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ギリシャの治安 スリ多発と爆破テロの波【2026】

ギリシャの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ギリシャ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

ギリシャは「ヨーロッパの中では比較的治安がいい国」とよく紹介されます。実際、凶悪犯罪は多くありません。それでも在ギリシャ日本国大使館によると、2025年の邦人被害は27件。コロナ前の2019年は120件、2022年以降も毎年30件前後で推移しています。被害の約60%がスリで、場所はアテネのシンタグマ広場周辺が断トツの1位(33%)、続いてアクロポリス(19%)。サントリーニ島などのリゾート地でも被害が出ています。さらにアテネ市内ではアナキスト集団によるATM・店舗・雑居ビルの爆破事件が2025年中も発生し、デモ・ストライキで地下鉄やフェリーが24時間止まることもあります。

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危険レベル

外務省の危険情報は2026年4月時点で全土に発出なし。感染症危険情報もありません。ただし「レベルなし=安全」ではなく、スリ・置き引きと「電話貸して」型の金銭トラブル、アナキストの爆破事件、デモ暴徒化、島嶼部の医療搬送リスクが主な要素です。

邦人被害の全体像 --- 6割がスリ、シンタグマ広場が断トツ

在ギリシャ日本国大使館「安全の手引き(2026年版)」が公表した直近の数字はこうです。

項目数字
2025年の邦人被害件数27件
2024年36件
2023年46件
2019年(コロナ前)120件
被害手口の内訳:すり59.3%
被害手口の内訳:金銭トラブル14.8%
被害手口の内訳:置き引き7.4%

被害場所ランキング(2024年)も具体的です。

順位場所比率
1位シンタグマ広場とその周辺33%
2位アクロポリス(アテネ)19%
3位アテネ以外の都市・観光地・島しょ部22%
4位電車内・各駅(アテネ市内)7%

被害の5割以上がアテネ中心部の3大エリアに集中しています。サントリーニ島など島しょ部のリゾート地も「アテネ以外22%」のなかに入っていて、ゼロではありません。

ギリシャの在留邦人・日本人旅行者数を考慮すると、欧州で日本人が被害に遭いやすい国のひとつと言えるでしょう。

大使館がここまで明言しているので、「治安がいい」イメージで素手で歩くと刈り取られます。

アテネのスリ4手口 --- シンタグマ・地下鉄・カフェ・花押しつけ

外務省「安全対策基礎データ」が名指ししているスリの4類型がこれ。

  1. バス・地下鉄や駅構内で複数人で取り囲み、リュック・バッグから財布を抜く
  2. 衣服に液体をかけたり声をかけて気をそらせ、バッグを盗む(シンタグマ広場で多発)
  3. 公園・レストラン・カフェで荷物から目を離した隙にバッグを盗む
  4. 路上で花の売り子が花を押しつけている間に貴重品を盗む

特に2番の「液体・声かけ」はシンタグマ広場での定番。ケチャップやアイスを服にかけられ、「汚れてますよ」と親切ぶった共犯者が拭く間に、別の共犯者が財布を抜く。イタリアスペインフランスでも同型の手口が報告されている、ヨーロッパの定番フォーマットです。

アテネの電車や駅での被害が最も多く、最大限の注意が必要です。プロのスリによる犯行で、車内やエレベーターなどで数人に押されているうちに被害に遭うケースが多く、注意していたにもかかわらず被害に遭っている方も多くいます。

大使館「安全の手引き」のこの一文がリアル。「注意していたのに遭った」が普通に起こる国です。

TESTIMONY · 旅行者A
シンタグマ広場で観光していたら、知らない人に突然話しかけられて、気がついたらリュックのファスナーが開けられて財布が消えていました。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(ギリシャ)

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「電話貸して」「SIM代立て替えて」詐欺 --- アテネ空港と中心地で多発

ギリシャ独自と言える詐欺パターンが「自称ギリシャ人」による金銭援助詐欺。

自称ギリシャ人男性が日本人に対し、「電話で日本人と話してほしい」と声をかけた後、携帯SIM購入や両替手数料として金銭援助を求め、一向にその料金を返金しないとのトラブル相談が複数寄せられています。

手口の流れはこうです。

  1. アテネ空港か市内中心地で「日本人ですか?日本語で電話してほしい」と声をかけてくる
  2. 「いま現金がないので携帯SIM代・ローミング代を貸してほしい。後で銀行で返す」
  3. 銀行に同行するも「両替手数料がかかる」と新たな口実で再び金銭要求
  4. 携帯番号を交換するが、後日連絡しても返金されない

旅行者の親切心に付け込む典型。「貸して」と言ってくる時点で詐欺と思って、連絡先も教えず立ち去るのが正解。被害は2026年第1四半期も「依然として」継続中と大使館が報告しています。

このほか2026年に入ってからはキオスクやガソリンスタンドでのスキミングホテル予約サイトや銀行を装ったSMSフィッシングの被害も報告されています。

アナキスト集団の爆破事件 --- 2025年中もATM・店舗が標的

ギリシャ特有のリスクが、極左テロ組織・アナキスト集団による爆発物事案。一般市民を直接の標的にはしていないものの、市街地の店舗が狙われるため巻き込まれリスクがあります。

2025年中も、実際にATM、各種店舗および雑居ビルが爆破される事件が発生していますので、その場に居合わせた場合には、警察官の指示に従い、速やかにその場を離れてください。

特に活発な活動エリアはアテネ中心部のオモニア・エクサルヒア地区。安全の手引きはこの地区について、「不法滞在者、アナキスト、薬物使用者等が集まる地域」「過去には興味本位で立ち入った外国人観光客が強盗被害に遭っています」と明記しています。観光で近づく必要はない地区として覚えておきましょう。

