モンテネグロは「他のヨーロッパ諸国の中でも比較的治安が良い」と外務省・大使館の手引きが書く一方、人口10万人あたりの犯罪認知件数は日本より多く、強盗・窃盗も発生しています。観光ハブのコトルではスリが集中、首都ポドゴリツァでは中央駅の恐喝や夜間二人組強盗、バス運転手による暴行まで起きている。さらに国内に日本大使館がない(在セルビア大使館がベオグラードから兼轄)ため、旅券を盗まれると最低1週間の足止めになるのがモンテネグロ特有のリスクです。
Travel Alert 01
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危険レベル
外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。感染症危険情報も同様。ただし隣接するコソボ北部はレベル2「不要不急の渡航中止」で、モンテネグロ側からコソボ国境に近づく場合はこの情勢を意識してください。テロ・誘拐情勢は、後述する2022〜2025年のツェティニェ銃撃・ポドゴリツァ裁判所前自爆テロが大使館の記録に残っています。
大使館はセルビア・ベオグラードから兼轄 --- 旅券紛失で1週間足止め
モンテネグロで日本人がまず知っておくべきなのが、国内に日本の在外公館がないこと。
(モンテネグロには日本の在外公館はなく、在セルビア日本国大使館が兼轄しています)
モンテネグロで旅券を紛失した場合には、緊急旅券又は帰国のための渡航書の発給のため、セルビアにある当館までお越しいただく必要があります。そのため、通常よりも再発給までのプロセスに時間を要する。
外務省の安全対策基礎データはもっと具体的に書いています。
渡航文書の再発給までモンテネグロに最低でも一週間ほど足止めとなる可能性がある
つまりスリでパスポートを抜かれた瞬間、モンテネグロの旅程は壊れるということ。日本人観光客にとって、財布よりもパスポートの優先度がさらに上がる国です。
犯罪はコトルが中心 --- スリ被害の多くが集中
外務省と大使館がはっきり名指ししているのが、世界遺産の港町コトルです。
最近では、アドリア海沿岸地域、特にコトル市を中心に日本人旅行者が増加しており、犯罪被害の多くはコトル市にて発生しています。
特に夏季の観光シーズンにはアドリア海沿岸(特にコトル市旧市街)等の観光地を中心として、外国人観光客が増加することに伴い、国内事情に不慣れな観光客をねらったスリ・置引きなどの犯罪が頻発しています。
外務省が報告している具体的な事例はこう。
コトル市の旧市街(聖トリプン大聖堂付近)を散策中、気づかないうちにバッグを開けられ、財布、旅券などの貴重品を抜き取られた。
詳しい手口と対策はコトルのスリ・置き引き対策へ。
Travel Alert 02
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首都ポドゴリツァ --- 恐喝・夜間強盗・バス運転手暴行
首都ポドゴリツァは観光地の華やかさはないものの、最も多彩な手口の被害が報告されています。外務省の事例集を並べるとこう。
- 恐喝: 「ポドゴリツァ市の中央駅で若者数人に囲まれ金銭を要求され、これを拒否したところ旅券(パスポート)を盗まれた。」
- 鉄道スリ: 「ポドゴリツァ市から鉄道に乗ったところ、混雑した車内で旅券のスリ被害に遭った。」
- 夜間強盗: 「夜間ポドゴリツァ市内を歩いていたところ、二人組に金銭を要求され、バッグに入っていた財布と現金を奪われた。」
- バス運転手暴行: 「ポドゴリツァ市内でバスに乗車した際に、バスの運転手と降車場所について言い争いになり、運転手から暴行被害を受けた。」
中央駅・夜間路上・バス車内――観光だけだとあまり接点がなさそうな場所に被害が集中しています。詳しくはポドゴリツァの治安情報へ。
鉄道駅・車内の睡眠薬強盗 --- 親しげな声かけに注意
大使館の手引きが特記しているのが鉄道での睡眠薬強盗です。
鉄道駅構内や車内では過去に睡眠薬を用いた強盗事件が発生していますので十分注意してください。
駅の構内や車内で親しげに近づき、睡眠薬の入ったコーヒーなどの飲み物を勧め、寝入っている間に金品を奪い取る事件が発生しているので、見知らぬ者から提供された飲食物はむやみに口にしない。
モンテネグロの鉄道(特にバール〜ベオグラード線)は観光客も使う長距離路線。初対面で飲み物を勧められたら全部断るを徹底してください。詳しくはポドゴリツァの睡眠薬強盗・夜間強盗対策へ。
祝事の祝砲 --- 空に撃った弾が落ちて当たる
バルカン半島共通のリスクが祝砲です。外務省はこう書いています。
祝事(結婚式、正月)などの際に、一般市民が祝意を込めて銃を発砲することがあります。空に向け発砲し、落ちてきた弾丸で負傷することがあるので、近くで銃を発砲していたり、銃声を聞いたりした場合には、近くの店舗等屋根のある安全な場所に避難してください。
結婚式シーズンや年末年始に銃声を聞いたら、冗談ではなく屋根のある場所に逃げ込むのが正解です。
ツェティニェ銃撃・ポドゴリツァ自爆テロ
旧首都ツェティニェでは近年、銃乱射・爆破事件が相次いでいます。大使館の手引きから事件履歴を引きます。
ア 2022年8月 ツェテニェで銃撃事件が発生し、6名が死亡した。 イ 2023年3月 ポドゴリツァにある裁判所前でモンテネグロ人男性が自爆テロを行い、犯人1名が死亡した。 ウ 2024年6月 ツェテニェで爆破事件が発生し、2名が死亡した。 エ 2025年1月 ツェテニェで銃撃事件が発生し、犯人を含む13名が死亡した。
