたりの含有量が 15mg 超。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
20錠超/1錠30mg超/240mL超/5mLあたり15mg超のいずれかを超えたら事前承認。市販のシロップ1本がこのラインに近いことがあるので、残量含めて空港で計算してから持ち込む感覚が要ります。UAEのようにさらに厳しい国では、コデインは処方の認証プロセスをまるごと通さないと通関しません。
ベンゾジアゼピン系(デパス / ハルシオン / ソラナックス / ゾルピデム等)
日本の精神科・内科でよく処方される抗不安薬・睡眠薬の多くはここ。シンガポールHSAは例示で、
向精神薬を含む医薬品は HSA の承認が必要。向精神薬の例(これらに限らない):ジアゼパム、ミダゾラム、ゾルピデム。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
Diazepam(セルシン等)、Midazolam(ドルミカム)、Zolpidem(マイスリー)が例示されていて、例示に載ってないベンゾ系もほぼすべて向精神薬扱いと読むのが安全。日本側でも携帯輸出入許可の対象になる成分なので、出発前に処方医に相談して成分名を英文で用意しておきましょう。
モルヒネ / フェンタニル / オキシコドン / ブプレノルフィン(規制麻薬)
がん性疼痛・術後疼痛などで使われる医療用麻薬。シンガポールHSAは、
規制麻薬を含む医薬品は HSA の承認が必要。規制麻薬の例(これらに限らない):モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ブプレノルフィン。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
と4成分を名指し。ここは国ごとの厚生労働局の事前許可に加えて、受入国の事前承認も両方要る領域です。旅行者で該当する人は限られますが、慢性疼痛・がん治療中の方には死活問題。必ず主治医と厚生局の両方に早めに照会してください。
アンフェタミン / メチルフェニデート系(Adderall / Vyvanse / コンサータ)
ADHDで処方される薬の多くがここ。前述のとおり日本はAdderall/Vyvanseが違法(コンサータは日本でも処方あり)。中国も米国務省レポートがハッキリ書いています。
中国は、米国で一般的な医薬品(Vyvanse や Adderall などのアンフェタミン系医薬品を含む)の輸入を制限している。これらの薬を携帯する際は最大限の注意が必要。
US State Department Country Information - China
あわせて「中国は、米国で一般的な医薬品(エピネフリンなど)の購入・使用を複数制限している」とも書かれていて、エピネフリン(アナフィラキシー時のエピペン等)も制限対象。アレルギー体質で旅行に必携という人にとって見落としがちなリスクです。
CBD オイル・CBD 製品
日本では健康食品として普通に売られているCBD。中東・東南アジアの多くで全面違法です。UAEは米国務省が、
UAE ではカンナビジオール(CBD)を含む製品は違法。米国その他の国の処方薬・市販薬に含まれる CBD 製品も含め、所持・輸入はマリファナ所持と同じ扱いで訴追される。
US State Department Country Information - UAE
大麻所持と同じ扱いで訴追。マレーシアも「米国で医療として処方された大麻関連製品も含め、すべての大麻関連製品はマレーシアで厳格に禁止されている。麻薬法は非常に厳しい」、インドネシアも「マリファナ、大麻、ハシシ、エディブル、CBD/THC を含む製品は、医療目的を含めインドネシアで違法。医療処方があっても合法化されない」と、処方や医療用であっても効かない扱い。中国も「他国で合法な薬(大麻やその派生品など)は中国では違法」で同様です。
死刑国もある領域なので、手口や罰のレンジは 大麻・ドラッグ法的リスク国別マップ を参照してください。
ケシの実(poppy seeds) — UAEだけ特殊枠
おまけのようですが、UAEはケシの実そのものも違法扱い。
UAE の麻薬対策プログラムは、ケシの実も規制物質リストに含めている。乾燥装飾用植物としての形態を含め、いかなる形態でもケシの実の輸入・所持は厳格に禁止されている。
