2024年のフランス国内の犯罪件数は約350万件。殺人・殺人未遂の被害者数は過去10年間で最大を記録し、同年に在仏公館へ届いた日本人の被害は185件。「おしゃれなパリ旅行」のイメージからは想像しにくいけれど、スリ・置き引きは日常、夜間の首絞め強盗や刃物強盗も報告されている。しかもフランス政府のテロ警戒レベルは今も3段階中の最高水準。準備なしで行くのは危ない。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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危険レベル
外務省の危険情報・感染症危険情報は2026年4月時点でフランス全土に発出なし。ただし「危険情報なし=安全」ではなく、スポット情報として「テロの脅威に対する注意喚起」(2023年10月)が継続中。犯罪発生状況やテロ情勢を踏まえて個人レベルの備えが必要です。
年間350万件、殺人は過去10年で最悪
フランス内務省統計によると、2024年の犯罪件数は約350万件。多くの犯罪種別で前年より増加し、殺人・殺人未遂の被害者数は過去10年間で最大の数字になっています。
在仏大使館の四半期レポート(2025年10-12月)に載っている当局統計を見ると、3か月間だけでも窃盗154,284件、詐欺115,059件(前年同期比+11.2%)、性的犯罪34,749件(+10.9%)。日本の感覚では桁が違います。
日本人が被害者となる犯罪の手口としては、スリ、置き引きなどの窃盗犯罪が大部分を占めますが、夜間における首絞め強盗被害や、刃物を用いた強盗被害など、思わぬ大怪我に繋がるような被害例も報告されています
同じ四半期に在仏公館へ届いた邦人被害は28件。パリだけでスリ10件・置き引き8件・車上狙い2件。届け出ない人も多いから実数はもっと多いと注記されています。世界全体の治安の位置づけはGPI 2025の解説も参考にしてください。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
テロ警戒レベルは3段階中の最高「urgence attentat」
フランスはヨーロッパでも突出してテロの脅威が高い国です。2015年のパリ同時多発テロ、2016年のニース車両突入テロは記憶に新しいけれど、それ以降もテロは続いています。
- 2023年10月: アラス市の高校で元学生が教師を刃物で殺傷
- 2023年12月: パリ・エッフェル塔付近のビラケム橋で刃物とハンマーによる通行人殺傷
- 2024年8月: モンペリエ近郊のシナゴーグ前で車両放火、警察官負傷
2024年には9件のテロ未然防止事案があり、うち2件はパリ・オリンピックを標的としたもの。フランス政府のテロ対策行動計画は、3段階中の最高水準「urgence attentat(テロの切迫)」に引き上げられたまま。観光地・公共交通機関・宗教施設は特に標的になりやすいので、人混みでは周囲への警戒を怠らないことが大事です。隣国のベルギーも2016年のブリュッセル連続テロ以降、テロ脅威度3段階目を維持しており、シェンゲン圏内の移動でも警戒は続けたい。
誘拐については、報道によれば「1日1件」発生しているとされ、白昼堂々の犯行も確認されています。
都市別のリスク傾向
フランスは都市によって犯罪の質がかなり違います。
パリ — エッフェル塔、ルーブル美術館、シャンゼリゼ通り、地下鉄・RER車内でスリ・置き引き・ひったくりが多発。CDG空港からのタクシー渋滞中に窓ガラスを割られてバッグを強奪される事件も「引き続き発生」と明記されています。夜間は首絞め強盗も。
マルセイユ — 北部地区(3区、14区-16区)を中心に麻薬密売組織間の抗争が発生。旧港に近い地区でも起きており、一般市民が巻き込まれて死傷した事例あり。旧港周辺ではスリ・置き引きも多発。
リヨン — メトロやトラム内で窃盗グループがスリを多発させている。エレベーターに誘導して囲む手口や、通りすがりに金のネックレスを引きちぎる手口も。強盗事件は増加傾向。
ストラスブール — パリに比べると治安は安定だが、クリスマスマーケット開催時期はスリ要注意。中央駅前やレ・アール広場周辺は薬物密売の拠点。年末の車両放火・花火暴徒も恒例行事。
手口の詳細はパリのトラブル別記事をチェックしてください。スリ・置き引き、詐欺・ぼったくり、睡眠薬強盗。
日本人が引っかかりやすい手口
