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マダガスカルの治安 大統領退陣騒乱と武装強盗が横行【2026】

マダガスカルの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在マダガスカル日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

バオバブ街道、キツネザル、ノシベの白浜。固有の自然と動植物に惹かれて訪れる人が多いマダガスカルですが、2025年9月末から10月にかけて停電・断水への抗議デモが暴動化し、軍の一部が同調した結果、当時の大統領が国外へ退避する事態になりました。今は軍主導の暫定政権下で、外務省は2025年11月26日付でレベル1(十分注意)を継続発出しています。

旅行はできますが、政情の急変リスクと貧困起因の犯罪が多発する国だという前提で組まないと、痛い目に遭います。在マダガスカル日本国大使館「安全の手引き」(令和7年12月版)は、2024年の発生件数が「報道されているだけでも強盗約600件、誘拐約200件」と書いています。

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危険レベルと最新の政治情勢

外務省の危険情報(2025年11月26日付)はこう整理されています。

●2025年9月末から10月上旬にかけて、首都アンタナナリボ(Antananarivo)を中心に、慢性的な停電・断水への不満を背景としたデモが同時多発的に発生し、一部では商店襲撃などの暴徒化も確認されました。その後、要求は政権交代へと発展し、軍の一部がデモ隊を支援した結果、当時の大統領は国外へ退避し、軍部主導の暫定政権が樹立されました。 ●貧困に起因する強盗、スリ、ひったくりといった一般犯罪が多発しており、注意が必要です。 ●身代金目的の誘拐事案が多数発生しており、注意が必要です。

10月13日には首都中心部の「5月13日広場」がデモ隊に占拠され、大使館は近接しないよう注意喚起。10月後半まで散発的な抗議が続きました。今後も新たな抗議行動・道路封鎖が起こる可能性があるため、出発前には外務省「たびレジ」登録と、現地での最新情報確認が必須です。

アンタナナリボ --- 邦人被害が集中する首都

人口約400万人の首都アンタナナリボ(タナ)は、空港・大使館・私立病院・主要私立病院の集積地で、ほぼ全ての旅行者が一度は通る街です。一方で、外務省は次の地域を犯罪多発地域として明記しています。

アンタナナリボ(Antananarivo)市内では、中心部周辺のイスチィ(Isotry)、アンダバマンバ(Andavamamba)、アノシベ(Anosibe)、アナラケリ(Analakely)、ツァラララナ(Tsaralalana)、アンタニメナ(Antanimena)、ベオリリカ(Behoririka)、アヌシ(Anosy)、67ヘクタール(67 hectares)地区において、スリやひったくり等の犯罪が頻繁に発生しています。

特に独立大通り・大階段・アナラケリー周辺は外国人観光客が多く立ち寄るエリアで、邦人のひったくり被害が過去複数件報告されています。詳細はアンタナナリボの治安で。

2024年の強盗600件・誘拐200件

大使館「安全の手引き」より。

2024年のマダガスカル全土における強盗事件の発生件数は、報道されているだけでも約600件で、誘拐事件については約200件となっており、発生件数は高い水準で推移しております。

誘拐の標的は主に「フランス人、インド・パキスタン系人、中国人及びマダガスカル人富裕層」。日本人がメインターゲットになった事例は今のところ確認されていませんが、大使館は次の指摘もしています。

中国人を被害者とする凶悪事件や殺人事件も発生しており、日本人と中国人が見分けにくいことから、より一層の注意が必要です。

外見的に区別がつかないため「誤って標的にされる」リスクは否定できません。富裕層を装う服装・装飾品は禁物です。

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2021年に邦人が殺害された強盗事件

外務省「安全対策基礎データ」より。

外国人は金持ちとみなされており、日本人も例外でなく、2021年4月には、日本人の住宅に武装強盗が侵入し、日本人を殺害して金品を強奪する事件も発生しています。

長期滞在者向けの記述ですが、ホテル・宿泊施設での施錠管理、夜間の単独移動回避は短期旅行者にも当てはまります。大使館の手引きは「就寝時に合鍵を使って部屋に侵入し、所持品を奪うケースがあり、ドアチェーン等が備え付けてある場合は必ず使用してください」と書いています。

ノシベ刃物殺人事件(2026年1月)

