タリン旅行で「犯罪より気をつけるべき」のが体調不良と怪我です。エストニアは旧ソ連諸国の中で衛生・医療面が最もよく整備された国のひとつ、医師の多くは英語を話すと外務省も書いています。それでも首都を含む国土の大部分でダニ媒介性脳炎が発生し、冬は-20度の凍結路面で転倒骨折、春先は建物からのつらら落下と、3本立てのリスクが待ち構えています。タリン全体は都市ページへ。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
ダニ媒介性脳炎 --- 治療薬なし、首都を含む国土ほぼ全域で発生
外務省「世界の医療事情」が最も警戒すべき風土病として挙げているのがこれ。
首都タリン市を含め国土の大部分が、感染する可能性がある地帯で、春から夏にかけて森林や草地で散発的に流行がみられます。
ダニ媒介性脳炎はマダニが媒介するウイルス性脳炎で、感染すると2〜28日(平均7〜14日)の潜伏期間を経て38度超の発熱・倦怠感・頭痛などの第一期症状が現れます。1〜8日続いた後にいったん軽快しますが、
3分の1程度の患者は1から20日ほどの一時的な軽快後、第二期に移行します。第二期では40度を超える発熱が見られるほか、中枢神経系が影響を受け、髄膜炎、脳炎(およびそれに伴う麻ひ)、脊髄炎、神経根炎などの重篤な症状が出現し、最悪の場合死に至ります。
回復後も40%近い患者で神経系の後遺症が残るとされる、極めて重い病気です。治療薬がないため、予防が全て。森林や草地に入る場合は長袖・長ズボン・帽子・防虫剤を徹底し、皮膚に這っているダニを発見したらすぐ取り除く。長期滞在やトレッキング予定なら3回接種+3年後追加+以降5年ごとのワクチンスケジュールを検討します。同じリスクはヴィリニュス・リーガ(毎年死亡者)でも全土に広がっています。
ライム病 --- ダニ媒介の細菌感染症
ダニはダニ媒介性脳炎だけでなくライム病も媒介します。
ダニに咬まれた箇所を中心に、痛みや盛り上がりの無いドーナツ状の発疹が発現し、発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛など感冒様症状が現れます。治療を行わず放置すると、細菌が関節、心臓、中枢神経に拡大し、10%の患者で感染から6から12週以内に中枢神経障害が発生して顔面麻痺、リンパ球性髄膜炎、神経炎などが引き起こされます。
ライム病はワクチンがありませんが、早期の抗生物質治療が有効。ダニに咬まれた跡や同心円状の発疹、感冒様症状が出たらすぐ受診してください。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
冬季の凍結路面 --- 転倒で骨折→医療搬送のコース
タリンは12月〜3月が積雪期で、最寒期は氷点下20度近くまで冷え込みます。外務省「安全対策基礎データ」はハッキリ書いています。
地面が滑りやすく転倒による骨折等が多く見られることから、滑りにくいブーツ等が欠かせません。
旧市街の石畳は氷と雪に覆われると、ヒールやスニーカーで歩くとすぐ転倒します。滑り止め加工のブーツは冬季タリン旅行の必須装備。骨折で済めばまだしも、頭部を打って脳出血となれば集中治療→西欧・日本への医療搬送のコースで、数百万〜1,000万円台の支払いが現実的です。
春先のつらら落下 --- 軒下を歩くときは上にも注意
冬を越えた春先、タリンには独特のリスクがあります。
なお、春先は建物からつららが落下し、危険な場合もあるため注意が必要です。
旧市街の中世建築は屋根の傾斜が急で、軒先に巨大なつららができやすい構造。気温が上がる3〜4月にこれが落下して、地上の歩行者に直撃する事故が毎年起きています。軒下を歩くときは建物寄りでなく道路寄りを歩く、つらら落下注意の三角コーンが置かれている場所は迂回が基本です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
サルモネラ・赤痢・インフルエンザ・花粉症
外務省は他に以下のリスクを挙げています。
- サルモネラ・赤痢は年間を通じて散見、生鮮食品の取り扱いに注意
- 冬季のインフルエンザは流行、外出後の手洗いとうがい
- 4〜5月の花粉症は飛散量が多い、アレルギー持ちは抗ヒスタミン薬を準備
水道水は飲用可能ですが、煮沸または浄水器の使用が推奨されます。
医療体制 --- 私立クリニック推奨、英語通用
エストニアの医療水準は「ある程度高い」が、最新の医療設備や検査機器は日本・西欧ほどではないと外務省は書いています。重要なポイントは2つ。
エストニアの医療水準はある程度高いものの、医療関係者が英語を解さない場合もあります。
病気の種類や外傷の部位・程度によっては自国内で対応しきれず、現地で初期の応急処置を受けた後に、バルト海対岸のヘルシンキはじめ外国に移送となる場合があります。さらに、高度な治療が必要な場合は、西欧諸国や日本への移送を要することも考えられます。
タリン市内で外務省が挙げている主な医療機関は以下:
私立クリニック
- Confido Meditsiinikeskus(Veerenni 51)電話 1330 / 6-299-277 --- 産婦人科・皮膚科・小児科・依存症治療など対応、英語可
