ストックホルムは在スウェーデン日本国大使館が単館で全国カバーしている首都。観光のメインは旧市街ガムラスタン、ヴァーサ号博物館、市庁舎、ドロットニングホルム宮殿あたり。一見すると北欧の整った街並みでスリと無縁に見えるけれど、外務省と大使館の手引きが具体名で名指ししているスリ・置き引きの多発エリアは中央駅と地下鉄駅構内、ガムラスタンです。さらに2024年4月にはストックホルム市内の歩行者用地下道で12歳の子供と39歳の父親が銃撃を受け死亡しています。観光客が直接狙われたわけではないけれど、ギャング抗争に伴う銃撃が「普通の通り道」で起きるのが今のストックホルム。スウェーデン全体の傾向はスウェーデンの治安も併せて確認してください。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険エリア --- 中央駅・地下鉄駅・ガムラスタン
外務省・安全対策基礎データと大使館の手引きが具体的に挙げているスリ・置き引き多発場所はこんな並びです。
- アーランダ空港
- ストックホルム中央駅(Stockholm Centralstation)
- 地下鉄駅構内(特にT-Centralen)、列車内、フェリー
- 旧市街ガムラスタン(Gamla stan):観光中心。混雑する店内でリュックのチャックを開けられて財布を抜かれるパターン
- ヴァーサ号博物館
- ホテルロビー、レストラン、デパート
- バー・クラブの繁華街
中央駅とT-Centralen(中央駅直結の地下鉄駅)はストックホルム交通網のハブで、観光客の動線がそのままスリ動線。ガムラスタンは石畳の細い路地が多く、人混みで気を抜きやすい構造です。
中央駅エレベーターの「挟み撃ち」手口
大使館の手引きが具体的に紹介している、ストックホルムならではの手口がエレベーターを使った挟み撃ちです。
観光旅行に来ていたEさん(女性)夫婦は、ストックホルム中央駅において大きなスーツケースを持っていたためエレベーターを使用した。扉が開き乗り込んだところ、同時に3人の男性が乗り込み、Eさん夫婦の間に割って入った。Eさんは男性の一人が自分の鞄に手を入れている事はわかったが恐怖で声が出せなかった。再び扉が開き、男性たちが立ち去ると、鞄から財布が抜き取られていた。
スーツケースを持っているとエレベーターを使うしかないけれど、密室空間で複数人に挟まれた瞬間に終わり。声を出せない・身動きできない状況を作られます。対策は、他の人が同じタイミングで乗り込んでくるなら一旦見送る、1人で乗らない、バッグは体の前で抱える。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在スウェーデン日本国大使館「安全の手引き」2025年2月版)
ガムラスタンのニセ警官 --- 「麻薬を財布に隠していないか」
ガムラスタン特有の手口がニセ警官詐欺。
ガムラスタンを歩いていると旅行者風の男が近づいてきて「写真を撮ってくれないか?」と頼まれカメラを渡された。写真を撮った後にカメラを返そうとしても受け取ろうとせず、押し問答が始まると、警官(私服)と称する二人組が現れ「そこで何をやっている、麻薬の取引か?」等と尋問を始めた。「麻薬を財布に隠していないか確認するので見せて欲しい」と言われ、動揺して要求に応じたところ、そのまま財布を持って逃げられた。
大使館の手引きから引用。写真を撮ってあげる役と、ニセ警官役のチームで動いています。本物のスウェーデン警察が路上で財布を見せろと言うことはありません。怪しいと思ったら身分証の提示を求める、警察(112)に電話する、周りに助けを求める。財布は絶対に他人に渡さないこと。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
ケチャップ詐欺 --- 「気をそらす系」の定番
ヨーロッパ各国で共通のケチャップ/アイス系もストックホルムに来ています。
ストックホルム市内において散策していたFさんは、ホットドッグを食べながら歩いていた男性にぶつかられ「ケチャップがついてしまった」と謝られながらハンカチでぬぐわれた。男性の行動に気を取られていたら、拭き終わった後に気がつくと、背負っていたリュックサックのチャックが開いており、財布がなくなっていた。
「汚れてますよ、拭きますね」という親切に意識を持って行かれている間に、後ろから別の手が伸びる。汚れの指摘は無視して立ち止まらないのが正解。気になるなら自分で離れた場所で確認する。
旧市街の「混雑する店内」スリ
ガムラスタンの土産物屋でも被害が出ています。
旧市街(ガムラスタン)の混雑する店内でお土産を選んでいたところ、会計時、閉まっていたはずのリュックサックのチャックが開いており、中に入っていた財布がなくなっていた。
外務省・安全対策基礎データの実例。リュックを背負ったまま狭い店内で土産を選んでいる時間は丸腰。リュックは前掛けにする、またはポーチに貴重品を分散して、リュック本体には盗まれてもいいものだけ。
カード詐欺 --- マーケットのリーダー金額確認
週末に広場で開催されていた青果マーケットで、カードリーダーの表示額をよく確認せずにタッチ決済を行ったところ、後から多額の請求行われていた。
スウェーデンはキャッシュレス先進国だけど、カードリーダーの表示額を確認せずタッチすると後から多額請求が来るパターン。マーケットや屋台では画面を必ず見てからタッチ、レシートを必ずもらう。
ギャング抗争の銃撃 --- 観光客は巻き込まれる側
ストックホルムでは2023年9月以降、市内・郊外でギャング抗争の発砲が日常化しています。
