オマーンは中東で最も穏やかな国のひとつとされてきた。サウジやUAEのような派手さはないけれど、世界遺産バハラ城、ワヒバ砂漠、ニズワのスークなど、湾岸の中で「素のアラビア半島」を残している国。
ただし2026年4月時点で、オマーン全土はレベル3(渡航中止勧告)。2月28日のイスラエル/米国によるイラン攻撃を受け、3月にはオマーン南部ドゥクム港への攻撃が発生、邦人退避チャーター機が2回運航された。観光どころではない情勢が続いている。
このページでは「現在のレベル3情勢」と「平時のオマーン旅行で知っておくべきこと」を分けて整理する。出発前には必ず外務省 海外安全ホームページで最新の渡航レベルを確認してほしい。
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現在の渡航レベル(2026年4月時点)
外務省は2026年3月時点でオマーン全土をレベル3に引上げた。原因と経過は以下のとおり。
【危険レベル】● オマーン全土 レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)《引上げ》【ポイント】● 2月28日(現地時間)、イスラエル、米国によるイランへの攻撃がありました。● 同日、オマーンを除く湾岸諸国等に攻撃があり、イラン革命ガードは各国国内の米軍基地等を標的とする攻撃を行った旨発表しました。● 3月1日、3日(現地時間)オマーン南部のドゥクム港に対する攻撃が発生しました。
3月8日・12日には、UAE・オマーンから邦人を退避させるチャーター機が運航。すでに滞在している人は外出を控え、出国を検討するなら空港の稼働とフライト状況を必ず確認すること。
ここから先は「平時(レベル1〜2)にオマーンを旅行する人」を想定した情報。情勢が落ち着いて再渡航可能になったとき、または出張や赴任で行かざるを得ない人向けに残しておく。
平時の治安概況 --- 「中東では穏やか」だが油断は禁物
平時のオマーンは、中東のなかでは比較的治安が良い部類に入る。在マスカット日本国大使館の安全の手引きにはこう書かれている。
当地の治安状況は、近隣の中東諸国に比べ良好と言われているものの、路上強盗、空き巣、車上狙い、自動車盗など市民生活に身近なところで発生する犯罪も少なからず確認されています。
外務省の安全対策基礎データでも、空き巣等の侵入窃盗、路上強盗、自動車盗、車上狙いが報告されている。外国人が多く居住する高級住宅街でも侵入窃盗が発生しており、「治安が良い ≒ 油断できる」ではない。
最近は深夜便の機内荷物棚からの盗難も多発しているとされる。在留邦人による安全対策連絡協議会の報告では「最近、オマーンを含む近隣国間の深夜航空便において、客室上部荷物収納棚からの荷物盗難被害が多発している模様」と注意喚起されている。
注意したいエリア(マスカット市内)
- ルイ地区・マトラ地区 --- 商業地区で外国人労働者・低所得者層が居住、市内の他地区より犯罪リスクが高い
- ワーディ・アル・カビール地区 --- 2024年7月のモスク銃撃事件があった場所(後述)
Travel Alert 02
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2024年7月マスカット郊外モスク銃撃 --- ISIL犯行声明
平時の話とはいえ、2024年に起きた重大事件には触れざるを得ない。
2024年7月には、首都マスカット郊外のワーディ・アル・カビール地区のイマーム・アリー・モスクにおいて、オマーンにおいて少数派であるシーア派住民を標的としたと見られる銃撃事件が発生し、実行犯3人、警察官1人及び外国人5人の計9人が死亡、外国人住民を含む28人が負傷しました。本件については、国際テロ組織「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が犯行を主張しています。
オマーンでテロ事件が起きること自体が珍しく、大使館の手引きにも「こうした事件は当地では珍しくはありますが、外出の際には周囲の状況に気を配り、不測の事態に巻き込まれることのないよう身の安全の確保に努めてください」と書かれている。
ショッピングモールや宗教関連施設、不特定多数が集まる場所では「巻き込まれる前提」で行動を。
法律・宗教マナー --- 違反すると罰金・収監
オマーンはイスラム教国だけど、サウジほど厳格ではなく、UAEより少し穏やか。それでも日本の感覚でうっかりやると、罰金や収監の対象になる行為がある。観光客が踏み抜きやすい禁忌の全体像は致命的禁忌マップにもまとめている。
飲酒は許可された場所のみ
公共の場での飲酒は禁止。酒類は許可を得た限定的な店舗・ホテル・レストラン・個人宅でのみ販売・提供される。飲酒中の写真をSNSにアップロードする行為は違法。サウジが全面禁止、UAEが許可制で寛容、その中間がオマーンというイメージ。
ラマダン中の飲食禁止
ラマダン期間中は日の出から日没まで、公共の場での飲食・喫煙が禁止。非ムスリムの外国人でも違反すれば収監される可能性がある。