「ノシベ(Nosy-be)は観光地として知られ、比較的治安が良いとされてきました」(大使館)が、2026年1月にこの認識を覆す事件が発生しました。

1月30日から翌日にかけて、マダガスカル北部に位置するNosy-be(ノシベ)地域において、三輪タクシー(トゥクトゥク)の運転手および近隣の薬局が刃物で襲撃され、3名が亡くなる事件が発生しました。犯人グループは金品を奪い逃走しており、当局は治安維持のため警察などの治安部隊を増員しています。

ノシベは独立した観光地で安全とされてきましたが、首都圏外でも武装犯罪が広がっていることを示す事件です。サファリ拠点・離島ビーチに行く際も「比較的安全」を鵜呑みにしないこと。

主なトラブルと手口

アンタナナリボで実際に起きている邦人被害を、トラブル別記事に整理しました。

カテゴリ主な手口詳細
スリ・ひったくり集団スリ・刃物リュック切り込み・ホテル内置き引き・装飾品引きちぎりスリ・ひったくり
タクシー・交通同乗者強盗・偽警察検問・夜間障害物強盗・タクシーブルース車内盗タクシー・交通
詐欺・ぼったくり偽警察恐喝・空港不法斡旋・闇両替偽札・写真撮影金銭要求詐欺・ぼったくり
感染症・医療マラリア・ペスト・狂犬病・ポリオ・第三国緊急移送感染症・医療

偽警察の恐喝に注意

外務省「安全対策基礎データ」より。

過去には、日本人観光客が多く訪れるアンタナナリボ(Antananarivo)市内の独立大通り周辺において、夜間、複数の警察官が検問と称して、法律違反等をしていない日本人観光客を車から降ろし、執拗に金銭を要求し、進路を阻んだり、警察署に連行するといった事案が発生しました。

大使館の最新報告でも「夜間に警察官を装った者から不当な金銭要求を受けた事例」が継続。「パスポート不携帯や予防接種不備などを口実に、執拗に要求を繰り返すケース」も報告されています。少額でも応じない、所属と氏名を確認する、危険を感じたら大使館(24時間連絡先 032-07-072-11)に通報。

なお、外国人は国籍が明記された身分証明書または旅券の常時携行が義務です。提示できないと「身元が明らかになるまで長時間留め置かれる」ため、コピーではなく原本を持って出歩くこと(ただし宿泊先でレストランに行くだけ等の短時間外出時に旅券をどうするかは悩ましい—大使館もこのジレンマを把握済み)。

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動植物の持ち出しは厳罰

マダガスカル固有種は厳しく保護されており、お土産感覚での購入が逮捕に直結します。

お土産用に小さな亀(マダガスカルホシガメ)の購入を勧められたので購入したが、イヴァト(Ivato)国際空港から出国しようとしたところ、税関職員に亀の所持を発見され、逮捕された。(マダガスカルホシガメは、国外への持ち出しだけでなく、売買行為そのものが違法行為です。それ以外の動植物についても、国外持ち出しが規制されているものが多数有り、注意が必要です。)

「ノシベで安く買えるよ」と勧められても、現地での売買から違法。バオバブの種・キツネザルのはく製・カメレオン類など、マダガスカルらしい土産物には国外持ち出し禁止対象が混じっているため、空港で見つかれば没収+拘束となります。

医療事情 --- 第三国緊急移送が前提

外務省「世界の医療事情 マダガスカル」(令和6年10月1日)の医療水準まとめは厳しいものです。

公的な救急搬送システムは機能しておらず、緊急時は各病院の有料の救急車を利用することになりますが、台数は少なく交通渋滞のため搬送には長時間を要します。

当地の医療事情を考慮すると、輸血や全身麻酔の必要な外科手術、心筋梗塞に対するカテーテル治療などの侵襲的な治療を受けることは危険を伴います。このため重症の場合、富裕層や在留フランス人はしばしばレユニオン(フランス海外県)、モーリシャスで治療を受けています。邦人は保険会社の判断により、南アフリカ、パリ等へ緊急移送となることが多いです。当地を旅行する方は、高額な緊急移送費をカバーできる海外旅行傷害保険への加入が必須です。

私立病院でも入院前に高額の保証金を要求され、クレジットカードが使えるとは限らない。マダガスカル単独の保険会社支払事例はないものの、近隣のジンバブエ→南ア医療搬送が約505万円南アフリカで暴漢に襲われ重症化した事例が約350万円(いずれも損保ジャパン off!・SBI損保 015 のアフリカ枠で公開)。これらが参考値として現実的な水準です。

