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ルーマニアの治安 白タク殺害事件・偽警官詐欺・狂犬病【2026】

ルーマニアの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ルーマニア日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

ルーマニアは東欧屈指の観光地で、ブラショフの中世街並みやブラン城(ドラキュラ伝説)、最近は首都ブカレストの旧市街・歴史地区が日本人にも人気のスポットになっています。ただし在ルーマニア日本国大使館の「安全の手引き」を開くと、空港の白タク・ノルド駅の暴行強奪・若者グループのネックレス強奪・偽警察官の両替詐欺と、観光客が遭うパターンが具体的に列挙されています。2012年にはヘンリ・コアンダ空港で日本人女性が白タクで殺害される事件まで起きていて、「親切心を装った声かけ」が一番危ない国です。

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危険レベル --- 発出なし、ただしウクライナ国境のドローン飛来に注意

外務省の危険情報・感染症危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。テロ・誘拐情勢でも、

近年、ルーマニアにおいてテロは発生しておらず、テロ組織の存在も確認されていません

と書かれています。ルーマニア政府の治安当局は4段階のテロ脅威度評価を「注意:青」(下から2番目)に設定しています。

ただし2024年7月以降、ウクライナ国境のトゥルチャ県・ガラツィ県・ヴランチャ県でロシア軍ドローンの飛来事案が複数回発生していて、大使館は領事メールで繰り返し注意喚起を出しています。黒海クルーズや北東部観光を計画する場合は、最新の領事メールを確認した上で行動を判断してください。

犯罪の主役は「親切心を装った声かけ」 --- 殺人事件まで起きている

ルーマニアで観光客が遭う犯罪の入り口は、ほとんどが「親切に話しかけてくる相手」です。手引きと外務省の安全対策基礎データに、空港・路上・レストランで知らない相手から日本語や英語で声をかけられる手口が繰り返し書かれています。

最も深刻なのが、2012年にヘンリ・コアンダ国際空港(首都ブカレストの空港)で起きた事件。

2012年には、日本からヘンリ・コアンダ国際空港に、夜遅い時間に到着した女性が、同空港において親切心を装ったルーマニア人男性に声をかけられ、一緒にタクシーに乗車したところ、その男性により暴行・殺害される事件が発生しています。

夜遅い到着便で、空港で日本語・英語で話しかけられて、流れで一緒にタクシーに乗ってしまった――その結果が殺害です。10年以上前の事案ですが、外務省と大使館が現在も繰り返し警告に使っているのは、今も同じ手口が続いているから。空港で見知らぬ相手から話しかけられても、立ち止まらず無視して進む、これが鉄則です。

外務省の警告は明快。

親切心を装って近づいてくる犯罪者がいます。空港や路上あるいはレストラン等で見知らぬ人から片言の日本語または英語で親しげに話しかけられた場合などは要注意です。しつこく話しかけられても相手にせず、「急いでいる」等と答えてその場を立ち去り、決して立ち話を始めたり、同席したりしないでください。

ブカレスト市内の動線・対策の詳細はブカレストの治安に整理しています。

ブカレストのスリ・ひったくり・若者グループ強奪

ルーマニアで観光客が一番遭いやすいのが、ブカレスト市内のスリ・置き引き・ひったくり。外務省の安全対策基礎データには発生場所まで具体的に書かれています。

ブカレスト市内においては、繁華街に限らず、犯罪が発生しています。(1)特に注意が必要な場所としては、ヘンリ・コアンダ国際空港、鉄道駅(ノルド駅等)、夜間帯における一流ホテル周辺(路上等)、レストラン、公共交通機関内(バス、路面電車等)および観光名所等です。

そして特に深刻なのが、若者グループによる強奪。

(2)過去にはロマーナ広場、ウニリイ広場周辺の旧市街地区といった中心部において、若者グループが観光客等をねらって取り囲み、ネックレスなどを引きちぎり強奪していくといった事件も発生しています。

ロマーナ広場・ウニリイ広場周辺――どちらもブカレスト旧市街中心部の観光名所。複数人の若者に取り囲まれて、ネックレスを引きちぎられる、というのは旅行者にとって突発的に遭うリスクです。目立つアクセサリーは身に付けない人通りの少ない時間帯・場所を歩かない取り囲まれたら大声で助けを呼ぶ、これが基本対策。

