北マケドニアはバルカン半島の内陸国で、首都スコピエとオフリド湖(世界遺産)が観光の中心。日本ではマイナーな旅行先ながら、窃盗発生率は人口10万人あたり日本の6倍で外務省の安全対策基礎データは「人が多く集まる場所におけるスリ、ひったくり、窃盗等の一般犯罪が多発」と書いています。スコピエは欧州でも有数の大気汚染都市、狂犬病の暴露後ワクチンは国内で接種できない、など医療面のリスクも見逃せない国です。
このページは外務省と在北マケドニア日本国大使館の一次情報から、観光・出張で北マケドニアに渡航する人向けに治安と医療の現実を整理しています。
Travel Alert 01
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危険レベル — 北部・北西部・西部のみレベル1
外務省の危険情報(継続)はこう書いています。
●北マケドニア共和国北部(首都スコピエ市を除く)、北西部及び西部 レベル1:十分注意してください。(継続)
理由は次の通り。
北マケドニア北部(スコピエ市を除く)、北西部及び西部では、近年情勢は安定しているものの、アルバニア系とマケドニア系との間で衝突が発生する可能性が排除されないため、十分注意してください。
首都スコピエ市は危険情報の発出なし。観光のメイン動線(スコピエ・オフリド湖)はレベル発出なしの地域に収まりますが、コソボ国境(北西部)方向に陸路で抜ける場合はレベル1の地域を通過します。
窃盗は日本の6倍 — 観光地・市場のスリが中心
外務省の安全対策基礎データはこう書いています。
1 犯罪発生状況 人が多く集まる場所(観光名所、市場等)におけるスリ、ひったくり、窃盗等の一般犯罪が多発していますので、十分注意してください。
在北マケドニア日本大使館「安全の手引き」の犯罪統計(北マケドニア内務省 2017-2019、人口10万人あたり)によると、
- 殺人:約1件(日本0.6件)
- 傷害:約7-7.5件(日本13件)← 日本より低い
- 強姦:約1.5-2.5件(日本1件)
- 窃盗:約671-795件(日本119件)← 日本の約6倍
- 強奪・強盗:約2-2.5件(日本1件)
- 薬物犯罪:約30-52件(日本10件)← 増加傾向
当地での犯罪の発生状況は次の表のとおり、日本と比べると窃盗や薬物犯罪の発生頻度が高くなっています。犯罪に巻き込まれないためにも十分に用心する必要があります。
殺人・傷害の凶悪犯罪は日本と同水準ですが、窃盗は日本の6倍、薬物犯罪は3-5倍。観光客が遭遇する犯罪としては、スリ・置き引きが圧倒的多数です。
外務省・大使館の防犯対策。
- 外出時はブランド物のバッグ等を含め華美な服装を控える
- 肩掛けバッグ、バックパックはひったくり・スリに狙われやすい — 道路を歩く際は車道と反対側の手で持つ
- レストランやホテルでバッグを椅子やテーブルに置いたまま席を離れない
- 食事中もバッグは膝の上か足の間に挟む
- 夜間の不要な外出は控える、日中も人の目の届かない場所(橋の下、路地裏等)に近づかない
- 夜間は遠回りでも明るい通りを選ぶ、もしくはホテル等でタクシーを呼んで利用
- 見知らぬ人物に声をかけられても安易に気を許さない(相手が子供であっても油断しない)
- 強盗等に遭った場合は生命の安全を最優先に、抵抗しない
具体的な手口と対策はスコピエのスリ・置き引き対策に。
ATMは銀行内のものを使う — 路上設置が多い
大使館の手引きはATM周りの注意もしっかり書いています。
当地のATMは日本と異なり、基本的に路上にむき出しで設置されているものが多く、操作中も周囲に気を配る必要があります。 ・人気のない場所のATMは避け、出来るだけ銀行内にあるATM利用する。 ・混んでいても比較的人が多い場所や防犯カメラが設置されているATMを利用する。 ・ATM利用中も頻繁に背後や周辺を警戒する。不審な人物が近くにいる場合は別のATMに移動する。
スリ被害はATM操作後に標的にされるパターンも含むので、利用後は速やかに離れて両替所・店舗で消費するのが安全です。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
信号待ちの窓拭き集り・整備不良車
スコピエ市内の交通事情で大使館が具体的に警告するのが、信号待ちの窓拭き集りと整備不良車両です。
・信号待ちの際、一方的に窓を洗い金銭を要求してくる人達がいます。不要であれば近づいてきた時点でジェスチャーで相手に意思表示をしましょう。 ・整備不良車が多く、法定速度超過や乱暴な運転が多いです。 ・冬季には冬タイヤ装着が義務づけられていますが、これを守らない車が多いため、積雪時や路面凍結時に事故が多発しています。 ・道路照明灯の明るさが不充分かつ未設置の箇所があります。
レンタカー利用時は冬タイヤ装着の確認、夜間運転は街灯のないエリアを避ける、信号待ちではドアロック・窓を上げた状態を維持。信号窓拭きには金を渡さない(一度払うとカモ認定で余計に集ってきます)、関わらず首を振って意思表示を続けるのが正解です。
タクシー・交通の詳しい話はスコピエのタクシー・交通トラブル対策に。
狂犬病ワクチンは国内で接種できない — 動物との接触に細心の注意を
外務省「世界の医療事情」が北マケドニア最大の医療リスクとして書いているのが、狂犬病暴露後ワクチンが国内で接種できないことです。
スコピエ中心部は野犬が多く、ほとんどの個体は狂犬病予防接種済みですが、野生動物まで含めた場合、狂犬病ウイルスの根絶は確認できていません。野犬・野生動物に咬まれた場合、清潔な流水で洗浄後、病医院受診を強くお勧めいたします。リスクに応じて破傷風などの予防接種が行われますが、狂犬病の暴露後ワクチンは当地では摂取できないことから、動物との接触には細心の注意を払ってください。