詳細はアンタナナリボの感染症・医療アフリカ旅行の保険ガイドへ。

風土病 --- ペスト・マラリア・狂犬病・ポリオ

マダガスカルは現代の旅行者にとって意外なほど感染症の国です。

ペスト(風土病): 「マダガスカルは世界有数のペスト流行国であり、通常はヒトからヒトへの感染がほとんど見られない『腺ペスト』が流行の主体です。2017から2018年シーズンは大流行し、首都など都市部でも致死率の高くヒトからヒトへ感染する『肺ペスト』が流行した結果、3000名近くの感染者、200名以上の死亡者を出しました」(外務省)。流行は雨期中心の7月末〜4月。沿岸地域を除く中央部が流行地域。

マラリア: 首都アンタナナリボは高地のため発生は稀ですが、東海岸(通年)・北西海岸(雨季中心)で蔓延。「重症化しやすい熱帯熱マラリアが90%以上を占め、初期に適切な治療が行わなければ貧血、腎不全、脳症等によって死亡することがあります」(外務省)。

狂犬病: 「マダガスカルでは今なお毎年数十名の狂犬病患者が発生しています。潜伏期を経ていったん発症すれば治療法は無く、ほぼ確実に死亡する危険な病気です」「2021年には人を噛んだ後に死亡した犬100頭を解剖し診断した結果、80頭が狂犬病に罹患していた」(外務省)。野犬・放し飼いの犬が多く、首都でも見かけます。咬まれたら直ちにアンタナナリボのパスツール研究所での曝露後接種が最善。

ポリオ: 「2021年に12例、2022年9月現在11例のワクチン由来1型ポリオ(cVDPV1)が報告」「首都アンタナナリボを含むアナラマンガ地域圏の環境中の検体からもcVDPV1が検出」(外務省)。WHOは渡航前のポリオ追加接種を推奨しています。

A型肝炎・B型肝炎・破傷風・腸チフスのワクチン接種、動物に接する機会のある人は狂犬病ワクチンの接種も検討してください。

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性感染症(観光地・港町)

当国は他のアフリカ諸国と比較すると、HIVの15から49歳における有病率は0.4%と低いですが(2020、UNAIDS)、年々上昇傾向にあります。近年は性感染症全般が増加傾向にあり、活動性梅毒の罹患率は一般人口で6.3%、セックスワーカーでは28%(保健省データ)と高いため注意が必要です。特にノシベ、マジュンガ、フォール・ドーファンなど観光地や港町では性感染症が蔓延しており問題となっています。

ノシベは観光客が女性同伴で訪れることが多いリゾートですが、上記のとおり性感染症の温床。短期渡航者でもリスクは現実的なものとして認識を。

交通事情 --- 「車優先社会」で歩行者は最弱

外務省の医療事情から。

首都アンタナナリボの道路事情は非常に悪く、道路は狭いうえに坂道が多く、信号はなく正確な市街地図も存在しません。歩行者、荷車が行き交う中、車が溢れ、運転は乱暴で、車の行き交う道路の真ん中で、物乞いや物売りが寄ってくる状況ですので、慣れない方が運転することは危険です。また、車道と歩道の区別は殆どないことに加え、当地は厳然たる「車優先社会」ですので、そのつもりで歩行してください。交通事故による10万人あたりの死亡数は日本の2.7と比較しマダガスカルでは22.5と高いです

レンタカー自走は避け、信頼できるドライバーを雇うか、ホテル手配のタクシーを使うのが鉄則。タクシー利用時の注意はアンタナナリボのタクシー・交通で。

通信手段(eSIM)

旅行者がアンタナナリボに到着して最初に困るのが通信です。停電・断水が続く期間は携帯回線も不安定になりがちで、Wi-Fi頼みでは大使館連絡や Google Maps が使えません。日本出発前にeSIMを設定しておくと空港着いた瞬間から通信できて、強盗・誘拐リスクのある状況での緊急連絡が確保できます。比較はeSIM比較ガイドで。

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緊急時の連絡先

機関電話番号
在マダガスカル日本国大使館020-22-493-57
大使館 緊急時連絡(24時間)032-07-072-11
警察17 または 117
消防・救急車18 または 118
Soavinandriana 病院(旧軍病院)020-23-397-51
Polyclinique d’Ilafy020-22-425-66

3か月未満の渡航者は外務省「たびレジ」登録を強くおすすめします。政情の急変時に、大使館からの一斉メールが命綱になります。

主要都市の治安情報

出典