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違法白タク --- ATM強要型強盗の現場

ルーマニアのタクシーで観光客が遭う被害は、単なる料金ぼったくりだけにとどまりません。手引きと外務省の安全対策基礎データが、強盗事件まで明示しています。

法外な料金を請求するタクシーに関連する被害も確認されています(通常20~30レイのところ、40~60レイなど。1レイ=約34円(2025年10月現在))。 特に空港や駅では、無許可のいわゆる白タクの運転手が、地理に不案内な外国人旅行者に近付き、親切心を装ってタクシーに乗せた後、不当に高額な料金を請求し、さらには強盗被害に発展したケースもあります。

この他、深夜にタクシーに乗ったところ、スタンガンの様な物を首に突き付けられて脅され、ATMで多額の現金を引き出すよう強要される事件も発生しています。

スタンガンを首に突きつけられてATMで現金を引き出させる――東欧の白タク被害の典型的な凶悪パターンです。これを避けるには、最初から白タクに乗らないしかありません。詳細な対策はブカレストのタクシー対策へ。

偽警察官の両替詐欺 --- 一般人と警察のコンビ手口

ルーマニアで広く知られている詐欺手口がもう一つ、偽警察官と一般人を装う共犯の組み合わせ。

一般人を装う者から両替を依頼されて対応したら、偽警察官が現れて違法両替を指摘した上で所持品検査をし、現金等を奪われる事件が発生しています。

仕組みは2人組以上の分業型。

  1. 一般人を装った人物が「両替してくれませんか」と声をかけてくる
  2. 応じると、偽警察官が現れて「違法両替だ」と指摘
  3. 「所持品検査」を口実に財布の中身を確認される
  4. その隙にカードや現金が抜き取られる

路上での両替依頼には絶対応じない警察を名乗る人物の所持品検査には応じず Secția de Poliție(警察署)に行こうと言う、これだけで防げます。

もう一つ、暴行強盗パターンもあります。

観光目的で訪れた日本人男性が、ブカレスト市内のノルド駅に到着しホテルを探していたところ、ルーマニア人の男女から道案内をすると声をかけられ、暗がりへ誘い込まれて現金を出すよう脅され、男性がこれを拒否すると、殴る蹴るの暴行を受け貴重品および現金を強奪される事件も発生しました。

ノルド駅でホテルを探していて声をかけられる――これも繰り返されている被害パターン。駅から宿への移動はBolt/Uberで呼ぶか、タッチパネル式機械で正規タクシーを呼ぶ動線にしておきましょう。

狂犬病・野犬・ダニ媒介性脳炎 --- 動物リスクの高い国

ルーマニアの医療リスクで他のEU諸国と違うのが、狂犬病の中リスク国である点。

当国には野犬が多く、犬にかまれる方が後を絶ちません。過去には在留邦人の方が犬咬(こう)傷でお亡くなりになられた事例もあります。また当国は、キツネ等の野生動物や犬・猫等から狂犬病ウイルスが検出されており、狂犬病の中リスク国に分類されています。…発病した場合の死亡率はほぼ100%です。

犬に咬まれて死亡した邦人事例まで出ています。ルーマニアでは公園や住宅地周辺、夜間の高速道路PAなどで野犬の群れに遭遇するリスクがあるため、

  • 野犬には絶対近づかない(餌をやらない、撫でようとしない)
  • 咬まれたら即座に石鹸と流水で洗う→直ちに医療機関で曝露後ワクチン

狂犬病ワクチンは出発前接種が望ましいですが、咬まれた場合の事後対応でも間に合います。発症してからでは助かりません。

ダニ媒介性脳炎も北西部地域で発生していて、

当国では、北西部地域で散発的に(年間0から数例程度)患者が発生しています。本疾患に対するワクチンの予防効果は高く、特に流行地域で農作業や森林事業に従事する方、郊外や森林でハイキングやキャンプをする方、アウトドアスポーツをする方には予防接種が推奨されます。

カルパチア山脈周辺のハイキング・キャンプ予定者は対策必須です。熊との遭遇リスクも大使館手引きが指摘していて、登山時の熊鈴・食料管理が必要。

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医療費の実態 --- 重症は周辺医療先進国へ移送

ルーマニアの医療事情は、外務省「世界の医療事情」が明確に書いています。

国公立病院は老朽化が進んでおり、邦人が受診・入院する際には著しいストレスを感じるかもしれません。…ブカレストや一部の地方都市では、近年新しい私立医療機関が増えており、規模の大きいところは24時間体制で救急対応を行っています。…一般的な疾患に関しては西欧先進国に近い水準の診療が行われています。また、多くの部署で英語が通じます。