つまり狂犬病が疑われる動物に咬まれた場合、国外(隣国セルビアまたはギリシャ)に医療搬送する必要があります。野犬・野生動物には絶対に近づかない、出発前に狂犬病暴露前ワクチン接種を検討するのが安全です。
詳しい医療情報はスコピエの感染症・体調不良対策に。
スコピエの大気汚染は欧州最悪級
スコピエは欧州の大気汚染ランキングで上位に常連です。外務省「世界の医療事情」はこう書いています。
首都スコピエは、欧州の中で最も大気汚染指数が高い都市のひとつであり、気象条件や暖房の利用率が増加する冬季は特に注意が必要です。 風邪による咳が長引いたり、目の痛みが生じたりし、心血管系へのリスクがあるため、汚染の強い日は窓を閉め、うがい等を心がけてください。また、臨時休校や外出禁止令が出ることもあるため、ニュース等で最新情報を確認してください。
冬季(12月〜3月)はガソリン暖房・薪暖房による大気汚染がピーク。呼吸器系の持病がある人は冬季のスコピエ滞在を避けるか、N95マスクを携行するのが安全です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
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テロ・誘拐情勢 — 過去にテロ計画事案
外務省の「テロ・誘拐情勢」と大使館の手引きには、過去のテロ計画容疑事案が記録されています。
北マケドニアでは、2020年12月に国内でのテロ計画容疑により、8名の男性が逮捕されました。2019年2月にもテロを計画していたとして数名が逮捕されています。
実行されたテロ事案ではないものの、テロ計画段階での逮捕事例が複数年にわたって記録されている水準です。誘拐については「頻繁には発生していない」が大使館の判断ですが、外出時は行き先と帰宅予定時間を家族に知らせる、可能な限り複数人で行動する、が手引きの指示。
1963年スコピエ地震 — 活断層地帯のリスク
スコピエは1963年に死者1,000人以上、家を失った人12万人以上の大地震を経験しています。
1963年、スコピエ地震が発生し1,000人以上が犠牲となり、120,000人以上が家を失いました。当地は活断層地帯に位置しているので、今後もこのような大地震が発生する可能はあり得ます。
ホテルの非常口位置確認、貴重品はサッと持ち出せる位置に保管、というのが普段から備えておく事項です。
外貨持込み・現金申告
入国時に外貨1万ユーロ相当額を超えて持ち込む場合は申告が必要。出国時に現地通貨(マケドニアデナル)を外貨に両替する場合、滞在中に外貨を現地通貨に両替した証明書の提示を求められる場合があります。両替時のレシートを保管しておくのが安全。
日本との間に査証免除取決めがあり、観光等の非営利活動目的による3か月以内の滞在は査証不要です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
緊急時連絡先
- 在北マケドニア日本国大使館(スコピエ・単館体制、総領事館なし)
- 住所:Filip Vtori Makedonski 3, Soravia Center, floor 6, 1000 Skopje, North Macedonia
- 電話:(市外局番02)3118-063 / 国外から +389-2-3118-063
- 夜間休日:+389-(0)70-247-040 / +389-(0)70-246-957
- ホームページ:https://www.mk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
- 警察、消防、救急:112
北マケドニア単独の高額医療事例なし — 近隣ヨーロッパ借用
北マケドニア単独の海外旅行保険支払事例は、損保ジャパン off!・ソニー損保・ジェイアイ傷害火災・SBI損保いずれも公開されていません。
参考までに、近隣ヨーロッパの高額医療事例はこの水準。
- イタリアで心筋梗塞 — 治療費1,011万円
- フランスで腹膜炎入院 — 治療費1,610万円
- ドイツでホテル浴室転倒 — 治療費639万円
- スイスでバスルーム転倒 — 治療費1,269万円
(出典:SBI損保 高額医療費事例 011 / SBI損保 高額医療費事例 014 / ソニー損保 海外でケガをしたときの実例)
外務省「世界の医療事情」は北マケドニアの医療水準についてこう書いています。
医療事情は首都スコピエに関しては近隣国よりも良好ですが、地方では決して良好とはいえません。…国民健康保険に加入できない外国人の医療費は非常に高額なので、海外旅行傷害保険等に必ず加入しておきましょう。
医務官は駐在せず在セルビア大使館医務官が担当。狂犬病暴露後ワクチンが国内で接種できない関係で、重症ケースはギリシャ・セルビア・ブルガリアなど近隣国への医療搬送が現実的選択肢になります。
治療救援費用は無制限または1,000万円以上、緊急移送特約付き、という設計が出発前のマスト。詳しくは ヨーロッパの海外旅行保険 に。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
関連リソース(公式)
- 外務省 海外安全ホームページ 北マケドニア(危険・スポット・広域情報)
- 外務省 安全対策基礎データ 北マケドニア
- 外務省 テロ・誘拐情勢 北マケドニア
- 外務省 世界の医療事情 北マケドニア
- 外務省 北マケドニア基礎データ
- 在北マケドニア日本国大使館 トップ
- 在北マケドニア日本国大使館 安全の手引き