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世界治安ランキング6種まとめ|GPI・Numbeo・外務省・米英政府の使い分け

最終更新: 2026-04-17

「世界で一番治安がいい国ランキング」でググると、GPI・Numbeo・外務省・米国務省・英FCDO、はたまた「海外在住者が選んだ安全な国TOP20」みたいなメディア記事まで、大量に出てきます。それぞれ順位が違って「結局どれ?」ってなりますよね。

結論から言うと、ランキングは一本に絞るものではなく、用途で使い分けるものです。国選び・都市選び・出発直前チェックでは見るべき指標が違います。この記事では、主要な治安ランキング6種類を一枚で整理して、どの場面でどれを見るかまで落とし込みます。

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結論:6種は目的が違う

  • 学術指数系(GPI・Numbeo)= 国や都市を横並びで比較するための指数
  • 政府勧告系(日本外務省・米国務省・英FCDO)= 自国民に向けた「行って大丈夫か」の警告
  • 補助指標(外務省リスクマップ等)= 感染症・テロ等のテーマ別の色分け

同じ「治安ランキング」と呼ばれていても、学術指数と政府勧告は別物です。政府勧告は「自分の国の人間を守る」のが目的なので、現地での観光客被害より外交関係の緊張が重く反映されたりする。学術指数は指標の設計がフラットなので国際比較には強いけど、旅行当日の判断には向かない。そこを混ぜて使うと変な結論が出ます。

学術指数系:GPI と Numbeo

GPI(Global Peace Index)— IEP

年1回発行の、世界で最も引用されている平和度指数。オーストラリアのシンクタンクIEP(Institute for Economics and Peace)が2008年から続けていて、163か国(世界人口の99.7%)を23指標で採点します。2025年版の結論はこう:

  • 1位 アイスランド(1.095)
  • 12位 🇯🇵 日本(1.44)
  • 163位 ロシア(3.441、2025年版で初のワースト1位)

スコアは低いほど平和。指標は「Safety & Security」「Ongoing Conflict」「Militarisation」の3ドメインを合成しているので、純粋な犯罪率ではなく国全体の平和度を測る設計。詳しくはGPI日本12位の解説記事にまとめています。

強み:学術的な信頼性が一番高い・163か国を網羅・長期の時系列比較ができる。 弱み:年1回更新・国全体の平均値なので都市や観光地の肌感とズレる・軍事化スコアが入るので日本が12位にとどまる

Numbeo Crime Index — ユーザー投稿型

Numbeo(ナンベオ)は住民・旅行者のアンケート投稿を集計する生活コスト/治安指標のデータベース。Crime Index は0〜100のスコアで、高いほど犯罪感覚が強い(GPIと逆方向)。2026年版(公開時点)の抜粋:

Crime IndexSafety Index
ベネズエラ80.419.6
ハイチ80.119.9
南アフリカ74.525.5
フランス55.944.2
アメリカ49.250.8
イギリス48.351.7
ドイツ38.461.6
タイ36.663.4
韓国29.071.0
スイス27.472.6
🇯🇵 日本22.877.2
シンガポール22.577.5
台湾17.083.0
カタール15.284.8

上位(治安悪い側)にベネズエラ・ハイチ・アフガニスタン・南アフリカ、下位(治安いい側)に台湾・日本・シンガポールが来る並びはGPIとも大筋一致します。都市別のスコアも出せるのがNumbeoの強みで、バンコク・パリ・デリーなど主要都市は粒度が細かい。

強み:更新が早い(ほぼリアルタイム)・都市別で見られる・Safety Index で日常感覚に近い。 弱み:ユーザー投稿なのでサンプル偏りがある・マイナー国の順位は荒れる・サイトUIが古い

