ジョージアはコーカサスの「比較的安全な国」として日本人旅行者に人気が出てきた国ですが、在ジョージア日本国大使館の安全の手引きは「殺人は約2倍、強姦は約1.5倍、強盗は約9倍」(人口当たり、対日本)と凶悪犯罪の多さを率直に書いています。さらに2026年1月1日以降は入国時に海外旅行保険の提示が義務になり、提示できないと入国を拒否される可能性がある。占領地(レベル3)・ロシア国境(レベル2)・薬物無期懲役・狂犬病・人口比5倍の交通事故――まず現実を押さえてから旅程を組んでください。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル
外務省の危険情報(2025年2月10日付)は3段階に分かれています。
- ツヒンヴァリ/南オセチア及びその周辺地域、アブハジア及びその周辺地域 — レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)
- ロシアとの国境周辺地域 — レベル2:不要不急の渡航中止
- 上記を除く全土(首都トビリシ市を含む) — レベル1:十分注意
ツヒンヴァリ/南オセチア及びアブハジア(行政境界ライン付近を含む)には危険情報「渡航は止めてください。」(レベル3)が発出されています。…ロシア軍が占領を続けており、それぞれの「行政」境界ライン付近では、現在も周辺住民の身柄が拘束される事件が頻発しているほか、ロシア側の銃撃により周辺住民が死亡する事件が発生しています。
「行政」境界ラインは現地に明確な表示がない場所も多く、トレッキング中に誤って境界を越えて拘束される事例があります。観光地の[十字架の山(ステパンツミンダ)]はロシア国境に近く、登山の場合は地元のガイドを必ず付けるのが大使館の指示です。
2026年1月から入国時に海外旅行保険の提示が必須
ジョージア渡航でいちばん最初に押さえるべき制度変更がこれ。
2026年1月1日以降にジョージアに入国する外国人に対して、ジョージア政府入管当局は、海外旅行保険(障害・医療保険)の保険証書の提示を義務付けています。 (1)海外旅行保険は、3万ジョージア・ラリ(約170万円)以上をカバーすること。 (2)保険証書は、電子データ又は紙面にて提示すること。 (3)保険証書は、英語又はジョージア語で提示すること。 (5)海外旅行保険は、ジョージアでの滞在期間(入国から出国まで)において有効であること。
クレジットカード付帯保険でも条件を満たせる可能性はありますが、「英語またはジョージア語の保険証書」を入国審査官に提示できる形で持っていく必要があります。スマホに証書PDFを保存しておくのが現実的。補償額3万GEL(約170万円)はあくまで最低ラインで、実際の医療搬送には全く足りません(後述)。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドで補償額の目安を解説しています。
治安の全体像 --- 数字は中程度、凶悪犯罪は人口比で多い
ジョージア内務省の2024年統計を、大使館はこう評しています。
人口当たりの一般犯罪件数は日本の約2倍で、数字上は日本と比べて極端に治安が悪い状態ではなく、海外旅行時の基本的な安全対策を行っていれば犯罪被害は防げるレベルの治安と言えます。
ただし手引きはすぐに但し書きを置きます。
罪種別では、殺人は約2倍、強姦は約1.5倍、強盗は約9倍と凶悪犯罪の発生数は多く、刃物や銃器等の凶器が使用される事件も珍しくありません。また、日本人を含め外国人旅行者を狙った強盗や強制わいせつ、詐欺事件も度々発生しています。
さらに統計の信頼性そのものに注釈が入ります。
警察に被害届を提出する場合、裁判に出廷することが条件とされるため、特に短期滞在の日本人旅行者の場合は時間の制約から被害届の提出をあきらめざるを得ない事例が発生しています。被害届を提出しない場合は、統計に計上されないため、統計が実態を反映していない可能性があることに留意する必要があります。
つまり「数字より実態は悪い可能性がある」と大使館自身が書いている。観光地ベースの基本対策は必須です。
日本人旅行者の被害手口(大使館被害例)
被害が集中するのはトビリシ旧市街の観光客導線。具体的な手口はトビリシの治安とトラブル別記事に分けて掘り下げています。在ジョージア日本国大使館の手引きが記録している実例を抜き出すとこうなります。
- 物乞いの未成年集団によるスリ --- ルスタヴェリ通り・シオニ大聖堂・メイダン広場で多発
- 路上強盗・ひったくり --- ナイフで武装した犯人による事件が繁華街で発生
