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スロベニアの治安 三本橋のスリ、犯罪は前年比9%増【2026】

スロベニアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在スロベニア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

スロベニアは「アルプスとアドリア海に挟まれた、小さくて穏やかな国」というイメージが強い旅行先です。実際、外務省の危険情報も全土でレベル0(発出なし)。でも在スロベニア日本国大使館の「安全の手引き」(2025年3月版)を開くと、2023年の犯罪認知件数は5万4,344件で前年比+9.2%、窃盗だけで2万4,799件(全体の53.7%)と書かれています。リュブリャナの三本橋付近で日本人観光客がバッグを開けられ、ブレッド湖やポストイナ洞窟でも被害が出ている。深夜の市街では路上強盗も「少なからず発生」している。「危険情報なし」と「日本人が現に被害に遭っている」が同居しているのがスロベニアです。

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危険レベル

外務省の危険情報・感染症危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。広域情報は中東情勢のテロ注意喚起などが主で、スロベニア固有のスポット情報も出ていません。

ただし、スロベニア政府自身は2023年10月にテロ脅威レベルを5段階の「低(下から2番目)」から「中(5段階の真ん中)」に引き上げています。「暴力的なテロ行為が発生する可能性がある」という評価です。3名のスロベニア人がシリアで戦闘に参加した事例があり、うち1名の自宅から殺傷能力の高い武器が押収されました。欧州各地でイスラム過激派によるテロが続いていることを踏まえた措置です。

スロベニアでは、これまでのところ国際的なテロ組織によるテロ事件は発生していません。しかし、スロベニア政府は、欧州及び中東における治安情勢の悪化から、2023年10月にテロ脅威レベルをこれまでの「低」(5段階の下から2番目)から「中」(5段階の真ん中)に引上げました。

外務省「テロ・誘拐情勢」(スロベニア、2025年7月31日更新)の表現です。日本人・日本企業を狙った誘拐の確認はありませんが、スロベニア国内全体では2019〜2023年の5年間で年約3件の誘拐事件が記録されています。

犯罪の全体像 --- 軽微犯罪が85%でも、量は増えている

在スロベニア日本国大使館の「安全の手引き」と「海外安全対策情報(2025年1〜3月)」をまとめると、最近のスロベニアの数字はこうなっています。

指標数値出典・注釈
犯罪認知件数(2023年)54,344件前年49,746件から +9.2%
うち軽微な一般犯罪約85%主に窃盗・器物損壊・詐欺
窃盗(2023年)24,799件(53.7%)全犯罪の半分強
器物損壊(2023年)3,479件(7.5%)---
詐欺(2023年)3,328件(7.2%)訪問盗・通信会社装い等
不法移民検挙(2024年)46,192件前年から-24%、大半は通過目的
交通事故死(2024年)71人前年82人から減、過去最少
山岳死者(2024年)37人前年から大幅増、主因は滑落

「治安は比較的安定」と大使館も書いていますが、続けてこう注意しています。

治安は比較的安定していますが、コロナ禍の収束以降、国内での犯罪認知件数は増加傾向にあります。特に、多くの人が集まる場所(リュブリャナ、ブレッド、ポストイナなど人気の観光地や、イベント会場等)で、置引きやスリ被害が多く発生しています。

つまり、観光客が集まる場所ほど狙われている、という構造です。日本人が訪れる定番ルート=リュブリャナ旧市街、ブレッド湖、ポストイナ鍾乳洞、ピラン、これがそのまま被害多発地と重なっています。

三本橋・ドラゴン橋・市場 --- 邦人被害が集中する場所

スロベニアで日本人がスリ被害に遭う場所は、安全の手引きにかなり具体的に書かれています。

邦人被害が多いのは、リュブリャナ中心部の三本橋、ドラゴン橋やマーケット付近ですが、ブレッド湖やポストイナ洞窟など人気の観光地でも日本人観光客に対する被害が発生しています。