US State Department Country Information - UAE
パン・ベーグルのトッピング、ドライフラワーに付着したケシ殻、アロマ用ポプリ、薬膳系漢方まで形態を問わず禁止。UAE乗継・滞在時は食品とアロマ雑貨にも目を通す必要があります。
国別マップ(厳しい順)
米国(日本→米国 / 米国→日本)
米国への持込は、外務省A2(米国)で、
医薬用麻薬を含む医薬品、規制薬物、猥褻物等に加え、アルコール類、果物、野菜、植物、植物製品、土壌、精肉、肉製品、鳥、カタツムリ、その他動物や動物製品等は、持込みが禁止または制限されています
とまとめられています。米国CBPの運用は「個人使用の合理的な量・原本包装・処方箋」が共通ルール。むしろ怖いのは米国→日本の帰りで、米国で合法に処方されたAdderallやCBD製品を日本へ持ち帰ると日本側で違法。長期留学・出張で米国の医師から処方された薬がある人は、帰国前に成分名で厚労省(yakkan@mhlw.go.jp)に照会するルーチンを組んでください。
UAE(ドバイ・アブダビ・シャルジャ)
中東で一番手続きが重いのがUAE。米国務省レポート:
UAE では多くの処方薬と市販薬が禁止されており、適切な承認なくこれらを所持することは、原則として違法な麻薬の所持と同じ扱いとなる。UAE への持込・通過の前に、観光客・居住者を問わず、特定の種類の医薬品・麻薬・化学物質についてはオンラインフォームでの事前承認を求めるべき。
US State Department Country Information - UAE
処方薬と一部OTCも事前承認なしだと麻薬所持と同じ扱い。UAE保健予防省のオンライン申請で事前認可を取るのが公式ルートで、米国発行の処方箋を使う場合は、
米国発行の処方箋を完全に認証するには、まず処方医が登録している米国の州務長官による認証、次に米国務省による認証、最後にワシントン DC の UAE 大使館による認証が必要。
US State Department Country Information - UAE
州務省→米国務省→在米UAE大使館の三重認証という、観光客がサッと用意できるレベルではない手続きを求めています。日本発行の処方箋でも、UAE大使館経由の認証を含めた事前準備が前提と考えてください。あわせてCBDとケシの実は前述のとおり全面違法。ドバイで機内持込のサプリが1本出てきただけで長期勾留、の報道が繰り返されてる背景はこれです。UAEの刑事ラインは 日本人が逮捕されやすい海外の法律10選 にも整理があり、CBDが大麻所持と同等に扱われる構造や飲酒・PDAルールはUAEの飲酒・PDA・CBDルールで個別に掘っています。
シンガポール
シンガポールHSAは量のルールが明確で、むしろ事前準備がしやすい国。基本ラインは、
糖尿病・高コレステロール・高血圧・避妊などの一般的な治療薬は、数量が 3 か月分以下なら持ち込み可能。この場合 HSA の承認は不要。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
糖尿病・高コレステロール・高血圧・避妊薬なら3か月分までは承認不要。3か月超、または前述の規制成分(コデイン・プソイドエフェドリン21.6g超・向精神薬・規制麻薬)を超えて含むときは事前申請。
申請はシンガポール到着予定日の 2 週間以上前までに提出すること。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
到着の2週間以上前までに申請が公式ライン。家族分をまとめて持つのはNGで、
もともとその製品の対象とされていた家族以外の他人のために、個人用医薬品を購入・輸入・携帯することは認められない。違反者はシンガポール法のもとで起訴されうる。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
「もともとその家族向けに処方された分」以外は起訴対象と明記。さらにトランジットでも油断禁物で、
シンガポールの入国審査を通過せず通過するだけなら、HSA の承認は不要。ただしチューインガム、大麻、大麻抽出物を含む製品など禁止物質は、入国審査を通らない場合でも持ち込み禁止。
シンガポール HSA “Regulations for bringing personal medications into Singapore”