- ホステル/ホテル室内強盗 --- たまたま知り合った外国人を部屋に入れたら殴打されて現金を奪われた
- ぼったくりバー/クラブ --- 客引き・声かけから連行、サービス後に高額請求
- タクシー内強制わいせつ --- 流しタクシーで運転手に身体を触られる、強姦未遂
- タクシーアプリ詐称 --- アプリで呼んだと思わせて高額請求
詳しくはトビリシのスリ・置き引き対策・詐欺・ぼったくり対策・タクシー・交通トラブル対策へ。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
薬物 --- 無期懲役の重罪、検挙数は人口比で日本の10倍
これは知らないと人生が終わる話。
ジョージアでは薬物犯罪は無期懲役まで課される重罪です。ジョージア内務省は薬物関連犯罪の取締りを強化しており、外国人が頻繁に逮捕されています。2024年中の薬物関連犯罪の検挙数は、人口比で日本の10倍となっています。
薬物を譲り受けたことや買うなどして警察に逮捕された場合、裁判のために数ヵ月間拘置所に勾留されることに加え、日本のような刑事弁護や通訳人の付与制度は十分とは言えないため、必要な弁護を受けることも極めて困難です。有罪となった場合は長期の懲役刑を課される危険があります。
「ジョージアでは大麻は合法」などのインターネットの書き込みや他人の誘いに乗って安易に薬物に手を出すことはやめてください。
ネット上の「合法」情報は明確に誤情報です。共犯を疑われて巻き添えにならないよう、薬物使用が疑われる人物との交友も避けるのが大使館の指示。詳しくはトビリシの薬物トラブル対策へ。
抗議デモ --- 2024年から継続中、トビリシの夜間が要警戒
ジョージアでは2024年5月から大規模な抗議デモが断続的に続いています。
2024年5月から6月にかけて「外国の影響力の透明性に関する法律」(いわゆる「外国エージェント法」)に反対する大規模な抗議活動がトビリシ市内を中心として行われました。また、同年10月以降、議会選挙の結果などを受けた抗議活動がトビリシ市内や地方都市で頻繁に行われており、参加者が負傷したり、外国人を含む逮捕者が多数出ています。
外務省のスポット情報(2024年12月3日付)も、EU加盟プロセス凍結発表後にトビリシで連日抗議活動が起きていると注意喚起しています。デモが集中する場所はジョージア議会、自由広場(Freedom Square)、ルスタヴェリ通り、共和国広場、英雄広場。観光ルートとそのまま重なるので、夜間の旧市街では情報収集を欠かさないでください。観光ホテルの予約時にも、これらの周辺地区を避けるかどうかは判断ポイントです。
ロシアとの関係 --- 直行便があっても渡航中止
意外と知られていない注意点。
現在、ロシア全域(首都モスクワ市を含む)に、レベル3:渡航中止勧告(継続)が出ております。2023年にジョージアからロシアへの直行便の運行が再開されていますが、邦人の渡航の安全を保証するものではありません。引き続きジョージアからのロシアへの渡航は止めてください。
トビリシ・モスクワ便は再開されていますが、外務省はロシア渡航を止めるよう明確に書いています。「ジョージアついでにモスクワへ」は選んではいけません。またロシアから陸路でアブハジアに入った後にジョージア国内に出ようとして、出国時に逮捕拘禁された日本人事例も外務省に記録されています。
交通事情 --- 死者は人口比で日本の5倍以上
ジョージアの道路は数字以上に荒い。
一般車だけでなく、公共バスやタクシーも含め、運転手は規範意識に乏しく、スピード違反、歩道走行、幅寄せ、割り込み、通行区分違反(逆走)、信号無視などの重大事故に直結する危険運転が日常的に見られ、統計によると、ジョージアにおける2024年中の交通事故による死者数は人口比で日本の5倍以上となっています。
物損事故、人身事故に限らず、事故発生後に警察に通報することなく加害者側が立ち去ることも少なくないことや、保険に加入していない場合もあるため、交通事故の被害にあった場合に適切な救護措置や補償が得られない可能性があります。
地方への移動で乗り合いバス(マルシュルートカ)を使う場合は、整備不良車・冬季の凍結路面・夜間運行を避けるのが手引きの指示です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
狂犬病 --- 毎年邦人が咬まれている
毎年日本人が犬に咬まれる事故が発生しています。ジョージアでは町中に犬が多く見られ、行政が予防接種を行っていますが、犬の感染例は毎年報告されており、感染して人が亡くなるケースもあります。
