カラカスはベネズエラの首都で人口約300万人。2025年12月に全土レベル3(渡航中止勧告)に引き上げられて以降、観光ではなく業務渡航・在留邦人の滞在拠点として機能しています。市内には警察も介入できないバンダ支配地区が複数存在し、空港〜市内を結ぶ高速道路ではカージャック・タクシー強盗が継続発生中。米軍との緊張下でコレクティーボのスマホ検閲も報告されています。
このページは観光案内ではなく、やむを得ず滞在する人向けにカラカスの危険エリアと行動原則をまとめたものです。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
立ち入り禁止エリア --- 警察も入れない5地区
外務省「テロ・誘拐情勢」より、カラカス首都区(リベルタドール市)で名指しされているバンダ支配地区:
バンダの支配地域のあるカラカス首都区(リベルタドール市)西部のラ・ベガ地区、コタ905地区、セメンテリオ地区、エル・バジェ地区や、東部のペタレ地区等には、不用意に近づかないでください。
| 地区 | 位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| ラ・ベガ地区 | 西部 | バンダ支配 |
| コタ905地区 | 西部 | バンダ支配 |
| セメンテリオ地区 | 西部 | バンダ支配 |
| エル・バジェ地区 | 西部 | バンダ支配 |
| ペタレ地区 | 東部 | バンダ支配(南米最大級のスラム) |
「歩哨所を設けて警察官や軍人が立ち入らないようにしている」というレベルの支配地区。Google Mapで近道として表示されても絶対に通らない判断が必要です。
2021年7月、カラカス首都区(リベルタドール市)の南西部において、3日間に及ぶ治安当局とバンダとの間で銃撃戦が発生し、多数の死傷者が出ました。
バンダは、支配地域内外で強盗、殺人、誘拐、脅迫等の犯罪行為を行う以外にも、支配地域の拡張や当局の排除のため、度々警察当局と衝突しており、その都度、近隣住民や通行中の市民に流れ弾で死傷者が出ています。
3日間の銃撃戦で「多数の死傷者」という現実が、ベネズエラ首都の治安状況を端的に示しています。
首都圏は犯罪が「減ってない」
ベネズエラ全国では犯罪認知件数が減少傾向ですが、外務省はこう書いています。
治安当局によれば、犯罪認知総件数は、2016年をピークとして、2024年まで若干増加する年があるものの概ね減少傾向にあります。しかし、近年の首都圏などの都市部においては、2022年から増加傾向となり、2024年は減少したものの減少はわずかとなっています。
「全国減でも首都は別」ということ。さらにドル化により外貨を持ち歩く外国人が標的になりやすい構造が浮上しています。
経済の崩壊等による国外への人口流出等により、犯罪が減少したと分析されていますが、ベネズエラ経済のドル化が進み、市場にドル現金が流通し始めたことから、海外に脱出していた犯罪者が国内に戻ってきていると言われています。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
マイケティア空港〜市内高速 --- カージャック多発路
カラカス国際空港(マイケティア空港・SVMI)は市内から約30km離れていて、唯一のアクセス手段が山越えの高速道路。安全の手引きはこの区間でのカージャック・タクシー強盗・偽タクシー被害を多数記録しています。
対策の原則:
- 流しのタクシー禁止。事前手配(信頼できるホテル経由・大使館推奨業者)のみ
- 空港到着時に運転手の名前と社名を確認。スマホで業者に電話して照合
- 夜間到着便を避ける。深夜の高速移動はカージャックリスクが格段に上がる
- 出発時はベネズエラ系便で4時間前空港着を死守
詳細はカラカスのタクシー・交通トラブルで。
米軍緊張下のコレクティーボ検問
2026年1月3日の米軍による攻撃の後、市内ではコレクティーボが米国の協力者を発見するために、検問で通信機器の検閲を強化しているとの情報がSNS上で拡散されましたが、SNSで取り上げられた規模ではなく、その場所も限定的でした。これまで政権寄りとされたコレクティーボが、米国との関係改善を忌避する勢力と同調し過激な行動に出る可能性もあるため、注意が必要です。
スマホの中身を見られるリスクを想定し、出発前にやっておくこと:
- 政治・軍事関連の画像・チャットを削除
- 米国・欧州メディアのSNS発信は控える
- ベネズエラ国内事情へのSNS投稿はしない
- 重要連絡先はスマホ+紙の二重保管(端末没収時の備え)
短時間誘拐(Express Kidnapping)
カラカスの誘拐手口は、伝統的な身代金型から短時間誘拐が主流に変わっています。
昨今の手口は、誘拐して、自宅や銀行ATMへ連れて行き、金銭や所持金を奪った後に解放する「短時間誘拐」が大半を占めています。
