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ブルガリアの治安 スリ多発・ATM高額請求の手口【2026】

ブルガリアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ブルガリア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

ブルガリアは「東欧で物価が安く、ローズオイルとヨーグルトの国」というイメージで、危険情報レベルは全土で発出なし。でも数字を見ると、2024年の犯罪認知件数は8万6,049件、人口10万人当たりの発生件数は日本の約2.3倍、強盗で約12.9倍、殺人で約4.7倍。2026年1月にユーロを正式導入したばかりで物価上昇への抗議デモも続いており、ソフィア中心部のベンチで休憩していた邦人がパスポートごと現金を抜き取られる事案が直近でも起きています。

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危険レベル --- 全土で発出なしだが「安全」ではない

外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。感染症危険情報もありません。隣のトルコギリシャと同等の「安定地域」扱いです。

ただし在ブルガリア日本国大使館は「日本と比べると、依然として犯罪の発生率は高く、当地滞在中の日本人がスリや置き引き等の盗難被害に遭うケースも時折発生しています」と明言しています。レベルなし=安全ではなく、対応すべき具体リスクがある国として準備しましょう。

犯罪の全体像 --- 殺人は日本の4.7倍、強盗は12.9倍

在ブルガリア日本国大使館がまとめた2024年犯罪統計(出典:ブルガリア内務省)は、こうなっています。

犯罪種別件数(2024年)前年比
認知件数 総数86,049件+2.2%
殺人237件---
強盗913件---
不同意性交等131件---
不同意わいせつ258件---
略取誘拐・人身売買130件---
窃盗24,610件---

人口10万人当たりで日本と比較すると、全体では約2.3倍、殺人で約4.7倍、強盗で約12.9倍。窃盗は2万4,610件と全体の3割近くを占め、これが旅行者がもっとも遭遇しやすい被害です。

地域別で発生件数の多い順を見ると、ヴラツァ・ヴァルナ・ブルガス・モンタナ・ソフィア市・ヴィディン・ロヴェチ・ルセが上位。観光客が多いヴァルナ(黒海リゾート)・ブルガス(黒海玄関)・ソフィアが軒並み上位に並ぶのが特徴です。

ソフィアの被害は「日本人=現金持ち」のターゲット

外務省の安全対策基礎データはこう書いています。

日本人は、一般的に多額の現金を所持していると見られていることから、犯人にとって格好のターゲットとなり得ます。日本人が被害に遭いやすい犯罪のケースとしては、地下鉄や路面電車等の公共交通機関内や店舗内でのスリ被害、飲食店内での置引きが挙げられます。

手口の特徴はグループ犯。

ソフィア市内等では、窃盗グループが巧妙に被害者の注意をそらしながら、別の仲間がバッグを盗む手口が多くみられます。一見窃盗グループには見えない若い女性のスリグループも存在しています。

直近の被害事例(2026年第1四半期)では、こんな話も報告されています。

3月上旬、短期渡航中の邦人がソフィア市中心部のベンチで休憩中に、上着ポケットに入れていた現金やパスポート等を盗まれる被害を認知しています。

ベンチで一休みする数分の間に、上着のポケットから抜き取られる。声をかけられて気を取られる典型パターンです。詳しい多発地域と歩き方はソフィアの治安で整理しました。

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ATMキャッシングで100倍請求 --- 大使館が名指しで警告した詐欺

ブルガリアで知っておくべき固有の詐欺がATMキャッシング詐欺。在ブルガリア日本国大使館が2021年に注意喚起を出した実例です。

当地滞在中の邦人がソフィア市内中心部の銀行前に設置してあるATMで、日本のクレジットカードを使ってキャッシングしたところ、後日、カード会社から、身に覚えのない高額な支払額を請求されるという事案が発生しました。カード会社の明細によると、キャッシングをした日と同じ日に、引き出した額の100倍のお金が別途引き出されたと記載されていました。