街中で犬に近寄らない・触らないが基本。咬まれた場合は24時間対応のワクチン接種ができる施設(トビリシのPreventive Medicine And Immunization Centre等)に直行してください。詳しくはトビリシの医療・健康リスクへ。
テロ・誘拐情勢
近年、ジョージア国内においてテロは発生していません。 前年に引き続き、2024年中も日本人を含む外国人を標的とした身代金目的の誘拐事件の発生は報告されていません。
近隣の北コーカサスや中東情勢の影響を受けやすく、ISIL関連の小規模グループの検挙が続いているため、テロ警戒は引き続き必要、というのが外務省の整理です。観光客が日常的に意識する必要はありませんが、「ジョージアにテロリスクは無い」と決めつけないこと。
医療費の実態 --- 100%自己負担、保険提示は出発前に
外国人の場合、医療費は100%自己負担となるため、高額となる場合があります。また、医療機関や措置の内容などによって先に医療費を支払わなければ診療が受けられない場合もあります。万一に備えて自身の海外旅行保険の内容をご確認しておくことをお勧めします。
トビリシの主要病院(Mediclub Georgia / New Hospitals / American Hospital Tbilisi)はクレジットカード対応・24時間救急ありですが、入院や搬送になれば数百万円規模の請求は珍しくありません。ジョージア独立の保険支払事例公開は無いものの、ヨーロッパの近隣事例で桁感を掴むとフランスで脳内出血の入院手術+家族駆けつけで717万円、損保ジャパンoff!のヨーロッパ事例ではフランスのホテル損害賠償だけで1,243万円、アジアでは中国の窓転落骨折で1,076万円の支払例があります。3万GEL(約170万円)の最低ラインは「入国の通り抜け用」と割り切り、1,000万円〜無制限の補償を選ぶのが現実的です。
自然災害・停電・断水
統計ではジョージア国内においてマグニチュード4程度の地震は月1回以上発生しており、地震と無縁な地域ではありません。 2015年には豪雨災害が発生し、トビリシ市内中心部に大きな被害が出ました。最近では地方で豪雨に伴う土砂災害が発生しており、山間部のリゾート地で滞在していた外国人客が多数犠牲になっています。 停電・断水が発生することは珍しくなく、数日復旧しない場合もあります。
山間部のリゾート(カズベキ・グダウリ・スヴァネティ)は土砂災害の前例あり。雨季や雪解け期の山岳地帯滞在は最新情報の確認が必須です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
長期滞在・就労を考えている人へ(短期観光は読み飛ばしOK)
2026年3月1日施行の改正労働移民法で、永住許可なしの外国人は「就労権」の取得が必須になりました。罰金等の罰則が科されます。デジタルノマドが多いジョージアですが、現地でリモートワークが「就労」に該当するかは事前に大使館・国家雇用支援庁に確認が必要です。
移動のヒント --- 隣国との行き来
陸路でのアゼルバイジャン入国は新型コロナ以降の入国制限が継続中で、空路以外の国境は封鎖されています(2026年3月時点)。アルメニアとは陸路通行可能。トルコとも陸路で行き来できます。ロシアへの陸路出国は絶対に避けること。
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・消防・救急(共通) | 112 |
| ガス関係のトラブル | 114 |
| 在ジョージア日本国大使館(トビリシ) | +995-32-275-2111 |
緊急通報アプリ「112 GEORGIA」(事前登録で位置情報送信が可能)が大使館手引きで紹介されています。
緊急ジョージア語
- 助けて: მიშველეთ(ミシュヴェレット)
- 私は日本人です: იაპონელი ვარ(イアポネリ ヴァル)
- 警察を呼んで: პოლიციაში დარეკეთ(ポリツィアシ ダレケト)
- 救急車を呼んで: სასწრაფო გამოიძახეთ(サスツラポ ガモイザヘト)
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
通信の備え
トビリシ市内ならフリーWi-Fiもありますが、地方移動・緊急通報・地図アプリには現地SIMかeSIMが安心です。選び方は海外eSIM比較を参照してください。