つまり、リュブリャナの観光ルートをそのままなぞると、被害多発エリアを順番に通過することになります。さらに2025年1〜3月の四半期レポートには、こんな実例が載っています。

3月20日午前11時頃、リュブリャナ市街・三本橋付近で、二人組のスリ犯(女)が在留邦人に近づき、ひそかにバッグを開けて貴重品を盗もうとした(未遂)。

昼間11時、観光客がもっとも集まる三本橋。被害者は在留邦人で土地勘があったから未遂で済みましたが、初めて来る旅行者なら気付けません。手口は外務省の安全対策基礎データの記述とも一致します。

スリ犯の手口は、カバン等から財布を抜き取るものが多く、特に、背中に背負ったバックパックは、チャックが開けられて中身を盗まれることもあります。人混みの中では、カバンは体の前で持ちましょう。

TESTIMONY · 旅行者A
三本橋で写真を撮っていたら、急に女性が話しかけてきて、気を取られた数秒の間に背中のリュックのチャックが開いていました。財布は奥にしまっていたので無事でしたが、外側のポケットに入れていた小銭入れは消えていました。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在スロベニア日本国大使館「安全の手引き」(2025年3月)

リュブリャナの被害パターンの詳細はリュブリャナのスリ・置き引き対策にまとめています。

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置き引きとビュッフェ会場 --- 「みんな見てるから安心」が罠

外務省の安全対策基礎データは、置き引きの典型シーンをこう書いています。

列車や市内バスの中、ホテルの朝食ビュッフェ会場で座席に置いたバッグがちょっと目を離したすきに盗まれた、グループで会食中の座席背もたれに掛けていたバッグが誰も気づかないうちに盗まれた、という被害が報告されています。「誰もいないから」、「みんな見ているから」と油断しないことが肝心です。

オーストリアやイタリアと同じ「ビュッフェ会場系」の被害が、スロベニアでも起きています。テラス席の足元、椅子の背もたれ、列車内の網棚――荷物から目を離す瞬間が、そのまま隙になります。

偽業者の訪問盗・通信会社装い --- リュブリャナ周辺の固有手口

スロベニアにやや固有なのが「訪問盗」です。

リュブリャナ周辺では、訪問盗(民家等を訪問し、家人の隙をついて金品を盗む手口)が発生し、警察が注意を呼びかけています。来訪者に対してはまずはインターホンなどで対応し、未確認のまま家の中に入れず、予定なく訪問してきた業者等に対しては、身分証明書を確認しましょう。

短期旅行者には直接関係ないように見えますが、エアビーやアパートメント滞在では関係します。実際、2025年1月の四半期レポートには次の実例が載っています。

1月17日朝、リュブリャナ北西・トルボヴェリェ地区でのアパートで、通信会社の従業員を装った男2人が住人の注意を引いて貴金属を盗んだ。

「水道の点検」「Wi-Fiの設定」と称して訪ねてくる手口は、滞在型の旅行者・駐在者が狙われやすいパターンです。

深夜の路上強盗とナイトクラブ周辺の麻薬 --- 夜の単独行動はやめる

「治安は良好」と言われがちなスロベニアですが、夜の顔は別物です。

深夜の市街地等では、路上強盗などの凶悪事件も少なからず発生しています。不必要な夜間外出は、避けるようにしてください。

2025年1〜3月だけでも、刃物による刺傷事件、ATMの爆破、女性が路上に押し倒されて財布を奪われた事件、深夜のリュブリャナ市街での発砲事件が大使館レポートに記録されています。

2月17日午前、リュブリャナ市街南西・ヴィチ地区の路上で、通行人の女性が男に襲われ、路上に押し倒されて財布を奪われた。

1月20日夜、リュブリャナ駅南東・ヴォドマト地区のナイトクラブ付近路上で男性同士が口論になり、一方が刃物で刺されて重傷を負った。

ナイトクラブ周辺は別の理由でも避けるべき場所です。

ナイトクラブ周辺で麻薬取引が行われることが多いと言われています。麻薬には絶対に手を出さないことはもちろん、犯罪に巻き込まれないためにも、興味本位でナイトクラブに出入りしたり、近付いたりしないでください。

