ホーチミンはベトナム最大の商業都市で、ベンタイン市場やドンコイ通りには毎日たくさんの旅行者が訪れます。活気がある分、旅行者を狙った詐欺やぼったくりも一定数発生しています。
在ホーチミン日本国総領事館が2025年中に認知した邦人被害件数は81件。そのなかでも詐欺は一昨年以降、増加傾向にあると総領事館の「安全の手引き」(2026年版)が明示しています。
ここでは、外務省と在ホーチミン総領事館が実際に報告を受けた手口を紹介します。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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よくある手口
手口1:イカサマ賭博(ブラックジャック)
総領事館の安全の手引きが詳しく記載している、ホーチミンで増えている手口です。
旅行者が観光地を散策していると、片言の英語や日本語で話し掛け、親しくなったところで、自宅に招待され、食事などをしていると、そのうちにカード・ゲーム(ブラックジャック賭博)のやり方や、いかさまの方法等を教えられ、いかさま賭博に協力するよう依頼される。その後、実際にゲームが始まり、最初は勝負に勝ち続けるが、賭け金が大きくなるにつれ負けが込み、最終的には、旅行者の手持ちの現金が足りなくなるためホテルに現金を取りに帰らせたり、クレジットカードで貴金属を買わされたり、ATMで現金を引き出させられたりする。
ポイントは「最初に勝たせる → 賭け金を引き上げる → 全額回収する」という流れ。手持ちの現金で足りないと、ATMで引き出させたりクレジットカードで買い物させたりするので、被害額が数十万円に膨らむケースもあります。
ホーチミンの観光地を歩いていたら、片言の日本語で「日本人ですか?」と話しかけられました。親しくなって自宅に招待され、食事のあとにカードゲームが始まりました。最初は勝っていたんですが、賭け金が上がるにつれて全然勝てなくなって、最終的にATMで現金を引き出すまでやらされました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ホーチミン日本国総領事館「安全の手引き」(2026年版))
外務省も同様に「路上で必ず勝てると声を掛けられ、賭博(ポーカー等)に誘われた結果として勝つことができずに掛金を全て失う」と報告しています。
総領事館は対策として「見知らぬ人からの自宅への招待には絶対に応じない」と明記。なお、ベトナムでは賭博自体が違法で、薬物と並んで厳しく取り締まられています。被害者のつもりが逮捕される可能性もあるので、路上・個人宅を問わず賭博には絶対に近づかないでください。
手口2:お金見せて詐欺
外務省が報告している定番の手口です。
日本のお金を見せて欲しいと声を掛けてきて、紙幣を提示するとその紙幣が盗まれる。
「日本のお金に興味がある」「レートを教えて」といった切り口で近づいてきて、財布を出させるのが狙い。紙幣を手に取った瞬間にそのまま走り去られます。
ベンタイン市場の近くで「日本のお札を見せてほしい」と話しかけられました。悪気はなさそうだったのでつい見せたら、手に取ったままサッと走っていかれました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 海外安全ホームページ「ベトナム 安全対策基礎データ」)
ベンタイン市場周辺はスリ・ひったくりも多発するエリアなので、財布やスマホの管理には特に気をつけたいところです。
手口3:金銭貸借詐欺
総領事館は、邦人同士のトラブルについても注意喚起しています。
会って間がない邦人やベトナム人から「お金を貸してほしい」と持ちかけられるケース。総領事館は「金銭が関係する場合は、相手が日本人であっても安易に信用せず、公的機関が発行する顔写真付きの身分証等で身分確認を行うことや、弁護士等の立ち会いのもと契約書を交わすなどの措置を講ずる」と書いています。
旅先で知り合ったばかりの相手にお金を貸すのは、国籍問わずリスクが高いです。
手口4:査証代行取得詐欺
総領事館が報告しているのは、ビザの代行取得を名目にした詐欺です。
査証の代行取得を名目に、その代金を騙し取るもの。代金だけでなく、手続きのために預けた旅券が戻ってこないといったケースもあります。
インターネット上には安価にビザの代理取得を請け負う広告がありますが、身元や事業実態が不透明なものも多いと総領事館は警告しています。パスポートを預ける時点でかなりのリスクがあるので、ビザ取得は信頼できる正規ルートで行ってください。
手口5:スキミング・フィッシング詐欺
総領事館はATMスキミングとフィッシング詐欺についても注意喚起しています。
ATMについては「周辺の状況に気を配り、見慣れない装置が設置されている、周辺に不自然なカバン等が置かれている等の場合は使用しない」こと。暗証番号入力時は「手元を手で隠し、周囲から見られないようにする」こと。
フィッシングについては「不審なメールやSMS(ショートメッセージ)に記載されたリンクからはアクセスしない」のが基本です。
また、外務省はスリ・置き引きで盗まれたカードの不正利用にも触れており、「同種犯罪は当地では犯罪として認定されないケースもあります」と指摘。ベトナムではカード不正利用の救済が日本より難しいため、カード会社への即時連絡が最も確実な対処法です。
Travel Alert 02
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あなたは知っていますか?