スリ・置き引きは当然として、フランスならではの手口がいくつかあります。
偽警察官: 観光地で「麻薬捜査」を名目にパスポートと財布の提示を要求。通常2人以上のグループ。本物の警察官は財布の提示を求めない。スペイン・イギリス・ドイツ・オーストリアでも同じ偽警察官の手口がヨーロッパ全域で横行しています。
シャルル・ド・ゴール空港のクレカ詐取: 券売機の前で「カードが使えなくて困ってる、代わりに買ってほしい」と話しかけ、暗証番号を盗み見たうえでカードを持ち去る。空港で特に多発。
睡眠薬強盗: 日本語や英語で話しかけてきて、睡眠薬入りの飲食物を口にさせて貴重品を奪う。性犯罪に発展するケースもある。
コインばらまき・シミ付け: コインを落として拾わせている隙に、ケチャップをつけて拭いてあげるふりをしている隙に、共犯者が貴重品を抜き取る。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
知らないと罰金になるルール
- 公共施設での喫煙: フランス全土で禁止。違反者は罰金
- 交通機関のチケット: 改札機で刻印されていないと「未有効化」扱い。検札で見つかると高額な罰金
- 違法薬物: 取締りは非常に厳しく、使用・所持・運搬で禁固刑+罰金刑。街頭で誘われても絶対に断る
- デモ: 各地で頻繁に発生。許可されていないデモでは催涙ガス使用・逮捕者も。遭遇したらすぐ離れる
- 身分証明書の不携帯: パスポートを持っていないと警察署への同行を求められることがある
薬物に関する各国の法規制は海外の薬物法マップでも整理しています。
医療費の実態 — バスの段差で転んで1,746万円
フランスの医療水準は世界トップレベルだけど、旅行者には全額自己負担。保険会社の支払い事例を見ると、桁の怖さがよくわかります。
海外で実際に支払われた医療費の事例
出典:ソニー損保・SBI損保のフランス・ドイツ旅行中の事故と保険金支払い事例
- 1,746万円
バスの段差で転倒、大腿骨頚部骨折
17日間入院・手術/医療搬送
- 1,610万円
腹膜炎・敗血症性ショック
32日間入院・手術/医療搬送
- 804万円
ホテルでふらつき、脳内出血
14日間入院/医療搬送
- 707万円
美術館で転倒、大腿骨転子部骨折
20日間入院・手術/医療搬送
- 614万円
駅の改札で転倒、大腿骨頚部骨折
12日間入院・手術/医療搬送
バスの段差で転んだだけで1,746万円。美術館見学中の転倒で707万円。「ちょっとした転倒」が数百万円になるのがフランスの医療費です。予約制が基本なので通常の診察は事前予約が必要、バカンスやクリスマスの時期は予約が取りにくいという事情もあります。
診察料、検査代、薬代など治療費は非常な高額になる可能性があります。医療費は原則として自己負担
クレカ付帯保険の疾病治療上限(200-300万円が多い)では、上の表の事例は1件もカバーできません。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
通信手段
フランスは都市部の通信環境は良好。パリの地下鉄内でもWi-Fiが使えるエリアが増えていますが、地方では電波が弱いエリアも。緊急時の連絡手段確保のためにもeSIMを出発前に用意しておくと安心です。eSIM比較はこちら。
緊急時の連絡先
| 連絡先 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察 | 17(携帯からは112も可) |
| 救急医療(SAMU) | 15 |
| 消防 | 18 |
| 在フランス日本国大使館(パリ) | +33-1-4888-6200 |
| 在ストラスブール日本国総領事館 | +33-3-8852-8500 |
| 在マルセイユ日本国総領事館 | +33-4-9116-8181 |
| 在リヨン領事事務所 | +33-4-3747-5500 |
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
フランスの医療費事例では、最高1,746万円。転倒だけで600-800万円の事例が複数あり、クレカ付帯保険では全く足りません。フランスの救急は「SAMU(15番)」を呼ぶシステムで、民間救急車は有料。入院すると家族の駆けつけ費用・医療搬送費用も加算されます。治療費無制限プランの検討を強くおすすめします。ヨーロッパの旅行保険で保険選びのポイントを整理しています。