スロベニアでも日本と同様に麻薬の売買・使用等は犯罪行為であり、厳しく取り締まっています。

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ダニ脳炎 --- リュブリャナ市内の公園にもいる

スロベニアで医療面の最大リスクはダニ媒介性脳炎(TBE)です。外務省「世界の医療事情」はこう書いています。

中部、東部ヨーロッパを中心にダニを媒体として感染するウイルス性脳炎があります。当国も汚染地区となっており、そのダニはリュブリャナ市内の公園にも生息しています。春先から秋にかけて発症することが多く、咬まれたら必ず発症する訳ではありませんが、感冒様の症状が3から14日目から出始め、数週間後に発熱、頭痛、麻痺、意識障害等の脳炎症状を起こすことがあります。重症例は後遺症を残したり、死亡したりするケースもあります。

「リュブリャナ市内の公園にもいる」――ここがポイントです。郊外のハイキングだけでなく、首都の公園を散歩するだけでも感染リスクがあります。スロベニアではダニ脳炎ワクチンは任意ですが定期接種同様に接種機会が提供されており(3歳以降)、現地の脅威認識の表れです。

ダニ媒介性脳炎には合計3回(1回目 2回目:初回投与後およそ1か月後前後 3回目:初回投与後およそ12か月後前後)の予防接種が必要です。日本では製造・販売されていないワクチンですが、一部の渡航医学外来の有る医療機関では接種が可能です。

短期旅行者は3回接種を完了するのが現実的に難しいので、長袖長ズボン、ダニよけスプレー、決められた遊歩道を歩く、帰宅後の全身チェックという物理対策が中心になります。詳細はリュブリャナの感染症・医療リスクで。

オーストリアでは過去にダニ脳炎で日本人が死亡した事例もあります(オーストリア国記事参照)。スロベニアは同じ感染ベルト上にあり、自然をハイキングするタイプの旅では本気で対策する必要があります。

医療費は先進国水準 --- デポジット要求と海外旅行保険

スロベニアの医療水準は「概ね日本の水準に達しています」(外務省)で、リュブリャナ大学病院(Univerzitetni Klinični center Ljubljana、Zaloška cesta 2、電話 01-522-5050、救急部24時間対応)が中核です。ただし注意が1つあります。

医療機関受診時に、スロベニアの保険未加入者は治療に先立ちデポジットを要求されます。

支払い能力を先に証明する必要があるという意味で、海外旅行保険のキャッシュレス治療カードや、クレジットカード付帯保険の利用通知書がここで効きます。

スロベニア独自の保険支払事例は損保ジャパンoff!・SBI損保とも公開がありませんが、近隣国の事例は参考になります。

事例支払額出典
オーストリア地下鉄エスカレーターで服を巻き込み転倒、頭部外傷・骨盤骨折で24日入院、医師看護師付き添いチャーター機搬送1,582万円SBI損保
オーストリアホテル浴室で倒れているところを発見、頭蓋骨骨折・脳内出血で16日入院993万円SBI損保
イタリアツアー中に心筋梗塞、16日入院・手術、医療搬送1,011万円SBI損保
フランス4つ星ホテルでバスタブをあふれさせ階下水浸し、損害賠償1,243万円損保ジャパンoff!
オーストリア段差につまずき大腿骨転子部骨折、11日入院・手術683万円SBI損保

スロベニアからの医療搬送先は通常ウィーン・ミュンヘン・チューリッヒなどの近隣大都市。重症ならチャーター機を使うこともあり、隣国オーストリアで起きた1,582万円のような数字が現実的なレンジです。詳細はヨーロッパ向け海外旅行保険ガイドを。