手口早見表
| 手口 | 場面 | 特徴的なサイン | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| イカサマ賭博 | 観光地で声かけ→自宅招待 | 「このゲーム必ず勝てる」 | 見知らぬ人の自宅招待に絶対応じない |
| お金見せて詐欺 | 市場・繁華街 | 「日本のお金を見せて」 | 財布を出さず立ち去る |
| 金銭貸借詐欺 | 邦人同士・現地で知り合った人 | 「お金を貸して」 | 日本人でも安易に貸さない |
| 査証代行詐欺 | ネット広告・代理店 | 安すぎるビザ取得代行 | 正規ルートで自分で手続き |
| スキミング | ATM | 見慣れない装置・不自然なカバン | 不審なATMを使わない・手元を隠す |
| フィッシング | メール・SMS | 不審なリンク付きメッセージ | リンクからアクセスしない |
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
予防策
- 見知らぬ人からの自宅招待には絶対に応じない — 総領事館が明示している最重要ルール。イカサマ賭博の入口はほぼこのパターン
- 路上賭博には絶対に参加しない — 被害に遭うだけでなく、ベトナムでは賭博自体が犯罪。逮捕される可能性もある
- 財布を他人に見せない — 「お金を見せて」「レートを教えて」には無視して立ち去る。日常の支払いはRevolutなどのカードに寄せると、そもそも財布に現金を入れておく必要がなくなる
- 知り合ったばかりの相手にお金を貸さない — 日本人同士でも同じ。総領事館は身分証確認・契約書の作成を推奨
- ビザ取得は正規ルートで — パスポートを代理店に預けること自体がリスク。戻ってこないケースもある
- ATMは周辺環境を確認してから使う — 見慣れない装置や不自然なカバンがあれば別のATMへ。暗証番号入力時は手元を隠す
- 不審なメール・SMSのリンクを開かない — フィッシング詐欺の基本的な対策
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
もし被害に遭ったら
- その場で無理に抵抗しない — 身の安全を最優先に
- 警察に届け出る — 当地警察はベトナム語対応が基本なので、ホテル従業員等にサポートを求めて通報するのが現実的。公安連絡先は在ホーチミン総領事館のページで確認できる
- カード被害はカード会社に即連絡 — ベトナムではカード不正利用が犯罪として認定されないケースもあるため、自衛が最優先
- 在ホーチミン日本国総領事館に相談 — TEL:028-3933-3510、Email:ryouji@hc.mofa.go.jp
詐欺・ぼったくり被害は、海外旅行保険の携行品損害・盗難補償でカバーできる可能性があります。クレカ付帯保険+ネット保険の組み合わせで備えておくと安心です。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
ホーチミンの他のトラブル情報
詐欺以外のトラブルについては、ホーチミンの治安・危険エリア情報からまとめて確認できます。
- ホーチミンのスリ・ひったくり・置き引き — バイクひったくり、ベンタイン市場でのスリ、ホテルロビーの置き引き
- ホーチミンのタクシー・交通トラブル — メーター不正、空港の呼び込みタクシー、配車アプリ偽装
- ホーチミンの薬物トラブル — 荷物預かりで運び屋にされる手口、電子タバコ規制
ベトナム全体の法律・マナー(電子タバコ規制・薬物厳罰・賭博禁止など)は、ベトナムの治安・法律・マナーでまとめています。
よくある質問
ホーチミンで多い詐欺の手口は?
在ホーチミン総領事館が特に警告しているのは、イカサマ賭博(ブラックジャック)です。観光地で片言の日本語で話しかけてきた相手に自宅へ招待され、カードゲームで大負けさせられる手口で、一昨年以降は増加傾向。ほかにも「日本のお金を見せて」と紙幣を抜き取るお金見せて詐欺、査証代行詐欺、スキミング・フィッシング詐欺が報告されています。
ホーチミンでぼったくりに遭ったらどうすればいい?
まずは安全を最優先にして、その場で無理に抵抗しないこと。安全な場所に移動したら、ホテル従業員等にサポートを求めて警察に届け出てください。当地警察はベトナム語対応が基本です。カード被害の場合はカード会社に即連絡。在ホーチミン日本国総領事館(TEL:028-3933-3510)にも相談できます。
ホーチミンでスキミング被害に遭わないためには?
在ホーチミン総領事館は、ATM周辺の状況に気を配り、見慣れない装置が設置されていたり不自然なカバン等が置かれている場合は使用しないよう注意喚起しています。暗証番号入力時は手元を手で隠すこと。不審なメールやSMSのリンクからはアクセスしないのも基本です。