乗継だけでも大麻・CBD・ガムは不可。外務省A2も「医薬品を持ち込む際には、無用なトラブルを避けるためにも、医師による処方箋(英訳)を携行するようにしてください」と重ねて書いています。定額罰金の話は 海外の罰金マップ のシンガポール節で。
中国
中国は外務省「安全対策基礎データ(中国)」が明快で、
処方薬を中国に持込む場合、税関への申告が必要です。処方薬の持込みは、個人で使用する合理的な量に限られ、薬とともに、処方箋、処方量、診断書等(英文)を税関に提示して持込み可否の判断を受けます。医療用麻薬・向精神薬についても基本的な手続は同じです。
「個人使用の合理的な量」が基準。具体的な日数は A2 に書かれていないので、診断書+処方箋(英文)+成分情報を税関で提示して判断を仰ぐという運用。米国務省はさらにAdderall/Vyvanse、エピネフリンを制限対象として具体列挙しています。CBD製品は「illegal in China」で、米国の処方があっても効かない扱い。中国は薬だけでなく反スパイ法などの地雷もあるので、刑事ラインは 日本人が逮捕されやすい海外の法律10選 の中国項とあわせて確認してください。
タイ
米国務省のThailandレポートがシンプル。
個人使用の医薬品:最大 30 日分まで持ち込み可能。タイへの持込が認められるかを事前に確認することなく、医薬品を郵送してはいけない。
処方薬は必ず原本包装のまま、医師の処方箋とともに携帯すること。タイ税関およびタイ食品医薬品局に、その薬がタイで合法かを確認すること。
US State Department Country Information - Thailand
個人使用は30日分まで、郵送は事前確認なしでは絶対にしない。原本包装+処方箋が前提。タイ税関は加熱式タバコ等でよく知られた通り積極的に摘発してくるので、薬も同じ姿勢で見られると思ったほうが安全です。電子タバコの方の罰ライン(10年以下または50万バーツ)は 海外の罰金マップ に整理してあります。
マレーシア
米国務省レポートが日数と成分両方に釘を刺しています。
マレーシアに規制物質を持ち込めるのは書面の処方箋がある場合のみで、携帯量は 30 日分までに制限される。
マレーシアはカンナビジオール(CBD)およびテトラヒドロカンナビノール(THC)製品の輸入を認めていない。米国で医療として処方された大麻関連製品も含め、すべての大麻関連製品はマレーシアで厳格に禁止されている。麻薬法は非常に厳しい。
US State Department Country Information - Malaysia
規制物質は処方箋必須+30日分まで、CBD/THCは処方があっても全面違法。マレーシアは刑事ラインが死刑まで射程に入る国(大麻所持で死刑規定)なので、薬絡みで引っかかるリスクは絶対に避けたい国です。
インドネシア
インドネシアは郵送が完全にNGと名指しされている数少ない国。米国務省:
米国市民はインドネシアへ医薬品を郵送・発送しないように勧告される。当局は医薬品を含む小包を厳重に監視しており、処方薬・市販薬のいずれであっても受取人を拘束または逮捕する可能性がある。
米国で合法または処方されている薬であっても、インドネシアでは違法な麻薬とみなされうる。したがって、米国市民は処方薬を手荷物としてのみ持ち込み、原本包装のまま処方箋のコピーを添えること。
US State Department Country Information - Indonesia
処方薬も市販薬も郵送したら受取人ごと拘束・逮捕の可能性、手荷物で持ち込む・原本包装・処方箋のコピー、が三点セット。CBD/THCは医療目的でも違法。
ベトナム
ベトナムは日数制限が具体的で、外務省A2が数字込みで書いています。
(ベトナム国内法令により輸入許可が必要ないと定められている項目) ・中毒性のある(習慣性のある)医薬品の場合は最大7日間分まで ・向精神薬等の場合は、最大10日間分まで ・上記以外の医薬品の場合は、1度の入国につき合計関税額が200USDを超えず、1年に3回まで
それに加えて、
輸入医薬品は中毒性薬物、向精神薬、前駆薬物に該当するものではなく、輸入量は処方箋に記載された用量に基づく30日間の最大使用量を超えない。
習慣性7日・向精神10日・その他は$200以内/年3回まで・30日分上限という二重三重のキャップ。長期滞在者は現地で処方を受ける前提のほうが現実的です。
韓国
韓国の外務省A2は具体数値が薄いものの、
