ベトナムはフォーがうまくて物価も安い、バックパッカーにも卒業旅行にも人気の国。でも「治安がいい」というイメージだけで行くと痛い目に遭います。ホーチミンやハノイの繁華街ではバイクによるひったくりが日常的に起きていて、2024年にはホーチミン市内で邦人男性が刺殺される事件も発生しています。
このページでは、ベトナム旅行の前に知っておきたいことを治安→法律・マナー→トラブル→医療費の順でまとめます。特に電子タバコの規制が2025年1月から始まったのは見落としがちなので、必ずチェックしてください。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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ベトナムの治安の全体像
危険レベル
2026年4月時点で、外務省はベトナム全土に対して特段の危険情報を出していません。ただし「危険情報なし=安全」ではない点は覚えておいてください。
犯罪統計
ベトナム公安省が発表した2025年の犯罪統計は以下のとおりです。
- 犯罪発生件数:47,713件
- 経済犯罪発生件数:3,658件
- 薬物犯罪発生件数:21,998件
- 薬物犯罪被逮捕者数:44,354人
外務省によれば、ベトナムの治安状況は「総じて安定している」とされていますが、住宅への忍び込み、繁華街でのひったくり、スリや置き引きは日常的に発生しています。日本人旅行者も観光地・市場・路上で貴重品の盗難に遭うケースが頻繁に報告されています。
また、SNSを通じて違法改造拳銃を入手した者による犯罪や、国境からの銃器密輸ルートが検挙されたとの報道もあります。世界全体での位置づけはGPI 2025の解説も参考になります。
マナー・法律・NG行動
1. 電子タバコ・加熱式タバコ(2025年1月から罰金対象)
2025年1月1日から、ベトナム国内で電子タバコ・加熱式タバコを使用すると罰金の対象になりました。さらに海外からの持込みは、使用よりも重い罰金が科される可能性があります。日本から普段使っている加熱式タバコをそのまま持って行くと罰金です。出発前にスーツケースから抜いてください。
2. 違法薬物(最高刑は死刑)
麻薬等の所持・使用は厳しく取り締まられており、外国人であっても容赦なく罰せられます。過去にはヘロイン密輸で検挙された外国人に死刑判決が出た事例があります。
知人から「荷物を届けてほしい」と頼まれ、中身を確認せずに運んだ結果、違法薬物が入っていて逮捕されるという事案も実際に起きています。他人の荷物は絶対に預からないでください。
3. 賭博(少額でも逮捕される)
ベトナムでは賭博は原則として犯罪行為です。日本人街にあるパチンコ店や麻雀店で賭博行為をすれば捜査対象になります。少額であっても逮捕され、長期間の拘束や重い処罰を受ける可能性があります。
4. 政治体制への批判
ベトナムの政治体制や国情に対して批判的な言動・行動をとると、取締りの対象になる場合があります。SNS投稿も含め注意が必要です。
5. わいせつ図書(日本の週刊誌もアウト)
日本ではどこでも手に入るグラビア写真や性的表現のある漫画が掲載された雑誌等が、ベトナムでは「わいせつ図書」として取締り対象になります。罰金は1,000万ドン以上1億ドン以下です。
6. 売買春
都市部のカラオケバー等では売春目的で営業しているものがあり、当局による取締りが強化されています。売買春は犯罪行為です。
7. 持込み禁制品・通関
- 銃、爆発物、麻薬等違法薬物、骨董品、ベトナム人のモラルに悪影響を及ぼすおそれのある出版物等は持込み禁止
- 現金5,000米ドル(または同額相当の外貨)、1,500万ドンを超える場合は申告が必要
- パスポートの有効期限が6か月以上必要(45日以内の滞在はビザ免除)
8. 写真撮影
軍事関連施設を除き、特段の制限はありません。
9. 国際運転免許は使えない