引き出した額の100倍が別途引き落とされる。1万円のキャッシングが100万円の請求として返ってくる規模感です。原因は路上ATMに仕込まれたスキマー(カード情報読み取り器)。

欧州では、路上に剥き出しのATMが設置されていることが多く、犯罪集団がATMのカード挿入口にスキマーを設置してスキミングを行うこともよくある。スキマーは見た目には正規のカードリーダーと区別はつかず、カード挿入口を覆うように付いているカバーを軽く触ってすぐに外れる場合は、スキマーを取り付けた可能性が極めて高い。

対策はシンプルで、ATMは銀行の建物内にあるものを使う。路上の剥き出しATMは原則使わない。これだけでスキミングはほぼ防げます。詳しい手口はソフィアの詐欺・ぼったくりで。

タクシー強盗 --- 流しのタクシーで首を絞められリュック強奪

大使館が2019年に出した注意喚起の事例。

8月下旬の午前7時30分頃,ソフィア市内で流しのタクシーを拾った邦人男性旅行客が,中央バスターミナルへ行くために,運転手に対して英語で「バスステーション」と伝えましたが,運転手は英語を解さなかったことから意思疎通がうまくいかず,一旦目的地と異なる場所へ連れて行かれ,その後,再度「バスステーション」等と伝え,最終的には目的地に到達できたものの,料金の支払いに関して運転手と口論になり,激高した運転手が,同男性の首をのど輪で絞め,さらに同男性のリュックサックを強奪してタクシーで走り去りました。

朝7時半の市内、口論から物理的な強盗まで一気に行くケース。流しのタクシーは可能な限り利用しない、TaxiMeやYELLOW TAXI 91119などのアプリを使う、料金交渉せずメーター制のみ、というのが大使館の推奨です。詳しくはソフィアのタクシー・交通トラブルで整理しています。

デモとサッカー暴動 --- 政府機関前と試合日を避ける

ユーロ導入直後でデモが頻発しています。2025年末から2026年初頭にかけて、物価上昇懸念や汚職問題を背景に大規模な抗議デモが続いています。安全の手引きの記載は次の通り。

ソフィア市中心部の国民議会や首相府等の政府機関前でしばしばデモが発生しています。多くの場合、平和裏に行われますが、時折、暴徒化することもあります。

もう一つ独特なのがサッカー暴動。

国内プロサッカーリーグにおける首都ダービーマッチであるCSKA(ツェーセーカー)ソフィア対レフスキ・ソフィアの試合は、両チームのファンが暴徒化して多数逮捕されるという事案が過去に何度も発生しています。試合開催日は、競技場周辺だけでなく、ソフィア市内の地下鉄駅や路上、公共交通機関において、興奮したファンが騒いでトラブルになるおそれがあります。

旅程に重なるなら試合日を確認して、当日は地下鉄・路上を避けるのが無難です。

テロ情勢 --- 2012年のブルガス空港爆弾テロ以降の警戒

ブルガリアでは反政府組織や国際テロ組織の存在は確認されていません。ただし地政学的位置(中東諸国と西欧諸国の中間点)から、イスラム過激主義者の通過ルートとなっており、過去に拘束事例があります。

2024年3月には、ハマスが欧州各地のユダヤ関連施設を攻撃するために集めた武器を保管していたとされる施設が摘発され、2023年10月には、ジハードの実践等を呼びかける動画を撮影し、複数名に対して送信したとして、ソフィア市内に居住するパレスチナ国籍の男1名が逮捕された

過去の大規模事案として、2012年7月にブルガス空港駐車場でイスラエル人観光客のバスが爆破され、7人が死亡したテロ事件があります。日本人被害は報告されていませんが、空港・観光地・ユダヤ関連施設は標的になりうる前提で過ごしましょう。テロ警戒レベルが「高」に引き上げられているフランスドイツオーストリアと並走する位置づけです。