2022年3月以降のロシアによるウクライナ侵攻に伴い、モンテネグロ国内でも爆破予告が複数回発生。実際の爆発はないものの、出先で遭遇したら避難第一の行動を。
Travel Alert 03
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デモ --- 興味本位で近づかない
モンテネグロでは政治的なデモも頻発しています。
各都市の行政機関が密集する場所及び幹線道路などで行われ、デモ自体は概ね平和裏に行われることが多いですが、場合によってはデモの内容がエスカレートすることもあり、こうしたデモにはテロの危険性が常にある
平和的に終わるとは限らない。興味本位で近づかないのが大使館の指示です。
法律 --- 大麻も非合法・現金1万ユーロ申告必須
モンテネグロで旅行者が引っかかる法律はこのあたり。
- 違法薬物: 所持・使用・売買は厳罰、大麻所持も非合法。
- 売買春: 法律で禁止。
- 現金申告: 10,000ユーロ相当超の現金は入国時に税関で申告必須。未申告で出国時に没収された事例あり。
- 入国スタンプ: 押印漏れは出国不可・不法入国扱いの原因に。陸路(電車・バス)は車内で入国・税関審査されるので、要員が来たら必ずパスポートを差し出して押印を確認する。
「ヨーロッパだから大麻ぐらい」という油断は通用しません。
交通事情 --- 観光バス崖転落事故も
外務省は運転マナーをこう書いています。
日本と比較しても運転マナーは悪く、一時停止無視や強引な追い越し、割り込み、パッシング等、交通ルールを無視した無謀な運転が多々見られます。過去には、日本人旅行者が乗車した観光バスが崖から転落する事故も発生しています。
右側通行、日中前照灯義務、後部座席含むシートベルト義務、12歳以下助手席禁止、運転中携帯電話禁止。冬期(11〜3月)は冬タイヤの装着が義務です。山岳道路を走る観光バスツアーは、安全運行で評判の良い会社を選ぶしかない。
健康リスク --- ダニ脳炎・狂犬病・硬水
外務省と大使館の両方が警告している感染症は2つ。
ダニ脳炎は予防接種以外に治療法がないのが厄介な点。
ダニ脳炎: ダニの中には脳炎ウイルスを持っているものもあり、咬まれると脳炎に罹患することがあります。ダニ脳炎には予防接種が有効です…ダニは、森林だけでなく都市部の公園などにも生息している可能性がある。
ひとたび罹患すると治療法がないことから、予防策としてあらかじめワクチンを接種しておくことをお勧めします。
狂犬病については、街中の野良犬がリスク源です。
モンテネグロでは街中にも多くの野良犬がいます。近年狂犬病は確認されていませんが、注意が必要です。
水道水は飲用可ですが、特に山間部では硬度が高いため、慣れない胃腸にはミネラルウォーターを推奨。詳しくはポドゴリツァの医療・健康リスクへ。
Travel Alert 04
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医療費の実態 --- 私立病院推奨、保険必須
一部の私立病院を除き、モンテネグロの医療レベルは、一般的に欧米先進国に比べて高くはありません。
大使館の手引きはさらに踏み込んで、症状によっては近隣の医療先進国(イタリア・オーストリア等)への医療搬送が必要になり多額の費用がかかる、と書いています。
モンテネグロ独立の保険支払い事例は無いものの、近隣ヨーロッパの桁感は参考になります。フランスで脳内出血の入院手術+家族駆けつけで717万円、ドイツで憩室炎の入院手術+医療搬送で540万円、オーストリアやスイスの山岳事故・急病で数百万円規模。モンテネグロでも長期入院+医療搬送で同等の費用が発生し得ます。
通信手段の確保
モンテネグロは大使館連絡もポドゴリツァ・コトル間移動も、スマホがないと地図も翻訳も警察通報もできません。現地SIMかeSIMを出発前に準備しておくのが安心。選び方は海外eSIM比較を参照してください。
緊急時の連絡先
モンテネグロの緊急番号はEU標準の112ではなく独自番号です。
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察 | 122 |
| 救急 | 124 |
| 消防 | 123 |
| 在セルビア日本国大使館(兼轄) | +381-11-301-2800 |
主要警察署: ポドゴリツァ (020)-242-299 / コトル (032)-322-222 / ブドバ (033)-451-183 / ニクシッチ (040)-213-111。
Travel Alert 05
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海外旅行保険の備え
ヨーロッパの医療費は高額で、近隣国の事例では数百万円〜1,000万円超の保険金支払いが珍しくありません。モンテネグロは国内の医療レベルが先進国未満で、重篤な症状なら近隣国への医療搬送が前提。クレジットカード付帯保険では搬送費用が足りない可能性が高いので、出発前に補償内容を確認しておきましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
近隣のクロアチア・セルビア・ボスニア・アルバニアを組み合わせるバルカン周遊なら、共通でスリ・ぼったくり・ダニ脳炎・現金申告ルールの備えが必要です。