ホーチミンはベトナム最大の商業都市で、フランス植民地時代の建築やベンタイン市場の活気、バインミーやフォーの屋台を目当てに訪れる旅行者が年々増えています。ベトナム全体に外務省の危険レベル指定は出ていませんが、在ホーチミン総領事館が2025年中に認知した邦人被害は81件(前年比56件減)。減ったとはいえ、スリ・ひったくり・タクシー高額請求は一定数起き続けていて、一昨年にはホーチミン市(旧1区)内の路上で邦人男性が刺殺される重大事件も発生しています。
このページではホーチミンの治安の全体像と危険エリアを先にまとめます。手口ごとの具体的な対策はトラブル別ページに分けてあるので、気になるところから読んでください。
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ホーチミンの治安の全体像
外務省の安全対策基礎データによると、ベトナム国内の治安状況は「総じて安定している」とされていますが、ホーチミン市では繁華街周辺でのひったくり、スリ、置き引きが頻繁に報告されています。タクシー乗車中の犯罪被害も総領事館への届出件数で上位に入っていて、不当な高額請求が最も多いパターンです。
特に目立つのがバイクによるひったくり。日本人街(レタントン地区、タイバンルン地区)を中心に、携帯電話やバッグを持って歩いている人を狙い、後方からバイクで近づいて追い越しざまにひったくる手口が繰り返し確認されています。携帯電話はひったくり犯の絶好のターゲットで、路上での使用はできる限り控えるよう総領事館も注意喚起しています。
また、航空機内での窃盗も顕著です。機内収納棚に入れた財布やクレジットカード、預け入れ荷物内の現金・貴金属が窃取される被害が報告されています。貴重品は必ず身近なところで保管してください。
ホーチミン中心部の日系百貨店で買い物中、手提げ鞄に入れておいた財布が気づかないうちに盗まれていました。後から防犯カメラを確認してもらったら、数人の犯人が背後から接近して鞄に手を入れ、巧妙に財布を抜き取る姿が映っていました。映像を見るまで、どうやって盗まれたのか全くわかりませんでした。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ホーチミン日本国総領事館「安全の手引き」(2026年版))
スーパーマーケットで買い物をしていたら、急に周囲に人が増えた気がして、気づいたときには鞄から財布がなくなっていました。さらに、盗まれたクレジットカードで携帯電話を4台購入されていて、二次被害まで受けてしまいました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ホーチミン日本国総領事館「安全の手引き」(2026年版))
ホーチミンの危険エリア
外務省・総領事館がこれまでの犯罪被害報告をもとに挙げているホーチミン市内の多発地域はこちらです。
ひったくり多発エリア
グエン・フエ通り、パスター通り、ドン・コイ通り、ハイ・バー・チュン通り、トン・ドック・タン通り、チャン・フン・ダオ通り、レ・ライ通り、レ・タィン・トン通り、ベン・タイン市場周辺など。いずれも観光客が多く歩くメインストリートで、バイクによるひったくりが起きやすいエリアです。
スリ多発エリア
グエン・フエ通り、ベン・タイン市場をはじめとする各市場、ドン・コイ通り、ハイ・バー・チュン通り、レ・タィン・トン通り、大規模ショッピングモールなど。混雑した場所でバッグのジッパーを開けたり、刃物でバッグの底を切ったりして財布を抜く手口が報告されています。2人以上のグループであらかじめターゲットを絞って犯行に及ぶ事案もあります。
置き引き多発エリア
市内の公園、ホテルロビーやレストラン、大規模ショッピングモール、空港、列車・バス内など。レストランでテーブルの上にスマートフォンを置いていたら、気づいたときには盗まれていた、というケースも報告されています。
テト前後は要注意
テト(旧正月)期間中とその前後は犯罪が増加する傾向にあります。この時期に渡航する場合は特に警戒してください。
夜間は大通りから入り組んだ小路(路地裏)を歩くのは避けてください。
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交通事故の深刻さ
ホーチミン市の2025年の交通事故統計(2024年12月15日〜2025年12月15日)は、事故件数2,104件(前年比23.4%減)、死亡1,037人、負傷1,244人。減少傾向とはいえ、毎日のように死亡事故が起きている計算です。