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医療事情 --- EU内では低位、重症は西欧搬送

医療水準はEU加盟国の中では低位で、日本人駐在員はソフィア市内のTokuda HospitalやAcibadem City Clinicといった私立病院を選ぶのが一般的。重症ケースではウィーンやイスタンブールへの医療搬送事例もあります。

ブルガリア独自の高額医療費事例の公開はありませんが、近隣ヨーロッパの保険会社支払事例は深刻です(同地域の参考として借用)。

内容入院日数金額
大腿骨頚部骨折、入院・手術・医療搬送フランス17日間1,746万円
腰椎破裂骨折、入院・医療搬送スイス12日間1,269万円
心筋梗塞、入院・手術・医療搬送スイス8日間463万円
橈骨神経・橈骨動脈断裂、入院・手術・医療搬送ドイツ10日間639万円

ブルガリアでも私立病院での治療や西欧への搬送になれば、桁が変わります。さらに支払保証(キャッシュレス)は私立病院でないと機能しにくいので、保険は必須です。2026年1〜3月にはブルガリア各地でインフルエンザ流行宣言が出ているので、出発前のワクチンと到着後のマスクも備えましょう。

交通事故死は EU内ワースト2位

欧州委員会によると、2024年のブルガリアの人口100万人当たりの交通事故死者数は74人で、EU内ワースト2位(1位はルーマニアの77人)。

レンタカー運転は推奨しません。運転マナーが荒く、地方では道路状況も悪い。市内移動はタクシーアプリ・地下鉄・徒歩で。

ユーロ導入と外貨持込ルール

2026年1月にユーロが正式導入されました。レフからユーロへの移行期で、両替詐欺や旧紙幣詐欺のリスクが増えます。両替は銀行・正規両替所のみ利用しましょう。外貨持込ルールは以下の通り。

10,000ユーロ相当額以上の持込みおよび持出しには税関申告が必要となります。申告を怠ると罰金が科されるとともに、外貨を没収されることがあります。 15,000ユーロ相当額以上の現地通貨を持ち出す場合には、ブルガリア国税庁の納税証明書が必要になります。

長期出張や留学で大金を持ち込む人は申告漏れに注意してください。

EES(出入国システム)が2026年4月運用開始

ブルガリアは2024年12月にシェンゲン領域の航空・海上、2025年1月に陸路を含めて完全加盟しました。2026年4月10日からEES(顔写真と指紋の電子登録)が運用開始されており、入国審査の所要時間が長くなる場合があります。シェンゲン圏内の移動でも旅券は常時携行してください。

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安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと

  1. 路上ATMは使わない。銀行の建物内にあるATMを使う。剥き出しATMはスキマー前提
  2. 流しのタクシーは拾わない。TaxiMe / YELLOW TAXI 91119などのアプリで呼ぶ
  3. 政府機関前とサッカー試合日を避ける。デモ・暴徒化の両方リスクあり
  4. バッグは胸の前。トラム・地下鉄では絶対に寝ない、グループに囲まれそうになったら即移動
  5. 海外旅行保険必須。私立病院でないとキャッシュレス機能しない、重症は西欧搬送で桁が変わる
  6. インフルエンザ対策。出発前のワクチン、到着後のマスク

通信手段の確保

タクシーアプリ(TaxiMe等)も翻訳も緊急通報も、スマホがないと始まりません。現地SIMかeSIMを出発前に手配しておきましょう。選び方は海外eSIM比較で整理しています。

緊急時の連絡先

機関電話番号
統合緊急番号112
警察166
救急150
消防160
在ブルガリア日本国大使館(24h領事班)+359 2-971-2708

大使館住所:1113 Sofia, 14, Lyuben Karavelov St.

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海外旅行保険の備え

ブルガリアは医療水準がEU内で低位なので、重症の場合は西欧搬送になり、近隣事例の最高額は1,746万円(大腿骨頚部骨折・フランス、SBI損保)。クレジットカード付帯の治療・救援費用上限では足りないリスクが高いので、出発前に補償内容を確認しておきましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドで整理しています。

主要都市の治安情報

出典