街中いたるところに薬局があり、薬を容易に入手することはできますが、大半の薬局では日本語が通じないこともあり、常備薬は日本から持参することをおすすめします。
と現地薬局は使いにくい点が明記されています。医療用麻薬・向精神薬は厚労省の携帯輸出入許可のスキームに従う、という日本側の共通ルートで運用。短期旅行なら常備薬+英文処方箋を持参、が一番安全です。
台湾
台湾は衛生福利部食品藥物管理署(TFDA)が管制薬品の入境時に「病人隨身攜帶管制藥品出(入)境聲明書」を出す制度を運用していますが、日本語で分かる公式ガイドは薄め。管制薬品(規制麻薬・向精神薬)を持ち込むなら声明書の事前申請、それ以外の常備薬は原本包装+処方箋、くらいの運用が実勢です。確定のルール表が必要な場合は出発前に駐日台北経済文化代表処に直接照会してください。
ドイツ(EU諸国の参考)
EU圏の参考としてドイツ。米国務省レポートは、
ドイツが麻薬に分類する医薬品は、30 日分までしか携帯できない。
ドイツでは郵便で処方薬を受け取れない。厳格な税関規則により特別な許可が必要。
US State Department Country Information - Germany
ドイツが麻薬指定する薬は30日分まで、郵送は特別許可が必要で実質無理。シェンゲン協定域内の移動でも、ドイツの麻薬リストに該当する薬は医師の証明書(BfArM指定のフォーム)を用意するように、と米国務省は書いています。
オーストラリア / ニュージーランド
豪州はTGAに「Travellers Exemption」という個人携帯のルールがあるものの、原則「個人使用・原本包装・処方箋」の枠組み。入国時の申告欄は正直にチェックするのが原則で、豪州税関の強い権限は 海外の罰金マップ の豪州節を参照してください。NZも同様に、規制物質は処方箋+少量、が基本運用です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
早見表:国別「薬の持ち込みルール」
| 国 | 目安の上限 | 特に気をつける成分/モノ |
|---|---|---|
| 日本(持込/持出) | 麻薬・向精神薬は地方厚生局の携帯輸出入許可。輸入は Yunyu Kakunin-sho(数週間) | Adderall/Vyvanse、CBD(THC含有)、デパス/ハルシオン等ベンゾ系 |
| 米国 | 個人使用の合理的な量、原本包装+処方箋 | 米国→日本持ち帰り時に日本側で違法化する成分に注意 |
| UAE | 事前承認必須、米国処方は三重認証 | CBD全面違法、ケシの実も違法、コデイン/モルヒネ等 |
| シンガポール | 3か月分まで承認不要、超過は2週間前申請 | コデイン20錠/30mg/240ml超、プソイドエフェドリン21.6g超、ベンゾ系、モルヒネ、CBD、ガム |
| 中国 | 個人使用の合理的な量、英文処方箋+診断書で税関判断 | Adderall/Vyvanse、エピネフリン、CBD |
| タイ | 30日分まで、郵送は事前確認なしで絶対NG | 電子タバコ(別枠で刑事罰)、CBD(医療用以外) |
| マレーシア | 規制物質は処方箋+30日分まで | CBD/THC全面違法(医療処方でも) |
| インドネシア | 手持ちのみ、郵送は受取人拘束の恐れ | CBD/THC全面違法、原本包装+処方箋コピー |
| ベトナム | 習慣性7日/向精神10日/その他 $200以内・年3回/30日分上限 | 向精神薬・前駆薬物 |
| 韓国 | 常備薬は日本から持参推奨、麻薬・向精神は厚労省ルート | 現地薬局は日本語通じにくい |
| 台湾 | 管制薬品は病人隨身攜帶管制藥品出(入)境聲明書 | 規制麻薬・向精神薬 |
| ドイツ | 麻薬指定薬は30日分まで、郵送ほぼ不可 | BfArM 指定リスト、医師の証明書 |
| 豪州/NZ | 個人使用・原本包装・処方箋、税関申告は正直に | 規制物質、CBD(豪州は医療用のみ条件付き) |
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
空港で没収・逮捕されないための出発前チェックリスト
各国ソースを通して共通して出てきた「これを準備しておけば揉めない」項目です。処方薬アリで海外に出るなら、以下を出発1〜2か月前から動かすのが理想。