被害者層は外国人にも拡大。
ここ数年、都心部の商人、学生、専門職職員、公務員等あらゆる層に拡大し、また、外国人も被害に遭っており、十分な注意が必要です。
そして致命的なのが警察関与。
警察官が、誘拐犯と共謀している場合が多いほか、身代金を支払うことは違法となるため、被害者の親族等は、被害者の生命を優先させ、被害届を出さないのが実情です。
「警察に行けば安全」が成立しない国です。詳細はカラカスの誘拐・睡眠強盗で。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
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警察・治安部隊の賄賂要求
旅券または身分証明書の不携帯について、正規の手続きをせずに金銭を要求するなど不正行為を行う警察官が存在するとの報告もあります。
仮にそのような場面に遭遇した場合は、毅然とした態度で、「身分証明書の提示を求める」、「警察署に出向く」、「日本国大使館への連絡を求める」と答える等、被害に遭わないよう注意してください。
「日本国大使館への連絡を求める」と毅然と伝えるのが教科書的な対応。空港の出入国時にも同様のリスクがあります。
空港を警備する国家警備軍や国家警察官に目をつけられ、賄賂を要求されたといった事例も報告されています。
医療 --- カラカス市内私立病院でも限界
カラカス市内には、海外で研修を受けた医師が勤務する私立総合病院がいくつかありますが、外貨不足により、医薬品が不足しているほか、設備・機材の老朽化、優秀な医師の国外転出が著しく、緊急性のない外科手術などは避けることをおすすめします。重篤な疾病や大怪我の場合、医療先進国への緊急医療搬送が必要となる可能性があります。
主要私立病院:
- Centro Médico Docente La Trinidad
- Hospital de Clínicas Caracas
- Centro Médico de Caracas
医薬品不足・献血在庫不足が常態化しており、重症時はマイアミ等への医療搬送が現実的。詳細はカラカスの健康・感染症で。
ドル現金・スキミング・両替
両替は、銀行、公認両替所(CASA DE CAMBIO)において可能ですが、外貨から現地通貨ボリバルへの両替のみとなっています…インフレが継続している影響で、銀行や公認両替商が十分なボリバル現金を保有していないこともあるため、現金の両替が困難な状況が続いています。一方、ベネズエラにおいては、経済の事実上のドル化により、ドル現金決済が常態化しています。
ベネズエラ国外で発行されたクレジットカード、デビットカード等による支払いも可能ですが、スキミング被害の報告もありますので、支払いの際は面前で処理させるよう心がけてください。また、暗証番号を聞いて店員自らが入力しようとする場合が多々ありますので、暗証番号は他人に教えることなく、自分で入力するようにしましょう。
ドル現金は分散保管、カード決済は面前処理を徹底、暗証番号は他人に絶対伝えないが三原則。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
主な犯罪手口 --- トラブル別ページへ
- カラカスの誘拐・睡眠強盗 --- Express Kidnapping、ATM連行、警察関与
- カラカスの武装強盗・スリ --- 信号待ちカージャック、ATM周辺強盗、ドル現金狙い
- カラカスのタクシー・交通 --- 空港高速のカージャック、偽タクシー、賄賂要求
- カラカスの健康・感染症 --- 医薬品不足、デング熱、医療搬送
マラカイボについて
ベネズエラ第二の都市マラカイボ(スリア州)は、危険情報のレベル3指定地域内に位置しますが、固有の事例情報が薄いため独立記事化は見送っています。スリア州の国境地帯(コロンビア側)はゲリラ活動エリアで、業務でマラカイボを訪問する場合も国境地帯への接近は厳禁です。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
緊急連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・救急・消防 | 911 |
| 在ベネズエラ日本国大使館 | (212) 262-3435 |
| 主要私立病院 | Hospital de Clínicas Caracas など |
たびレジ・在留届の登録は必須。米軍との緊張が高まる現状では、退避指示が突然出る可能性があるため、大使館との連絡網を維持してください。
この都市のトラブル別ガイド
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