- 2024年4月10日:ストックホルム市内の歩行者用地下道で、12歳の子供と歩いていた39歳の父親が銃撃を受け死亡。被疑者の18歳少年は被害者と面識なし、突発的トラブルの可能性
外務省・安全対策基礎データはこう書いています。
違法薬物取引を巡るギャング間の抗争や内部抗争に起因して、ストックホルム県、ヴェストラ・ヨータランド県、スコーネ県の都市部近郊の一部地域等を中心に、爆破事件や銃の発砲事件が頻発しています。一般市民を直接の標的としたものではありませんが、誤って銃撃されたり、標的の近隣住民が爆発に巻き込まれたり等、実際に被害が及んでいる事例があります。
スウェーデン警察は犯罪の影響を受ける地域を3段階で公表しています。観光客が用もなく入る理由はないので、安宿の所在地が郊外なら地区名で確認してから予約しましょう。深夜・早朝の地下鉄や郊外電車も大使館は「できる限り避けて」と推奨しています。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
2017年テロの記憶 --- 中心部のトラック暴走
ストックホルムは2017年4月、市中心部でISIL思想の影響を受けた実行犯がトラックで暴走しデパートに突入、5名死亡・多数負傷するテロを経験しています。現在のテロ脅威レベルは5段階中の3段階目(増大した脅威)。観光地・駅・ショッピングモールは標的になりうる場所として意識しておきましょう。
デパート・ホテル朝食の置き引き
ストックホルムで日本人がよく遭うパターン。
ホテルでビュッフェ形式の朝食の最中、友人が同じテーブルに座っていたため安心してバッグをイスに残したまま食事を取りに行き、座席に戻ったときにはバッグがなくなっていた。
ツアーバスに貴重品入りの鞄を置いたまま観光に出て、見学が終わってバスに戻ったところ、座席に置いてあった鞄がなくなっていた。
「友人がいるから安心」「ツアーバスだから安心」――この油断が一番危ない。席を立つときは貴重品を必ず携帯する。1分でも目を離さない。
タクシー --- 「黄色ナンバー+会社マーク」を確認
ストックホルム市内とアーランダ空港間は単一料金の会社もあるけれど、原則として料金は会社ごとに違う。
タクシーは、黄色のナンバープレートで、屋根に会社のマークがついているので、必ず確認してください。営業許可を得ていない、いわゆる「白タク」では、法外な料金を請求されたり、強盗・暴行などのトラブルが発生する可能性が高いので、利用しないようにしてください。
正解はホテルやレストランから呼ぶか、乗車前に料金確定する配車アプリ(Uber、Bolt、Cabonline系)を使うこと。アーランダ空港の到着ロビー前で「タクシー?」と声をかけてくる白タクは絶対に拾わない。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
街歩きのコツ --- 北欧の油断を捨てる
- 中央駅・T-Centralen・ガムラスタンは特に警戒:エレベーターは1人で乗らない、リュックは前掛け
- 「写真を撮って」「ケチャップが付いた」「両替して」は無視:気をそらすスリの定番
- 本物の警察は路上で財布を見せろと言わない:身分証提示を求める、112に電話
- ホテル朝食・ツアーバスでも貴重品は身につけたまま:「同行者がいるから安心」が一番危ない
- タクシーは黄色ナンバー+会社マーク必須:白タクは強盗リスク
- 深夜・早朝の地下鉄・郊外電車は避ける:大使館推奨
- カードリーダーは金額確認してからタッチ:レシートも忘れずに
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・消防・救急(EU共通) | 112 |
| 緊急時以外の警察 | 114 14 |
| 健康相談(24時間・英語可) | 1177 |
| 毒物情報センター | 010-456-6700 |
| 在スウェーデン日本国大使館 | 08-5793-5300 |
スウェーデン語が話せなくても英語で全部通じます。緊急時の単語は最低限Hjälp(助けて)を覚えておけば声をかける時に伝わります。
旅券を盗まれてしまったら
ストックホルムで旅券を紛失・盗難した場合の手続きフロー:
- スウェーデン警察に被害届 → 受理証明書を受領
- 在ストックホルム大使館(08-5793-5300)に連絡し、紛失旅券の失効
- 新規旅券/緊急旅券、または「帰国のための渡航書」発給を申請
- 必要書類:申請書、紛失届出書、戸籍謄本(6か月以内)、写真2葉、警察受理証明書
戸籍謄本の原本は出発前に用意しておくと再発行がスムーズ。ICチップ付クレカと一緒に両面コピーを別管理しておくのが鉄則です。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ストックホルムは住民登録のない旅行者は医療費全額自己負担。内科診察だけで2.8万〜7.7万円、救急外来や入院になると一気に4桁万円台へ。同地域のオーストリアでは地下鉄エスカレーターの転倒で1,582万円の請求事例があります。クレカ付帯保険では足りないので、出発前に必ず治療救援費1,000万円以上の海外旅行保険を確認しましょう。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
この都市のトラブル別ガイド
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