- 英文処方箋と診断書を1セット作る — 中国A2が「処方箋、処方量、診断書等(英文)を税関に提示」、UAE/シンガポール/米国務省レポートも共通で「in original packaging, along with your doctor’s prescription」。常備薬でも念のため。
- 成分名(active ingredient)を英語で控える — yakkan@mhlw.go.jp 照会でも、シンガポールHSAの事前申請でも、薬の商品名ではなく成分名が一次情報。パブロンゴールドAなら「acetaminophen, dihydrocodeine phosphate, dl-methylephedrine hydrochloride…」のように。
- 原本包装(箱・ブリスター)のまま持っていく — ピルケースに移し替えると税関で「これは何の薬か」を説明できず揉める。日本を出るときから原本で。
- 量を確認する — シンガポール3か月、タイ/マレーシア/ドイツ30日、ベトナム習慣性7日/向精神10日。滞在日数と薬の1日用量で計算して、上限以内に収める。超えるなら行く前に申請する。
- 家族分をまとめて持たない — シンガポールは「家族分以外は起訴対象」と明記。タイも罰金マップ側で「団体旅行で他の人の分を合わせて持つと没収+罰金」とある。自分の分だけ持つ。
- 郵送しない — インドネシア、ドイツ、タイが名指しでNG。「後で送ってもらう」発想は、受取人ごと拘束のリスクに変わる。
- CBD製品は抜く — サプリ・グミ・オイル・クリーム全部。UAE/中国/マレーシア/インドネシア/タイ/シンガポールでトラブル源。
- ADHD薬・ベンゾ系は特に慎重に — Adderall/Vyvanseは日本・中国で制限。ベンゾ系(デパス/ハルシオン/ソラナックス)は多くの国で事前許可ライン。渡航医学外来で相談してから。
- 厚労省 yakkan@mhlw.go.jp に早めに照会 — 薬監証明が必要な処方薬の場合、処理に数週間。米大使館の照会フォーマット(成分・商品名・用量と数量・メールアドレス)をそのまま書いて送るのが最速。
- UAEに行くなら保健予防省のオンライン申請 — 処方薬・一部OTCの事前承認はここ経由。米国処方なら三重認証を要するので、旅程を組む前に準備。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
最後に
薬絡みのトラブルは、日本の薬箱にあるものが向こうで違法というズレから起きます。「旅行中に風邪ひいたら嫌だからパブロンゴールドを箱で」「長期滞在だからデパスを予備含めて」「疲労回復にCBDオイル」——どれも日本の感覚では普通ですが、行き先によってはそのまま逮捕・勾留の射程に入ります。
この記事のカバレッジは、シンガポール・UAE・中国・タイ・マレーシア・インドネシア・ベトナム・ドイツ等、一次ソースが具体的に数値や成分を書いている国に絞ってあります。他国に行くときも、成分別リスト(プソイドエフェドリン/コデイン/ベンゾ系/ADHD薬/CBD)を頼りに、行き先の保健当局サイト+米国務省のCountry Informationを同じ成分名で検索するのが一番早いです。
大麻・ハードドラッグ側の国別リスクは 大麻・ドラッグ法的リスク国別マップ、反スパイ法や王室侮辱・大量定額罰金など刑事罰レンジの法律は 日本人が逮捕されやすい海外の法律10選、空港没収や定額罰金の手前ゾーンは 海外の罰金マップ にまとめてあります。セットで読むと、出発前1〜2時間で「踏まない海外の法律まわり」をほぼ俯瞰できるようになっています。準備を早めに、安全に帰ってきてください。
よくある質問
日本の風邪薬や咳止めをスーツケースに入れて海外に持っていっていいの?
行き先次第です。ベンザブロック・パブロンゴールドなどに入っているプソイドエフェドリンや、一部の咳止めに含まれるコデイン・デキストロメトルファンは、シンガポールや中東などで承認ラインが決まっている成分。シンガポールHSAはコデインを含む錠剤が20錠超または1錠30mg超で承認が必要、プソイドエフェドリンは総量21.6g超で承認が必要と明記しています。量が少なくても「他人の分を預かって持ち込む」のは別罪で、シンガポールは家族分以外は起訴対象と書いています。行く前に成分名でHSAなど各国当局ページを検索するのが最短です。
米国で処方されたAdderall/Vyvanse(ADHD薬)を日本や中国に持っていけますか?
