2024年のベルリン州内の犯罪は約54万件。人口10万人あたり14,719件と、ドイツ全16州で最多です。連邦平均の倍以上。特にスリ(Taschendiebstahl)は州内で15,943件が記録されていて、数字だけ見ても日本の都市とは桁違いの環境に出向いていることになります。しかも、これは警察に届け出があった件数。実際にやられて泣き寝入りしている旅行者はもっといます。
Travel Alert 01
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主要ターミナルと観光地は「仕事場」
在独大使館「安全の手引き」は、ベルリンで特にスリ・置き引きが多発している場所を名指しで並べています。
主要玄関口である空港、動物園駅や中央駅等の各主要ターミナル構内やその周辺
動物園駅、中央駅、BER空港。ここは基本的に「荷物を持って目的地を探す旅行者」が集まるので、犯行グループにとっての仕事場みたいなものです。特に中央駅はICEの頭上荷物置き場からの置き引きが大使館名指しで注意されていて、座席から離れた位置に置いたキャリーは丸ごと持っていかれるリスクがあります。
観光地で名指しされているのは次のあたり。
- ウンター・デン・リンデン通り〜アレクサンダー広場(ミッテ地区、フリードリヒ・シュトラーセ駅やハッケッシャーマルクト駅周辺含む)
- ヴィッテンベルク広場(KaDeWe前)〜ブライトシャイド広場(カイザー・ヴィルヘルム記念教会前)〜クアフュルステンダム通り(クーダム)
- ブランデンブルク門、博物館島、メッセ会場周辺
ベルリンの「行きたい場所リスト」にだいたい入る場所が、そのままスリの多発地点とイコールです。
U7・U8と夜の駅は別モード
ベルリンの地下鉄で特に注意が必要なのがU7とU8。「安全の手引き」は夜間の危険地区として路線ごと名指ししています。
コットブッサートア駅(クロイツベルク地区)、ヘルマンプラッツ駅(ノイケルン地区)、オスロアーシュトラーセ駅(ウェディング地区)の構内やその周辺、アレクサンダー広場駅及び地下鉄7号線や8号線(U7、U8)の車内
昼間にこれらの駅を通るぶんには普通の街並みですが、夜は空気が変わります。外国人犯罪グループや薬物使用者の溜まり場になっている区域で、スリだけでなく強盗や傷害が起きるのもこのエリア。観光で夜遅くにクラブから帰る予定があるなら、この路線だけは最終手段扱いにしておきたい。Uber か U2・S5 ルートに乗り換える価値があります。
Travel Alert 02
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あなたは知っていますか?
手口は「役割分担型」と覚えておく
在独大使館は10パターンの手口に名前を付けて整理していますが、全部覚える必要はありません。共通構造はひとつで、片方が気を引く→もう1人が抜く。代表的なものを押さえておきます。
寄付金・署名スリ(Spendenlisten Trick) --- 路上で「寄付お願いします」「署名を」と親しげに声をかけてきて、応じている間に別の共犯がファスナーを開けて財布を抜く。ブランデンブルク門周辺や博物館島でよく報告されている手口。
ハグスリ(Begrüßungs- und Umarmungs-Trick) --- 見知らぬ人が親しげに挨拶・握手・ハグ・腕に抱きついてきて、相手をしている間に腕時計や貴重品が消える。
ケチャップスリ(Beschmutzer-Trick) --- 銀行ATMから出てきたところで人がぶつかり、ケチャップやアイスを服につける。謝りながら拭いてくれる間に、引き出したばかりの現金が抜かれる。
ぶつかりスリ(Rempel-Trick) --- 工事現場前の狭い仮設通路、狭い階段やエスカレーターで前後からぶつかってくる。バスに乗る時に前の人がわざと躓く、という派生パターンもあります。
カバー目隠しスリ(Abdeck-Trick) --- レストランのテーブルに置いた携帯や財布の上に、寄付金リストや地図を広げてきて、「寄付してくれない?」と声をかけてくる。断っている間に、紙の下にあった物が一緒に消える。
物乞いスリ(Bettel-Trick) --- 屋外カフェで紙切れを差し出してきた子供たちに気を取られている間に、椅子に置いたハンドバッグがなくなっている。
他の手口(ホテル・スリ、レストラン・スリ、道聞きスリ、高速道路スリ)も含めて、手口10種の全リストはドイツの国ページにまとめています。構造が同じなので、話しかけられた・ぶつかられた瞬間に荷物を抱える、これだけ覚えて帰ってください。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在独大使館・4総領事館連名「安全の手引き」令和8年1月版 寄付金リスト・スリ事例を基に構成)
ホテルのロビー・朝食会場でも抜かれる
ベルリンで見落としがちなのがホテル内の置き引きです。安全の手引きは「ホテル内ロビーや朝食会場、レストラン」を注意地区として明記しています。
チェックインで書類を書いている間、足元に置いたキャリー。朝食ビュッフェでオムレツを取りに行く間、椅子の背にかけたジャケットの内ポケット。この2シーンで抜かれるケースが本当に多い。朝食会場では貴重品はポケットに入れて立ち上がる、チェックインではキャリーをカウンターと自分の間に挟む、この2つだけで被害率は変わります。
Travel Alert 03