ベトナムは日本が加盟する国際運転免許に関する条約を批准していません。日本の国際運転免許証でバイクや車を運転すると無免許運転となり、刑法上3年以上10年以下の懲役刑が科される場合があります。レンタルバイクを気軽に借りて走る旅行者が多いですが、法的にはかなりリスクの高い行為です。この「国際免許が効かない=3〜10年懲役」はベトナム固有の地雷で、他国の代表的な法律リスクと並べて 日本人が逮捕されやすい海外の法律10選 でも解説しています。電子タバコ・賭博・国家批判・わいせつ図書まで含むベトナム固有のNG動作はベトナムのマナーと法律に一本化してあります。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
主な犯罪・トラブル
外務省および在外公館の情報によると、ベトナムでの日本人被害は以下のカテゴリに集中しています。
バイクによるひったくり
ハノイ・ホーチミンの繁華街や日本人街で最も多いトラブルです。バイクが背後から追い抜きざまに携帯電話やバッグをひったくります。特に夜間、タクシーを呼ぶために路上でスマホを操作しているときが狙われやすいです。
ダナンで深夜にタクシーを呼ぼうとスマホを取り出した瞬間、後ろからバイクが来てスマホごと持っていかれました。あっという間で抵抗する暇もなかったです。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ダナン日本国総領事館 安全の手引き)
スリ・置き引き
市場やショッピングモール、長距離バス車内など混雑した場所で多発。刃物でバッグを切る、ジッパーを開けて財布を抜くといった手口が確認されています。航空機内の頭上収納棚から現金やクレジットカードが盗まれる被害も増加しています。
夜の繁華街を歩いていたら、知らない女性にいきなり抱きつかれて、離れた後に気づいたらポケットの財布がなくなっていました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ダナン日本国総領事館 安全の手引き)
盗まれたクレジットカードが不正使用される二次被害も発生しており、ベトナムではこうした犯罪が犯罪として認定されないケースもあります。被害に気づいたら即座にカード会社へ連絡してください。
タクシーのぼったくり・トラブル
メーターを作動させない、到着と同時にメーター表示を消して高額請求する、勝手に運転手の知り合いのホテルに連れていく、といった悪質な事例が報告されています。空港周辺の呼び込みタクシーは特に要注意です。
タクシーに乗ったら目的地と全然違う場所で停まって、「ここから先は追加料金がかかる」と言われました。ベトナムドンは桁が多いので、一桁多い金額を請求されていることにも気づきにくいです。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ダナン日本国総領事館 安全の手引き)
対策としては、ホテルやレストランにタクシーを手配してもらうか、Grabなどの配車アプリを使うのが安全です。
イカサマ賭博・詐欺
路上で「必ず勝てる」と声をかけられ、ポーカー等の賭博に誘われて掛金を全て失うケースが報告されています。「日本のお金を見せてほしい」と声をかけてきて、紙幣を見せた瞬間に盗まれるという手口もあります。
睡眠薬強盗
自宅やホテルに連れ込んだ人物と飲食した後に意識を失い、目が覚めたら所持金がすべてなくなっていた、という被害が報告されています。見知らぬ人物からの誘いには安易に応じないでください。
テロ・誘拐情勢
外務省によれば、ベトナムでは近年、反政府組織によるテロ事件等が複数確認されています。ただし、これまでのところ日本や在留邦人をターゲットにしたものはなく、今後もその可能性は低いとされています。2001年の米国同時多発テロ以降、ベトナム国内でイスラム過激派によるテロは発生していません。
誘拐についても、外国人を標的とした事件の報告はありません。
一方で、「短期間で多額の報酬を得られる」という闇バイトの謳い文句に誘われ、犯罪組織にいわゆる「かけ子」として特殊詐欺に加担させられるケースが報告されています。うまい話には絶対に乗らないでください。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
医療費の実態
医療水準
外務省「世界の医療事情」によれば、ベトナムの医療環境・水準は日本と比べて劣ります。都市部と地方の格差も拡大しており、入院や手術が必要な場合は日本や近隣の医療先進国への移送が検討されます。ハノイ・ホーチミンには日本人対応可能な私立病院やクリニックがあり、日本人医師や日本語通訳が常駐する施設もあります。