日本はダメです。在日米国大使館と米国務省の日本レポートは「米国で日常的に処方される薬(Adderall を含む)は日本では違法」と明記。日本のルールでは、輸入許可「輸入確認書(Yunyu Kakunin-sho)」を事前に取得しないと逮捕・勾留のリスクがあります。中国も米国務省が「中国は、米国で一般的な医薬品(Vyvanse や Adderall などのアンフェタミン系医薬品を含む)の輸入を制限している」と書くとおり制限あり。Adderall/Vyvanseは旅行者が踏み抜く代表例です。
シンガポールに常備薬を持っていくとき、承認はいつから必要?
「3か月分を超えるとき」または「コデイン/デキストロメトルファン・向精神薬・規制麻薬・プソイドエフェドリンを一定量超えて含むとき」です。シンガポールHSAは「一般的な治療薬は、数量が 3 か月分以下なら持ち込み可能。HSA の承認は不要」、一方で承認が必要な場合は「シンガポール到着予定日の 2 週間以上前まで」に申請と書いています。糖尿病・高血圧・避妊薬などの常備薬は3か月までならOK、それ以上は2週間前までに申請が公式ラインです。
UAE(ドバイ・アブダビ)は薬に厳しいと聞きます。具体的には?
米国務省UAEレポートは「UAE では多くの処方薬と市販薬が禁止されており、適切な承認なくこれらを所持することは原則として違法な麻薬の所持と同じ扱いとなる」と書いています。CBD製品は大麻と同じ扱いで処罰、ケシの実もあらゆる形態で輸入禁止と明記。処方薬はUAE保健予防省のオンライン申請で事前承認を取り、米国発行の処方箋なら州務省→米国務省→在米UAE大使館の三重認証が必要。原本包装と処方箋は必携です。
タイ・マレーシア・インドネシアに常備薬を持ち込むときは?
タイとマレーシアは米国務省レポートで「30日分まで」が上限、マレーシアは規制物質なら処方箋が必須。インドネシアは「米国で合法または処方されている薬であっても、インドネシアでは違法な麻薬とみなされうる」と警告されており、郵送は厳禁。3カ国ともCBD/THC製品は旅行者の処方でも違法で、マレーシアは「米国で医療として処方された大麻関連製品も含め、すべての大麻関連製品はマレーシアで厳格に禁止されている」と米国務省が明記しています。
中国に処方薬を持ち込むときの手続きは?
外務省「安全対策基礎データ(中国)」によると「処方薬を中国に持込む場合、税関への申告が必要です。処方薬の持込みは、個人で使用する合理的な量に限られ、薬とともに、処方箋、処方量、診断書等(英文)を税関に提示して持込み可否の判断を受けます。医療用麻薬・向精神薬についても基本的な手続は同じです」。ADHD薬のAdderall/Vyvanseや、米国では市販のエピネフリン製剤なども制限対象と米国務省が指摘しているので、英文処方箋と成分情報を揃えて申告するのが前提です。
ベトナムは持ち込める日数が決まっているそうですが?
決まっています。外務省ベトナムA2によると「中毒性のある(習慣性のある)医薬品の場合は最大7日間分まで/向精神薬等の場合は、最大10日間分まで/上記以外の医薬品の場合は、1度の入国につき合計関税額が200USDを超えず、1年に3回まで」。さらに「輸入医薬品は中毒性薬物、向精神薬、前駆薬物に該当するものではなく、輸入量は処方箋に記載された用量に基づく30日間の最大使用量を超えない」と上限が重ねて書かれています。旅行期間が長いときほど要注意です。
出典・参考
- 在日米国大使館「Bringing Over-the-Counter Medicine and Prescriptions into Japan」
- シンガポール HSA「Regulations for bringing personal medications into Singapore」
- 外務省 安全対策基礎データ(シンガポール)
- 外務省 安全対策基礎データ(中国)
- 外務省 安全対策基礎データ(ベトナム)
- 外務省 安全対策基礎データ(韓国)
- 外務省 安全対策基礎データ(米国)
- US State Department Country Information(Japan)
- US State Department Country Information(UAE)
- US State Department Country Information(China)
- US State Department Country Information(Thailand)
- US State Department Country Information(Malaysia)
- US State Department Country Information(Indonesia)
- US State Department Country Information(Germany)