日本人旅行者が道路を横断中にオートバイに跳ねられ死亡する事故も発生しています。信号無視の車両や逆走してくるバイクがいることも念頭に、あらゆる方向から近づく車両に注意が必要です。オートバイや自動車の運転は避け、タクシーや公共交通機関を利用するのがおすすめです。
なお、ベトナムは日本が加盟する国際運転免許に関する条約を批准していないため、国際免許証での運転はできません。無免許運転は3年以上10年以下の懲役刑です。
医療事情
ホーチミン市内には近代的な医療機器を備えた私立病院・クリニックがあり、日系クリニックの進出や日本人医療従事者が勤務する医療機関も増えてきています。ただし、診断の難しい病気や高度な医療が必要な場合は、日本や近隣の医療先進国へ緊急移送されることもあります。
特に注意したいのが、医療費の支払い能力が確認できるまで治療が行われないケースがある点。海外旅行保険に入っていないと、事故や急病のときに治療を受けられない可能性があります。損保ジャパンの事故事例では、ベトナムでの交通事故(気脳症・肋骨骨折等)で入院18日間+チャータージェットでシンガポールへ緊急搬送という高額事案も記録されています。
デング熱は特にホーチミン市を含むベトナム南部で毎年多くの患者が発生しています。狂犬病も2025年は73人が死亡しており、発症した場合の致死率はほぼ100%です。
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過去のテロ事案
ホーチミン市では過去に以下のテロ事案が発生しています。
- 2017年4月:タンソンニャット国際空港における爆弾テロ事件
- 2018年6月:ホーチミン市タンビン区の公安(警察署に相当)への手りゅう弾投てき事件
これまでにベトナムでテロによる日本人の被害は確認されていませんが、近隣東南アジア諸国ではISILの帰還兵問題への懸念があり、ベトナムも地理的に国際テロ組織の影響を完全には払拭できないとされています。
安全に旅行するための基本ルール
ホーチミンで自分の身を守るために、最低限これだけは意識しておきたいポイントです。
- 歩きスマホは絶対にしない — バイクひったくりの最大のターゲット。やむを得ず操作するときは道路から離れて、携帯を隠すようにする
- バッグは道路と反対側に持つ — 車道側に持つとバイクから狙われやすい。引っ張られて転倒する危険があるため、できるだけ車で移動する
- 周囲の人との距離を保つ — 急に人が増えたと感じたらスリの危険性あり。できれば2メートル以上の距離を確保する
- 被害に遭っても抵抗しない — 総領事館によると、犯罪者は薬物中毒者である場合が多く、被害品を取り返そうとしたベトナム人がナイフで刺殺された事件もある。身の安全を最優先に
- 見知らぬ人の誘いには乗らない — イカサマ賭博や「日本のお金を見せて」詐欺が報告されている。自宅への招待は絶対に応じない
ベトナムの法律・マナー・NG行動については、ベトナムの治安・マナー・法律ページに詳しくまとめています。
Travel Alert 04
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ホーチミンのトラブル別対策
ホーチミンで報告されている主なトラブルごとに、手口・実例・具体策を別ページにまとめています。
- ホーチミンのスリ・ひったくり・置き引き — バイクひったくり、百貨店でのグループスリ、航空機内窃盗など
- ホーチミンのタクシー・交通トラブル — 不当な高額請求、空港の呼び込みタクシー、配車アプリの偽車両
- ホーチミンの詐欺・ぼったくり — イカサマ賭博、お金見せて詐欺、査証代行詐欺、スキミング
- ホーチミンの薬物トラブル — 最高刑は死刑、闇バイトで運び屋にされるリスク
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
緊急時の連絡先
- 警察:113
- 消防:114
- 救急:115
- 在ホーチミン日本国総領事館:028-3933-3510(所在地: 261 Dien Bien Phu Street, Xuan Hoa Ward, Ho Chi Minh City)
- 総領事館メール(領事関係):ryouji@hc.mofa.go.jp
- ホーチミン市観光局:1022(自動音声で「8」、ベトナム語・英語対応)
- タンソンニャット国際空港:028-3848-5634
当地警察はほとんどの場合ベトナム語のみの対応です。被害届を出す際は、ホテルやレストランの従業員など周囲の人にサポートを求めてください。総領事館作成の「ぼったくりタクシー防止カード」もあるので活用を。
この都市のトラブル別ガイド
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