国公立・私立病院ともに、大きな手術や専門的治療が可能な施設は限られるため、重篤な病気やけがの治療が必要な場合は、周辺の医療先進国か日本への移送が望まれます。移送には高額な費用が必要となりますので、渡航前に緊急移送特約付き海外旅行傷害保険への加入をお勧めします。

重症は周辺国(フランス・ドイツなど)か日本への医療搬送が前提。これがルーマニア旅行で保険加入が必須な理由です。

ルーマニア独立の保険会社支払事例は公開されていないので、ヨーロッパ地域の参考事例として、SBI損保のフランス・ドイツ事例、ソニー損保のフランス・ドイツ事例、損保ジャパン off! のヨーロッパ事例から桁感を確認しておきます。

事例(同地域参考)入院日数金額
バスに乗る際に転倒・大腿骨頚部骨折・医療搬送(フランス・SBI)17日1,746万円
腹膜炎・敗血症性ショック・医療搬送(フランス・SBI)32日1,610万円
ホテルバスルームで転倒・大腿骨骨折(フランス・SBI)9日860万円
急性心筋梗塞・医療搬送(フランス・SBI)22日854万円
ホテル浴室で転倒・橈骨神経断裂(ドイツ・SBI)10日639万円
憩室炎・医療搬送(ドイツ・SBI)17日540万円

転倒で骨折→西欧搬送だけで500〜1,700万円。クレジットカード付帯保険の上限では到底足りない金額です。

ブカレスト市内では大使館が市内の主要医療機関リスト(私立中心)を独自に公開していて、参照しておくと安心です。

交通事故 --- 運転マナーの悪さで歩行中も危険

ルーマニアの道路事情で観光客が気をつけたいのが、

(1)交通事故:運転マナーは極めて悪く、道路整備も十分に行われていないため、交通事故が頻発しています。運転中のみならず、歩行中にも十分な注意が必要です。

歩行中の交通事故も含めて警告されているのが特徴。横断歩道があっても車が止まらない、信号無視も日常的なので、横断時は左右複数回確認+アイコンタクトが必要です。

通信手段の確保

ブカレストでもブラショフでも、スマホが使えないと地図も翻訳も112への通報もできません。現地SIMかeSIMを出発前に準備しておこう。選び方は海外eSIM比較を参照。

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安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと

  1. 空港・駅で声をかけてくる相手にはついて行かない:殺害事件まで発生している
  2. 白タクには絶対乗らない:空港のタッチパネル式機械かBolt/Uber/MERIDIAN/SPEEDで呼ぶ
  3. ロマーナ広場・ウニリイ広場周辺で目立つアクセサリーを身に付けない:若者グループの強奪リスク
  4. 路上での両替依頼に応じない:偽警察官の所持品検査詐欺の入口
  5. 野犬には絶対近づかない:狂犬病死亡例あり、咬まれたら即受診
  6. 海外旅行保険に加入:医療搬送1,000万超のヨーロッパ参考事例

マナー・法律で気をつけたいこと

  • シェンゲン協定適用(2024年3月31日から):180日のうち最大90日まで査証なし滞在
  • EES(出入域システム)2025年10月12日から段階的運用開始:欧州国境を越える際の電子記録
  • 両替は銀行・公認両替所のみ:路上の依頼は違法かつ詐欺
  • 野犬対策で熊鈴・食料管理:カルパチア山脈周辺
  • クリスマス・年末年始のテロ警戒:宗教関連イベント期間中は人混みでの警戒(領事メール)

緊急時の連絡先

機関電話番号
警察・救急・消防(EU共通)112
在ルーマニア日本国大使館+40-(0)21-319-1890~1

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海外旅行保険の備え

ルーマニアは医療水準が地方では限られ、重症ケースは周辺医療先進国か日本への搬送が前提。フランス事例で骨折+医療搬送が1,746万円という桁を考えると、クレジットカード付帯保険の200万〜300万円上限では到底足りません。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。

主要都市の治安情報

出典