- Fertilitas kesklinna polikliinik(Kaupmehe 4)電話 6-604-072 --- 市内中心部の総合クリニック、歯科併設
公立病院
- AS Põhja-Eesti Regionaalhaigla(北エストニア地域病院)(J. Sütiste tee 19)電話 6-17-1369(緊急)/ 6-17-1300 --- 1,150床のエストニア最大級総合病院、24時間救急
- AS Ida-Tallinna Keskhaigla(東タリン中央病院)(Ravi 18)電話 6-207-040(緊急)--- 24時間救急、産婦人科・眼科対応
- AS Lääne-Tallinna Keskhaigla(西タリン中央病院)(Paldiski mnt. 68)電話 6-50-7301
救急車(112)を呼ぶと東タリン中央病院または西タリン中央病院に搬送されます。英語が通じやすいのは規模の大きな公立病院と私立クリニック。短期旅行者は私立クリニックを第一選択にするのが現実的です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
医療費の実態 --- 初診50ユーロ超、搬送が絡めば桁が変わる
エストニアの医療費構造は外務省がハッキリ書いています。
エストニア国民医療保険に加入していない場合、公立・私立病院ともに50ユーロ以上の診察料が必要となります。
つまり短期旅行者は初診で必ずキャッシュアウトが発生。入院や手術、特に高度治療が必要な場合は
バルト海対岸のヘルシンキはじめ外国に移送となる場合があります。さらに、高度な治療が必要な場合は、西欧諸国や日本への移送を要することも考えられます。これら移送には高額な費用が必要となるため、充分な補償額の海外旅行傷害保険などへの加入をお勧めします。
エストニア独自の高額支払い事例は保険会社データに載っていませんが、同地域の参考事例として、ソニー損保のスイス事例ではバスルーム転倒で1,269万円、ハイキング転倒のヘリ搬送で688万円といった4桁万円事例が報告されています。北欧バルト圏でも搬送が絡めば同水準に達する可能性があるため、海外旅行保険は治療救援費用無制限が安心ライン。クレジットカード付帯保険は90日上限・補償200〜300万円のことが多く、骨折や搬送が絡むと足りません。比較はヨーロッパ旅行の保険ガイドへ。
出発前の備え
- 海外旅行保険は治療救援費用無制限で加入、クレジットカード付帯のみは避ける
- 森林・草地に行くなら長袖・長ズボン・帽子・防虫剤を準備
- 冬季なら滑り止め加工のブーツを必ず持参
- 常用薬は英語の処方箋コピーと一緒に持参(医療麻薬の持込みは厚労省手続きが必要)
- 保険会社のサポートデスク電話番号と保険証券コピーをスマホとクラウド両方に保存
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
体調不良・怪我に遭ったら
- 緊急時は112(警察・消防・救急共通、24時間・英語可)
- 海外旅行保険のサポートデスクに連絡(24時間日本語可の会社が多い)。キャッシュレス対応病院を案内してもらうのが最速
- 症状が比較的軽ければ私立クリニックを直接受診(Confido・Fertilitasなど英語可)
- 薬局は「apteek(アプテーク)」、薬剤師は英語で症状説明可
よくある質問
ダニ媒介性脳炎はそんなに怖い?
致死的・後遺症リスクが高い病気です。「3分の1の患者は1から20日ほどの一時的な軽快後、第二期に移行」「40度を超える発熱、髄膜炎、脳炎(およびそれに伴う麻ひ)、脊髄炎、神経根炎などの重篤な症状が出現し、最悪の場合死に至る」「回復後も40%近い患者で神経系の後遺症」と外務省も明記。治療薬はなく、ワクチンと「噛まれない」対策が予防の柱です。
短期旅行でもダニのワクチンは打つべき?
短期旅行で森林・草地・ハイキングに入らないなら、長袖・長ズボン・帽子・防虫剤の物理的予防で対応するのが現実的です。長期滞在やトレッキング・キャンプ予定があるなら接種を検討。「3回接種(初回免疫)した後、必要に応じてその3年後に追加接種」が必要なので、出発の数か月前から計画する必要があります。
タリンで救急車を呼ぶには?
112(警察・消防・救急共通、24時間・英語可)です。救急車はAS Põhja-Eesti Regionaalhaiglaまたはタリンの東中央病院・西中央病院に搬送されます。海外旅行保険のサポートデスクにも並行して連絡し、キャッシュレス対応の可否を確認してください。
医療費はどれくらいかかる?
エストニア国民医療保険に加入していない短期旅行者は、外務省によると「公立・私立病院ともに50ユーロ以上の診察料が必要」。加えて入院や手術、ヘルシンキ・スウェーデンへの医療搬送が絡めば数百万〜1,000万円台のコース。北欧バルト圏では搬送費用だけで4桁万円になる事例があります。
冬の旧市街で気をつけることは?
滑り止め加工のブーツが必須。外務省は「地面が滑りやすく転倒による骨折等が多く見られることから、滑りにくいブーツ等が欠かせません」と明記。春先は建物からつららが落下する事故もあるため、軒下を歩くときは上にも注意が必要です。