服装 --- 郊外・自然保護区・宗教施設は厳格
特に郊外、自然保護区、文化遺産、宗教施設等を訪れる際は、男女ともに膝及び肩を覆う控えめな服装が求められ、違反者には罰金刑・懲役刑が科される可能性があります
ノースリーブやミニスカートは公共の場では避ける。モスク見学では女性はスカーフ・アバヤ着用が条件になることが多い。
写真撮影禁止区域
軍事施設(軍用・警察車両や関係者の活動の撮影含む)、空港、港湾施設、国境(出入国管理事務所付近)、政府高官居住地域や大使館施設の写真撮影は禁止されており、違反者には罰金刑・懲役刑が科される可能性があります
人物(特に女性・子供)を撮るときも事前承諾が必須。ドローンは入国前に許可を得ていない限り持込み不可。
同性愛・国王不敬・デモ禁止
- 同性愛は法律で禁止、逮捕のうえ1〜3年の収監リスク
- 国王に対する不敬行為(侮辱・批判)は重罰
- 政治・宗教的活動に関係する集会・デモは禁止、違反は禁固刑
薬物 --- 違反は厳罰
麻薬等の違法薬物の所持・使用は禁止。違反すると長期間の収監・罰金刑が科される。サウジのような死刑規定はないけれど、十分に重い。
薬物関連犯罪は、検挙件数・押収量も多く、巻き込まれることがないよう、一定の注意が必要です。
夜間の大規模ショッピングセンターや飲食店周辺、海岸沿いには素行不良者がたむろすることもある。詳しくはマスカットの薬物トラブルを参照。
Travel Alert 03
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女性の単独タクシー利用は要注意
オマーン固有のリスクとして外務省が明記しているのがタクシー単独利用での性的被害。
当地では宗教上の制約から娯楽が限られていることや、特にアジア系女性に対する偏見等が理由となって、性犯罪の被害に遭う女性が少なくないと言われており、夜間の女性の一人歩きは避けた方が無難です。過去に、当地を単独で旅行中の日本人女性が、ナハル(マスカットから116km離れた村)で流しのタクシーを拾ってルスタックに向かう途中、運転手から性的関係を求められたという事案もありました。
流しのタクシーを避け、配車アプリかホテルのタクシーを使うこと。詳しくはマスカットのタクシー・交通トラブルで。
交通事情 --- 死亡率は日本の約3倍
頻繁な道路工事による渋滞の増加や割り込み等交通法規を遵守しないドライバーの増加で交通事故が日常的に発生しています。人口10万人当たりの交通事故死亡者数(死亡率)は日本の約3倍にものぼりますので、十分注意してください。
2022年の事故統計は1,877件・死者532人。10年前と比べれば改善したけれど、それでも日本基準では高水準。夜間の長距離運転は、街灯のない区間、道路を横切るラクダや家畜、速度超過車両のせいで特に危険。
レンタカーで国外(ドバイ等)に出る場合は国外有効な保険への一時加入と、レンタカー会社からの国外運転許可取得が必要。
医療 --- 救急車は当てにならない、キャッシュレス不可
オマーンの医療事情で日本人がつまずきがちなのが2点。
1. 救急車が来ないことがある
公的な救急車を派遣するシステムはありますが、派遣を要請しても救急車が来ないことがあるため、移動可能な状態であれば自家用車やタクシーで病院を受診する方が確実です。
緊急時は救急車を待つより、配車アプリで病院に向かったほうが早い場合もある。
2. 海外旅行保険のキャッシュレス決済が使えない
医療費は、海外旅行保険のキャッシュレスサービスがほとんど利用できないため、現金ないしクレジットカードで支払うことになります。入院や手術が必要になった場合は、事前に高額の保証金を求められることもあるため、カードの利用上限額を確認、必要に応じて増額しておくことをお勧めします。
つまり「保険があるから手ぶらでOK」ではない。クレジットカードの限度額を上げてから出発、が現実解。詳しくはマスカットの医療・感染症トラブルと中東旅行の保険ガイドで。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
主な犯罪・トラブル
マスカット
通信手段
オマーンはWi-Fiがホテル以外では限られる。配車アプリの利用や情勢確認、緊急時の連絡にはネット必須。eSIMを出発前に準備しておくと安心。eSIM比較はこちら。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
緊急時の連絡先
| 連絡先 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・消防・救急(統合) | 9999 |
| 在オマーン日本国大使館 | 24601028(国外 +968-24601028) |
| 大使館 休館日・閉館時 | +968-99313521 / 99437397 / 99335265 / 99348161 |
大使館住所: Way No.3011, Shati Al Qurm, Muscat, The Sultanate of Oman