Numbeo単体の読み解き方・どの指標が使えてどの指標は怪しいか、の詳しい話は別記事で扱う予定です。

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政府勧告系:日本・米・英

旅行判断で一番大事なのはここ。3か国の政府がそれぞれ独自に勧告を出しているので、複数見れば偏りを減らせます。

日本外務省 — 4段階レベル制

外務省 海外安全ホームページ が発行する4段階の危険情報

  • レベル1: 十分注意してください
  • レベル2: 不要不急の渡航は止めてください
  • レベル3: 渡航は止めてください(渡航中止勧告)
  • レベル4: 退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)

感染症も同じ4段階で別枠。随時更新されるので、出発直前に必ず見るのが正解。国全体のレベルと、州・県単位の部分レベルが分けて出されるので、たとえばメキシコは国全体レベル1でも一部州はレベル3、みたいな読み方になる。日本人旅行者の視点で作られているので、日本で手に入る情報としては一番使える

米国務省(U.S. Department of State)— 4段階

英語で Travel Advisories を発行。こちらも4段階:

  • Level 1: Exercise normal precautions(通常の注意)
  • Level 2: Exercise increased caution(注意を強めて)
  • Level 3: Reconsider travel(渡航再考)
  • Level 4: Do not travel(渡航するな)

リスクを示すリスクピル(Risk Indicators)が併記されていて、CRIME / TERRORISM / UNREST / KIDNAPPING / HEALTH など、何が理由でそのレベルなのかが一目で分かるのが強み。各国ページに Date Issued(発行日)が付いているので更新タイミングも分かります。

日本外務省と評価が割れる国があります。アメリカは自国民が多く巻き込まれる銃犯罪・誘拐に敏感、日本外務省はテロ・政変に慎重、という温度差が出がち。両方見ておくと視点が厚くなります。日米の差分については別記事で詳しく整理予定です。

英FCDO(Foreign, Commonwealth & Development Office)

英国政府の Foreign travel advice。段階制ではなくテキストベースの勧告で、

  • advise against all travel(全渡航中止)
  • advise against all but essential travel(不要不急の渡航中止)
  • parts of(国のこの地域だけ)

の濃淡で示されるのが特徴。段階数字じゃなく文章で読ませるので、なぜリスクなのかの説明が詳しい。欧州発の視点なので、米国務省と違う角度の指摘が拾えます(例:アフリカ・中東旧植民地ルートの情報が厚い)。英語が読めるなら3点目のチェックにどうぞ。

補助指標:外務省リスクマップ

外務省 海外安全ホームページのリスクマップ には、危険情報(4段階)と感染症危険情報(4段階)が別枠で色分け表示されます。テロ・誘拐・感染症のテーマ別にマップを切り替えられるのが便利。段階の定義は危険情報と同じく「十分注意→不要不急→渡航中止→退避」の4段階です。

OECD の Better Life Index や各種シンクタンクの独自指数もありますが、対象国が狭かったり方法論が独自すぎたりするので、本記事では扱いません。

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6種一覧表:使い分け早見表

指標発行主体更新頻度スコア形式強み弱みこんな場面で
GPIIEP(豪)年1回(6月)1〜5点(低いほど平和)学術信頼性・163か国網羅軍事化込み・都市別なし行く国をざっくり比較する
NumbeoNumbeo(ユーザー投稿)随時Crime/Safety 各0〜100都市別・更新早いサンプル偏り・小国荒れる都市の肌感覚を掴む
日本外務省外務省随時4段階レベル+感染症4段階日本人視点・随時更新一部で慎重すぎる説出発直前チェック
米国務省U.S. Dept of State随時(最低年1回)Level 1〜4+Risk pillsリスク理由が明確米国民視点のバイアス外務省の裏取り
英FCDOUK FCDO随時テキスト勧告詳しい説明・欧州視点英語のみ・段階制なし3点目の補強
外務省リスクマップ外務省随時4段階の色分けテーマ別に切り替え可単独では情報薄感染症・テロの視覚化