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ICEの頭上荷物置き場は要注意
長距離特急ICEは、ベルリン中央駅を出発する便の頭上荷物置き場からの置き引きが多発しています。特にデュッセルドルフ・ケルン方面との間は要注意ルート。
座席から見えない位置に置いたキャリーは、停車駅でそのまま持っていかれる可能性があります。頭上ではなく足元か目の前のデッキに置いておくのが対策。ハンブルクやミュンヘンから移動してくる便も同じ構造なので、ドイツ国内をICEで動くときは共通ルールとして覚えておきたいところ。
ATMは屋内型を選ぶ
「安全の手引き」はATMの使い方についても明確に書いています。
路上(屋外)や主要駅、地下鉄駅構内のATMは極力利用しない(銀行など店舗内のATMを利用)。
駅構内のATMはケチャップスリや暗証番号盗み見と組み合わされやすい。銀行の店舗内ATMなら監視カメラもあって、犯行グループも手を出しにくい。屋外ATM・駅構内ATMは使わない、これは旅行中ずっと守ってほしいルールです。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
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手口早見表
| 手口 | 多発場所 | 対策 |
|---|---|---|
| 寄付金・署名スリ | 観光地(ブランデンブルク門・博物館島) | クリップボードを出されたら即離れる |
| ハグ・あいさつスリ | 繁華街・駅周辺 | 知らない人が親しげに近づいたら距離を取る |
| ケチャップスリ | 銀行ATM出口・繁華街 | 何か付けられても足を止めず歩き続ける |
| ぶつかりスリ | 工事通路・階段・バス乗降口 | ぶつかった瞬間に貴重品に手を当てる |
| ホテル朝食・ロビー置き引き | ホテル内全般 | 席を立つ時は貴重品をポケットへ |
| ICE頭上荷物置き | 中央駅発の長距離特急 | 荷物は足元か目の前のデッキに |
| 地下鉄U7/U8車内 | クロイツベルク・ノイケルン方面 | 夜間はU2やS5に振る、Uberで帰る |
出発前にやっておくこと
- パスポートはウエストポーチ or 宿に金庫保管: 外務省は「パスポートはシークレットウエストポーチに入れる、金銭やクレジットカードは分散して持つ」と明示。スリ対策グッズはセキュリティポーチ比較を参考に
- 財布・カード・現金を分散: リュックに全部入れない。メインカードと予備カードを別の場所に
- ICE移動時は荷物を目の前に: ベルリン中央駅から出る便は頭上置き場を避ける
- ATMは銀行店舗内のみ: 駅構内・路上ATMは使わない
- 海外旅行保険に加入: 医療費は540万円事例もある国(ドイツ)です。ヨーロッパの海外旅行保険で備えを
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭ったら
- 警察(110)に通報、または最寄りの警察署で被害届を提出。ドイツ語に不安があればオンライン届出(portal.onlinewache.polizei.de)も利用可
- 被害届受理証明書(Bescheinigung über die Erstattung einer Strafanzeige)を必ず受け取る。パスポート再発給と保険請求の両方に必要
- クレジットカードはすぐに116116(ドイツ共通カード緊急停止番号)または日本のカード会社に連絡して停止
- パスポートを盗まれた場合は在ドイツ日本国大使館(030-210940)に連絡。帰国のための渡航書または新パスポートを申請
- ベルリンの都市ページとドイツの国ページに全体傾向と緊急連絡先がまとまっています
よくある質問
ベルリンはどれくらいスリが多いの?
ベルリン州だけで2024年のスリは15,943件。10万人あたりの犯罪発生件数は14,719件でドイツ全16州で最多、連邦平均(6,995件)の倍以上です。都市別で見てもハンブルクやミュンヘンを引き離して突出しています。
ベルリンで一番スリが多い場所は?
在独大使館「安全の手引き」が名指ししているのは、空港と動物園駅・中央駅の主要ターミナル周辺、ウンター・デン・リンデン〜アレクサンダー広場のミッテ地区、KaDeWe前〜クアフュルステンダム通り(クーダム)の繁華街、ブランデンブルク門・博物館島、そして公共交通機関(S/Uバーン・バス・トラム・ICE)の車内です。
地下鉄で特に注意すべき路線は?
在独大使館は「地下鉄7号線や8号線(U7、U8)の車内」、そしてアレクサンダー広場駅、コットブッサートア駅(クロイツベルク)、ヘルマンプラッツ駅(ノイケルン)、オスロアーシュトラーセ駅(ウェディング)を夜間の危険地区として明記しています。観光でU7/U8を使う機会があれば、車内ではバッグを体の前で抱えてください。
ホテル内でも盗まれるって本当?
本当です。「安全の手引き」はホテルのチェックインカウンター、ロビー、朝食会場を「スリ・置き引きの注意地区」として明記しています。朝食会場でテーブルに荷物を残したまま料理を取りに行ったり、ロビーでチェックイン手続きに気を取られている一瞬を狙われます。
バッグは何に気をつければいい?
まずファスナー付きで体の前に抱えられるタイプにすること。手口の多くは「話しかけ・ぶつかり・署名依頼・ハグ」で注意を逸らす役と抜く役の分業型です。話しかけられた瞬間に荷物を抱える、これだけで被害率は大きく下がります。