水道水は飲用に適しません。屋台の衛生状態も劣悪で、A型肝炎・細菌性赤痢・腸チフスなどのリスクがあります。
注意すべき感染症
- デング熱 — 毎年雨季に流行。特にホーチミン市などベトナム南部で多発(2022年は国内で約37万人が罹患、151名死亡)
- 狂犬病 — 2025年は73人が死亡。発症した場合の致死率はほぼ100%
- 結核 — 罹患率は日本の10倍
- 大気汚染 — 特にハノイ市は深刻で、冬場は空が見えることがまれなほど
銘柄のわからない手作りのビールや酒で死亡事故も発生しています。正規品以外のアルコールは避けてください。
高額医療事故の事例
損保ジャパン off! の公開データによれば、ベトナムで次のような保険金支払いケースがあります。
- 交通事故で気脳症・肋骨骨折等(18日間入院) — チャータージェットでホーチミンからシンガポールへ医療搬送。治療費 S$22,174 + US$17,160
ベトナムでは車両の強制保険制度はあるものの補償額は十分とは言えず、任意保険も普及していません。事故の被害者になった場合、相手に賠償能力がないことが多いのが現実です。
外務省も「入院治療や国外への患者の移送には高額の費用がかかる」として、高額医療費に対応できる特約を付けた海外旅行保険への加入を強く推奨しています。
海外旅行保険の備え
ベトナムでは医療水準の問題から、重症時には日本やシンガポールへの医療搬送が必要になるケースがあります。搬送費用だけで数百万円に達することも珍しくありません。治療費+救援者費用+携行品損害の3点をカバーする保険は最低限の備えです。
ひったくりやスリの被害も、海外旅行保険の携行品損害でカバーできる可能性があります。
年会費無料〜実質無料のクレジットカード付帯保険を2枚合算するだけでも、疾病治療570万円・携行品50万円までカバーできます。具体的な補償額の組み合わせは東南アジア旅行の保険ガイドにまとめています。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
通信手段の確保
緊急時に大使館や家族に連絡が取れるよう、現地で使える通信手段を出発前に用意しておくことが重要です。ベトナムの救急電話(115)はベトナム語しか通じないので、自分のスマホで日本語対応できる保険会社のヘルプデスクに電話できる状態にしておくのが安心です。
出発前にスマホ上で開通できるeSIMが手間が少なく、空港到着後すぐに使えます。各社の料金・対応国・速度の比較は海外eSIM比較ガイドにまとめています。
eSIMで自前の回線があっても、ホテルやカフェのWi-Fiを使う場面は出てきます。ベトナムの公共Wi-Fiはセキュリティが甘いことが多いので、VPNを常時ONにしておくのがおすすめです。選び方は海外VPN比較にまとめています。
都市別の治安情報
ベトナム国内の主要都市はそれぞれ治安の特性が異なります。
- ハノイ — ホアンキエム湖周辺・旧市街でひったくり多発。日本人街(キンマー地区・リンラン地区)も狙われやすい
- ホーチミン — グエン・フエ通り、ドン・コイ通り、ベン・タイン市場周辺でスリ・ひったくりが集中。2024年には邦人刺殺事件も発生
- ダナン — ドラゴン橋周辺(ファイヤーショー開催時)が要注意エリア。2024年の刑法犯罪認知件数は795件
各都市の詳しい治安情報・危険エリアは、都市別ページで順次まとめていきます。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
緊急時の連絡先
外務省「ベトナム 安全対策基礎データ」に基づきます。
警察・救急(全国共通)
- 警察:113
- 消防:114
- 救急:115(ベトナム語のみ)
在外公館
在ベトナム日本国大使館(ハノイ)
- 電話:024-3846-3000
在ホーチミン日本国総領事館
- 電話:028-3933-3510
在ダナン日本国総領事館
- 電話:0236-3555-535
土曜日・日曜日は休館です。各公館が公開している「安全の手引き」には犯罪事例や緊急時の対処法が詳しくまとめられているので、出発前に一読しておくと現地での判断が早くなります。