旅行判断のレイヤー分け:3段階で使う

ランキングは「国選び → 都市選び → 出発直前」の3段階で役割が変わります。

レイヤー1:行く国を選ぶ段階

  • GPIで世界全体の位置を見る(日本12位の解説
  • 気になる国がGPI下位(130位〜)なら要注意。ほぼ外務省レベル2以上と重なる
  • 初めての海外なら、GPI 50位以内の国から選ぶと失敗が少ない

レイヤー2:都市・エリアを決める段階

  • Numbeoで行先の都市スコアを見る(Crime Index が50超えなら警戒モード)
  • 外務省の部分レベル情報も確認(国全体はレベル1でも一部州がレベル3、等)
  • 都市レベルの犯罪手口は各国ページで整理しています(例: インド国ページタイ国ページ

レイヤー3:出発直前

  • 日本外務省の最新レベルを再チェック(直前に引き上げがないか)
  • 米国務省の Date Issued で最新更新を見る
  • 英語が読めるなら英FCDOで3点目確認

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3点セット推奨:GPI+外務省+米国務省

手間をかけたくない人向けに、当サイトが推しているミニマル構成がこれ:

  1. GPI(年1回、旅行計画の初期に見る国際比較)
  2. 日本外務省の危険情報(出発前と直前の2回チェック)
  3. 米国務省の Travel Advisory(外務省と見解が割れたときの裏取り)

Numbeoと英FCDOは「気になる人だけ追加で見る」という位置づけでOK。時間と英語力の余裕に応じて足していくのが現実的です。

次の一歩

ランキングを眺めても、実際に旅行で遭うトラブルは手口レベルの知識で防ぐしかありません。GPI上位〜中位の国でも、スリ・ぼったくり・タクシー詐欺は普通に起きます。行先が決まったら都市別のトラブル記事で手口を頭に入れるのが、統計の次のステップ。

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よくある質問

結局、どのランキングを一番信じればいい?

「一番」は存在しません。**国際比較で国全体の平和度を見るならGPI**、**都市レベルの肌感覚ならNumbeo**、**今この国に行って大丈夫か判断するなら日本外務省の危険情報**、と用途を分けるのが正解です。当サイトではGPI+外務省+米国務省の3点セットを推しています。Numbeoは参考情報扱い。

外務省と米国務省で判定が違う国はどうする?

両方目を通した上で「厳しいほうに合わせる」が基本です。たとえばイスラエルは外務省レベル3・米国務省レベル3と一致しますが、メキシコの一部州は米が Level 4(Do not travel)で外務省はレベル1〜2と割れます。両国政府がリスクを拾っている視点が違うので、判定が割れた国ほど慎重になる目安と思ってください。日米比較の詳細は別記事で扱う予定です。

Numbeoは信じちゃダメ?

「国別順位」は参考程度に、「都市別のスコア」は実用的に使える、が当サイトの立場です。Numbeoはユーザー投稿アンケートなので、主要都市はサンプルが多く傾向が掴めますが、マイナー国は数十人の回答で順位が動きます。日本22.8、シンガポール22.5、台湾17.0といった「安全側の国」の並びは直感とも一致しますが、下位国の順位は鵜呑みにしない。Numbeo単体の深掘り記事は別途用意予定です。

OECDの幸福度指標は使わないの?

OECDの Better Life Index には「Safety」トピックがあり、殺人率と夜間歩行時の安全感を指標にしていますが、加盟国(主に先進国)だけが対象で、日本人旅行者が行く国の多くを網羅できません。本記事では今回ソースを取得していないので扱いませんでした。対象が狭い指標、と理解しておけば十分です。

GPI・外務省・米国務省、更新タイミングを知りたい

GPIは年1回、毎年6月発行(2026年版は2026年6月予定)。日本外務省は随時更新で、事件・政変・感染症の都度レベル変更が入ります。米国務省は最低でも年1回、または情勢変化時に更新(ページ上で Date Issued が分かる)。英FCDOも随時更新(`govuk:updated-at` メタデータで最終更新が分かる仕様)。出発直前は必ず政府系を再チェックしてください。

出典・参考