カラカスの誘拐は伝統的な身代金型から短時間誘拐(Express Kidnapping)が主流に変わっています。自宅や銀行ATMに連行され、1日の引出限度額まで現金を奪われて解放される手口で、被害者は富裕層から都心部の一般職、外国人にまで拡大。さらにベネズエラ独特の構造として、現役警察官の関与例が外務省に明記されており、身代金支払いそのものが違法のため被害届が出ない実情があります。
Travel Alert 01
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短時間誘拐(Express Kidnapping)の手口
外務省のテロ・誘拐情勢ページより。
昨今の手口は、誘拐して、自宅や銀行ATMへ連れて行き、金銭や所持金を奪った後に解放する「短時間誘拐」が大半を占めています。
典型的な流れ:
- 路上・タクシー・レストラン出口などで武装した複数犯に拘束
- 車に乗せられ最寄りのATMへ連行
- 1日の引出限度額まで現金を引き出させる
- 翌日も追加引出を強要されるケースもある
- 引出後に解放される(暴力を伴う場合あり)
被害者層の拡大も明示されています。
以前は、誘拐犯罪の被害者の多くは、コロンビアとの国境付近で牧場・農場を経営する経営者とその家族、また、カラカス首都圏周辺の実業家及びその家族、外国からの移住者等、裕福な階層でした。しかし、ここ数年、都心部の商人、学生、専門職職員、公務員等あらゆる層に拡大し、また、外国人も被害に遭っており、十分な注意が必要です。
「外国人も被害に遭っている」と外務省が明記している国です。
統計と実情の乖離 --- 警察関与・身代金違法
治安当局によれば、2025年の国内における身代金目的誘拐事件の発生件数は5件であり、昨年の半分以下に減少しましたが、当国では、犯人に身代金を支払うことが違法であることや、現役の警察官が誘拐に関与している場合があることから、治安当局に届け出がなされない件数が相当数あると見られます。
同国治安当局によると、2025年の誘拐発生件数は5件であり、2024年の半分以下に減少しましたが、ベネズエラでは、警察官が、誘拐犯と共謀している場合が多いほか、身代金を支払うことは違法となるため、被害者の親族等は、被害者の生命を優先させ、被害届を出さないのが実情です。
ベネズエラの誘拐統計の特殊性は2点。
- 身代金支払いは違法: 家族・知人が支払うこと自体が罪に問われる
- 警察官関与例: 被害届を出しても解決しない構造
公式統計5件の裏には、届出されない短時間誘拐が相当数埋もれている可能性が高い、というのが外務省の見解です。
Travel Alert 02
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誘拐実行犯 --- 貧民街拠点の組織犯罪
誘拐を実施するのは、貧民街をアジトにする完全に組織化された誘拐犯グループです。
カラカスのバンダ支配地区(ラ・ベガ・コタ905・セメンテリオ・エル・バジェ・ペタレ)は、警察も介入できないアジトとして機能しています。「組織化された」「完全に」という表現は、思いつきの犯行ではなく日常業務として誘拐を実行している組織だということ。素人が交渉で逃れられる相手ではありません。
自衛策 --- 移動・ATM・現金管理
タクシー・移動
- 流しのタクシーは絶対NG。信頼できる事前手配(ホテル経由・大使館推奨業者)のみ
- 配車アプリでも来た車のナンバー・運転手の顔がアプリ表示と一致するか確認
- 行先と異なるルートを通り始めたら、人通りの多い場所で降りる意思を強く伝える
- 夜間の単独移動を避ける
ATM・現金
- ATMの1日の引出限度額を低めに設定しておく(短時間誘拐時の被害最小化)
- 1人で出歩く時の所持金は最小限、メインの資金は別保管
- ATM操作中に「手伝う」と声をかけてくる人物に応じない
- 暗証番号を入力する瞬間を手で隠す(盗み見対策)
- 暗証番号は店員にも教えない(カード決済時の面前処理徹底)
行動・服装
- ドル現金を見える形で持たない(高級財布・分厚い札束NG)
- 高級時計・装飾品を身につけない
- スマホを路上で長時間使わない
- 観光客らしい服装・行動を避ける(業務渡航のフォーマル装で目立たない方が安全な場合もある)
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
身代金支払いに関する大使館への即時連絡
ベネズエラでは身代金支払いが違法なので、家族から犯人へ送金する前に大使館 (212) 262-3435 へ連絡が必須。日本側からも在京ベネズエラ大使館経由ではなく、外務省海外安全相談センターに連絡するルートが安全です。
強盗遭遇時の原則
短時間誘拐では暴力を伴うケースもあります。中南米の強盗対応ルールがそのまま当てはまります。
- 絶対に抵抗しない
- 相手の顔・目を見ない
- ポケット・バッグに勝手に手を入れない(武器を取り出すと誤解されると射殺リスク)
- 指示されたら従う、無言で時間を稼がない
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
中南米地域の参考: 保険金支払事例
ベネズエラ単独の保険会社事例は公表されていませんが、中南米地域の参考として、ペルーで高山病・髄膜炎等により25日間入院で1,654万円(ジェイアイ傷害火災)、脳梗塞で1,144万円(SBI損保)の支払事例があります。誘拐被害後の医療・精神的ケア、緊急医療搬送、家族の現地渡航費(救援者費用)まで含む包括的な海外旅行保険が必要です。ベネズエラからの国外搬送は空便そのものが限定的なため、チャータージェット利用でさらに高額になる可能性があります。
出発前にできること
- 海外旅行保険のテロ・誘拐免責条項を確認(レベル3地域は免責になるケースあり)
- たびレジ・在留届を登録、緊急連絡網を整備
- ATM引出限度額を低めに設定
- クレジットカード会社の緊急連絡先をスマホ・紙の二重保管
- 家族と「身代金要求があっても直接支払わず大使館を通す」ルールを共有
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭ったら
- 在ベネズエラ日本国大使館: (212) 262-3435(警察より先に)
- 警察・救急: 911
- クレジットカード即停止
- ATM引出履歴の保存(保険請求の証拠)
- 解放後の医療チェック(薬物投与・身体被害の確認)
よくある質問
カラカスで短時間誘拐に遭わないためには?
流しのタクシーに絶対乗らない(信頼できる事前手配のみ)、ATMの1日引出限度額を低めに設定、夜間の単独移動を避ける、外貨を見える形で持ち歩かないが基本。被害者は「都心部の商人、学生、専門職職員、公務員等あらゆる層に拡大、外国人も被害」と外務省が明記しています。
警察に届け出ても安全ではないと聞きました
外務省の記載で「現役の警察官が誘拐に関与している場合がある」「身代金支払いは違法のため家族が被害届を出さない」とされています。被害発生時は警察より先に大使館 (212) 262-3435 への連絡が現実的です。
誘拐された場合の優先行動は?
抵抗せず指示に従う、暴力を回避する、身代金支払いは違法のため家族・知人に支払わせない、解放後速やかに大使館へ。短時間誘拐はATM引出後に解放されるケースが大半ですが、暴力を伴う場合があるため精神的・身体的ケアが必要です。