山岳・自然リスク --- ジュリアン・アルプスの滑落事故が増加中

スロベニアの自然はトリグラフ国立公園、ジュリアン・アルプス、ブレッド湖、ボーヒン湖と魅力的ですが、山岳事故の数字は無視できません。

2024年の国内での山岳死者数は37人で、前年から大幅に増加した。事故原因の最たるものは滑落で、知識経験や装備の不足が多くの事故を誘発した。

37人という数字は、人口210万人のスロベニアでは決して小さくありません。ハイキング・トレッキングは「軽装でいける範囲」と「装備とガイドが必要な範囲」を明確に分けるべきで、トリグラフ山頂アタックや稜線歩きは現地ガイドの利用が現実解です。

冬季のスキーリゾート(クラニスカ・ゴラ、ヴォーグル、ロガラ等)も同様で、保険のスキー特約・登山特約の加入有無で結果が大きく変わります。

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交通:ヴィニェッタと冬用タイヤ義務

レンタカーで動く人は2点だけ覚えておけば致命傷を避けられます。

  1. 電子ヴィニェッタ(e-Vignette): 高速道路を走るには事前購入が義務。ナンバープレートに紐づくので、レンタカーでも自分のナンバーで購入する必要があります。短時間通過でも必要。購入はevinjeta.dars.si/en
  2. 冬用タイヤ義務: 11月15日〜3月15日の期間は冬用タイヤが法的に義務化。レンタカー会社が標準装備しているか確認。

高速道路は整備されていて快適ですが、夜間照明が少なく、また、霧の発生も多く、多重衝突事故も発生していますので、制限速度を守りましょう(特に表示がない場合の高速道路における制限速度は130km/hです。)。

クロアチア・イタリア・オーストリアとの国境では不法移民対策の検問が現在も行われており、パスポートを必ず携行してください。

シェンゲン圏とEES(2025年10月〜)

スロベニアはシェンゲン協定加盟国。日本との査証相互免除取極があり90日以内の観光は無査証ですが、過去180日以内の他のシェンゲン国滞在も合算されます。2025年10月12日からは欧州29か国でEES(出入域システム)が段階的に導入され、初回入国時に顔写真と指紋が登録されます。

3日以上ホテル以外(個人宅・短期賃貸など登録外施設)に滞在する場合、現地警察への滞在届が義務です。普通の旅行者がホテル滞在ならホテルが代行するので意識する必要はありませんが、Airbnb等を使う場合は要確認です。

緊急連絡先

連絡先番号
警察113
救急車・消防(警察以外すべて)112
リュブリャナ大学病院 救急サービス01-522-8408/8409
24時間営業薬局 Lekarna pri polikliniki01-230-6100
AMZS(自動車・二輪車連盟・ロードサービス)1987 / +386-530-5353
在スロベニア日本国大使館(リュブリャナ)+386-1-200-8281/8282

在スロベニア日本国大使館:Trg republike 3/XI, 1000 Ljubljana / メール info@s2.mofa.go.jp / 領事窓口 9:00-12:30、13:30-16:30。スロベニアに3か月以上滞在するなら在留届、3か月未満ならたびレジに登録しておくと、緊急時の連絡や安否確認に使ってもらえます。

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まとめ --- 「危険情報なし」と「現に被害が出ている」を両立で見る

スロベニアは外務省の危険情報こそ全土で発出なしですが、犯罪認知件数は増加傾向観光地でのスリと深夜の路上強盗は現実に発生ダニ脳炎は首都の公園にも生息山岳死者は2024年に大幅増――この4点を出発前に押さえれば、十分回避できる範囲のリスクです。

特にリュブリャナの三本橋・ドラゴン橋・中央市場、ブレッド湖、ポストイナ洞窟は日本人被害が集中する場所として明示されているので、人混みではバッグを体の前に、夜間の単独行動は避ける、という基本動作が効きます。

主要都市の治安情報