爆破は深夜や早朝に行われることが多いので、その時間帯に閉店後の店舗・ATM・雑居ビルの近くに長居しない、というのも対策になります。

デモ・ストライキで地下鉄やフェリーが止まる

ギリシャでは労働組合のデモやストライキが頻繁。アテネ中心部では交通遮断、地下鉄やフェリーが24時間運休することもあります。サントリーニなど島しょ部に渡る予定がある人は、フェリー欠航を想定したゆとりのある旅程を組むのが必須。

デモは平和的なものが大半ですが、過激派が扇動して警官隊との衝突に発展する事例も。安全の手引きは「興味本位で近づいたり写真を撮ったりすることは危険」と明言しています。

スポーツイベント(サッカー・バスケ)では過激サポーター同士の衝突も。観戦予定があるなら早めに会場入りして帰路もずらす、くらいの慎重さが要ります。

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医療事情 --- 公立は無料相当だが島嶼部からの搬送費は別格

ギリシャの医療水準は、特にアテネ市内の私立総合病院は信頼できるレベル。ただし旅行者は公的保険対象外なので全額自己負担で、医師との面談だけで100ユーロといった請求もあります。

最大の落とし穴は島嶼部からの医療搬送

都市部から離れた島嶼部などで重篤な病気や怪我をした場合、ヘリコプターや航空機による移送が必要になることがあり、その費用は高額となるため、渡航前に海外旅行傷害保険に加入しておくことを強くお勧めします。

サントリーニ・ミコノス・クレタ・ロードスなど人気の島々で重症化すると、アテネへの空輸が前提。島嶼部のレンタルバイク・バギーで転倒して入院するケースが頻発しているのも医務官情報として明記されています。

ギリシャ独自の医療費事例公開はありませんが、同じ地域・近隣のイタリアでの保険金支払い実績が参考になります(出典: SBI損保 イタリア・バチカン事例)。

内容入院日数金額
ツアー中に胸痛、心筋梗塞・手術、医師看護師付添い医療搬送16日1,011万円
突然の頭痛、くも膜下出血・手術、看護師付添い医療搬送45日787万円
ホテルで転倒、骨盤骨折、医師看護師付添い医療搬送11日742万円
激しい腹痛、卵巣嚢腫・手術、家族駆けつけ6日638万円

医療搬送が加わると一気に数百万〜1,000万円超。サントリーニで足を骨折してアテネに空輸、そこから日本への医療搬送、というシナリオは普通に起こります。クレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限では足りない可能性が高い水準です。

西ナイル熱・熱中症・山火事

夏季(6〜9月)のギリシャ特有の健康リスク。

  • 西ナイル熱:蚊が媒介、感染者の8割は無症状だが脳に感染すると重篤化(ウエストナイル脳炎)。ワクチン・特効薬なし、虫除けスプレーで予防。
  • 熱中症:アテネは夏に40度近く。アクロポリスなど遮蔽物のない遺跡では帽子・水・日焼け止め必須。
  • 山火事:6〜9月に各地で大規模発生。ギリシャ気候危機・市民防災省の情報をフォロー。

夏のギリシャは「南の楽園」イメージとは別物の灼熱・乾燥環境です。

EES(出入国システム)が2025年10月から段階導入

2025年10月12日から、ギリシャを含むシェンゲン協定加盟国でEES(Entry/Exit System)が段階的に導入されています。短期滞在で入国する非EU国民が対象で、空港の国境検問所でパスポート情報・顔写真と指紋・出入国記録が電子登録されます。事前手続き不要だが、入国審査に時間がかかる可能性があるので乗り継ぎ時間に余裕を。

フランスドイツイタリアなど他のシェンゲン圏と同じ仕組みです。

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安全対策まとめ --- 出発前にやっておくこと

  1. シンタグマ広場・アクロポリスではバッグを体の前に。リュックは前掛け、ファスナー側を体側に
  2. 「電話貸して」「SIM代立て替えて」は全部詐欺。連絡先も教えず立ち去る
  3. オモニア・エクサルヒア地区には近づかない。観光で行く場所ではない
  4. 島しょ部に行くならフェリー欠航・医療搬送を想定。旅程に余裕、保険は手厚く
  5. 海外旅行保険に加入。島嶼部からの医療搬送は数百万〜1,000万円超になり得る。クレカ付帯では不足の可能性
  6. デモ・ストライキ情報を事前確認。地下鉄24時間運休は普通に起こる

通信手段の確保

アテネでもサントリーニでも、スマホが使えないと地図も翻訳も緊急通報もできません。「電話貸して」詐欺の温床にもなるので、現地SIMかeSIMを出発前に準備しておくのが安全。選び方は海外eSIM比較を参照。

緊急時の連絡先

機関電話番号
EU共通緊急番号112
警察(一般)100
救急車166
消防199
ツーリストポリス1571
病院案内・薬局情報14944
在ギリシャ日本国大使館+30-210-670-9900

大使館はアテネ郊外Halandri(46 Ethnikis Antistasseos Street, 15231)。サントリーニには大使館はないので、被害時はサントリーニ警察署(2286-440130)に届け出てから大使館に連絡する流れです。

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海外旅行保険の備え

ギリシャ独自の高額医療事例は公表されていませんが、同地域のイタリアでは医療搬送付きで1,011万円・787万円・742万円の支払い事例が出ています。サントリーニなど島嶼部からの航空搬送はそれ以上に膨らむ可能性大。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドを参照。

主要都市の治安情報

出典